無印良品、ファミリーマート、パルコ、西武百貨店、西友、ロフト、外食チェーンの吉野家、小売業にとどまらず、クレジットカードや生命保険、損害保険などの金融業、ホテルやレジャー、食品メーカーまで多様な事業を一代でつくり上げたセゾングループの堤清二さんに迫る『セゾン 堤清二が見た未来』(鈴木哲也著)を拝読しました。

堤さん御本人やセゾングループのさまざまな幹部の取材を通じ、毀誉褒貶ある堤さんを立体的・歴史的に捉えていて、面白かったです。


セゾン
  • 商品を売るのではなく、ライフスタイルを売る
  • モノからコトの消費へ
  • 店をつくるのではなく、街をつくる
という今に通じる哲学を半世紀前になぜ示せたのか。父から引き継いだときには、都内9位の売上高に過ぎなかった西武百貨店池袋本店をどのように日本一にしたのか。

逆境からのイノベーション、創造的破壊が随所に現れていました。

第7章 人間・堤清二のとおり、

堤ほど矛盾に満ちた存在は無い。大資本家の家に生まれ、企業経営者の道を歩みながらも、一方では「資本の論理」を超える「人間の論理」を提唱する。高級ブランドの伝道師でありながら、ブランドを否定する「無印良品」を生み出した。こうした具体例は、いくらでも挙げられる。

そして堤は、己の中で葛藤する矛盾を安易に解消しようとせず、矛盾を矛盾のまま抱えて生きようとした。逆説を生き抜いた事業家

で、成功と挫折、常に自らのあり方を否定しながら、前に進む姿勢があるからこそとても学びが多い本でした。