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アフリカ野球

「アフリカ野球ナンバー2」ウガンダ出身の2選手がロサンゼルス・ドジャースと契約

アフリカ野球に久々に大きなニュースが入ってきました。





ウガンダ人選手であるBen SerunkumaとUmar Maleの両名がロサンゼルス・ドジャースと契約したというニュースです。もちろん、ウガンダ人選手がMLB球団と契約を結ぶのは初めての事となります。


このニュースがいかに大きなニュースであるかを伝えるには、やはりアフリカ野球の勢力図を説明しないわけにはいきません。



アフリカ野球の力関係は雑に言ってしまうと「南アフリカとその他大勢」という言い方が出来る。

オリンピック(00年シドニー大会)やWBC本大会(06、09年)にアフリカ勢として唯一出場歴のある南アフリカはそうした世界大会レベルでは弱小国になるのですが、アフリカ人初のMLB選手であるギフト・ンゴペ(元パイレーツ)や同じくMLB昇格を果たしたタイラー・スコット(元広島)、昨年は台湾プロ野球でプレーしたダイラン・アンスワース、101マイルを計測したことがあるキエラン・ラブグローブ(エンゼルス傘下)など、現役で4人の3A級経験者がいて、MLB傘下でプレーするマイナーリーガーとなると毎年のように輩出しています。17年大会のWBC予選の決勝ではオーストラリア代表と互角の勝負を演じました。他のアフリカ勢はそう遠くない昔にルールを教え徐々に普及をさせるところからスタートしたような国々であり、怒られるのを承知で言えばプロと子供くらいの実力差がある。


そんなアフリカ野球の勢力図の中で、南アフリカではない国からMLBと契約する選手が出てきたからビッグニュースなわけです。
ただ、「南アフリカとその他大勢」という勢力図に風穴を開ける存在として期待されてきたのも近年のウガンダなんですよね。



近年はJICA(青年海外協力隊)の野球隊員が派遣されていて、日本の野球とも関りが深い。
日本の独立リーグにウガンダ人選手が挑戦したケースもありました。


ただJICA隊員などが派遣されていて、細々と野球が普及していっている国はそれなりにアフリカやアジアにも存在してきています。
ウガンダがそういった単なる「その他大勢」一つではないという印象を与え始めたのは、2014年に行われたU17アフリカ選手権でしょう。


これに関しては下手な説明をするよりも、結果を貼ってしまった方が分かりやすいかもしれない。


U17アフリカ選手権(2014年12月・ケニア)

1日目
南アフリカ8-5ウガンダ
タンザニア20-14ケニア

2日目
ウガンダ25-2タンザニア
南アフリカ30-0ケニア

3日目
ウガンダ36-1ケニア
南アフリカ34-1タンザニア

準決勝
ウガンダ15-0タンザニア
南アフリカ24-0ケニア


決勝
南アフリカ4-1ウガンダ


年代別の大会を含めてアフリカ野球は公式な国際大会が行われること自体が希少です。この2014年の大会は翌年に日本で行われたU18ワールドカップの予選として行われた大会なのですが、ウガンダがその他大勢というよりは「南アフリカ側」にいることを示すような結果なっています。
かつてのアフリカの国際大会では南アフリカがアフリカナンバー2的な存在だったナイジェリアにすら大勝するというイメージだったのですが、南アフリカが同じアフリカのチームに接戦にされてしまうというおそらく初めての結果が残っています。


2016年にMLBアフリカエリートキャンプ(アフリカの各地でトライアウトを行い、選抜された選手がアフリカ野球の拠点である南アフリカに集結。トレーニングとショーケース的な役割を兼ねたものが行われる)の参加選手決めるトライアウトでは8人の選手が80マイル以上を計測し、一人は87マイル(140キロ)を記録しました。

JICA隊員としてウガンダで教えていた方は侍ジャパンの公式サイトのコラムに「日本の高校野球地方予選の3回戦ほどという印象です。初戦敗退はしないけれども、シード校に勝つには厳しいかな、というレベルです」と評している。

U18南アフリカ代表と3点差のゲームをやれていることや、130キロ以上を計測するレベルの投手ならそこそこいるという情報とその評価はおおよそ一致するとみていいでしょう。
ちなみにウガンダと戦ったU18南アフリカ代表がどんなもんか私は大阪までワールドカップをわざわざ見に行ったくらいです。



このような評価が固まってきている中で、2019年に行われた東京五輪・アフリカ予選。
成人世代のアフリカ選手権は北京五輪のアフリカ予選として2007年に開催されて以来12年ぶり。
ウガンダは南アフリカとの距離感がどれだけ縮まっているかを知る絶好の機会でした。



結果を先に書いてしまうと、ウガンダは無事南アフリカと戦う決勝戦に進出するも27-0の5回コールド負けで大敗。むしろ南アフリカの背中が遠くなっていると言わざるを得ない結果になってしまいました。

ただ、個人的にはこのスコアがウガンダと南アフリカの現状の距離感を示しているものとも思えないんですよね。

というか、私もアジアの大会を中心に実力差の大きい国際試合をたくさん見てきましたが、5回コールドの27-0というのは実力差が大きいというレベルの話ではなく格下側が自力でほぼアウトを取れないくらいのレベルでないと起こらないスコアです。
それだけ野球というスポーツで延々と野手のいないところに打ち続けるのは難しい。


この試合はバックネット裏の1カメラの粗い映像による配信があったのですが、おそらくウガンダは6つか7つかもしくはそれ以上ののエラーをしていて、2番手か3番手あたりの投手からまともにストライクが入らず、ストライクが入っても延々と外野に飛ばされるという感じでした。


国内組のみで編成された南アフリカ代表も元マイナー選手や欧州でプレーしていた経験を持つ選手も抱えるチームですが、130キロ級の投手を延々と打ち続けるような打力はない。というかそれは例えば侍ジャパンでも簡単ではないと思われる。南アフリカの国内組の投手陣も元マイナーの80マイル後半から90マイルを投げるような投手もいますが、80マイルそこそこのウガンダの投手とそう変わらないような投手もいるわけで。


何が言いたいのかというと、この予選のウガンダはベストなチーム状態・編成で戦えてたの?ということです。序盤に大量失点して戦意喪失してしまったという要素もあったにせよ、「U18南アフリカに3点差の試合をするチーム」「高校野球地方予選の3回戦レベルにあるチーム」が「南アフリカの国内組の成人代表に5回で30点近く取られる」とは思えない。このアフリカ予選の初戦の時点ではビザの都合で6人が合流できていないなんていう話も聞いていますし、この予選の結果はウガンダ球界の本来の実力を出せた結果ではないと想像しています。あくまで想像でしかないんですけどね。



WBCに予選が導入されるようになってから南アフリカは本大会に出場できていない(=予選止まり)わけで、その南アフリカに大敗してしまったという「事実」を踏まえると、ウガンダがWBC予選に招待されるのも遠い未来の話になりそう。ただ本来の伝え聞くウガンダ代表の評価ならば予選に出場できるくらいの実力はある(パキスタンに次いで予選の中では弱小の扱いになってしまうだろうけど)。MLB側もある程度地域性を重視した招待をしようとしているフシはあるので、WBC本戦・予選の全28か国中アフリカ勢が南アフリカの1か国という現状を考えるとある程度のレベルに達していれば招待したいという思惑はあってもおかしくない。ウガンダ代表がまた新たに世界の野球との距離感を示す機会があれば、WBC予選に招待される可能性もあるのではないかと思う。(20年7月のスポーツ報知ではケニアで野球指導をする元ロッテ藤田宗一氏が「当初来年に開催予定だったWBCが2023年に延期されるという話が出ていますが、予選に出場できるアフリカ枠が2つに増えるという可能性があるみたいです。」と話していたりする。)



話が大きくそれてしまったので本題に戻ろう。
今回契約したBen SerunkumaとUmar Maleの情報は正直少ない。
Umar Maleがキャッチャー、Ben Serunkumaは右投手であること。
二人は共に東京五輪のアフリカ予選のメンバーであることくらいしか分からない。


中南米の野球が盛んな国から契約に至るような選手たちほどのスペックはおそらくない。
今回はJoshua Kizito Muwanguziコーチも一緒に指導者としてドジャースと契約することとなっており、ウガンダ野球の未来への投資という要素もあると思うので、少し下駄を履かせたうえでの契約だと思われる。ちなみに契約金は1万ドルらしい。

ただマイナー契約に至るヨーロッパの野球選手くらいのカタログスペックはあると思われる。
欧州の野球選手はピッチャーだと「18歳未満」「最速で90マイルは投げられる」「タッパがある」というプロとしてやっていくうえで最低限のポテンシャルを持っている選手がいれば契約してルーキーリーグに放り込むイメージで、今回のウガンダの二人もこれに近いポテンシャルは持っているものと思われる。


ドジャースはウガンダに「アカデミー」と名の付くものを持ってるようです。
アカデミーと一言で言っても、ドミニカにあるようなスカウトされた金の卵が野球施設に住みながら寝食共にしてプロを目指して野球漬けの日々を送る「アカデミー」もあれば、不定期でやってる野球教室のようなものを「アカデミー」と言ったりもするので意味の幅は広いのですが、現地の学校と提携して、ドジャースから派遣されてるコーチに、現地出身のコーチもいるようなものらしい。今回の契約もこのアカデミーを持ってる流れから生まれたものと思われる。記者会見では学校やスポーツ庁なども出てきているので、ドジャースが現地とうまく連携しながらウガンダで野球をすることの価値を生み出そうとしていることが窺い知れる。


MaleとSerunkuma、Muwanguziコーチはドミニカにあるドジャースのアカデミー施設でプロキャリアをスタートさせることになります。現地で行われているマイナーリーグのルーキー級、ドミニカンサマーリーグの公式戦に出場することが第一目標になってくるでしょうか。


南アフリカ以外のアフリカの選手がMLBと契約するというニュースは、実はこれが初めてではありません。今から20年前の話になるのですが、2002年にミルウォーキー・ブルワーズがAugustine OzoredeとGbenga Olayemiのナイジェリア2選手と契約。ブルワーズは当時南アフリカの選手も積極的に獲得しており、その流れの中での獲得だと思われる。前述したようにナイジェリアは当時はアフリカ野球ナンバー2と言える国でもあり、今回のウガンダのニュースとよく似た話でもあります。
Augustine Ozoredeは渡米前に交通事故で死亡、Gbenga Olayemiは1シーズンだけルーキーリーグでプレーしたという記録が残っている。ナイジェリアはこの契約を発展に結びつけることは出来ず、東京五輪予選でも後発のブルキナファソに大敗するなどアフリカナンバー2のポジションでもなくなってしまいました。

持続性がなかったナイジェリアの件と比べれば、日米の協力のもと土台が出来つつあるウガンダの今回のニュースは将来に繋がるようなものだと思います。世界の野球界が待望する「南アフリカに続くアフリカ勢」が生まれることに期待したい。

12年ぶり復活のアフリカ選手権(東京五輪予選)は南アフリカ代表が優勝! アフリカ野球最新の勢力図を研究してみよう

以前、私は野球のアフリカ大陸における南アフリカ代表について「アジアにおけるラグビーの日本代表」と表現したことがありました。世界大会では全く勝てないけど、ローカルの大会では敵がいないという意味で共通しているので良い例えだなと思ったもので。ご存知の通り、ラグビーの日本代表は2015年のワールドカップで結果を残したので、この表現は使えなくなってしまったのですが。

現状、アフリカの野球界で南アフリカと肩を並べる存在はいません。
肩を並べるかどうかという以前に、そもそも比較の機会すらありません。アフリカ選手権は北京五輪の予選として開催された2007年以降開催されておらず、年代別の世界大会のアフリカの枠は予選なく南アフリカに自動的に与えられるケースがほとんどとなっております。

毎年のようにマイナーリーガーを米国に輸出し、現在は現役のAAA級経験者が5人。アフリカ初のメジャーリーガー、ギフト・ンゴペを生み出し、WBCの予選でもオーストラリアと互角の戦いが出来る南アフリカ。

そう遠くない昔にルールを教えるところから野球が始まった多くのアフリカの国々にとっては、あまりにも大きすぎる壁です。

それでも、前回のアフリカ選手権が行われた12年前からは状況が変わっているのでは?と思わせる部分もたくさんあります。

2014年に珍しく行われたU18ワールドカップ・アフリカ予選では、兼ねてから発展が著しいと言われていたウガンダ代表が決勝戦にて5-8と3点差で惜敗の大善戦。南アフリカに3点差で負けたことがそんなに大きなことなの?と思われるかもしれませんが、数少ないアフリカ内の国際大会の過去の結果には南アフリカはコールドで勝った試合しか記録されていませんでした。私はウガンダが善戦したU18南アフリカがどのようなチームなのか確認するために翌15年のU18ワールドカップ本大会(大阪)にわざわざ足を運んだくらいですから。かつてリトルリーグワールドシリーズでドミニカ共和国を倒すなど快進撃を見せた世代が成人年代まで上がってきており、MLBのトライアウトでも80マイル超のピッチャーが何人も確認されるなど、期待させる要素は多い。

そして先月には、高知FDのサンホ・ラシィナ、日本人監督の出合祐太さんらが率いるブルキナファソ代表が、1次予選に当たる西アフリカ予選で快進撃。これまでアフリカのナンバー2とされてきたナイジェリア、ナンバー3とされてきたガーナを相次いでコールドで撃破。

アフリカの2番手グループの勢力図の変化と、南アフリカと2番手との距離感の変化。
東京五輪の追加種目に野球が選ばれたことから生まれたアフリカ選手権復活という副産物を通じて、我々はアフリカ野球の最新の勢力図を知ることが出来るのです。

アフリカ選手権が五輪予選としてしか開催されてこなかった原因は色々なものが挙げられますが、その一つは「そもそも何をどうやったって最後に優勝するのは南アフリカだから」という元も子もない理由があると思います。
果たして、アフリカ選手権が開催されてこなかったのは正しかったのか。ある程度の答えは今大会の中にあるのではないでしょうか。






●1日目

南アフリカ18-0ウガンダ
ブルキナファソ11-5ジンバブエ


南アフリカ代表は当然シーズン中のため、現役マイナーリーグ組は不参加。これが他の大陸のチームと対戦する国際大会なら大きすぎる痛手なのですが、アフリカレベルでは圧倒的に層の厚い南アフリカはおそらくこれで問題ないと踏んでいるものと思われる。実際国内でプレーする元マイナーリーガーはたくさんいますからね。投手陣では元レッズ傘下のロバート・ルイスウォーカーや06WBC出場メンバーでもある92マイル右腕のジャレッド・エラリオ、打線では16年のWBC予選で4番を打っていたカイル・ボサらが中心となってくるものと思われる。

この予選、この4チームの他にケニアとナイジェリアが参加予定だったのですが、ビザの問題で不参加に。国際大会で予定されていた国が出揃わないのはアフリカでは恒例のこととなってしまっています。
南アフリカ以外のチームは全て日本からJICAなどを通じて支援を受けている国というのも少し考えさせられますね。

チーム数が減った結果予選形式をどうするか二転三転し、最終的には予選リーグで1位から4位までを決めてその後準決勝(1位×4位、2位×3位)を行うという形に着地。
3連敗しても準決勝には進めるし、この予選リーグをどう戦うかは結構難しい。ライバル相手に死んだふりをしたり、戦力を出し惜しみをしておくのが正解なのか、ある程度戦える手ごたえを得ておくのが正解なのか。

ブルキナファソ対ジンバブエはジンバブエが勝利。ブルキナは西アフリカ予選でナイジェリアやガーナ、前回のアフリカ選手権(07年)の2位と3位に大勝して勝ちあがってきているとあって前評判は高く、波乱の幕開けとなった。いや、これが波乱かどうかもまだ分からない。それだけ、まだまだアフリカの野球の勢力図を考える上で、参考材料が少ない。

一方、南アフリカへの対抗馬の1番手とされていたウガンダは大敗。中盤までは4-0と粘っていたものの、6回と7回に13失点し崩壊。この試合の時点では6人がビザの都合で合流出来ていなかったこと、初戦と言うこともあり途中から選手を試すような起用をしていたらしく、これらの要素も影響していたと見られる。

●2日目

ウガンダ15-0ジンバブエ
南アフリカ18-3ブルキナファソ


予め書いておくと、野球の国際大会においてスコアだけを切り取って色々推しはかろうとするのは私の経験上、あんまり良くないことと考えている。

野球の発展途上国は集中力のムラが大きいことが多く、本来それほど実力差がないチーム同士の試合でも、序盤に失点が重なるとそのまま戦意喪失してワンサイドゲームになってしまうことがよくある。同じ国でもピッチャー間の実力差が大きく、その試合の使う投手によって全然チーム力が変わってしまうことも多い。結果だけを見て、「Aに何対何で勝ったBに何対何で負けているから・・」といった具合で不等号をつけるのは本来あまり向いていない。

今回は情報がスコアくらいしかないので、そのスコアを中心に語るしかないのですが、それには限界があるということも頭の片隅に置いておいて欲しい。

ウガンダはジンバブエに大勝。東アフリカ予選に続いて、ウガンダは(南アフリカ以外の)アフリカ勢には圧勝する展開が続いています。一方でブルキナファソは南アフリカから3点を初回に先取。内野7人という奇策も出合監督はとっていたらしい。
南アフリカは07年のアフリカ選手権でナイジェリアに2失点していますが、3失点はおそらくアフリカ勢相手には初めてのものと思われる。WBC予選を見ていても、序列が低い方の投手は80マイル前後の軟投派とかがいたりして、そういった投手がちょびちょび失点するのはありえるな、という印象。
とはいえ、南アフリカはショートのジョナサン・フィリップス(元ブルワーズ傘下)を中心に守備はしっかりしているので、それをかいくぐって得点しているのは結構凄いんじゃないかと思う。早く得点しすぎたことで、南アフリカもスイッチが早く入ってしまった側面もあるかもしれない。


●3日目

南アフリカ16-1ジンバブエ
ウガンダ21-15ブルキナファソ



南アフリカの対抗馬筆頭格のウガンダと、西アフリカ予選で快進撃を見せたブルキナファソ。
本来アフリカ2番手を争う好カードなのですが、翌日の準決勝のことを見据えるとこの試合をどう位置付けるべきなのか難しい。まあ準決勝で南アフリカと当たるのは避けたいので、勝ちたい試合ではあるのだろうけど。
ブルキナファソが7点を先行するというまさかの展開も、2回裏にウガンダ11得点を奪う猛攻。
アフリカらしいと言っていいのか分かりませんが、大味な試合となってしまいました。


これで予選リーグは

①南アフリカ 3-0
②ウガンダ 2-1
③ジンバブエ 1-2
④ブルキナファソ 0-3


という結果に。これに基づいて準決勝の組み合わせは南アフリカ(1位)×ブルキナファソ(4位)、ウガンダ(2位)×ジンバブエ(3位)。肩慣らしは終了。ここからが本番です。


●準決勝

南アフリカ16-5ブルキナファソ
ウガンダ21-5ジンバブエ

予選リーグで南アから3得点していたブルキナファソが今度は5得点。そのうちの1点はラシィナのソロホームランだそうで。南アフリカは再びアフリカ勢相手の失点記録を更新。
前述したように南アフリカ投手陣の中でも序列が低い方のだいたい120キロ後半くらいの投手はしっかりとらえられる打力が少なくともブルキナファソはあるということだと思われる。もちろん、主力級の投手も打っていた可能性はある。

ウガンダは21得点の圧勝で、東アフリカ予選から(南アフリカ戦を除けば)全ての試合で二桁得点以上をあげて全勝と、南アフリカの対抗馬筆頭格として下馬評通り決勝にコマを進めました。

決勝・南アフリカ戦で使う投手を極力使わずに準決勝で勝ちきるというミッションがあったと思いますが、大量得点のランサポートがあったのは大きいかもしれない。相手がブルキナファソだったら予選リーグのような展開になって主力投手を引っ張り出されていた可能性は否定できず、ブルキナが予選リーグ4位だったことが間接的にウガンダのアシストになっているかもしれない。

ダブルエリミネーション方式のWBC予選でも、ストレートに予選決勝に進んだ本命チームの対戦相手を決める敗者復活二回戦のカードが拮抗していることが多く、ここで無駄に投手の消耗戦になってしまうことが本命チームを楽にしている側面があったりします。このアフリカ予選はWBC予選のように球数制限のようなものはありませんが、準決勝の投手起用が決勝の展開にも繋がっているのは間違いないでしょう。

●決勝 南アフリカ27-0ウガンダ(5回コールド)

※三位決定戦はジンバブエが17-16でブルキナファソに勝利

この記事はこの予選が始まる前から書き始めたものなのですが、正直に言ってしまうとタイトルは始めから「南アフリカ優勝!」としていました。
それだけ、南アフリカと言う壁はあまりにも厚い。それでも、その具体的な距離感は実際に戦ってみないと分からない。2014年のU17代表の善戦もあって、距離感がどのくらい詰まっているのか楽しみにしていた人もいたと思います。

結果はご覧の通りの大敗でした。南アフリカの打者は苦も無くどんどんウガンダの投手のボールを様々な方向に弾き返していきます。この試合はライブストリームがあったのですが、ピッチャーが投げた後にバッターにカメラが切り替わってしまうため、ピッチャーの球筋やスピード感を目測でも計るのは難しい。ただ、根本的に南アフリカのレベルからすれば球威不足なのかなーという印象を受けました。

野手の正面にいった打球も強い打球が多く、さらに守る側からすればしんどい展開。徐々に集中力を失っていきます。仕方なくピッチャーも途中から変わっていくのですが、当然良いピッチャーから順につぎこんでいくので、変われば変わるほど状況は厳しくなっていく。最後の方はかなり制球が定まらない状況に。こうしてアウトにするのすら難しい試合が進んで行きました。


準決勝では5失点を許すなどちょっと可愛げも見せていた南アフリカの投手陣。これも前述したように序列が下の方の投手は130キロ前後くらいの技巧派だったりするのですが、今日先発したジャレッド・エラリオは06年にワールドベースボールクラシックの本大会で高校生として登板している投手。
WBCではアレックス・ロドリゲスやデレク・ジーターのいたアメリカ代表相手にも投げている。16年のWBC予選では92マイルを計測していました。下手な技巧派投手ならバットに当てられて何かを起こされる可能性がありますが、相手が未経験レベルの速球でねじ伏せてしまえば何も起こらない。そんな狙いもあったのでしょうか。


ウガンダのチーム事情はよく分からないのですが、想像するに南アフリカと善戦した2014年のU17アフリカ選手権代表とおそらくチーム力はそれほど変わらない。一方で、U18世代の南アフリカと、年齢制限のない南アフリカ代表はレベルが全く違うチームです。ウガンダは今の代表チームが野球の発展と共にアンダー世代から一緒に成長してきた最初の年代というイメージでしょうか。層の厚さが全然違う。それを見せつけられてしまいました。

この試合展開になった時、侍ジャパン公式サイトのウガンダ野球のコラムに書いてあったことを思い出しました。

"世界の野球" ”アフリカからの挑戦・赤土の青春” ウガンダベースボール「強化活動について~いつかは大敗を~」


JICA隊員としてウガンダで野球を教えていた長谷さんのコラムにはこのようなことが何度か書いてあったのですが、要約すると基本的に比較対象が国内の野球だったり、東アフリカの近隣の国と親善試合をするくらいしか出来ないので、客観的で正確な自分たちの立ち位置が分かっていないという話だったと思います。以下引用

>このように各チームで日本との関わりのあるウガンダ人スタッフが指揮を取り、日本野球の長所を活かしたウガンダ野球をつくりあげようと奮闘しています。第二世代の選手達は主力として活躍し、各チームのエースピッチャーは皆130kmを記録しています。
 さて問題はこの第二世代の選手達です。上述のように各チームの主力を務める彼らは他の世代より技術、経験に優れているため発言力が強く、チームに様々な影響を及ぼします。
 仮に悪い振る舞いを行ったとしても下の世代から見れば「あの選手がああするなら自分も」といって真似をするため第二世代をどうコントロールしていくのかが今後のウガンダ野球を左右すると思っています。

さて第二世代の選手達。素晴らしい面もたくさんありますが、そうでない面も多々見られます。
「自分達は上手いから海外から支援があって当然なのに、なぜないのか」
「自分達の技術は日本でも通用するのに、お金がないから日本に行けないだけ。環境が悪い」
「バッティングマシンや筋トレ機材が欲しい。それがないとやる気がおきない」
という発言、ダラダラとした態度や審判への挑発的な抗議などのマナーの悪さも一部の選手に見られました。そしてそれは下の世代へも影響を及ぼします。

 皆さんはこのような振る舞いを目撃したとき、どのように感じるでしょうか。
「調子にのるな!!!!!!!!!」と怒りたくなると思います。しかし個別に話をすると皆いい選手ばかりです。つまりパーソナリティが悪いわけではないのです。
 辿りついた結論は「本物を知らない」ということ。彼らはこれまで本当に優れたチーム、選手を知る機会がなかったのです。

 第一世代の選手達よりも第二世代の選手達のほうが上手い。そして経験もある。私のような日本人がプレーをしても「確かに上手いけど、それはコーチだから」ということで日本にこのくらいの技術レベルの選手がゴロゴロいることを想像できません。態度の面も同様です。例えば「道具を大切にしよう」というルールを設けてもそれは長谷の価値観によるものだという認識が強く、優れている選手が皆道具を大切に扱っている姿を想像できません。つまり彼らはアフリカ野球の最前線にいるが故、モデルがないのです。日本やアメリカは野球が強いという情報は知っていても、自分達に毛が生えた程度の強さで、ある程度戦えるだろうとしか思っていないのです。

そしてある時ふとこんなことがよぎりました。
「あーそういえばあいつらボロ負けしたことがないんだ」
よく考えると彼らは大敗をした経験がないのです。自分達はまだまだだなと感じられるような強いチームを体感として知りません。

 2011年のリトルリーグ世界選手権では中東・アフリカ予選を突破するも、ビザ申請の問題で本選に出場できないという事態がありました。また2014年のU-18ワールドカップ予選では圧勝が予想された南アフリカを相手に善戦し関係者を驚かせました。
こうしたことが重なり、自分達の実力は世界でも通用すると過信しているのでしょう。そしてビザ申請問題で出場辞退を余儀なくされた経緯は世界に出られないのは実力ではなく環境が悪いという言い訳をするクセを作ったように思います。過去に対戦をした中東の国々や南アフリカよりも遥かに強い国があり、そこでは自分達と同い年にも関わらず、技術、精神両面に優れた一流の選手達がゴロゴロいることを体感して欲しいと思っています。

「ウガンダチームが日本へ遠征し、各地で試合をして大敗を重ねる」という企画を実行することが今の私の夢です。

この予選をもって初めて、ウガンダは自分たちの立ち位置と世界の野球との距離感を知るのかもしれません。冒頭にラグビーの話をしましたが、それこそ日本が1995年のワールドカップでオールブラックスに145失点の大敗を喫した有名な試合のようなものなのかもしれない。


>果たして、アフリカ選手権が開催されてこなかったのは正しかったのか。ある程度の答えは今大会の中にあるのではないでしょうか



最初の文に私はこう書いていますが、そもそも私の認識としてはやる意味のない国際大会など基本的にはありません。しかし、南アフリカ側からすれば「アフリカ選手権は次も五輪があるときだけで良いよ」と言わせてしまう結果になってしまったのも事実です。

ただ、こういった経験をウガンダなど他のアフリカ勢が出来たのも普段はやっていないアフリカ選手権が開催されたからこそです。まだまだ距離は遠いかもしれませんが、かつての「アフリカナンバー2」だったナイジェリアが新興勢力と言っていいブルキナファソに完敗したことからしても、少しずつですが前に進んでいると思います。

次にアフリカ選手権がいつ行われるかは分からない。
しかし、次回アフリカ選手権が行われた時こそ南アフリカにとって歯ごたえのあるチームがアフリカにもあると認識してもらえるように、この大会の経験を元にもっと前に進んでいって欲しい。そしていつかこのアフリカ選手権が他の大陸と同じようにコンスタントに開催される日が来ることを、私は期待しています。




東京五輪西アフリカ予選でブルキナファソ代表が躍進

オリンピックに野球競技が3大会ぶりに復活する。
当然ながらオリンピック本大会で行われる野球も楽しみなのですが、それに付随して行われる「五輪予選」こそが国際野球オタクにとっては真の楽しみどころなのかもしれない。

各地域で行われる五輪予選は、既存の大会が「兼五輪予選」として行われる形が基本なのですが「五輪予選」としてしか開催されない大会も存在する。
その一つが12年ぶりに復活した「アフリカ選手権」になります。その名もズバリ、アフリカナンバーワンを決める大会なのですが、この大会は基本的に五輪予選としてしか開催されてきませんでした。

現実には開催国日本を除いて残りたった5枠しか残っていない五輪出場枠にこの地域の国が滑り込む可能性は限りなく低い。さらに元も子もないことを言ってしまえば、アフリカ選手権を制するのはほぼ間違いなく南アフリカだと思う。そんな現実の中にあっても、このアフリカ選手権に多くの国がエントリーしている事実は、オリンピックに野球競技が存在する意義を示しているように思います。


アフリカの野球は、端的に言っていしまえば「南アフリカとその他大勢」という表現に落ち着く。

2017年にギフト・ンゴペというアフリカ初のメジャーリーガーを輩出し、現役のAAA級経験者を5人抱えている南アフリカはアフリカのレベルの中では別格の存在。この南アフリカに続く2番手との差が非常に大きく、数少ないアフリカ内の成人世代の国際大会に残っている記録でも南アフリカが接戦に持ち込まれたような形跡すら見当たらない。アフリカ選手権が開催されてこなかった理由としても、南アフリカが飛び抜けた存在であることも一因に挙げられます。

今回復活するアフリカ選手権の最大の楽しみは、「南アフリカと2番手の差が縮まっているか」と、「そもそも2番手が今はどこなのか」という部分になってきます。
SNSが発達した昨今、思いのほかヨーロッパやアジアなどのマイナー国の情報は手に入れやすくなっているし、だからこそ日本から一歩も動かない僕がこういうブログを書くことも出来ているのですが、アフリカは情報量が少ない。そもそも大会が行われないので当事者たちですら相対的に自分たちがどういう立ち位置にいるのかすら把握するのは難しいと思われる。

そんな中でアフリカ選手権のブロック予選として開催された先日の西アフリカ予選(ガーナ)。
ここでいきなり思わぬ展開が待っていました。




アフリカの野球は南アフリカと2番手との差が大きいという話をしましたが、そんな歴史のなかで南アフリカに続く2番手という地位にいたのがナイジェリアという国でした。

長年アフリカ野球連盟の事務局が置かれており、英語圏でかつアフリカの中では経済力の高い国。というバックグラウンドもあり、アフリカナンバー2という評価を得ていたナイジェリア。南アフリカ以外では唯一マイナーリーガーを生み出した実績もあります(02年にブルワーズのRkで1年プレーしたGbenga Olayemi)
今大会の選出メンバーも各州から選抜された選手が何度もふるいにかけられて絞られ選ばれたメンバーだそうで、そういった選考システムがオーガナイズされている点も含めて弱体化しているとは思えない。ガーナは日本の支援などもあって発展してきた国の一つであり、前回のアフリカ選手権(07年)ではナイジェリアに続く3位という成績でした。

そんなアフリカのナンバー2と3とされてきた国がなんとブルキナファソ代表に立て続けにコールド負け。ブルキナファソが初戦でナイジェリアにコールドで勝った時は思わず「衝撃」とtwitterに書いてしまいました。2戦目に今度はブルキナファソがガーナからも大量リードを奪った時は「まさか」とも書いています。

でも、よく考えてみれば私は10年以上も前の国際大会の結果などをベースに勝手にアフリカ野球の番付表を頭の中に作って、勝手にその脳内番付とのギャップで「衝撃」とか「まさか」とか言っているわけで。当事者たちから見れば結構失礼な話なのかもしれない。
まあ番付表が古いのならば、今回はそれをアップデートする唯一にして最大の機会ですよね。


●高知FDサンホ・ラシィナ率いるブルキナファソ代表

ブルキナファソの野球にける最大のシンボルと言えば、四国アイランドリーグ・高知ファイティングドッグスに所属するサンホ・ラシィナ選手です。

ブルキナファソの野球は今から10年ほど前、JICA(青年海外協力隊)の野球隊員として日本人指導者が派遣されたことが大きな発展のきっかけとなっており、当時派遣されていた出合祐太さんが帰国後も中心となってブルキナファソ野球発展に関わっています。現在は地元の富良野でパン屋を経営しつつ「北海道ベースボールアカデミー」を設立。アカデミーにブルキナファソの選手を呼び寄せ、ブルキナファソ代表チームの監督も務めています。2015年からファイティングドッグスでプレーするラシィナも元々出合さんの教え子であり、彼のバックアップがあって入団テスト合格に繋げています。


私は高知の人間なので、ラシィナのプレーする姿は何度も見ているのですがチームでは時に5番を務めたほどの力強い打力があり、内野守備(セカンドやサード、ファーストの3ポジション)もスムーズにこなしている印象です(18年から登録上は外野手に)。足も速い。
アフリカ出身だからと言って下駄を履かされてプレーしている印象はありません。バリバリの主力でもないし、分かりやすい好成績を残しているわけではないのですが、独立リーグでプレーできる水準に達している選手と言える。そもそも下駄を履かせるのならば、2013年に一度入団テストに落とされたりしてないでしょうし。


ブルキナファソ代表全体のプレーについては正直想像でしか語ることができない。ただ、従来のアフリカ二番手グループの国々に大勝した事実からすると、これまでのアフリカ二番手グループとは一味違うレベルにあるのではないかと期待をしてしまいます。

ブルキナファソはナイジェリアと共に5月に南アフリカで行われるアフリカ選手権本戦に進出します。
そこには絶対的王者南アフリカと他に、ブルキナファソと同様に「新・アフリカ2番手」グループに属すると思われるウガンダも東アフリカ予選を勝ち上がってくるでしょうし、ブルキナファソ同様に躍進を見せる新興国もまだ他にあるかもしれない。アフリカ野球の最新の勢力図を確認できる希少な機会をみなさんもチェックしてみてはいかがでしょうか。

パイレーツの南アフリカ出身内野手ギフト・ンゴペがメジャー昇格 アフリカ大陸初のメジャーリーガー誕生へ






ジャッキー・ロビンソンのメジャーデビューからちょうど70年。
ついにアフリカ大陸初のメジャーリーガーが誕生することになりそうです。
ピッツバーグ・パイレーツのAAAでプレーしている南アフリカ出身の内野手、ギフト・ンゴペがメジャーに昇格するというニュースが入ってきました。
2009年のWBC本大会でも印象に残る活躍をしていただけに、知っている人は8年前から知っているような存在なのですが、ようやくメジャーに上がることに。
スピードと華麗な内野守備が持ち味の一方、小柄で打撃の非力さが昇格を阻んでいたのですが、少しずつですが成績は向上を見せていました。2016年のWBC予選では決勝のオーストラリア戦ではトラビス・ブラックリーからホームランを放ったのが印象深い。今年はスプリングトレーニングでも好調でしたし。
同じパイレーツから一昨日はリトアニア人のネブラウスカスがメジャーデビューを果たしましたが、ンゴペの場合は国どころか大陸を背負った存在なだけによりその意義は大きいと思われる。
とくにアフリカでは実力が飛びぬけている南アフリカ代表は裕福な層である白人選手が中心となっていて、そういう意味でもブラックアフリカンであるンゴペの昇格は南アフリカの野球にとっても、アフリカの野球界にとっても大きい。
パイレーツの傘下にはンゴペの弟もいますが、既に南アフリカ出身のマイナーリーガーはたくさんいます。
ウガンダのようにそろそろマイナーリーガーが誕生してもいいのでは?という実力をもった国も台頭してきていますし、四国アイランドリーグの高知ではブルキナファソ出身のサンホ・ラシィナが戦力としてしっかり貢献しています。
ンゴペがジャッキーロビンソンのようにいつの日かパイオニアとして讃えられるような、そんなアフリカ野球の未来に繋がっていって欲しいですね。


(※追記:さっそくンゴペは出場し、初打席で安打を記録しました。)










ウガンダでMLBのトライアウトが開催

毎年、アフリカの各地でトライアウトを行い、選抜された選手がアフリカ野球の拠点である南アフリカに集結。トレーニングとショーケース的な役割を兼ねたものが行われるMLBのアフリカエリートキャンプですが、ウガンダで行われたトライアウトの詳細が紹介されていました。





最速87mphを含め、80mphクラスが結構いるようでして、19歳以下でこれくらいいるわけですから、U18で南アフリカと互角にやれるのも頷けますね。
ちなみに、ヨーロッパの選手だと右なら89マイル、左なら87マイルくらい出れば、十代ならMLBのチームと契約しマイナーリーグでプレーするチャンスが与えられる印象です。ヨーロッパを始め、野球の後進国はアメリカ本土の選手や中南米の選手と比べると獲得に至るハードルが低い分、マイナーでは苦労するというか、2年くらい一番下のリーグでもパっとせずリリースされることが大半なのですが・・・。
昨年はこのアカデミーから南アフリカのヴィンス・デイゼルがピッツバーグ・パイレーツと契約していますが、ウガンダから契約に至る選手もいずれは出てくるのでしょうか。。
ちなみに、南アフリカ以外のアフリカ人選手がMLBと契約したケースは2002年にブルワーズがナイジェリアの2選手と契約を結んだことがあります。片方は渡米前に交通事故で死亡、もう片方はルーキーリーグで1年プレーしただけでしたね。それ以降は出ていないと思います。

ウガンダの国内リーグが復活

ウガンダの国内リーグ戦が復活したそうです。
経済的な問題で2年間休止していたようですが、日本の支援もあって復活したとのこと。8チームによって行われるらしい。将来的には完全な自立を目指してると(日本のウガンダ野球を支援する団体のFBページには)書かれています。
ウガンダの野球と言えば、リトルリーグワールドシリーズでの活躍や、U18ワールドカップ・アフリカ予選での南アフリカとの善戦によって国際的な評価も高まってきている国。僕もウガンダはどれくらいの国とあそこまでやれた(アフリカ予選決勝は南アフリカと7回まで1点差)のだろうと、ウガンダの実力を間接的に測るために大阪までU18南アフリカの試合を見に行ったほど(参照:http://www.plus-blog.sportsnavi.com/sekainokakyu/article/566)です(笑)
今やっているWBC予選ラウンドの将来的な参戦や、東京五輪予選をやる頃にはさらなる成長が期待されますね。


U18南アフリカ代表の戦いぶりを振り返りながら、アフリカ予選で敗れたウガンダ野球のことを考える話

6年ブログをやってきながら、カテゴリーにある「アフリカ野球」の記事がほとんど埋まっていないので書いてみました。
「国際野球ニュース」ではちょくちょく触れているのですが・・(汗


先週まで行われていたU18ワールドカップの話です。僕は2日目と3日目を見に行ってきました。


時間の都合上本来は南アフリカの試合は見れない予定だったのですが、2日目の豊中で午前にゲリラ豪雨があったらしく、1時間延びたおかげでキューバ戦を5回途中から見ることができました。

この大会当たっているキューバ相手に0-7とコールド回避と上々な試合内容。



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内野手はみな難しい打球以外はしっかりさばける水準にあり(僕が来る前にセカンドのンゴエペ弟が何度かやらかしていたようですが)、スローイングもしっかりしていましたね。とくにショートのスミスとサードのディッカーリックス、この二人はスムーズにさばいていました。

今大会の守備成績でも、スミスは28個の補殺(内野手の場合、ほぼ自分がさばいてアウトにした数)で2エラーの守備率.946
デイッカーリックスも同じ28補殺で3エラーの.932。
高校世代の野球後進国でこれくらい守れたら上等すぎます。マイナーリーグにも内野手を多く輩出し、現在南アフリカ出身選手の最高位にいるパイレーツAAAのギフト・ンゴペ(今大会のセカンドの兄)も守備型のショートストップですしそういう選手を生み出せる土台はあるのでしょう。

ンゴペ弟も、セカンドとショートを守りながら19補殺の4エラー、守備率.900を記録。(追記:2016年1月にンゴペ弟もパイレーツとマイナー契約)




とくに台湾戦では身体能力の高さを感じさせられるプレーもやっています



ちなみに、捕手のスローイングはワンバウンドしたりなど精度は見劣りするものの、いいときはしっかりと二塁へストライクのボールを投げたり、一塁への牽制を投げたりなど完全なフリーパスレベルではない。
外野手は守備力を測れるレベルの打球はなかったものの、頭上を越す打球への対応力はハイライト映像を見る限りだとかなり拙い。肩は悪くない、という感じ。



ピッチャーもこの試合は制球は荒れ気味ですが130km/hくらいは出ていたので、内野守備とこの二つがコールドを避けられた理由なんじゃないでしょうか。打つ方は体が大きくなく長打は期待できない打線ですが、韓国から2点を奪ったり、1次リーグ最終戦も(カナダは本来の予備日に戦う翌日からの二次リーグを控えた中での消化試合だったのですが)10点を奪っています。力の落ちるピッチャーや集中力が落ちているピッチャー相手には点を取れていたようです。

そして下位リーグに回ってからの最終戦はなんとブラジルからのアップセットを達成。
15に及ぶ内野手の守備機会を失策1で乗り切ったのが大きい


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https://www.facebook.com/BaseballSouthAfrica/photos/a.659827104105660.1073741832.474762675945438/928180937270274/?type=1&theater


6-2の大会初勝利で大会最下位ながら有終の美を飾っています。


(南アフリカ全成績)

対韓国 ● 2-17
対キューバ ● 0-7
対台湾 ●1-15
対イタリア ●2-12
対カナダ ●10-11
対チェコ ●2-5
対メキシコ ●2-4
対ブラジル ○6-2









ただチェコやイタリアには勝てなかったんですよね。
ピッチャーは多くがおそらく120キロ台くらいのスピードの投手。130以上をコンスタントに出せるレベルの投手がたぶん1,2人くらいしかいなかったことがこういう結果に繋がってるんじゃないかなと。120キロに届かない投手もいたりして、投手層は薄い。


この世代のエースで、ピッツバーグ・パイレーツと契約を結んでいるビンス・デイゼルが怪我で参加できなかったのが痛かったと思います。
88マイル投げられるらしいんですけど見たかったなー。


南アフリカの実力を測りたかったのは、もうひとつ僕的には目的があって昨年末に行われたこの大会のアフリカ予選ですね。

ちょっと振り返ってみましょう

U17アフリカ選手権(2014年12月・ケニア)

1日目
南アフリカ8-5ウガンダ
タンザニア20-14ケニア

2日目
ウガンダ25-2タンザニア
南アフリカ30-0ケニア

3日目
ウガンダ36-1ケニア
南アフリカ34-1タンザニア

準決勝
ウガンダ15-0タンザニア
南アフリカ24-0ケニア

3位決定戦
タンザニア25-13ケニア

決勝
南アフリカ4-1ウガンダ


見ての通り、ウガンダと南アフリカの結果が抜けています。
アフリカにおける南アフリカはどこも近寄ることすらできない最強のチーム(ラグビーにおけるアジアの日本とよく例えられます)
アフリカナンバー2とされてきたナイジェリアすら20点差ほどつけられてしまうのがこれまでのアフリカだったのですが、ずいぶんとウガンダは南アフリカ側に近寄っていっているのが見てとれます。
直接対決2試合とも3点差のゲームなんですよね。決勝に至っては、8回まで2-1の大接戦だったようです。

もちろん、スコアだけでは分からない部分も多いんですが・・。
このときの南アフリカのメンバーもほとんど今回のU18と同じ面子(+デイゼルもいました)、このクオリティーのチームと善戦できたウガンダも評価したいところ。

ウガンダ野球と言えば、日本が優勝したリトルリーグワールドシリーズ。



ドミニカ共和国から勝利してるんですよね。守備も動画を見る限り洗練されており、ピッチャーも75マイル(120キロ)クラスが複数人いるんですからレベルは高い。

現在独立リーグのベースボールファーストリーグにもウガンダ人投手のワフラ・ポール(兵庫)がいますよね。
あまり結果は残せてませんが、130キロ中盤まで出せると聞きます。

日本の青年海外協力隊がきっかけで野球がさらに発展したこの国。日本の支援で専用野球場も出来ていますし、ウガンダ人選手が成人になっても野球が本格的に続けられるような環境が整備されれば(現在は6チームでリーグ戦は行われていると聞きます)、南アフリカのようにマイナーリーグに挑戦する選手やWBC予選に参戦する、なんてこともゆくゆくは可能になってくるんじゃないでしょうか。

南アフリカの野球を見ながら、ウガンダ野球の実力・レベルを連想する。
なんとも理解されがたい発想ですが、情報量が少ないからこそ編み出されたこのジャンルの野球の楽しみ方の一つですね笑

ブルキナファソ出身のサンホ・ラシィナ選手がついに選手契約へ





やりました。
オープン戦でのパフォーマンスや17歳という年齢を考えると出身地という色眼鏡なしに選手契約するに値する選手に成長していたんじゃないかな、と思います。真面目な彼のキャラクターもそれを後押ししたんじゃないでしょうか。

どちらかというと、打つ方より内野守備の方を得意にしている印象ですが、ドッグスの内野陣は大城、西本、山下としっかり守れる内野手がそろっています。徐々にですが出番を増やしていきたいところ。

オコエフィーバーに便乗してナイジェリア野球の話

関東一高のオコエ瑠偉選手に便乗してナイジェリアの野球についてちょっと書いてみたいと思います。
彼のルーツであるナイジェリアはWBCに出ている南アフリカに続くアフリカナンバー2と言われている国。国内の野球もしっかりとオーガナイズされている印象です。
アフリカ野球ソフトボール連盟も長年ナイジェリアに本部が置かれていました。
ただナンバー2とはいえマイナーリーガーを多く輩出し、AAA級でプレーする選手までいる南アフリカとの差は大きく、対戦すれば10~20点差をつけられたようなスコアしか残っていません。

ナイジェリアは南アフリカと並ぶアフリカ野球の拠点となっており、英語圏というのも大きい。MLB公認のナイジェリア人コーチがアフリカの各地を巡回してたりしているようです。
2002年には南アフリカの選手もよく獲得していたミルウォーキー・ブルワーズがナイジェリアのAugustine OzoredeとGbenga Olayemiの二人とマイナー契約。Augustine Ozoredeは渡米前に交通事故で死亡、Gbenga Olayemiは1シーズンだけルーキーリーグでプレーしたという記録が残っています。

甲子園のあとに行われるU18ワールドカップのアフリカ予選が昨年末にケニアで行われましたが、ナイジェリアは当初は参加予定に入っていながらも結局不出場。おそらくは経済的な問題だったんじゃないかなと思われる。

アフリカの代表権を獲得したのはやはり南アフリカ。18Uワールドカップでは南アフリカにも注目ですね。

藤川球児凱旋試合でブルキナファソ出身のサンホ・ラシィナが奮闘

私は高知県民なのでフィーバーぶりを直に体験しているのですが、本当に凄いです。反動がちょっと怖いくらい。県民性も考えると(笑)
で、ここで僕がしたい話は藤川投手の話ではなく、この試合にサードでスタメン出場したブルキナファソ出身のサンホ・ラシィナ選手の話。ラシィナは選手登録されていないのでこういう非公式の試合でしか見ることができません。
今年は四国銀行との3月の練習試合で最後にセカンドの守備に就いてたのを確認していましたが、今日はしっかりと何度か守備機会を確認できました。今日はサードの守備に就いていたのですがしっかりと無難に捌いていました。スローイングも含めて違和感なし。
17歳でこのくらい守れたら将来が楽しみです。公式戦でも使える水準に達しているのではないでしょうか。

さて、今日の試合は蒋智賢と林哲瑄というアメリカ帰りの台湾代表コンビが台湾に戻っているので欠場。
おそらくはこのまま退団し、この後行われる台湾プロ野球のドラフトを経て母国に籍を移すことになるのではないでしょうか。
寂しさはありますが、NPBに同じ外野手のデニング(ヤクルト)やペレス(阪神)が独立リーグから移籍したことが一つの彼らに対する答えだったんじゃないかなと。
台湾の場合アマチュアから直接MLBへ挑戦している選手が多く、国内のプロ野球へいく場合はシーズン中に行われるドラフト会議を待つ必要があります。台湾出身の元マイナーリーガーが日本の独立リーグでプレーしながらNPBから声がかかるのを待ちつつ、ドラフトを経て台湾に戻る、というケースは今後も出てくるのではないでしょうか。これもまた、一つの独立リーグのあり方なんじゃないかなー、と。

もう一つのアフリカ

だいたい、アフリカの野球の話をすると話の展開はいつもこんな感じ

アフリカは身体能力高いから野球やらせたら面白そう→でもルールとか教えるの難しそうじゃね?→だいたい経済力のない国に道具の必要ような野球やらせるなんて無理でしょ→いや、キューバやドミニカだって裕福な国じゃねーじゃん→以下似たような議論が続く



スポーツ、アフリカときたら黒人の身体能力の話ばかり。
そもそもアフリカはブラックアフリカだけじゃない。文化的、特にスポーツ文化的な側面で考えれば、野球がもっと盛んに行われてももいいんじゃないかという地域があります。
それが北アフリカのアラブ圏の地域のことです。


まあこの辺もご多分に漏れずサッカーがナンバーワンスポーツなわけなんですが、中央・南アフリカ圏と比べてちと事情が違う。
そのサッカー一つとってもブラックアフリカの選手は才能さえあればほとんどが10代のうちにヨーロッパ(特にフランスリーグ)に引き抜かれる現状。国内のリーグははっきり言ってその「残り物」みたいなもんです。野球でいうとドミニカやプエルトリコみたいな感じでしょうか。国内にしっかりとしたプレーの環境がない(国内リーグはあるにはあるのですが)
対照的に、チュニジアやエジプトといった地域のサッカーはヨーロッパにも何人か優勝な選手を排出したりしているものの、ナショナルチームの選手の中心は国内リーグの選手が中心。アフリカのクラブチャンピオンシップでもこの地域のクラブチームが強豪として知られています。

また、サッカーほぼ一辺倒と言っていいブラックアフリカに対してアラブアフリカ圏はバスケットボールやバレーボールといった他のスポーツもアフリカでは強豪として知られています。地理的にもヨーロッパに近く、スポーツをやる環境が経済的にも文化的にもしっかり備わってるわけなんですね。
さて、この地域。野球のほうはどうも全くやってそうなイメージはないのですが、実はそんなことないんです。
アフリカ1のスポーツ大国エジプトは、国際野球連盟未加盟ながらも野球連盟をもっており、国内リーグもあると言われています。
管理人が以前、野球がない国としてばっさり書いていまったチュニジアにも立派な野球がありました。聞けば1920年からあるそうで、現在も国内リーグがあるそうです。半世紀前のフランスナショナルチームはチュニジアの選手で構成されたという記述まであるんですよね。レベル的には最近欧州連盟に加盟したトルコくらいでしょうか。
ですが、この両国はいままで一度も国際大会に出場したことがないんですよね。彼らにとって趣味の範疇にとどまっているってことです。


野球の一つの空白地帯である中東〜北アフリカのアラブ圏ですが、誤解してはいけないのは決してイスラムと野球の相性が悪いということではないことです。
ナイジェリアやパキスタン、インドネシアといったイスラムが非常に盛んな国でもそれなりに野球が行われているのです。
まあ空白地帯になっている最大の理由は日本やアメリカとのつながりがそれほど強くないってところでしょうかね。特にフィリピン以外の東南アジアなんかはモロ現地の日本人によって野球が持ち込まれ、普及活動が行われてきたからそれなりに野球のしっかりした実態があるわけですし。

とにかく、この北アメリカにおいて野球がスポーツの一つの選択肢になり、国際大会に参加するような日がくればそれは野球界として一つの大きな進歩と言えそうです。身体能力身体能力言わずにこっちの方のアフリカの野球にも目を向けてみてはいかがでしょうか?


野球ナイジェリア代表

ナイジェリアで思いつくこと言えば
西アフリカにある、人口がアフリカ一、年代別のサッカー代表が結構強いといったところでしょうか
旧イギリス領ですが、クリケットやラグビーは盛んではなく、専らサッカーに熱中している国
フル代表はまあまあなんですが、ワールドユースやオリンピックでは何回か世界一になっている
やたら俊足が多いイメージですね
マラソンが強いエチオピアやケニアと反対でスプリンターが多い感じ
アフリカの中では南アフリカに継ぐ大国だが、世界的に見れば経済力も治安もかなり不安定な国らしい
そんなナイジェリアという国の野球を探っていきたいと思います

・国内リーグ
州別対抗の全国大会で野球種目がある模様
他にはBogi Wings baseball championship とかいう大会があるらしいんですが詳細不明
州それぞれでも小さな大会が行われているようですが、詳細不明

・海外との交流
MLBとの交流は特になし
アフリカの五輪予選にMLBのスカウトが来ることぐらいでしょうか
日本との交流は1995年に青年海外協力隊の援助を受けていたらしい

・国際大会
アフリカ野球連盟の本部がナイジェリアにあるため、コンスタントに国際大会に出場しているとのこと
アフリカで行われている野球の国際大会はオールアフリカンゲームと呼ばれる、日本で言うアジア大会のアフリカ版の大会の野球種目だったんですが、五輪競技削除に伴い2007年のオールアフリカンゲームでは野球競技は行われなかった為、2007年の北京五輪予選はアフリカ野球連盟独自でアフリカ予選をやることになっていた。ちなみに2011年大会は野球競技は行われるらしい

でその北京五輪の予選結果は
17-3 ジンバブエ
13-5 ガーナ
2-12 南アフリカ
22-5 カメルーン

となっている
南アフリカってよくWBCなど世界大会じゃ弱いから馬鹿にされてますが、
アフリカじゃ向かうところ敵なし、全試合コールドスコアで毎度世界大会への切符を手にする状態でラグビーでいうアジアの大会での日本のような感じ
そんな頭10個抜けた感じの南アフリカに続く二番手がナイジェリア、というのがアフリカの勢力図でしょうか
ナイジェリアだけのスコアを見ても分かるとおりアフリカ予選のほとんどが一方的な試合だらけで、アフリカ内での格差も相当激しいのが分かります
アフリカの場合、治安的にも経済的にも最悪な国が多く、五輪アフリカ最終予選とはいえ、開催国まで来るには多くの資金や準備が必要なので、大会直前にキャンセルなんてのもザラ
予選の日程や会場などもコロコロ変わったりする感じです
道具と指導者の重要性が他競技より高い野球で外国からの支援なしに毎度国際大会に出てくるナイジェリアはすごいとしか言いようが無いような気がします
これはナイジェリアに限らず、国際大会に参加してくる南アフリカ以外のすべてのアフリカ諸国にもいえると思いますね
こういった国々は参加してるだけでもいいんじゃないでしょうか?
強いとか弱いとか野球になってないとか関係ないっすよね

・Henry Ekpoto
アフリカ野球関連の記事を探そうワールドベースボールというサイトを探していたら、比較的最近の記事でナイジェリアのピッチャー、Henry Ekpotoがヨーロッパリーグでのプレーを希望しているという記事を発見しました。
ラゴス州出身でポジションはピッチャーと三塁手、87マイルのストレートにカーブ投げる、西アフリカ最高のピッチャーだそうな。

ソースはこれ
African Hurler Seeking To Play In Europe

http://baseballdeworld.com/2009/12/05/nigeria-african-hurler-seeking-to-play-in-europe/

フィリピン代表のロブレス(五輪予選で日本に先発した左腕)が現在チェコでプレーしていますが、今後はアフリカや東南アジア、西アジアの選手の受け皿がヨーロッパになったりする時代がくるかもしれないですね


南アフリカを背負う男

アフリカの中では野球が比較的プレーしてる環境が整ってるとされる南アフリカですが、近年までアパルトヘイトが行われていた国であり、サッカーでも国際舞台に戻ってきたのはほんの最近、今でも黒人がサッカー、白人がラグビーをやることが多いという悪い伝統が残っているとされます。実際サッカーのコンフェデレーションズカップや先日の日本代表の試合を見た感じでもセンターバックの選手以外ほとんどが黒人の選手だったりして、この国にはまだ人種の壁があるんだなぁと痛感したりしました。野球の場合はどうなの?という話をするとやはり白人選手が中心、やはりどちらかというと野球も道具や資料が必要なスポーツである為か比較的裕福な層の人たちによってプレーしてるんだなと感じずにはいられませんでした。
と、さわりはこのくらいにして本題です
20世紀以降の近代野球ではアフリカ生まれアフリカ育ちのメジャーリーガーがいないとされるMLBですが、その壁を破るかもしれない選手の紹介をしようかと思います。ざっとスペックを書くと

名前:アンソニー・フィリップス
生年月日:1990年4月11日
出身:南アフリカ、ケープタウン
所属:シアトルマリナーズ傘下
ポジション:遊撃手
投打:右右
身長:180センチ
体重:75キロ

母国でプレーした後、メジャーのスカウトの目に留まり、マリナーズと16歳で契約、オーストラリアの野球アカデミーで研修を受けた後、ルーキーリーグを順調に卒業して現在は1Aでプレーしている。
まぁ経歴はこんなところでしょうか
ちなみに彼がそうだったかどうかはさておき、MLBのスカウトは世界中で活動しており、南アフリカにも普通にスカウトが来ているみたいです。
この辺はさすがだなとしか言いようがありません。
これだけ早い段階で先進国の野球に触れられるっていうのも大きいし結構出場機会が与えられてるのを見ると期待は比較的されているんじゃないでしょうかね。英語圏でもあるので言葉の壁もないようで
優秀な選手がどんどんアメリカでプレーすると言う状況が増えれば、同じような環境のオーストラリアのような感じに近い将来なるのでしょうか。
では彼がどういう選手なのか探っていきたいと思います

打撃
今シーズンは1Aのショートシーズンで239打数59安打の.247
で本塁打は7本で出塁率は.295
まあ初めて1Aにシーズンを通じてプレーしたこと、19歳という年齢を考えるとまあまあじゃないでしょうか?来シーズンはもっと成績を残して
2Aに昇格してもらいたいところ。
パンチ力もまあまああるようだ。三振も試合数くらいあるみたいだが、19歳の1Aの選手はだいたいこんなもんじゃないでしょうか
むしろ思い切りがいいと受け取っておきたい

走塁
もともとスピードにも定評のある選手なのだが、盗塁はあまり試みるタイプじゃないようで今シーズンは3つに終わっている

守備
ポジションは主に遊撃手でたまに二塁を守っている。
守備もメジャー流で深めに守って肩で刺す感じだった。
肩や守備範囲は普通にメジャーリーグのショートにイメージが近い。マイナーリーグとはいえ世界中から身体能力の鬼が集まるショートに居座り続けている理由がわかったような気がする。
フィールドプレーヤーで最も敷居が高いショートを守っているのはかなりのアドバンテージだし他のポジションでもやっていける能力があるということなので、この点はメジャー昇格の為の一つのアドバンテージかもしれない。あとは守備率九割三分代と言う確実性をあげるだけか

まとめ
マイナーリーガーの数が膨大なアメリカでは練習を強要しないぶん、実力のない選手はどんどん落とされていくシステムで、ある意味本当の自主性か、鬼のようなセンスが無いと生き残っていけないとされます。彼が最終的にメジャーまで生き残るかどうかはまだわからない段階です。それなりに活躍している選手がいるオーストラリアを見ると、彼が最終的にメジャーで活躍する選手となれても、アジアのように一人のスター選手で一気にそのスポーツのステータスがあがると考えるのは浅はかかもしれません。まあ理屈とかどうであれ、彼が一番上までたどり着くことを願ってやみません。自分と同学年ですしね

自己紹介
「世界の野球事情を知る」という新しい野球の楽しみ方を提供していくブログです。用事やご質問ご要望のある方はsekainokakyu@yahoo.co.jpまでお気軽にどうぞ。ごくたまに書くお仕事をさせてもらったりもしてます。17年11月にスポーツナビブログから移転
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