先日書いた記事が「オガールベース」に関する記事が大反響をいただきました。
●岩手県紫波町の「オガールベース」
地方創生で一番学ぶべきは徹底したメリハリ
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68394623.html
(左側が町役場、その奥が昨年オープンしたオガールベース。右側が3年前にオープンした図書館、マルシェ、カフェ、塾、会議室などを備えたオガールプラザ)
紫波町の「オガールベース」は、先日紹介した徹底したメリハリのほか、
●日本初の国際規格をクリアしたバレーボール専用アリーナ
●補助金に頼らない経営
●駅、役場、オガールプラザ等と連携した複合多機能施設
をはじめ最先端の取組で、注目を集めていますが、忘れてはならないのが「日本初※の地域「熱」供給システム」です。サステナジー株式会社の山口勝洋代表取締役にご案内いただきました。
※再エネ主、業務ビルと住宅含む複合的な地区全体への供給
オガール地区の特長は、木質バイオマスを活用した地域「熱」供給。
固定価格買取制度で高く売電できることになったため、日本各地で大規模なバイオマス発電所の建設が行われていますが、実は、バイオマス発電は熱効率は良くありません。
電気として利用できるエネルギーは、もともと木材が持つエネルギーの15%~27%程度です。
そこで、オガールが注目したのが、バイオマスの「熱」。
「電気は何でもできる非常に高級なエネルギー。しかし、熱を大量に捨てる発電方式が一般的で、利用効率は悪い。(電気より低級な)熱でもできることはたくさんある。」と山口さん。
熱に変換することで、木材が持つエネルギーの60〜80%程度 を活用することができます。
オガールベース、紫波町役場、住宅などのオガール地区全体でまとめて熱供給を行うことで、従来の石油やガスと比べても、遜色ない価格と効率でエネルギーを供給することができます。
各家庭ではなく、エネルギーステーションでボイラーを管理するので安全性も向上。燃焼に伴う音や臭いもなく快適です。さらに、敷地内にボイラー等の設置が不要なため、住宅スペースを有効に使えます。
こちらの配管がオガール地区の地下全体に張り巡らされ、冷暖房に活用されています。
(紫波町の地域熱供給システムの仕組み。木質バイオマスだけではなく、非常時やピーク時に対応するため、ガスボイラーなども併用されています。)
紫波町のエネルギーステーション。
こちらにトラックで木質チップを運び込みます。身の丈規模の熱利用のため、紫波町内だけで木質チップを用意できるのも魅力。大規模化が進む木質バイオマス発電のように、町外からエネルギーを使って運ぶ必要がありません。
蓋にもさりげないこだわりが。水平移動のため腰やひざに負担がかかりません。こうした細やかな気配りが利便性や快適性に深くかかわります。
オガール地区の方が、間伐材を持ち込んだ場合は、熱料金の支払いに充てることもできます。これまで地域の外に流れていた光熱水費が、地域の中で循環します。
コンベアーのような機械で、木質チップを汲み上げます。
木質チップの熱エネルギーが、オガールベース、役場、住宅等の利用者に供給されます。
そして、オガールが提案する紫波型エコハウスには、地域熱供給システムだけでなく、さまざまな知恵と工夫が盛り込まれています。
エネルギーを最適に活用するためには、まず、外界の熱を伝えない、外界に熱を逃がさないことが大切です。
●三重窓
熱の損失を大きく低減することができます。
●庇(ひさし)
夏には日差しを遮り、冬には日射を取り込みます。
●断熱材と気密による省エネ
屋根に30センチ、壁に20センチのグラスウール断熱材を提供しています。
結露を防ぐため、室内の湿気を断熱材に伝えないよう気密シートも施工しています。
●ワンルーム構造
室内のどこも一定の温度に保たれた身体に負担の少ない生活を送ることができます。
●屋外のブラインド
ブラインドを屋外に設置することで、外界で日射熱をシャットアウトします。実は、ヨーロッパでは、ブラインドは家の外側が当たり前。
おそらく日本では障子の延長で、家の内側にブラインドがつくられたのでしょうが、冷房の必要性を減らすには、こちらの方が理に適っていますね。
●空気の蓄え
和室に合った紙の障子には空気を蓄えることができます。
紫波型エコハウスで働き、暮らすスタッフの方の一言がとても印象に残りました。
「岩手の雪深い冬でも、エコハウスの中は、裸足・半袖で十分。暖房もほとんどいりません。温かいということから幸せを感じます。」
幸せを求めて、オガール地区には盛岡市等から移住者も現れています。
紫波町が分譲する住宅なので、不動産分譲に係る仲介手数料がかかりません。さらに、住宅建築物省CO2先導事業補助金(最大137万円)を始め、町や県の補助犬と併せて、最大210万円の補助金を受け取ることができます。
また、オガールエリアでは、まちの緑化や灯り、小道に関するルールがしっかり定められており、地域熱供給等と併せて、長く暮らすための環境が整備されています。
紫波町のオガールは、まさに地方創生のモデルのひとつです。
こういう仕組み・やり方はぜひ長島町でもうまく取り入れていきたいです。
さて、長島町では、地方創生の一環として、サステナジーの山口勝洋代表取締役に、御講演いただきます。その後は私の部屋で意見交換です。皆様お誘いあわせの上ご参加ください。町外の方も大歓迎です。長野県小布施町のまちづくり委員会の方々もわざわざいらっしゃいます。
日時:平成27年6月30日(火)朝8時30分〜
場所:鹿児島県長島町役場開発総合センター(長島町鷹巣1877-3)
●岩手県紫波町の「オガールベース」
地方創生で一番学ぶべきは「徹底したメリハリ」
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68394623.html
●岩手県紫波町の「オガールベース」
地方創生で一番学ぶべきは徹底したメリハリ
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68394623.html
(左側が町役場、その奥が昨年オープンしたオガールベース。右側が3年前にオープンした図書館、マルシェ、カフェ、塾、会議室などを備えたオガールプラザ)
紫波町の「オガールベース」は、先日紹介した徹底したメリハリのほか、
●日本初の国際規格をクリアしたバレーボール専用アリーナ
●補助金に頼らない経営
●駅、役場、オガールプラザ等と連携した複合多機能施設
をはじめ最先端の取組で、注目を集めていますが、忘れてはならないのが「日本初※の地域「熱」供給システム」です。サステナジー株式会社の山口勝洋代表取締役にご案内いただきました。
※再エネ主、業務ビルと住宅含む複合的な地区全体への供給
オガール地区の特長は、木質バイオマスを活用した地域「熱」供給。
固定価格買取制度で高く売電できることになったため、日本各地で大規模なバイオマス発電所の建設が行われていますが、実は、バイオマス発電は熱効率は良くありません。
電気として利用できるエネルギーは、
そこで、オガールが注目したのが、バイオマスの「熱」。
「電気は何でもできる非常に高級なエネルギー。しかし、熱を大量に捨てる発電方式が一般的で、利用効率は悪い。(電気より低級な)熱でもできることはたくさんある。」と山口さん。
熱に変換することで、木材が持つエネルギーの60〜80%
オガールベース、紫波町役場、住宅などのオガール地区全体でまとめて熱供給を行うことで、従来の石油やガスと比べても、遜色ない価格と効率でエネルギーを供給することができます。
各家庭ではなく、エネルギーステーションでボイラーを管理するので安全性も向上。燃焼に伴う音や臭いもなく快適です。さらに、敷地内にボイラー等の設置が不要なため、住宅スペースを有効に使えます。
こちらの配管がオガール地区の地下全体に張り巡らされ、冷暖房に活用されています。
(紫波町の地域熱供給システムの仕組み。木質バイオマスだけではなく、非常時やピーク時に対応するため、ガスボイラーなども併用されています。)
紫波町のエネルギーステーション。
こちらにトラックで木質チップを運び込みます。身の丈規模の熱利用のため、紫波町内だけで木質チップを用意できるのも魅力。大規模化が進む木質バイオマス発電のように、町外からエネルギーを使って運ぶ必要がありません。
蓋にもさりげないこだわりが。水平移動のため腰やひざに負担がかかりません。こうした細やかな気配りが利便性や快適性に深くかかわります。
オガール地区の方が、間伐材を持ち込んだ場合は、
コンベアーのような機械で、木質チップを汲み上げます。
木質チップの熱エネルギーが、オガールベース、役場、住宅等の利用者に供給されます。
そして、オガールが提案する紫波型エコハウスには、地域熱供給システムだけでなく、さまざまな知恵と工夫が盛り込まれています。
エネルギーを最適に活用するためには、まず、外界の熱を伝えない、外界に熱を逃がさないことが大切です。
●三重窓
熱の損失を大きく低減することができます。
●庇(ひさし)
夏には日差しを遮り、冬には日射を取り込みます。
●断熱材と気密による省エネ
屋根に30センチ、壁に20センチのグラスウール断熱材を提供しています。
結露を防ぐため、室内の湿気を断熱材に伝えないよう気密シートも施工しています。
●ワンルーム構造
室内のどこも一定の温度に保たれた身体に負担の少ない生活を送ることができます。
●屋外のブラインド
ブラインドを屋外に設置することで、外界で日射熱をシャットアウトします。実は、ヨーロッパでは、ブラインドは家の外側が当たり前。
おそらく日本では障子の延長で、家の内側にブラインドがつくられたのでしょうが、冷房の必要性を減らすには、こちらの方が理に適っていますね。
●空気の蓄え
和室に合った紙の障子には空気を蓄えることができます。
紫波型エコハウスで働き、暮らすスタッフの方の一言がとても印象に残りました。
「岩手の雪深い冬でも、エコハウスの中は、裸足・半袖で十分。暖房もほとんどいりません。温かいということから幸せを感じます。」
幸せを求めて、オガール地区には盛岡市等から移住者も現れています。
紫波町が分譲する住宅なので、不動産分譲に係る仲介手数料がかかりません。さらに、住宅建築物省CO2先導事業補助金(最大137万円)を始め、町や県の補助犬と併せて、最大210万円の補助金を受け取ることができます。
また、オガールエリアでは、まちの緑化や灯り、小道に関するルールがしっかり定められており、地域熱供給等と併せて、長く暮らすための環境が整備されています。
紫波町のオガールは、まさに地方創生のモデルのひとつです。
こういう仕組み・やり方はぜひ長島町でもうまく取り入れていきたいです。
さて、長島町では、地方創生の一環として、サステナジーの山口勝洋代表取締役に、御講演いただきます。その後は私の部屋で意見交換です。皆様お誘いあわせの上ご参加ください。町外の方も大歓迎です。長野県小布施町のまちづくり委員会の方々もわざわざいらっしゃいます。
日時:平成27年6月30日(火)朝8時30分〜
場所:鹿児島県長島町役場開発総合センター(長島町鷹巣1877-3)
●岩手県紫波町の「オガールベース」
地方創生で一番学ぶべきは「徹底したメリハリ」