大阪星光学院新入生歓迎会(趣旨はこちら。)の安部敏樹君講演録です。(安部君のプレゼンがおもろすぎて、ひょっとすると、誰も覚えてないかもしれませんが、僕も一応、その前に話しました。)

安部敏樹「Nobless Oblige ~社会を変える学びとは~」


 今日は「かっこいいオトナって、どういう奴?」というテーマについてみんなと一緒に考えていきたいと思います。今日はみんなも思ったことがあればどんどん発言してください。Interactiveに行こう!


 とりあえずアイスブレイクするためにみんなの絵心を測ろうと思います。では二人組を作ってお互いの似顔絵を書いてください。よーいどん!書き終わったらその絵を見せあってください。自分の書いた絵を相手に見せた時に、相手に申し訳ないと思った人、多いでしょう。そういう人は“大人”です。子供ならば照れるよりはむしろ自慢するんです。そして、今日の講演で僕が定義する「かっこいいオトナ」の要素として、そういう「照れのなさ」も上げたいなって思っています。だって、そういう「照れ」というのは、大抵の場合人生の妨げにはなれど後押しはしてくれません。だからあんまり照れない人間になろう。


 まずは僕の自己紹介をするね。僕は今23歳で東京大学修士1年です。文系で大学に入ったんだけど、大学3年の時に理転をして現在は、神経生理、認知科学、複雑系などを中心に研究しています。入学したてのときなんかは海賊王になりたかったんだけど、まぁ色々あって気づいたら19歳の夏にはオーストラリアでマグロを取ってました。その後はオーストラリアでの仕事が認められて、ギリシャとかでもマグロ取ってました。大学3年くらいから、人々の社会に対しての無関心を変えたくて、「リディラバ」という団体を立ち上げて“社会問題をスタディツアーにして発信するプラットフォーム”を作ってます。ちなみにリディラバはridiculous things loverの略。僕の人生のモットーの一つです。


 さて、今日のテーマの「かっこいい」がなんなのかを考えることに戻ろう。正直、明確な答えは僕も知りません。しかし、かっこわるい奴がどんな人なのかはある程度は知っています。例えば、ちょっとしたとこで人より自分を守る奴、自分の持っている固定観念から抜けられない奴、言うことばかりでかい奴。そういう奴はやっぱりカッコ良くはないよね。たぶん、みんなの周りにいるでしょう?それとももしかしたら目の前にいるあなたたちがそうなのかもしれない。


 では、そういう奴にならずに、かっこいいオトナになるための条件ってなんでしょう。僕の知っている範囲でいくらか話そうかなって思っています。 まず一つ目は、「恥じない・媚びない・止まらない」ということです。

 周りの目ばかりを気にするオトナになってはいけません。思いもしないようなアイディアは、周りの目を気にしている人からは生まれません。最初の絵を描いたとき、申し訳なさを感じた人、要注意です。そして媚びないということに関して言うと、敬意を示すことと媚びることは全く違うことを覚えていてください。

 媚びないということは、自分自身で考え続け、発信し続けることです。誰に対しても敬意は持つべきだけれども、考えずに頷く人にはならないようにしよう。媚びないと生きていけない環境には、身を置かないか、もしくはぶち壊すという選択肢しか考えない方がいいです。

 止まらないということに関して言いたいのは、一度止まるともう一度走り出すのは難しいということです。ランニングもそうだよね。走り出すのが大変。だから赤信号でも、前に進んでいなくても、足は動かしましょう。ゆっくり考えることと止まることは別のことで、「止まってゆっくり考える」と言って、だらけずに自分を律せている人なんて、ほとんどいません。もちろんそのペースを緩める時は必要ですけどね。


 二つ目は、「SOMEONE BIGにならない」ということです。GTOと湘南純愛組ってマンガ知ってますか?僕のとても好きなマンガで、その主人公・鬼塚英吉がよく口にするのが「bigになる」という言葉です。でも僕の経験から言うとsomeone bigを目指す人には人がついていかない。しかもたいていステレオタイプなことしか考えられない。これじゃ何も成し遂げれないわけです。だからsomeone bigになることを考えるのではなくて、someone doing “what”な人を目指してください。そしてその”what”を見つけるために是非時間を使ってほしい。言い換えれば、しっかり言語化して何をしたいのか周りに示せるようなオトナを目指してほしいということです。


 三つ目の条件は「燃えられないなら燃やしてもらえ」ということです。「やりたいことが何かわからないんですー」、「やりたいこときめたら動きますよ!」、「いやぁ、それ自分がやりたいことかどうかわからないんで遠慮しときます。」っていう人に僕はかなり多く会ってきました。たぶんみんなの周りにもいると思います。でも経験上、そういう人は実際何もしないことが多いですし、あんまり変わろうともしません。僕が言いたいのは、自分にやりたいことがない、あるいは見つかっていないなら、他人の熱意に付き合って一緒に燃えてみろってことです。世の中、燃えながらではないと見えないことがたくさんあります。そうしないと自分のしたいこともなかなか見えないもんです。


 四つ目の条件は「TRY AND EROOR AND TRY」です。人間だれしも失敗はあるもので、それでも勝つまで挑戦し続けるのか否かで結果が変わります。必ず人生において挫折の数よりも少なくとも一つは挑戦の数が多いように心がけよう。「常に改善」の意識が積極的な主体性を身につかせるもので、そういう姿勢は性格ではなく、積み重ねにより身につくものです。後ろ向きであることは案外、日常の積み重ねで変えられたりするんです。


 五つ目の条件は「社会にある無関心を壊す」です。ここにいるみんなは全員、社会の中でエリートと呼ばれる層に属しています。その自覚があるかは分かりませんが、それは事実です。でも、みんながエリートになるために社会全体はとても大きなコストを払っているし、そのコストは社会に還元することを期待されているが故です。別にそれは義務ではないですよ。でもそれをした方がかっこいいと思う。人からの期待に応えられる人間であることは「カッコいい」ことの基本です。だから社会に還元していこう。


 さて、そうは言っても「社会に何を還元していくべきか」という問いは難しい問いです。ただ僕が思う、「今の社会において最もエリートに求められること」は「社会の無関心を壊すこと」だと考えています。僕は東京大学に入って多くの友人たちと議論をしていて思ったことがある。それは彼らの思考の根底には「エリートは頭のよさを生かして頭の良くない大衆のために仕組みを作って導かなければ」と言う考えがあるということです。でもこの考えでは「大衆」が見えない権力になってしまう。だからこれからのエリートに求められるのは大衆を社会に引きずり出して無関心じゃいられなくさせること、そして一緒に社会をよくしていこうと議論に巻き込むことだと思うんです。ちなみに僕がリディラバを作った理由はその議論のプラットフォームを作りたいという想いがあってでした。今変えるべきなのはお金の流れや社会制度の仕組みではなくて人の意識です。そして人の意識を変えるために多くの人と対話をしないといけません。それが次の時代のエリートになるための1つの条件でしょう。

 最後の条件は「旅と学びと人」です。皆さんは大学にいる間に少なからず旅に出るでしょう。どこかに行くということはそれだけで旅だと言えてしまうので、たぶんとても多くの旅を経験する。何事も興味を持ったことに対しては、まず現地に行くのが第一歩ですから、僕は強く旅を勧めたい。そしてその経験を踏まえて「issue」を社会に対して発信するところまでするように意識してください。“知識を詰め込み、現地で実践し、そのうえで得たものを社会に発信していく”。この流れが完全にできてこそ「カッコいいオトナ」でいられると思っています。部分的になってしまうとどこが独りよがりに聞こえてしまいます。言いかえれば、現地に行く旅は事前と事後で決まる、ということです。旅に行く前にどれだけ準備するかと、旅の後に自分がどれほど変われてそのうえで発信できるか、が重要です。現地に行っただけで何かをした気にならないで欲しいなと思っています。

 最後に僕から今日した提案を少し違う言葉でまとめると、

「公共性のある人間でいよう」

「自分は何をする人間か考えよう」

「かっこいいオトナでいよう」

「自分を嫌いになることは絶対にしないでおこう」

「周りにいい影響力を及ぼす奴でいよう」

という風に言えるかと思います。言葉は綺麗です。でも実際に行動するというのは思ったより大変なものです。是非その難しさを知った上で、実際に行動に移して社会に還元できるエリートになってもらえれば幸いです。

今日はありがとうございました。

<関連記事 安部敏樹君~僕がリディラバをはじめた理由>
 http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/67791063.html