村秋則さんを描いた『奇跡のリンゴ』『土の学校』、小林りんさんを描いた『『茶色のシマウマ、世界を変える 日本初の全寮制インターナショナル高校ISAKをつくった小林りんの物語』などで有名な石川拓治さんの『天才シェフの絶対温度』を読了。

今作は、大阪の最高級フレンチ「HAJIME」の米田肇さんの物語。


天才シェフ

高校の時に京大の数学模試で全国一位をとり、空手の正道会館でも相手の動きを高度に予測して後の世界チャンピオン中蔵隆志を完全にねじ伏す。

辻調理師専門学校や修行先のレストランで学んだことを毎日、丁寧にノートにまとめ、塩一粒、温度0,1度にこだわりぬく。冒頭の「できれば、ドアの取っ手の温度も調節したいんです」も全編を読むことで、米田さんならば本気で思っているんだろうなと納得する。

著者曰く、羊の焼き加減も唯一無二の正解などないと思っていたが、HAJIMEでは、肉を噛みしめるごとに、口腔と言わず鼻腔と言わず、純粋な旨味と香りが爆発する。羊の肉だけが持つあの独特の美味しさが、湧き出す温泉の源のように口中にあふれるという。

著者が引き出した米田さんの言葉や、
「普通はルールを守るためにルールを学ぶんだと思うけど、私はそんなつもりはなかった。ルールからはみ出すために、一生懸命勉強したんです。」

「先生はこの野菜を1センチ角に切りなさいっておっしゃったけど、なぜ1センチ1ミリ角ではいけないのですか?」

米田さんが指示したミシェル・ブランの言葉
これで完璧だと思ったら、それはもう完璧ではない。この世に完璧というものはない。ただ完璧を追い求める姿勢だけがあるんだよ。

という言葉が響く。

開店から1年5か月の史上最速でミシュラン3つ星を獲得したが、それは通過点という。

いつかは「HAJIME」に私も食べに行きたいし、私自身も石川さんにこういうノンフィクションを書いてもらえたらと思う。

もう少し知りたい!