心市街地や公共交通の活性化を実務で担当することになり、改めて、フランスのまちづくりに詳しいヴァンソン藤井由美さん、交通学の泰斗・宇都宮浄人さんの共著『フランスの地方都市にはなぜシャッター通りがないのか』(2016年 学芸出版社)を拝読しました。

51hoL09Om1L._SY291_BO1,204,203,200_QL40_ML2_

フランスで人口50万人にも満たない地方都市の中心市街地が、なぜ身動きができないほど賑わっているのか。という問いかけに、「歩いて楽しいまちづくり」ができているから、とシンプルに答える。

幼児連れでもクルマを気にせずにゆっくりとショッピングやお茶を楽しめる歩行者専用空間が、どの中小都市にも当たり前のように整備されているという。

さらに、例えば、ストラスブールでは、郊外の居住者がまちなかにLRTでアクセスできるように、大型パークアンドライドを市街地外縁部に設け、簡単にクルマを駐車してLRTへの乗り換えができる工夫を施した。4.1ユーロのパーキング料金と引き換えに、一台のクルマに同乗している7人分までのLRT往復切符を無料支給するインセンティブを採用している、という。

フランスにおいても当初からLRTが導入されていたわけではない。むしろ1990年代まではストラスブールにおいてもクルマ中心で、LRT導入の際は、「クルマで都心にアクセスできなくなると客足が遠のく」と、大反対が起きたという。その際、LRT工事中の店舗の前年度に比較した収益の減損分を行政が補填するなどの対応を行った。

併せて自転車道の整備や学生向けの無料レンタルシステムも導入する。持続可能な発展都市には、環境に優しい交通モードへのシフトを自治体が支援するのは当然だという考え方が土台にある。

さらにシャッター通りを減らすために、フランスでは、2年以上空き店舗である不動産所有者に、自治体の判断で「空き店舗税」を課税することが認められている。空き店舗になって3年目が固定資産税額の10%、4年目が15%、5年目が20%だという。

また、フランスの自治体には、市街地中心部の商店舗の「先買権」がある。自治体が市街地先買権の行使放棄に署名した証明書がなければ、店舗の不動産や営業権の売買契約が成り立たない。これにより乱開発を防ぎ、中心市街地の多様性や、歴史ある建物の保存を担保している、という。

その上で年間を通して様々なイベントを開催する。



全体像を考えて、できるところから実践していきたいです。


学芸出版社のおすすめ本




4eb2faa6[2]
<井上貴至のプロフィール>
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68458684.html