長崎生まれイギリス育ちのノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロさんの処女作『遠い山なみの光(A Pale View of Hills)』実写版映画を鑑賞。

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1980年代のイギリスから1950年代の原爆の爪痕が残る長崎を振り返り、広瀬すず演じる「悦子」と二階堂ふみ演じる「佐知子」が交錯する。

何度も縄が出てくるが、首つり自殺や、悦子と佐知子の交錯を暗示しているのかもしれない。

悦子と佐知子のシーンやセリフが、時には差別を受けたり残酷なシーンまでもが重なり合うのは、戦争や原爆に翻弄された人たちの運命のはかなさなのだろう。
(ただし、友人との会話という形で長崎時代を振り返っているが、嘘と本当が混じりあい、実は一人の回想録という説もある。)

人間の言葉やしぐさ、表情の機微がよく表現されていて、考えさせられる映画だった。


9日からは山形国際ドキュメンタリー映画祭。SNS全盛時代だからこそ一定の時間をかけてスローで鑑賞する映画の役割が大きくなっている。