骨折学を勉強していると、上肢や下肢の骨はその部位によって、「近位端部」「骨幹部」「遠位端部」のような部分に分けられているのに気がつくでしょう?

例えば、大腿骨の骨折。

骨折学では、大腿骨骨折をまず、「(1)近位端部骨折」「(2)骨幹部骨折」「(3)遠位端部骨折」の3つに分けています。

「(1)近位端部骨折」はさらに、骨頭部骨折、頸部骨折、大転子単独骨折、小転子単独骨折に分けられ、このうち頸部骨折は内側骨折と外側骨折に、そして内側骨折は骨頭下骨折と中間部骨折の2つに、外側骨折は転子間骨折と転子貫通骨折の2つに分けられました。

「(2)骨幹部骨折」では、骨幹部を上・中・下の3つに分けて、上1/3部の骨折(近位骨折)、中1/3部の骨折(中央部骨折)、下1/3部の骨折(遠位骨折)に分類しましたね。

「(3)遠位端部骨折」も、同じように分類がありました。

それでは、「近位端部」と「骨幹部」や、「骨幹部」と「遠位端部」との境目は、どこにあるのでしょうか?

長管骨をその部位によって分類する考え方は、学者(文献)によっても異なるところです。

これまで一般的とされてきたのは、骨の端っこから何cmなどと、具体的な長さを提示して骨幹部との境界を示してきました。

しかし、その考え方であれば、同じ大腿骨でも人によって長さが異なりますから、近位端部や遠位端部の長さは同じであっても、骨幹部の長さに差異が生じてきます。

骨端からの長さが決まっている場合









上の画像は、2本の大腿骨を示したものです。

これらの大腿骨は、長さが異なっています。

大腿骨遠位端部の定義が遠位端(大腿骨の下の端っこ)から何cmと規定されてあるならば、上の画像に示したように、骨の長さに関係なく遠位端部の長さが一定となります。
近位端部も遠位端部と同様に、近位端からの長さで近位端部を定義するならば、骨幹部の長さだけが変化することになります。

そこで、骨の大小に応じて骨端部や骨幹部が変化する分類方法が近年、採用されるようになってきました。

その分類は、AO分類と呼ばれるものです。

AO分類による遠位端部








大腿骨遠位端部を例に考えてみましょう。

(1)
AO分類ではまず、大腿骨遠位(の下の端っこ)に水平線を引きます。

(2)
次いで、大腿骨顆部のもっとも太い部分に縦の線を引きます。
この縦の線は、(1)で引いた水平線に対して直角に引きます。
大腿骨内側上顆のもっとも内側に出っ張っている部分と、大腿骨外側上顆のもっとも外側に出っ張っている部分ですね。

(3)
(1)で引いた水平線は、(2)で引いた2本の縦線で区切られていますね。
(2)で引いた2本の縦線で区切られた長さを一辺として、その長さと同じ縦の辺をもつ正方形を作ります。

この正方形によって囲まれた部分が、大腿骨遠位端部と定義されます。

同じようにして、大腿骨近位端部を囲む正方形を作りましょう。

AO分類による近位端部






(1)
まず、大腿骨近位(の上の端っこ)に水平線を引きます。

(2)
次に、大腿骨頭の内側(画像では右端)に、(1)で引いた水平線に直角になるように縦線を引きます。

(3)
大腿骨近位付近でもっとも外側に出ている部分(大転子付近)に、(1)で引いた水平線に直角になるように縦線を引きます。

(4)
(1)で引いた水平線が、(2)および(3)で引いた縦線によって区切られて、正方形の一辺の長さが示されています。
この一辺の長さを(2)および(3)で引いた縦線にあてがって、大腿骨近位端部を定義する正方形を作ります。

これによって、大腿骨遠位端部と大腿骨近位端部を規定する正方形が示されました。

この2つの正方形に入っていない大腿骨の部分が、大腿骨骨幹部となります。

この方法を用いて、上腕骨、前腕骨、それに下腿骨も分類することができますね。

また前腕骨は、橈骨および尺骨の2つの骨によって求められる近位端部および遠位端部、また、橈骨や尺骨単独で求められる近位端部および遠位端部もそれぞれ規定できます。
これは、下腿骨にも当てはめることが可能です。

なお、冒頭でも触れましたが、長管骨の近位端部、骨幹部および遠位端部の規定はいまだ確立されたものではなく、考え方(理論)によってさまざまであることを申し添えます。

従って、今日のBlogで紹介した考え方は、近年の整形外科において用いられている方法(の一つ)であるものと考えて下さい。


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