手の舟状骨骨折では、snuff box(スナッフボックス)に腫脹や圧痛を認めます。

snuff boxは「(解剖学的)かぎタバコ入れ」とも呼ばれる部位で、下図のグレーで示した部分を指します。

snuff box









三方が囲まれたくぼみで、掌側は長母指外転筋(APL)および短母指伸筋(EPB)の停止腱で、背側は長母指伸筋(EPL)の停止腱で、底(深)側は一般に舟状骨か大菱形骨で囲まれています。
なお、近位での境界は、伸筋支帯となります。

snuff boxの境界



冒頭の図に示した肢位で母指を外転・過伸展させると、橈骨茎状突起の遠位に皮膚の陥凹(かんおう)を生じるかと思います。

皮膚の陥凹ができない人は、その肢位から母指を過伸展させたままで、CM(手根中手)関節を少しずつ、ゆっくりと掌背側(または橈尺側)に動かしてみましょう。

そうすると、母指の角度によって、長母指伸筋や短母指伸筋が浮き上がってきます。

浮き上がってきましたか?

短母指伸筋と長母指外転筋は、snuff box掌側の近接した場所を走行しています。
ですから、目では見分けがつきにくいかも知れません。

前述した動作でsnuff box掌側にある短母指伸筋と長母指外転筋を浮き上がらせ、もう一方の手(示指)で触れてみましょう。

そうすると、そこには2本の腱が走行しているのが分かるでしょうか?

そのうち背側にあるのが短母指伸筋で、掌側にあるのが長母指外転筋です。

ところで、タバコには一般に知られている「紙巻タバコ」や「葉巻き」のほか、「かぎタバコ」や「かみタバコ」があります。

かぎタバコは鼻から吸い込むもので、「においを嗅ぐ」という漢字を用いて「嗅ぎタバコ」と書きます。

また、かみタバコは歯で噛むもので、「歯で物を噛む」という漢字を用いて「噛みタバコ」と書きます。

嗅ぎタバコは、米粒くらいの大きさにしたタバコの粉末を、snuff boxに乗せます。
そして、鼻に近づけて片方ずつゆっくりと吸い込んで、その後、母指と示指で数回、鼻を揉んで味わう(?)そうです。

嗅ぎタバコのすい方



このように、嗅ぎタバコをすう際には、snuff boxのくぼみが用いられています。

なお、日本では珍しいですが、今でもこのすい方は普及しているばかりか、2メーカーから7種類の嗅ぎタバコが日本で販売されているようです。

また、「snuff」は、「嗅ぎタバコ」という意味です。


【参考サイト】
嗅ぎタバコのコーナー (Drug Mania.NET内)

【参考文献】
「図説 運動器の機能解剖」
Rene Cailliet 著/荻島秀男 訳
医歯薬出版/第1版第2刷/2001年6月
6,000円+税
「プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論・運動器系」
坂井建雄・松村譲兒 監訳
医学書院/第1版第1刷/2007年1月
12,000円+税



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