繊細RE-VIEW

2010年04月17日

アルバム繊細によせてくださったお声

今、聴きながらメールしてます。(2回目)
まだ全体を1回しか聴いていないので、
ほんの第一印象だけの感想。

おっしゃていた通り、秋から冬の曲が多いですね。
「年の瀬」が哀しくて、私は好きだな。
ピアノの音がすごくいいですね。

「禁煙な仲」は1回聴くと、もう1回聴いてみたいって
思った。楽しい曲。

詩だけ読んで、とっても好きだったのは
「片言」です。
単語をこんな風に並べていくって、想像がいろいろできておもしろい。

アルバムのタイトルが「繊細」というのがわかる気がします。

きっと何回も聴きこむのが絶対にいいと思います。
とても寂しいことを詩っているのだけど、青木君の声が
それを暗くしていないので救われますね。

って、勝手なこと書いてしまったけれど、気にしないでね。
一人一人皆違う感想をもつと思うけど、それに振り回されないで。

けれど、丁寧につくったのだなっというのは
伝わってきますよ。
ゆっくりとでも広めて行きたいという思いは大切にしてくださいね。

私も、あと何回も聴くつもりです。

本当に、ありがとうございました。

(推定40歳代 女性)


あおきさんて作詞、作曲、ボーカル、ピアノを全て一人でやってるの?スゴイね。
その場の風景が見えてくるような詞だね。曲もいい感じ。またゆっくり聞いてみるね。
(40代半ば 女性)


CD聴いたよ。以前より更に洗練されたね。あれだけよくできたCDでも、作った本人にしたら満足感は、できた当日だけで、次の日にはもう次というか、早くもすきま風みたいなものが吹き込んでくるのかもしれないね。 (40代前半 男性)


何回か聴いたけど、前作より聴きやすい感じがしました。普段、男性ボーカルのライブソングはほとんど聴かないし、知ってる人の歌声をCDで聴くのは何だか照れるような複雑な気分ではありましたが・・・。 (40代半ば 男性)


新しいCD聴きました。Mixが素晴らしいねえ。ドラムの音とかすごく良かったです。
(40歳前後 男性)


世界ブルーさんのCDを聞いたよ。アルバムのタイトルどおり繊細な曲だと思うよ。ただ、オヤジには10曲とも同じ歌に聞こえてくるのはナゼ なぜなら(?_?)一人でじっくり聞きたいときとか、気を抜けない書類を書いてる時に流しとくとGoodだね!!
(50代男性)


CDは5年ぶりの大作ということもあり、青木くんの思いがほとばしる熱いアルバムだなぁ・・・と感じました。
20代をも凌ぐパワーを感じたのは私だけでしょうか??? (30代半ば 女性)


うまく表現できなくて、また音楽について素人な__が言うのもなんですが
前回作品とは、通じる部分がありつつも深化した部分があるというように感じました。
滑らかな中に確固とした筋・骨がある、そこが曲のメリハリ感にもつながっているように思いました。
作詞・作曲をこなされた青木君の意図・想いとは違うかもしれませんが...
一感想としてとらえていただければと思います。
(30代半ば 男性)


私はこのところまた久しぶりに真人君のFrom here onをきいてるよ。数年ぶりにきいてまた別の趣があるというのかな。
前は共感しがたいなと思った部分も今は耳に馴染むというか。5年という歳月を経て、繊細をきいて、ワインみたいに熟成して飲み頃になったっていうのかな(笑)。
(30代半ば 女性)


『繊細』は聴きかけている途中ですが、一曲目から好きな単語がいっぱいでてきて(笑)「はちみつぱい」とか
素敵ですね〜♪
(略)
未だに思春期の影と青い春を引きずる私です。
CD大切に、聴きます。
(20代前半 女性)


弾き語りとはまた違う魅力、爆発してましたね。
と、いってもバンドアレンジでも、やっぱり、世界ブルーさんの世界観は色濃いなぁと
想いながら拝聴致しました。
(推定 30代半ば 女性)


本日ついさきほど『繊細』が届きました。
Amazon経由だったのですが、配送まで思いのほか時間がかかったようで、やっと入手し
ました。
いまは仕事中ですので職場に飾ってあります。
夜、一段落したら、大音量でじっくり聴かせていただきます。
やわらかでありながらインパクトのあるジャケットが、さきほどから訪問学生の目を引
いております(笑)
(推定 30代後半 男性)


CD聞いてるよ。あおきくんだな〜。という感じです。
聞き終わった後に、そこに青木君がいるような、感じがします。
あおきくんの体温というか、匂いというか。
選び出す言葉が、まさにって感じ。躊躇せずに歌ってしまうところに、凄さを感じます。
あと、よかったのは、帯のコメントが、父っていいね。
デモっぽいミックスが、より成功してる。大切に作った。 いいアルバムです。

ナカニシタカアキさんよりお言葉を頂きました。

sekai_prune at 11:53|PermalinkComments(0)

2010年01月04日

繊細アルバムジャケット回想録 その4

masato2s

アルバム『繊細』のデザイン依頼。いきさつを読み取れるメールのやりとりを見つけた。完成盤を見るにつけ、やりとり当初からすでに二人のイメージが出来上がっていたということを今更ながら気付かされた。問題ないかと思うので掲載させて頂きます。以下。


素敵だね。デッサンってとこが。思わずやってみたくなるよ。ウエブより断然そっちのほうが興味ある。顔の表情だけじゃなくて、真人君がしゃがんでる所だったり、何かを覗き込んでいるところだったり、真っ白い空間に一人ぽつねんと立っているちょっと頼りな気な後ろ姿だったり…。全身像で描いてみたいシーンが頭に浮かぶよ。ウエブよりこっちをメインにすすめていいかな。

ただ私、モデルがないと絵がかけないんだよね。ポーズはもちろん、洋服も細かい所は修正できるけど、大まかなところはアドリブ利かせられません。どこかに行ってモデルにできる写真を撮ってきてくれてもいいし、過去の写真で好きなものを選んでくれてもいいし。真人君らしい素朴さ、やさしさ、飾らない自然な姿がでればいいなと。

みき



あおき まさと wrote:

どうも。

実は、CDジャケットはまだ誰にも頼んでません。
これっていう、頼める人がいないんで。

で、まずは、素材だけでもということで、9月10月に友人に高画像で日中写真をパシャパシャ撮って貰う予定。ただそれが使えるかどうかはわからないのだな。かといって、カメラマンに頼む、というのも違う気がしてて、ありきたりになるなーと感じてる。

で、二日、三日前に思いついた案なのだけど。
これは、まぁ、これまた結局ジャケットをみきに頼むことになってしまう訳だけど。

撮った写真の中から、こちらで選んだ表情とか格好とかを参考にしてもらって、曲毎(ページ毎)に挿絵をつけてもらう感じで、鉛筆(?)みたいなやわらかなタッチでデッサンで僕の姿を描くのはどうだろうか?(表情とかだけ参考にして貰って、格好や服装、背景は自由に描いて貰うのもよい)と思ったのでした。そうすることで、その線画そのものが「繊細」のイメージと重なり合うような気がしたのよ。

どう?

って、そのジャケ案が通るか通らないかは別として、なので、今頼んでいるウェブページ「女性達による〜」のビジュアルイメージは、まったくまっさらない状態です。統一どころか何もないゼロゼロです。

全然参考にならんかったね。ごめん。

こちらでいろんなホームページを見て、このページのこんな感じ!って伝えた方がよい?
あとは、現時点での音源を10曲mp3で載せた方がいいかな?

一応、「女性達による〜」は繊細との関連ページではあるけれど、アルバム繊細との直接的な位置づけではないので、「女性達による〜」でひとつの独立した世界が作られてもいいかな、と思ってたのだ。

たとえば、みきがオーケーであれば、繊細にかかわるすべて

---今回頼んでいる「女性達による一描写」
---「アルバムジャケットデザイン」
---「繊細ウェブ(=アルバムとの直接的な位置づけのページ)」
---あとはチラシデザインとか。かな。

まぁ、値段設定は結構気分とその時の僕の時給に比例してて(笑)、やってくれる人が楽しんでやってくれるぎりぎりのとこを狙ってます(笑)

うぅ〜んと全然、答えになってないなぁ。
「できたらすべてお願い!」が答えよ。トータルなイメージも統一感でるし、やりとりもみきとだけで「繊細」は完結できるのがいい。どうでしょ?

ただ、アルバムジャケットイメージはそれはそれで、お願いすると思うのよ。一応、A-HAっていうブリティッシュポップ男声グループの80年代のMTVで話題になった一曲があって、それが、デッサンを動かしてるのね。そんな線画が現時点でのイメージです。ウェブではそれをゆるく動かして貰おう、とか。まぁ、「女性達による一描写」においては、それと統一感と考えるとあおき、煮詰まるなぁ〜。フォントも色合いもまったく別モノとして作業して貰えたら、と思いますが、いかがでしょうか?

結構、全面的に投げかけちゃってすまない!

また、なんでもメールください。

とりあえず、こちらは近日中に音源mp3をアップしてお知らせします!

あおきまさと


>From:
>To: あおき まさと
>Subject: RE: ウエブの件
>Date: Sat, 18 Aug 2007 05:37:17 +0900 (JST)
>
>真人君
> 最近、こちらでは嵐が続き、停電になることも度々。そのせいか、インターネットのコネクションがダウンし、しばらくメールできませんでした。すまんね。
>
> >>7/15付けでホットメールの方に送った僕のスケッチはあんまし参考にならなかったか
>
> いや、真人君のスケッチは役立ってるよ。どういうアニメーションのストーリー展開にしたいのか大体わかった。ただ私が言いたかったのはどんな『ビジュアル的イメージ』にしたいかということ。真人君はジャケットのデザインを誰かに頼んでるよね。そのCDのウエブだから、イメージは当然ある程度統一させたいでしょ。もしそのデザインを見せてもらえたら(もしくはどんなフォントや色合いなのか教えてくれたら)、イメージ掴みやすいんだけど。
>
> 大きさはフラッシュでアニメーションを作る時の容量とサイズの両方です。最近ブロードバンドでダウンロードする時のスビードも早くなっていると思うのであまりサイズの心配はしなくてもいいのかもしれないけど。そこんとこ私もあまり詳しくないからな。真人君がサイズ等にあまりこだわりがないみたいなので、私もちょっと調べてみて、適当の大きさに決めるよ。
>
> みき
>

>あおき まさと wrote:

> こんにちは! おぉ! 待ってました、ご返答。嬉しい限りだよ。
>サイズというのは、、、ファイルの容量のことだろうか? それとも表示されるウィンドウの大きさのことかな?
>ファイルの容量に関しては、今、サーバにあるファイルの容量をプリントスクリーンで表示してみました。ご参考までに(見当違いなこと言ってるかも。だったらごめん)
>表示される大きさは20cm×20cmくらい? あんまし決めてない。。。
>
>7/15付けでホットメールの方に送った僕のスケッチはあんまし参考にならなかったかな?(笑)
>ごめんよ、絵が下手で。一応送られてないかもしれないから、後ほど、こっちのアドレスに再送するね。
>
>そのスケッチ以上のイメージとなると、なかなか思い浮かばないのだよ。。
>
>さてさて、こちらは暑いです。ほんっとに。
>とかなんとかいって、花火大会やら長野の方へ小旅行したりで楽しんでるよ。
>昨日今日はようやく土日部屋で録音作業。来週もかな。
>平日作業はなかなかまとまった時間がなくて厳しい。
>たった16小節とかでオーケーテイクまでいきつくのに3,4時間かかっちゃったり。
>まぁ、でもひとつひとつ積み上げてます。
>
>部屋も結構涼しい感じでっす。
>仕事はきついです。。(泣)
>そぉ〜んな、感じ。
>なので、今やれること全力でこつこつでもやっておかなくちゃって思ういつもいつも頃(今日この頃)
>
>近況ふまえてみました。
>
>ではまたね。
>
>まさと

sekai_prune at 21:21|PermalinkComments(0)

2009年12月18日

繊細アルバムジャケット回想録 その3

masato4s絵というのは不思議です。写真の方がより現実の姿を映しているはずなのに、絵の方が動きが与えられているんです。そこには描く人の魂が込められているのでしょう。音もそうなんですね。音像、耳を通して聴いて頂いて、どんな価値観を巡らせて貰えるか、感性を刺激し得るか、映像を眺めて貰えるか、という楽しみがあります。そう。音もやはり動きがあるんです。その動きは単に見た目ではなく、思考や哲学、感覚といった所謂人間の細胞の動きです。

『繊細』そのアルバムタイトルは既に2000年には決まっていました。どことなく和であり、メロディアスであることは言うまでもないんですが、個人の心であり、青年の感性がテーマだったように思います。当時25歳前後の頃は、僕の中にある「中性」であるというメンタリティーを希少なものとして取り扱っており、そんなメンタリティーをコンセプチュアルな作品として作りたかったのかもしれません。それは「片言」に代表されるような歌詞に遊び心がありつつも、どことなく「ふわっ」とした産毛のような柔らかい品性が散りばめられた形を理想としました。「禁煙な仲」にしても「空飛ぶ回転木馬」にしても主人公は青年です。

そう。青年像。青春。そのものを描いたのが『繊細』です。「あのコ」で見られるような、好きな女の子に声をかけることもできず遠くから見ている青年は心許なく、「サヨナラはいつも雨」でも遠い眼差しが感じられます。

音像を言葉にすることは困難ですが、音に加えて絵があることで、言葉で説明する必要はなくなってくるのではないか?と感じます。音を聴いて、そしてイラストを眺めて『繊細』という感覚が伝わればよいのです。そこから初めて派生して青春時代を振り返るのもよいでしょうし、主人公の心や姿を観察するのもよいでしょう。彼の「うぶ」さ加減、孤独感、肌に刺さる寒さと求める熱さ。場面場面で気温、そして体温が異なる。そんな涼しさ、寒さ、あったかさもイラストの力を借りることでより明確になってくるのです。

「動き」があるということは「生きている」ということなのです。

sekai_prune at 00:00|PermalinkComments(0)

2009年12月03日

繊細アルバムジャケット回想録 その2

masato1s「あくが強い」
今作『繊細』は僕としては今後の世界ブルー作品全体からみても最もサッパリしたものだと思う。でも確かに癖がある歌声だ。

以前にも触れたかもしれない。「あのコ」のヴォーカル・レコーディングの時、ミキシングルームでは成田さんと東芝のエンジニアの方が笑っているではないか。「木枯らし」でもそうだった。僕は真剣、真顔、真面目である。レコーディング・ルームから出ると、まだ成田さん達は笑っている。「あおき君、濃いよぉ〜。」

『from here on』では前に住んでいた僕の部屋で録った。全体としてこんもりとしているのは、真空管のプリアンプを通している点と、マイクに程近く歌っているからだ。今回は成田さんのアドヴァイスで随分マイクから遠ざかって歌った。だから、少しはあくは抜けるだろうし、僕としては「さっぱりしすぎちゃうんではないか?」なんて心配していた。だって、できれば息遣い(漏れる息)も音像の中に含ませたかったからだ。

そんな心配とは裏腹に、完成された盤を聴く限りヴォーカルには適度に「生感」があって喜ばしい。さすが成田さんである。

今日、Mikiからメールが来た。無事CDが届いたらしい。自身の携わったジャケットを見て、自身のイメージと出来上がりを比較採点していた。その評価は随分と厳しいものだった。いいプロ根性している。やはり彼女に頼んでよかった。彼女は海外に住んでいる。メールだけのやりとりで随分と煩わせてしまったかと思う。また、印刷業者からの最終校正を確認するのは僕であり、僕は誤植がないか、とか、僕のイメージするところで神経質に確認はしていたが、彼女の視点はたぶんもっと厳しかったのだろう。色合いや文字の太さなどなど、僕が音に関して神経質になるのと同様に、そんな彼女の採点は創り手側の僕としては嬉しい「漏らし」である。

完成して初めて「もっとこうしたい」という部分は誰だってあるはずだ。でもそれは完成しないと分からなかったりもする。『from here on』の収録曲の中で、たとえばうちの親父がタンを吐く音が入っているが、そういうのは僕はミステイクだとは思ったが、ボーカルテイクがよかったためにやむを得ずそのテイクを使った。でも誰もそこを指摘する人なんていない。逆に「忘れない」なんかは敢えてブレスの位置を細かく切って歌ってみた訳だけど、それについてラジオ番組でヴォイストレーナーの方が「ブレスの位置がぁ」などとおっしゃっていた。こだわり=ミスと捉われてしまうことだってある。

何が完成で何が間違えなのか。そういうのはきっと創り手と受け手でまったく異なるのだ。受け手だってその人その人によって感想は違うだろう。

「あくが強い」今作についても「いい声だねぇ〜」とおっしゃってくださる方々がいるのだから、その存在、それは音にしろジャケットにしろ、創り手の込めた存在性がしっかりと魅力を放っていればよいのだと思う。アルバム『繊細』はそういう作品である。

sekai_prune at 15:38|PermalinkComments(0)

2009年11月12日

繊細アルバムジャケット回想録

SensaiCover“今作『繊細』のプロジェクトは2005年の8月から始まったと記憶しています。その時は僕はイノウエさんに突然連絡して、成田さんにも連絡して。それまでイノウエさんとは個人的に話したことはそれほどなかった。でも、随分前に『21世紀クラシクスprepared...』という作品を受け取って貰って聴いてくれた時にイノウエさんから好い反応を頂けたことを思い出して思い切って電話してみたんですね。それが2005年8月下旬です。今思えばあの時声をかけさせて貰ってよかったな、って。つくづく思います。”

“今回ジャケットを担当してくれたMiki Ozaki。彼女には2006年1月にアルバム『繊細』の写真撮影を頼みました。それは結果的には[あったかいもの もとめてる](全10回)という写真と言葉のギャラリーがシリーズ化されるに至った初めての撮影でした。そして、それら全10回の撮影画像が主な素材となって、歌詞カードに掲載されているイラストは構成されています。当初はMikiには撮影をお願いしただけだったけれども、結果としてアルバムのジャケットデザインをもお願いする形となった。言いかえれば、アルバムジャケットのデザインはMikiとのあの雪降る日、阿佐ヶ谷から始まったんです。担々麺を食べたあの日から。”

“ジャケットの表紙の僕の横顔は、その阿佐ヶ谷での撮影のもの。手には鯛焼きを持っているんです。これは確か僕が実家から貰ったものを撮影用に持参したものです。阿佐ヶ谷駅の南口のロータリーのベンチに座って。よりによって雪の降る日に。でもそれがよかったのかな、なんて思ってますよ。だって、このアルバムはどちらかというと秋から冬というイメージが強く映るはずだから。侘びしさも含みつつ、澄んだ瞳で空を眺めている姿。表紙にふさわしいなって。Mikiがこれを選んでくれたのは、作品の姿勢や世界ブルーに対する姿勢を彼女が理解してくれているからだと強く感じます。”

sekai_prune at 01:32|PermalinkComments(0)

2009年03月13日

サヨナラはいつも雨

---credit---

vocal & chorus, piano, keyboards by あおきまさと
bass by イノウエタカヒト
drums by みちる
guitar by 成田浩一郎

---data---

1993 - 1995 title & lyrics, music
2000 demo
20070214 新宿 LIVE『たかのや』 初演


---self comments---


“若い曲を今の自分、まぁ、今も若いですが、でも曲が生まれてからもう15年以上経つ訳でしょう? 歌ってると「あぁ、当時はこういう感覚だったんだぁ。」って新鮮だったり、逆に歌いこむほど「深い!」って10代の自分の感性に恐ろしさを感じた一曲ですね。”


“ドラムがスカッとしていていいですよね。このテイク、すんなりとレコーディング完了したと記憶してます。音もリズムもはまっていて心地好いです。ベースは一か所音が抜けてしまったところがあったけど、でも、それがまた意外性がありますね。ピアノはベーゼンドルファー。偶然ですが、9曲の「年の瀬」から続いてラストソングも同じピアノなんですが、こちらはカラッと演奏されていてベーゼンの響きが活かされてますね。”


“2番のAメロで空間があるでしょう? あれは空をイメージしたものです。雨上がりの空ってなんだか高いでしょ? 空間が広いっていうか。そういうのを音でイメージするとああなります。それは『朝』の「境地」や『from here on』の「通り雨」でも同じ手法をとっていますね。音が抜けることで情景が広くなるんですよね。不思議ですよね。”


“この曲を最後に持ってきた理由。一曲目かラストかのどちらかにしようって決めていたんですよ。それほどこのアルバムのコンセプトを決定づける曲だったんですね。「10代の初心(うぶ)な感性」が伝わってきますからね。それにストレートというか純粋な気持ちで作られているシンプルな曲ですし。ラストに持ってきたのはやはりお約束というか。タイトルに「サヨナラ」がついているし。それに聴き終わった後、レコードでいえば針が上がって、また最初から聴きたくなる、そんな「聴き終わってからのすっきり感」がこの曲にはあるから。すべてをリセットしてくれて新しいすがすがしい気持ちになる。そんな存在かと思います。”


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

試聴:http://sekaiblue.com/dis/sensai/index.html

sekai_prune at 20:00|PermalinkComments(0)

2009年03月06日

サヨナラはいつも雨

アルバムの最後を飾る「サヨナラはいつも雨」。前作『from here on』の最後の収録曲「忘れない」でもそうだったが、最後には「別れ」を意識した選曲となっているのは作者の意向を感じることができる。9曲目の「年の瀬」が延々と7分以上もの大曲でディープなリフレインが繰り返された後だけあって、最後はカラッと爽やかに終わる、というのもリスナーにとっては有難いのではないか?と私は思う。後味すっきり、といったところだろう。それは「ポップス」に対する作者の解釈に他ならない。

アルバム10曲の中で一番早く書きあげられているという点も興味深い。「二十歳前後の若者は〜♪」と歌っている「あのコ」は作者が24,5歳の時の作品であり、他も大体そのくらいに書き上げられているが、「サヨナラ〜」は随分前の作者19〜21歳の間の作品である。一度、作者の年齢に則して整理してみよう。

1993年〜1995年(19〜20歳) サヨナラはいつも雨(生曲は19歳と推定。作詞は20歳)
1996年(21歳) 木枯らし(作詞完成1997年)
1997年(22歳) 空飛ぶ回転木馬
1998年(23,4歳) 片言、爪跡、年の瀬
1999年(24,5歳) あのコ、表参道

買い物袋と禁煙な仲は1998〜1999年(23〜5歳)。

こく並べてみるとアルバム収録曲はすべて20世紀に生まれた曲ということになる。その中でも「サヨナラはいつも雨」は若い曲となる。歌詞も若い訳だが、それを今のサウンドで奏で、今の声で歌うことでぐぐっときてしまうのは、夢想的な10代の作品をリアルに今を生きている「あおきまさと」が歌うからこそ、その時間軸と感性の軸のズレによるものだろう。ズレがブレとなってその差がなんとも言えない味わいなのだ。

時代を感じさせるのは曲からも歌詞からも、である。曲は80’s。作者がいの一番にこの曲を『繊細』に入れた、というよりも、この曲こそがアルバムのコンセプトなのである。作者の1998、1999年時のメモには既にこの曲が『繊細』というアルバムに収録とリストに謳ってあるから驚きである。つまり、コンセプトがすでに10年前から決まっていたのだ。他にも「空飛ぶ〜」「木枯らし」「片言」「あのコ」も繊細というコンセプトにリストアップされていたことを申し添えよう。どこか懐かしい気分になるメロディーと風景、がこの『繊細』かもしれない。

歌詞からは「留守番電話のテープレコーダー」なんかは時代を感じることができる。「したり顔」や「泣き笑い」「頬を伝う一粒の滴」「ラストダンス一人きりのピエロが」などなど10代だからこその歌詞、頭で考えて練った感があるが、若さゆえんで許せてしまう愛嬌がある。されども「それ以上に悲しみがこみ上げる」「君の横顔さえも見れない」などストレートな言葉は好印象を与えている。


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

試聴:http://sekaiblue.com/dis/sensai/index.html

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2009年02月20日

表参道

---credit---

vocal & piano, keyboards by あおきまさと
bass by イノウエタカヒト
drums by みちる
guitar by 成田浩一郎

---data---

199912 title & lyrics, music
2000 demo
20051223 下井草 『Billy's Bar Gold Star』 初演


---self comments---

“燃えるんですよ。声を張り上げるっていうよりも、遠くの夜空にね。遠くに飛ばすようにね。サビにくると自然に声が出てくる不思議なフレーズですかね。”


“前奏、もしくは間奏を弾いている最中にね、その情景が蘇ってくるんですね。で、ぼーっとしてしまうんです。入り込んでしまう。そうすると決まって歌詞がぶっとんでしまいまして。1番の出だし「話し相手がいないのは寂しい」、2番の出だしの「街はひっそり心もちょっぴり」は鬼門ですね。え? 使い方間違ってる?”


“バンドに加えてストリングスとオルガン、ラストにも別の音色のストリングスを添えました。音量に関しては僕が理想と思えるビートルズの「Something」のあの控えめなストリングス。そんな感覚で添えたいと思っていて、説明もしていないのにミックス時に成田さんが控え目に遠くで奏でられているように調整してくれて嬉しいです。”


“間奏のドラミング。みちるさんが素晴らしいフレーズを奏でてくれています。僕の注文は単に「朴訥」でした。その意味を理解してくれていると実感できます。音色といい叩くフレーズといい完璧ですね。これ以上のフレーズはないでしょう。さらにラストの盛り上がりについてもよく練ってくれていて感謝です。”


“イノウエさんとはベースとピアノボーカルだけでライブしたことがあって、そこで随分フレーズを練り直してくれたことを覚えています。後にライブメンバーにドラムが加わったことにより、音数を十二分に省き楽曲そのものに燻し銀な要素を与えてくれています。この曲でも最後のサビのリフレインでようやく見せどころを出しています。我慢強いプレイの中に凄味や個性を出しているなと感じます。”


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

試聴:http://sekaiblue.com/dis/sensai/index.html

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2009年02月13日

表参道

終電を逃した作者は、ライブ終了後のライブハウスで居座ることも手持無沙汰であり、かといって、他の店に入る懐の余裕もない。始発列車までの数時間延々と渋谷と表参道を往復しているうちに心の奥底から「寒い!」と感じ生まれてきたのがこの表参道である。

曲が生まれだしたのは渋谷駅あたり。あとは降って湧いてきたのを皮切りにあとは、歌詞を必死にメモ帳に残す。メロディーはその日は録音機を忍ばせていなかったと推測する。作者は懸命に歌詞を書くことでメロディーを覚えることに努めたようだ。歌詞の中に出てくる「屋台のおでんでもラーメンでも」というのは渋谷駅周辺の屋台かと思われる。

「街はひっそり こころもちょっぴり」
「通りがかる人の目はみんな寂しげで」

つまり。この曲に出てくる言葉、そしてメロディーはすべてリアルタイムでの実話そのものなのである。だからこそ、作者自身が歌うこの曲にはリアリティーがあり、「なぜだかわからない説得力」が十分伝わってくるのも頷けるのだ。



(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

試聴:http://sekaiblue.com/dis/sensai/index.html

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2009年02月06日

表参道

この曲は1999年の冬に書き上げられた。他に「あのコ」「禁煙な仲」もこの年の秋から冬かけて生まれたものと推測する。その前年度において「白熱灯と君」「爪跡」「年の瀬」「君が空を泳いでゆく」「クリーム&シロップ」「空が青いのは」など作者自身が”21世紀クラシクス”(※多くの方々が”21世紀クライシス”と呼ぶが実際はクラシクスである。)と呼ぶ楽曲群を生み出したのに対して、1999年度はより精神的な世界、民族楽器の似合うプリミティブな楽曲群、メロディーが抽出されより洗練された楽曲群、沖縄への作曲の旅から生まれた解放的な曲が多数生み出されている。そんな中1999年の秋から冬にかけてはどちらかというと耳に馴染む曲が生まれている(当アルバム収録の1999年組に加え「Red Blue Pink Yellow」「Identified Myself」「Tiredness」など)。

さて、かといって、当曲「表参道」だが、果たしてEasy Listeningか? ということである。ポップスであることは疑いはない。だが、さらっと流せない曲の中に入り込ませてしまう力がこの曲にはある。その理由を解説させて頂こう。

1999年といえば作家はある意味それまでの人生のレールから自ら外れることを選んだ年である。ひとことでいえば精神的にはストイックであり、一方で恵まれた環境に属していた。自由であることに対してもそれは甘えに均しくかつジレンマやプレッシャーを感じていたに違いない。創作面でも当時一番力を入れていた活動”大御所”の夢は断たれようとしていたし(実際はそこから努力をし続けるかどうかであるが、当事者にとってはどうすれば分からないものである)、自身の創作も『おしっこのわな』『新入社員の呟き下半期』『はいから三寸気分』を発表したものの、それ以上の「イメージする世界=音像」を具現化できないもどかしさを感じていた。

そんな日々を送っている中でとあるライブを見に出かける(実際そのライブの合間、大御所の相方吉田よりオーディション合格の連絡を突如受けたという事実があり、その後しばらく大御所の活動も継投されていった)。



つづく


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

試聴:http://sekaiblue.com/dis/sensai/index.html

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2009年01月30日

爪跡

9b1287fd.jpg「プロヴァンス風。三人でスタジオで演奏していてそう感じました。別にプロヴァンスって何? しかも「風」って何? って思うでしょ? でも、そもそも音楽は気分ですからね。「80年代っぽくない? これ」とかさ。そういう「みたいな」「ぽい」「らしい」っていう曖昧な言葉って音楽にとっては絶対必要かと思います。断定的な言葉にあてはめるのは音楽は死んでしまいます。だから、いい加減なことを言っているようでいても、「それらしく」聞こえちゃってそこで気持ちがよければいいんですよ。で、この曲に戻るとね。僕はこの曲に「プロヴァンス風」っていう気分を持ち込むことで軽やかにお洒落に弾きたいって思えるし、ふわっと自由にのびやかに歌いたいって思えるんですねー。不思議ですねー。言葉って。音楽って。」

「この曲の歌入れの前日はね。働いていた職場でテレアポでもないのに、50件以上も問い合わせの電話が僕オンリーに飛び込んできたんですよ。もう声が掠れてしまったし、喉使い切った感じですよ。コンディションを整えていても突然問題(事件)は起こるもんなんですね。勿論次の日の歌入れ本番ではくたくたで。でも、本番って一回しかないんですよ。そこで決めないと次はないのね。「禁煙な仲」が思った以上にうまく歌えた。その後「爪跡」は、、、納得はいかなかったけど、でも、その分声を張り上げた。それがイメージしていたのとは違う「爪跡」になって、そういうものも呑みこんでできたものが作品だよな、と。僕も少しは大人になったものです。」

「人とやると面白いのは変化すること。凝り固まったイメージを打破できるんですね。この曲でもそう。間奏は原曲の半分のサイズに。そこで曲がスリムになって展開も早く「通り過ぎる感」が増したように思います。成田さんのギターフレーズも僕が用意していたものとはまったく異なるもの。それがまたよい。より南国リゾート。より高級なクラスのホテルに泊まって、ホテル専用のビーチでフルーツカクテル飲んでる感じ? 結果的にこの音源。いつか余裕ができたら取り直したいとかひそかに感じていたんですけど、なんだか、どうしてもまた聴きたくなる一曲として僕の中で喜びの曲になりました。」

「録音当日までピアノフレーズはかたまっていなかった。なんせ、一日で8曲も録ることにしちゃったんですよ。6時間で8曲だったかな? その間レコーディング機材のセッティングに計2,3時間かかる訳ですよね。というのもこの日は、「あのコ」「空飛ぶ回転木馬」「木枯らし」「表参道」はスタインウェイのフルコン。「買い物袋」「禁煙な仲」「片言」「爪跡」はヤマハのフルコン。結構贅沢なスペースを借りることにしたんですね。「爪跡」はかたまってなかったので最後に回したんですが、時間が差し迫ってぎりぎりなんとか録れるような、、、といった感じで勢いで録ったものです。焦ってます、本人。焦ればミスるし。その焦った感はもともとこのバージョンに求めていたものでよかったんですが、ちょっと後半の右手が堅いかな。もっと軽やかに。まぁ、そこまで行きつくには僕はあと何千回も弾かないと到達しないでしょうね。つまり、ライブたくさんやれってことかとは思うんですが、笑」


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

試聴:http://sekaiblue.com/dis/sensai/index.html

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2009年01月16日

爪跡

---credit---
vocal & piano by あおきまさと
bass by イノウエタカヒト
drums by みちる
guitar by 成田浩一郎

---data---
1998 original version title & lyrics, music
2000 original version demo
2005 繊細version demo


2006.06.11 初演(水道橋 東京倶楽部)

2006.05.28 一発録り
2006.07.22 Drums & Bass
2006.07.30 Piano
2006.12.03 8曲Rough Mixing
2006.12.29 Vocal
2007.03.11 Bass
2007.08.20 Chorus
2008.08 Guitar
2008.09 Guitar & Mixing, Mastering


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

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2009年01月09日

爪跡

まず断っておこう。この曲のタイトルは「爪痕」ではなく「爪跡」であるということを。君と経て来た逢瀬、愛しさの瞬間、一つ一つの甘い顔、泣いた顔、温もり、、、そう、君との思い出であり、記憶だ。抱擁のすべてである。

「抱き合うとほら、時の流れがギューっと迫ってきて、悲しくなるじゃないですか。永遠とか一瞬とか。いつまでもこのままでいたいとか。」

作者曰く、初体験の心地好さから生まれた曲。三拍子のメランコリンなバラードであるオリジナルバージョンは曲の中に空気感を沢山含んだ名曲であるが、こちら繊細versionはセルフカバーだけあって自由に編まれた曲だ。エネルギッシュである分、シンプルに分かり易く小節数も削ぎ落とされている。

勿論、リスナーの皆さんにとっては、オリジナルヴァージョンはまだ発表されていないのでこの繊細versionの方をまず耳にすることになる。これも作者の意図のようだ。当アルバムに収録されている「年の瀬」もそうだが、一般リスナーにとってオリジナルは拍子を掴みづらいパターンのようであることをライブを通して発見した作者。このアルバムの収録曲はあくまでも分かり易いジャパニーズポップス(&バラード)で埋め尽くしたいという想いから「爪跡」も「年の瀬」も四拍子で展開も癖なくさらっと編んだようである。

さて演奏面だが前のめりのボーカルとピアノはまさに男女が瞬間を惜しんで抱き合う姿そのものであり「時間に対しての有限性、終わりへ向けての焦燥感」を味わって欲しい。後からずっこけるように引っ張られるようについてくるベースがまた曲に親しみを与えつつもどこかクールに感じるのは何故だろう。ピアノフレーズに連動してドラムが付けるアクセントが心地良い。特に拍の裏で合わさる箇所は感情がリズムとして成立している好例である。間奏のギターフレーズなんかはオーシャンリゾート。素晴らしい。

あおきまさとがニヤニヤする。「プロヴァンス風(笑)」 それはきっと軽やかな遊び心に他ならない。

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2008年12月26日

年の瀬

9b1287fd.jpg---credit---

vocal & piano, bass by あおきまさと
drums by 福井淳


---data---

199811-12 title & lyrics, music
2000 demo
20051223 下井草 『Billy's Bar Gold Star』 繊細version初演


---self comments---

“みちるさんもイノウエさんもこの曲はピアノボーカルでいいんじゃないか、とおっしゃるのね。確かにそれにふさわしい曲であるとは思った。一曲くらいピアノ弾き語りがあってもいい。でも僕の中ではバンドサウンドとしての「聴き易く」を目指したかったのね。だからドラムもベースも必要だったんです。”


“2006年の1月か2月だったか、イノウエさんと二人でこの曲を演った。その時に涙を流してくれた人がいた。原曲も好きだけど、こっちはじわじわと伝わってくるって言う人もいた。勿論原曲の方が好きって人もいた。計算高いと言われてしまえばそれまでだけど、目論見通りだった。『繊細』は日本人のためのポップスを創りたいという気持ちが強かったし、エゴよりもポップスであることを第一に考えてtotal directionしたアルバム。このバージョンの収録の意味はとても大きいんです。”


“2007年12月初旬にイノウエさんに催促したんですよ。「そろそろベースレコやりましょうよ」って(笑) 9月にはすでにドラムが録り終わっていたし。。。そしたら「指が、、、」と。。。ベースを弾けない状態であることが分かり途方に暮れたと同時に一瞬にして引き締まってしまいました。そう。2007年12月はもう「年の瀬」ベースフレーズにかかりっきりでしたね。

『from here on』では「どうだ?」っていう「こういうフレーズ君らは生み出せるかい?」っていう才能を魅せつける感じのベースラインだったかと思うんです。「Love Me Yes!」しかり「Summer Day」「白熱灯と君」。特に「Ever Lasting」なんて有り得ないフレーズでしょ?

でも『繊細』はね。totalの中の一曲。一曲の中の一つの楽器という役割。あくまでも曲のためのベース。いかに音数を少なく動かないように単調にしつつ曲全体が引き立つか、を考えて弾いたつもりですが、、、どうでしょう? 笑”


“とあるスタジオで4時間とったんですよ。1曲目が「サヨナラはいつも雨」。そして「年の瀬」やる頃にはもうあと1時間くらいしかなくてね。焦ったな。というのも、、、ラストのフレーズは最後の最後まで固まってなかったから。しかも、ピアノはベーゼンドルファー。スタインウェイで弾くつもりで練習していたし。全然鳴りが違うでしょ? もう曲の後半は動く指にお任せの緊張感たっぷりのフレーズです!”


“ベースは年末に録音したんですよ。燃えましたね。録音中僕の指の抑えのせいで音程が不安定に上がってしまうんですよ。成田さんに2弦だけグイっと下げてもらいましてね。いいのかなって思いましたが、録り終えてみるとやはり2弦だけが低いんですよ(苦笑) 年末年始は落ち込みました。恨み節ですよ。何度聞き返しても特に2番に違和感が。最後に至ってはボーカルのテンションが高い割にはベースの音程のせいで盛り上がらないし。centを上げると1,3,4弦が上がってしまうので致命傷。最終的には後半のみ1centだけ上げてもらってなんとか収まりました。収まらなかったら、、、お正月に「年の瀬」の録音なんてやりたくなかったんでほっとしてます。

人と関わるとこういうアクシデントがあって、でもそういうところからまた新たな魅力が生まれるのかな、なんて思ったりもします。”


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

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2008年12月19日

年の瀬

ce2029db.jpg「年の瀬」。作者が「この曲が生まれたことで創作人生に身を投じることを決意した」と言わしめる程のものであり、単に「聴き易い」だけでは終わっていない。

その1つがtempo clickの作成である。作者の創作生活の初期には(例えば「雨遊び-組曲」にみられたように)tempoは可変であることが当然であったが、前作『from here on』では主にclick録音。かろうじて「空が青いのは」がピアノ生演奏に音を加えているがそれ以外の10曲は、すべてclickに合わせての録音であり、当アルバムも10曲中9曲(「空飛ぶ回転木馬」「表参道」の前奏を除き)がclickに合わせに合わせリズム隊のtakeを録り、それをもとにピアノやvocalがかぶせられている。

が、この「年の瀬」。clickそのものが生演奏を何度も繰り返して得られたtempo感(他曲も同様に生演奏を飽きる程繰り返された揚句に初めてkeyとtempoが決定されている。そこに数か月も費やす世界ブルーはおバカかもしれない)から作成されている。そう1番よりも2番が速くなりAメロよりもBメロが速くなってしかるべきなのである。「コピー&ペースト」で制作されている市場音楽に辟易している作者が敢えて最後のBacking Track曲として残った「年の瀬」で可変click作成の上でのオーバーダブにトライしたのは当然の成り行きかもしれない。

ドラムには福井淳、ベースにはあおき自身という演奏者も他曲とは異なる。ピアノ→ドラム→ベース&ボーカル(同日)という進行に限っては日程や関わり合い方など制約の中ギリギリの線でやってのけた粗技であることは否めない。それでも世界ブルーがソロプロジェクトであることの証明とでもいおうかアクの強いピアノ、ボーカルが主導権を握りつつも形としてしっかりと収まっているのが面白い。



(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

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2008年12月12日

年の瀬

ce2029db.jpgこのアルバム『繊細』はどちらかというと秋、冬のアルバムという趣があるが、それは季節感のあるタイトルや歌詞によるものだろう。「木枯らし」は外苑前の銀杏並木が見えやしないか? 「買い物袋」は蜻蛉や柿。また「表参道」「年の瀬」は明らかに冬の情景であり、主人公の切々とした「あったかいもの」への憧憬をみてとることができる。他の曲がサックリ聴けるのに対してこの冬編2曲はDeepなバラード。アルバムトータルを通して聴くと、季節の移り変わり、それに応じて主人公の心の質量を感じることができるのだ。

曲の長さもさることながら、「年の瀬」の収録は大きな意味があると言えよう。原曲(『21世紀クラシクスprepared...』をお持ちの方は是非聴き比べて欲しい)が生まれてきたイメージそのもので斬新であるのに対して、『繊細』においては作者曰く「あくまでも聴き易く」アレンジ。それは「世界ブルー」が大衆に向けて発信する姿勢の現れなのである。

サビの「除夜の鐘が鳴る前に〜♪」のくだりを原曲が3編異なる歌詞を並べているのに対し、当アレンジでは1編を延々と、、、しかもラストに至っては「あったかいね」という言葉のみを繰り返し歌い上げる主人公。熱を帯びつつ昂ぶってゆく「年の瀬」を是非聴いて頂きたい。

つづく

(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

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2008年12月05日

禁煙な仲

9b1287fd.jpg


---credit---

vocal & piano, chorus by あおきまさと
bass by イノウエタカヒト
drums by みちる


---data---

1999 title & lyrics, music
2000 demo


20041204 新大久保 大久保水族館 初演

20060722 Drums & Bass
20060730 Piano
20061203 Rough Mixing
20061229 Vocal
20070407 Bass
2007???? 間奏Chorus Recording
20080426 Mixing


---self comments---

“アルバム10曲の中で一番シンプルな編成。楽器はピアノ、ベース、ドラムのみ。途中感想部分でコーラスが加わる程度でギターもバイオリンもストリングスも入ってこない。その分ボーカルのあくの強さが出て個性が出てるなって思う。”

注釈:シンプルな編成という意味では「年の瀬」も同様にピアノ、ベース、ドラムのみ使われている。

“僕が嫌煙者であるとか、曲を作った当初はそんなこと意識してなかったんだけどね。でも、モデルになる子はいましたよ。かわいくてきれいで、で、タバコ(ヤニ)臭い子っているじゃないですか。美的センスもあるのに何で悪臭に対しては気を遣わないんだろうって不思議だったんですよね。まぁ、今でも「何で?」って感じることは沢山あるよね。ま、それって別にタバコに限らないんだけどさ。”

“ToyPianoがよく合います。レコーディングではYAMAHAのフルコン。今回アルバムでは3種類のグランドピアノを使用してます。他にはスタインウェイのフルコンとベーゼン。どれも個性があります。3つの中ではYAMAHAが一番、まぁ、YAMAHAっていってもその中でまたいろいろな種類の型がある訳だけど、親しみっていうのかな。ジャカジャカ弾きやすかった。もしこの曲をスタインウェイでやっていたら、「同棲生活」とか「素朴」とか「アパート」っぽい音像は作れなかったでしょうね。まぁ、でも、、、アパルトマンな匂いもしますよ。光が差し込んできてね。”

“ベースのノリは結構考えてくれたと思いますよ。データにもあるように録り直しされていて、当初のフレーズと違ってより省かれた、そのお陰でドラムとピアノにはまってるんですね。面白いのはドラム→ベース→ピアノというレコーディング進行があって、ピアノ録音の時点ではやはりドラムとベースの隙間というか溝を埋めつつ曲に合った前のめり感を出したい訳です。ボーカルも前にくる訳だから。その後で再度ベースがギャップを埋める。だからこそのノリってあるかな、って思いますよ。”

“いろんなストーリーを思い浮かべてみて欲しいんですよ。この曲に出てくる男女は一年後には「買い物袋」の状況になってるのかな?とか(笑) 「木枯らし」のようなデートの果てに「片言」のような新鮮な恋愛生活に始まって一緒に暮らし始めたのかな?とか。曲をランダムに聴くことで物語がパズルのように構成されてゆく。幾通りもの聴き方があるように思いますよ。「禁煙な仲」がラストソングになってもそれはそれでほんわかしていていいな、とかね。オープニングであったとしてもそれはそれで映画っぽいでしょ? そこから回想シーンが始まる、みたいなさ。”


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

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2008年11月28日

禁煙な仲

ce2029db.jpg当初は「束子」というタイトルが冠せられていたこの曲は、他に「よそ美」などと同様、女性の名前で埋め尽くされるアルバムの中の一曲として生まれている。それが故か歌詞の内容そのものは至ってシンプル。「束子」であれば「タバコ吸うなよ」であり、「よそ美」であれば「よそみしないでオレを見てくれよなぁ」といった野暮なラブソング。そもそも歌詞冒頭の「あのね」の箇所は

「束子、君はキレイだね」「タバコ、僕はキライだね」
「君はキレイだけどタバコ吸うからキライさ」

である。
君との「キスの味はいつも決まって」タバコ臭いんである。最悪である。

でも二人の関係はきっとラブラブなんである。
「あなたはかわいい程キレイだね」なんて、可愛くて綺麗な女性はもう愛し尽くすしかないでしょう!! まぁ、文句を言える程二人の関係は密接であり、曲想からしてもほのぼのとしている。きっと二人は同棲でもしているのだ。二人は決して別れるなんてことはなく、まぁ、お互い文句を言いつつもこれからも一緒に暮らしていく。

タイトルは「犬猿な仲」にかけて「禁煙な仲」(「嫌煙な仲」であるとあまりにも、、、どぎついのでやめたらしい)。まぁ、仲違いする程仲がいい男女の摂理。最後にはLovely Faceなんて口ずさむ余裕を持ちたいものです。男なら。


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

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2008年11月14日

空飛ぶ回転木馬

---credit---
vocal & piano, keyboard by あおきまさと
bass by イノウエタカヒト
drums by みちる

---data---
1997.09-10 title & lyrics, music demo

2005.12.04 ライブ初演(新大久保 大久保水族館)

2006.05.28 一発録り
2006.07.08 Drums & Bass
2006.07.30 Piano
2006.12.03 Rough Mixing
2006.12.22深夜 Vocal 
2007.03.11 Bass
2007.04.07 Mixing
2007.08.12 Keyboard
2007.08.20 Chorus
2008.06.23 Mixing

---self comments---
“ベタでしょ? Aメロなんて誰もが知ってるビリージョエルの「オネスティー」?ってくらい。恥ずかしいっす。でも、そういうフレーズが出てきてしまった訳で、自然に出てきたものでないと嘘ものになってしまうんですよねー。これはまだ学生時代の生曲でメロディーラインが甘いですよね。洗練されてなくて荒削りな感じがします。ただこのアルバムに収録するにはもってこいですよね。なにせ「初恋の頃のうぶな感覚」ですからね。コーヒーにもいろんな味があるように。曲にもいろんな時代の感覚があってしかるべき。そう思いますよ。”

“ストリングス。このアルバム全体通していえることですが、ストリングを架けるっていうんでしょうかね。うわものを添えるっていうか。それは大変困難なことです。ドラム、ベース、ピアノという核となる楽器に声。そこにキーボードという電子楽器の音を加えるっていうのは抵抗がありました。いやでも何か加えないことには世界観が出ない。かといってオーケストラ楽団を雇うことなんてできないし、そもそもオーケストラに弾いて貰ってもよい方向に世界観が向かうとは限らないんですよね。やはり自分の世界観は自分で責任とらないと。クリックに合わせて打ち込みって訳ではなくて、生音に合わせてリアルタイムに録るので、集中力と持続力の勝負でしたね。やってくるともっといいものが、って熱くなってくる割には体力は落ちてくる。世界観は洗練されてくるけど。。。ボーカルだったらなんとかけりつくんだけど、電子楽器されど生、ってのがね。でも大体ひとつのフレーズで100テイクくらいはとってね。そうするともう。こういう作業は神経質になるけど好きですね。あんましやると体に悪いけど(笑)”


“この曲の舞台は目白と池袋ですよ。山手線の線路沿いね。みなさんもそこを歩いてみてくださいよ。特に曇り空の夕方4時とか5時くらいに。できれば春か秋がいいですね。一人もいいけど異性と二人が感じ出るかな。二人無言でね。そうすると自分たちの足音やバッグの揺れる音とかね。もどかしかったり甘ずっぱかったり。”

“「僕らぐるぐる廻る 同じ景色の中を 黙って 見てる だ〜け〜で〜♪」 若い頃の歌詞っていうのは今深読みしてみると結構、エッチっていうか。。普遍な思いっていうのは、いやらしいのかな。普遍な行為にすべて通じるんですよ。愛とかセックスとか。”


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

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2008年11月07日

空飛ぶ回転木馬

君へのエモーション 恐いくらいディープで
二人のエモーション それは素敵なモーション

口ずさむのさえ恥ずかしい歌詞である。コード展開や曲構成も至ってシンプルである。だからからなのか「例えばライブで7、8曲演奏した中で”「空飛ぶ回転木馬」が一番良かった。伝わってきた”なんて言われてしまうと困惑してしまうんですよ」とあおきは言う。どちらかと言えば幼い曲であろうし、拙い歌詞だろう。逆にそれが大衆心理に訴えかけることになるのだ。そう理解した上で彼は「覚悟を持って発表するんですよ。歌うんですよ。」

ドラムにベース、ピアノ、そしてストリングスというシンプルな楽器編成はシンプルな楽曲にふさわしいだろう。それはタイトル通りメルヘンであり、メルヘンはシンプルであるべきだ、ストーリーも曲も、という気持ちの現れかと筆者は感じている。


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

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2008年10月24日

買い物袋

---credit---

vocal & piano, keyboard, whistle by あおきまさと
bass by イノウエタカヒト
drums by みちる


---data---

1999 title & lyrics, music
2000 demo

2005.12.04 ライブ初演(新大久保 大久保水族館)

2006.07.08 Drums & Bass Recording
2006.07.30 Piano Recording
2006.12.03 Rough Mixing
2006.12.22-23 Vocal Recording
2007.09.30 Keyboard Recording
2007.12.09 Violin Recording
2008.04.26 Mixing & Mastering


---self comments---

“「泣きの一曲」ってあるじゃないですか。「これ」っていう。ジャパニーズポップスならではの。それです。心に残るような「四畳半ミュージック」。そういうのを作ってみたつもりです。まぁ、現代でいえば「六畳音楽」かと思いますよ。物件的に(笑)”

“アコーディオンを加えたのは親しみ易さ、ですね。口笛もそう。おちょくってるのか?って。そんなことないです。くすぐってる程度ですよ。”

“ベースもドラムも騎馬民族じゃあないんだから、ハネものは苦手だ、っておっしゃってたんですけどね。僕の中では体に染み込んでいる自然体のリズムなんですよ。下手したら僕の曲ってすべてハネものかもしれないくらい。日本人の中にだって祭りの太鼓とか思い浮かべてくれればわかるようにハネてるんですよね。そういう音楽でいえば「ダサい」と感じるリズムも自然に曲に入りこむ。そういうのって僕の中ではかっこいいことなんです。”

“メロディーっていうのは怖いですよ。メロディーから歌詞が生まれるでしょ? その歌詞に出てくる主人公は実は未来の僕なんですよ。だからこの曲に出てくる彼女っていうのはいつか出会う人であって。で、彼女とラブな生活を過ごしてさ。のちに二人は別れ「思えば一年前の蜻蛉つかまえる秋だった」なんて歌い始めるんだから。いやー、また悲しい思いすんのかよ、俺、って。いやだいやだ。”


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

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2008年10月17日

買い物袋

このアルバムの特徴の一つに親近感が挙げられよう。それはあたかも歌の中の主人公(歌い手としてのあおきまさとかもしれない。作家としての彼かもしれない。あるいはリスナーが想像する別の者かもしれない)の主観がストレートに伝わってくるからだ。聴く人によっては「あおきまさとの等身大の作品」と位置付けるだろうし、「生々しい気持ちが反映された作品」と映るかもしれない。

表参道で夜空を見つめる青年(表参道)、目白と池袋の間を線路沿いに伝い歩くカップル(空飛ぶ回転木馬)、構内の食堂で気になる女の子を遠目に見つめる男子学生(あのコ)、朝、抱き合った後のどうしてもこぼれてしまうすがすがしい喜びが賛歌として流れたり(片言)。

すべてはリアルな肖像である。実在する主人公が歌い上げているのだ。

好きなんだけどタバコを吸うのはやめてくれよ、と彼は言う(禁煙な仲)。去っていった彼女を待ちわび除夜の鐘へ向けて感情を昂らす彼(年の瀬)、まるでピロートークそのものだったり(爪跡)、遠くから微笑む彼女が駆けよって来る一コマをとらえてみたり(木枯らし)

そして、、、前置きは長くなったがこの曲「買い物袋」。「親近感」や「生々しさ」を通り越して「生活感漂うその曲」である。’行きつけの八百屋’だったのは一年前のことで二人でいつも’買い物袋を下げて’’ララララン♪’。’満たされる部屋’の中で柿を分け合ってウンウン頷きながら食べる。今度は何食べちゃおうかな、なんて言う彼は幸せ者なんである。間奏をはさんで、では今は?となると’僕一人’である。’変わらない町に’まだ住み続ける彼は一年前を思い出しながら、柿を頬張るのだ。独り。部屋の中で。

生活感は歌詞から来るものかもしれないが、分かり易いストーリーであり、それとメロディーが(例えばラストのコード展開)、サウンドが(アコーディオンや口笛を用いたことやベースのリズム間)噛み合っているからだろう。特に多用されるサビは幸せに入ってゆき、Bメロで回想シーンに、そしてまたサビへ。そこが繰り返された後に待っているものは泣きの場面でラストで悲哀立ち込めるコードと泣きの入ったボーカル。

親しめる泣きの一曲。登場だ。


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

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2008年10月03日

木枯らし

---credit---

vocal & piano, keyboard by あおきまさと
bass by イノウエタカヒト
drums by みちる
violin by 箕輪麻里


---data---

1996.09 title & lyrics, music
1997.10 demo

2005.12.04 ライブ初演(新大久保 大久保水族館)

2006.07.08 Drums & Bass Recording
2006.07.30 Piano Recording
2006.12.03 Rough Mixing
2006.12.22-23 Vocal Recording
2007.08.11 Keyboard Recording
2007.10.12 Violin Recording
2008.06.23 Mixing & Mastering


---self comments---

“最初は「学生街の喫茶店」でしたっけ? ガロの。あんな感じのソフトでお洒落で、でも70年代の日本のフォークソング。そんな音像にしようと思ってたんですけどね。イノウエさんとライブやりつつ固めていこうって音合わせの時に選んでくれたベースフレーズがね。素晴らしくクラシックミュージックだったんですよ。そこで70年代云々ではなくてオリジナリティーが浮き出たかなと思います。勿論懐かしさは感じることもできるけど古くない。理想です。”

“バイオリンフレーズを箕輪さんに頼む時に、フレーズを練るんですが、「片言」もそうだけど、僕は頭で音を描くじゃないですか。でも、実際にバイオリンを弾く訳ではないから、スタジオでの箕輪さんは大変だったんじゃかと思います。弦の下からとか上からとかで音は変わるなんて計算してませんでしたからね。でも、すっごい面白かった。「上から弾くとこう。下からだとこう。どっちがいい?」なんてね。

“このボーカルは好きです。ミキシングもなので敢えてドライです。まったくエフェクトかかってません。カラオケとかで流れたら歌ってみてよ。簡単そうで難しいから。特にサビの締めの部分ね。自分でもうまくピタッとはまったな、と感心してます。”

“曲の展開として1番があって2番があって。で、その次にインスタルメンタルな部分があるんですよ。しかも結構フレージングとしては印象的でしょ? こういう曲の構成はJポップではなかなかないですよね。Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→はい二番のAメロ→Bメロ→サビ→Bメロもう一回→サビ→はいラストぉ! みたいなさぁ。そういうのもう飽き飽きでしょ? 小学校の作文じゃないんだからさ。起承転結にあてはめなくていいんですよ。メロディーって。そういうとこも主張したいですよね。あとはBメロってなかったらないでいいと思うんですよ。Aメロ→サビでも充分曲として楽しめるし。そういう潔いシンプルなのって僕は結構好きですね。よく僕の曲で「どこがサビなの?」って聞いてくるプレイヤーがいるけど、あのねぇーとか思っちゃう。曲によっては必要なのかもしれないけど、そもそも曲は曲な訳でさ。お経はお経でさ。セックスはセックスでしょ? 分かりやすく言えば、フレンチのコース料理が料理のすべてではなくてさ。鮨も蕎麦も料理として美味しく食べられるでしょ! っていうのを伝えたいんだけどね。わかってくれるかな〜(笑)”


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

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2008年09月26日

木枯らし

木枯らしの吹く季節に”涼しげな風”とあることに納得のいかない人がいるかもしれない。また”優しい君”と歌われたり”優しげな君”とあったり。一つの情景描写としては確かにおかしいかもしれない。しかしこの作品は一つのノスタルジーである。回顧、回想シーンと思ってくれればいい。そのシーンの中での映像を歌っている。冒頭の”涼しげ”もその映像では秋から冬にかけての季節に暖かい日差しが差し込んで来ている。ことを前提に「涼しい」としており、また、「涼しげ」となるのは実際に涼しいか暖かいか定かでない映像が映し出されているからに他ならにい。映像を通してリスナーがその温度を想像してみる必要があるくらいあやふやなものだからである。

この曲が作られた場所は作者が留学中のアメリカ、ミネソタ州のベミージという街だ。半年間程雪が降り積もるこの街の学生寮で9月辺りシャワーを浴びながら曲が生まれ出て来たらしい。曲と歌詞の大半は仕上がったものの、完成に至ったのは次の年、1998年の11月初旬のルクセンブルクにて。曲調は70年代の日本のフォークソングに当てはまるものの、どこかクラシカルな響きがあるのは単にバイオリンを配したからではなく、こうした曲の作られた背景が関係している。また、奏でられるベースフレーズはそのフレーズそのものがクラシカルにまとめあげられている。ローズピアノもノスタルジアな記憶を想起させるにふさわしく奏でられている事も申し添えておく。

(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

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2008年09月19日

片言

---credit---

vocal & piano, chorus by あおきまさと
bass by イノウエタカヒト
drums by みちる
violin by 箕輪麻里


---data---

1998.04 title & lyrics, music
2000年  demo完成

2005.12.04 ライブ初演(新大久保 大久保水族館)

2006.07.08 Drums & Bass Recording
2006.07.30 Piano Recording
2006.12.03 Rough Mixing
2007.03.11 Bass Recording
2007.06.16 Vocal Recording
2007.09.14 Chorus
2007.10.12 Violin Recording
2007.12.09 Chorus
2008.04.19 Mixing & Mastering


---self comments---

“目覚めたい時に聴きますよ。α波の洪水ですかね。すっきりするんですよ、この曲聴くと。何も考えないで音に音の像に身を委ねると気持ちいいです。電車の中とかで僕だけ朝の心地よいシャワーを浴びている感じ(笑) 分かります?”

“新人研修の時に生まれたっていうのは本当です。でもね。ちゃんと受けてましたよ、人並み以上に楽しく頑張ってましたよ。まぁ、僕は対人面では楽しんで生きてるって思われすぎてるから、「頑張って」よりも「楽しんで」生きてるって方に人は偏って見るんでしょうが。まぁ、それでもいいじゃない? アーティストは楽しんでなんぼ。苦しんでなんぼ。”

“この1998年って年からですよね。メロディーが洪水のように出てきてしまったのは。それまではせいぜい週に数曲とかだったけれど、ここら辺になると嫌でも毎日出て来てしまって抑えることができないので大変でした。一つには環境の変化かと思います。社会人として働き始めたから、そこで脳が活性化されて見るものも多くなって歌詞の方もたくさん行き帰りの通勤で生まれてきました。もうひとつは恋愛。まぁ、ここは個人的なことになるからノーコメント。あとは前年まで生きる上では「吸収」してきた訳ですよ。で、働き始めると「吸収」する時間がない代わりに「放出」というか「アウトプット」することで満たされる訳です。つまりそれまで蓄積されてきた感性から生まれるものが多くなってきたんでしょうね。恋愛や旅、食事などを通じて。最後にもう一つの環境の変化として「東京」ですね。つまり、この曲もそうだけどそれまで生んできた曲ってずっと「音楽」であったり「自分自身=IKURU」であったりあるいは「埼玉」だったかと思うんですよ。「音楽」っていうのは「音楽しちゃってる」ってこと。つまり「習作」みたいな。でもこの「片言」とかってすんなりとしてるでしょ? なんていうんだろう。「東京」を特別視する必要のないサウンドっていうか。まぁ、聴いてみてください。”

“ボーカルもピアノもテイクとしては最高!ではないです。ピアノに関しては、一日で8曲というノルマが自分の中にあって。まぁ、それはやはりレコーディングには時間とお金に制約があって。で、この「片言」は8曲中7曲目だったかな。終盤になっていて、やはり走ってしまうんですね。気持ちも。いいテイクを早く録ろうと思うと気持ちがね。まぁ、この曲もラストに録った「爪跡」もちょうど走るくらいが素敵かなって曲なんでいいんですけど。ボーカルに至っては、完全なコンディションで臨んでスタジオに行ったんですけど、「成田さんになんか食いにいこう」ってなって、中華行って、そこで僕は軽めにしとこう、って思ってラーメン食べたのがいけなかった。スープ飲んじゃって。。。胡椒とかたくさん入ってるやつ。で、もう喉がアウト。馬鹿みたい。杏仁豆腐くらいにしとけばよかった。歌い始めようとしても喉があったまりすぎて、、、結局歌うまでに一時間くらい待って貰いました。あの時は僕も成田さんもちょっとなんとも言えない気持ちだったんじゃないか、って思います。「片言」の後に録った「表参道」に至ってはもう喉がやられていてね。。。まぁ、それを「味」として収めたと解釈というか自分に納得させています。”


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

試聴:http://sekaiblue.com/dis/sensai/index.html

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2008年09月12日

片言

実はこの曲、作者が新入社員研修中、誰かの講釈中に自ずと生まれてきてしまったリリクスだ。1番「サラサラ ゴロニャン コロリ カタコト コトバ 話す」 2番「ユラユラ ポロリ 涙 時雨 シトシトシト しずく ポツン」 言葉遊びである。

言葉の感触をそのまま音像に。やわらかくもスッキリとしていて物憂いもかすかにあるけれど、弾みのあるポップス。そもそもメロディーが一筆書き(一回きりの即興による作曲)なので、例えば導入部分はサビと同じ歌詞でありつつも全く別のメロディーが当然のように歌われている。

どうせ言葉遊びであるならば、と遊び心をさらに加えてコーラスが多用されているのも面白い。春、朝のシャワーを浴びるように、聴き手は中性的なコーラスとバイオリンのフレーズを耳にすることだろう。

“繊細”のライブステージにおいては、これまでopening songとして使われることが多かった。それは多分耳当たりがよい、Bandとしてもこの曲がバランスのとれた、自身のプレイを計る上で一番適している楽曲だからこそだろう。

タイトルも言葉遊びであるカタコトコトバから「片言」と洒落っ気があるがアルバムタイトル『繊細』とも関連性を感じさせ、conceptual albumを形成する上で一役買っている。


(アルバム『繊細』発売記念 特別書き下ろし)

試聴:http://sekaiblue.com/dis/sensai/index.html

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2008年09月05日

あのコ

---credit---

vocal & piano, keyboard by あおきまさと
bass by イノウエタカヒト
drums by みちる
guitar by 成田浩一郎


---data---

1999年 title & lyrics, music → demo完成

2006.06.11 ライブ初演

2006.07.22 Drums & Bass Recording
2006.07.30 Piano Recording
2006.12.03 Rough Mixing
2006.12.22-23 Vocal Recording
2007.03.11 Bass Recording
2007.09.15-16 Keyboard
2008.01.02-03&05 Keyboard
2008.07.25 Guitar Recording
2008.08.12 Mixing & Mastering


---self comments---

“僕の中では「木枯らし」とこの「あのコ」がベストボーカルかな。どちらもバラードってとこが皮肉なんですが。これ歌っている最中に某社のアシスタントエンジニアと成田さんが笑ってるんですよ。あとで何度リピートしてもやっぱり笑う。まぁ、それ程に素晴らしい歌唱ってことでみなさん聴いてみて下さい。”

“多分、これを聴いた人は「誰のことを歌っているんだろう」とかね。「いつの頃が、どこが舞台となっているんだろう」とかね。聞かれるような気がするんですよ。でもね。きっと僕が答えなくてもこれ聴けば分かっちゃうかと思うんですよ。あ、誰だかは分からないとは思うけど(笑)”

“ドラムとベースの上をつるつる滑ってる感覚でしたね。ピアノ録音する時は。ストリングスとエレピの被せは音色選びも録音もかなり神経質になりました。そんなエレピのフレーズを削って、成田さんのギターを被せたり。そんなギターフレーズも一番はカットしたりね。結構音を省いたことですっきりと聴けるかと思います。当然ながら一番と二番は同じことやってないし。メロディーラインだけでなくてそのほかのフレーズの妙も楽しんで貰えたらいいな、と。”


(アルバム『繊細』発売記念 特別掲載)

試聴:http://sekaiblue.com/dis/sensai/index.html

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2008年08月29日

あのコ

〜 二十歳前後の若者の初心(うぶ)な男心はグレーな十代の青春から脱するように懸命にメルヘン世界を膨らませていくのだった 〜


歌詞の中で出てくる“二十歳前後の若者”とあるように未だ女性に対して理想像を求める初心(うぶ)な男心=メルヘンソングである。だからこその「あのコ」であり、それは「君」でもなく「お前」でも「あなた」でもなく、あくまでも遠くから「彼女」を眺める構図となっている。

この曲集にはところどころで、あおきまさとの中では珍しく分かりやすい固有名詞が散りばめられている。「あのコ」でいうところの“ノルウェイの森”は勿論歌詞全体を眺めれば分かるように、大学生である青年が村上春樹の描く“ノルウェイの森”の雰囲気に憧れを抱いていると想像が付く。

この曲は「愛」をテーマに歌われているのではない。むしろ「ときめき」である。恋に恋する青年かもしれない。恋愛を知る前の若者が往々にして経験する甘酸っぱい気持ち。それは“はちみつぱい”でありそれを“頬張りたい”なんて、まさに愛を知らない自己本位な若造かと私は思う。“独りよがりのあのコを作って頬張りたいだけ♪”なんてさ。

“大教室”“二限目”“大食堂”と連なる言葉。歌詞としてはユニークかもしれない。また、曲の1番と2番の間の間奏はとてもメルヘンチックな旋律である。講義の間に机の上に頬杖でもつきながら淡い妄想を膨らます青年は微笑んでいるに違いない。また間奏のピアノの旋律にチャイムの鐘の音を思わせるフレーズが使われ、そして“二限目が終われば学食へ”と時空間をスライドさせるところはにくい演出である。

エンジニアの成田氏曰く「これはストーカーソングだ(笑)」 確かにそうかもしれない。大教室では“長い髪が揺れ”るあのコを遠目に眺め、大食堂では“湯気向こう”に微笑む彼女を見やる。幸運な事にこの姿が描かれるのは1990年代前半であり、当時はまだストーキングという言葉は輸入されておらず、マスメディアにおいては一般に流布されていなかった。そう。平和な時代だったのだ。

例えば、小学生の頃に好きな女の子のうちの前をわざと歩いてばったり「出会わないかな〜」なんて通り過ぎて何も起こらず、寂しいようなほっとしたような気持ち。そんな気持ちを読者の皆さんは「懐かしい感覚」として捉えてくれるだろうか。「好きなら好きって言えばいいじゃない!」という時代よりももっと前の日本人の美徳とも言うべき控え目でお人好しでおとなしい姿がちゃんと存在したことを私達は忘れてはならない。またそういう感受性を持つ青年は実は世の中にごまんといるはずなのだ。今の時代においても。


(アルバム『繊細』発売記念 特別書き下ろし)

試聴:http://sekaiblue.com/dis/sensai/index.html

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