開業柔道整復師のK先生から、療養費支給申請書(レセプト)に行ってもらう患者さんの署名に関してご相談が寄せられました。

K先生の元をある患者さんが受療したのですが、その患者さんに申請書への署名を求めたところ、「白紙の申請書には署名できない」と断られたそうです。

その患者さんの元には、「施術明細などが記載されていない申請書に署名するのは白紙委任だとして、傷病名や施術日数などを確認した上で署名するように」と、保険者の方から文書が届いているそうです。

このことに関しては以前、「ムーブの疑問」でも報道されましたので、太郎のBlogにおいても話題として取り上げたところです。

「ムーブ!の疑問」から−療養費支給申請書に署名してもらうタイミング
支給申請書に署名をもらうタイミングについて−政府の見解

患者さんの側にしてみれば、自分が加入する健康保険組合などの保険者から、文書をもって次のようなことが示されれば、ほとんどの場合、保険者からの通達を信用されるのが当然ではないでしょうか?

【健康保険組合からのお知らせ】
接骨院を受診した場合は、療養費支給申請書に記載された下記の内容をみて、実際と違いがないかご確認の上、申請書に署名するようにして下さい。
くれぐれも、白紙の申請書に署名することのないようにお願いします。
・傷病名
・施術日数(治療を受けた日数)
(A健康保険組合から被保険者に送付された文書から抜粋)


傷病名や施術日数の付け増しをする柔道整復師がいたせいで保険者の信用を損なってしまい、前述したようなお知らせが患者さん(被保険者)のもとに送られる結果を招いてしまったようです。

従って、その発端は柔道整復師の側にあるのです。

とはいえ、申請書への記載を済ませてからでなければ患者さんの署名がもらえないとなると、事務手続きにも混乱を招くことは必至です。

申請書への署名は、患者さんが受療した月の初め・・・すなわち、初検月であれば初検日、再検月であれば当該月の最初に受療した日・・・に行ってもらいます。
なお、この署名を行ってもらう段階ではまだ、申請書に施術明細などは記載されていません。
従って、施術明細は患者さんの署名が行われた後に記載されています。


これが実際の接骨院現場で行われている一般的な事務手続きの流れですが、この流れで行うことについては厚生労働省も承知してくれているところです。(→支給申請書に署名をもらうタイミングについて−政府の見解)

ですから、患者さんが受療した月の初めに、白紙の状態にある申請書に署名を求めることは決して間違い(違法またはルール違反)ではありません。

しかし、保険者から患者さん(被保険者)に対しては、先に示したような文書が送られていることも事実です。
また、患者さんのもとに送られてきた文書は保険者からのものですから、ほとんどの場合、患者さんはこの通知を信用します。

すなわち、白紙の申請書に署名を求められた場合、患者さんにすれば、柔道整復師の不正に加担しているように思うケースもあるようです。

このような場合、患者さんに対して口頭で、「保険者からのお知らせは誤っている」と伝えても、患者さんによっては不信を払拭してもらいにくいでしょう。

何よりも、保険者が患者さんに対して行う啓蒙活動に関しては、政府の見解を十分に理解した上でその方法を変えていただくしかなさそうです。
そのためには、柔道整復師の団体が、健康保険組合連合会などに働きかけしてもらう必要があるでしょう。

辻泰弘参議院議員のHP内に、同氏が行った柔道整復師の療養費の不正請求問題に関する質問主意書およびその答弁書が掲載されています。

柔道整復師による療養費の不正請求問題に関する質問主意書(PDF)
柔道整復師による療養費の不正請求問題に関する答弁書(PDF)

申請書への署名に不安を感じているような患者さんに対しては、差し当たりは以上に掲げた文書などを示すなどして理解を求めるようにするのが無難かも知れません。


なお、太郎の個人的な見解ですが、太郎の接骨院で初検時、申請書への署名を拒否された場合は、施術料金の10割額を頂くようにしています。

申請書への署名は言い換えれば、保険者から患者さんが受領すべき(返金してもらうべき)療養費です。
患者さんは、施術料金の一部負担割合に相当する金額(3割など)を柔道整復師に支払っています。
これは、残る7割相当額の受領を、柔道整復師に委任しているからこそ一部負担割合に相当する金額となっているのです。

ですから、申請書への署名を保留する患者さんは、保険給付分の受領を柔道整復師に対する委任を保留していることになります。

よって、太郎の接骨院ではそのことを告げ、署名を拒否する患者さんに対しては署名してもらうまでの間、施術料金の全額(10割額)をお支払い(立て替え)して頂いています。

とはいえ、申請書への署名を拒否された患者さんはこれまでに2人しかおりませんが。

いずれにせよ、当然の事務手続きを行っているのにも関わらず、不正の疑いがかけられかねない保険者の啓蒙活動は、適当な対処方法がないものか考えてしまいます。


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