2008年07月10日

拉致問題をめぐる日本政府の混乱

 拉致問題をめぐって日本政府の対応は混乱の度をましている。
 
 サミットで日本政府は、アメリカほかのG8諸国に日本の拉致問題の解決に協力するように呼びかけ、北朝鮮政府に問題解決に向けて交渉するように呼びかけている。
 
 しかし、先の日朝会談では、北朝鮮政府は拉致問題について、北朝鮮政府は再調査を約束していたのである。
 
 ところが、その後、日本政府は北朝鮮政府は信用できないということで、北朝鮮政府の再調査を拒否している。
 
 つまり、拉致問題に向けた問題解決の交渉を一方的に打ち切ったのは日本側なのであって、北朝鮮政府ではないのである。
 
 日本政府は、北朝鮮政府にたいして、お前たちは信用できない連中なのだから、話し合いはできないといって交渉の席を立ち去ったのだから、今さら北朝鮮政府に交渉を呼びかけるのはおかしいであろう。
 
 むしろ日本政府は、拉致問題が拉致問題として存在し続けることが、日本政府の北朝鮮敵視政策にとって有効であり、望ましい状態であると考えており、この問題が解決されることは望んでいない、と日本の立場をはっきりと公言した方が、国内的にも、国外的にも、はっきりするのではないか

2008年06月20日

どちらに転ぶか?

 ある経済新聞がアメリカの対イラク政策について、朝刊と夕刊で正反対の論評をしている。

 朝刊ではサウジアラビアのヤマニ元石油相のつぎの発言を肯定的に載せている。

 「米国などがイランを軍事攻撃するとなれば話は別だ。ホルムズ海峡は閉鎖され、原油供給が滞ってしまう。そうなれば一気に200ドルを突破するだろう。ただ、原油が高騰してからはブッシュ大統領はイランへの強硬発言を控えており、米国がイランを攻撃する可能性は低いとみる」

 ところがその日の夕刊では、「イラン核開発阻止動き切迫」と題する記事を掲載し、アメリカが「11月から来年の1月の任期切れまでの間にイラン空爆を指示する可能性がある」という。

 これではまるで朝令暮改なのだが、このようになったのは、この新聞社だけの問題ではない。

 おそらくアメリカ自身が、イラン攻撃をする、しないをめぐって動揺しているのであろう。

 ブッシュ政権の任期が半年を切った現在、ブッシュに残された決断までの最終時間は限りなく少なくなっているというのは正しい。

 ブッシュはイランを攻撃したくて仕方がないのだが、アメリカの大統領がある国を攻撃したいからといって、そのようになる時代はすでに過去のものになっている。

 しかし、去りゆく大統領が後任の大統領にイランのイスラム原理主義の危険性を忘れないようにと、思いっきり深い泥沼にアメリカを突き落として、抜き差しならない対立状態をつくってから退任しようというのはブッシュの人柄からして当然ありうることであろう。

 しかしこうもいえる。たしかにブッシュはイランとの戦争を望んでいるが、任期があと半年しかない大統領が今後のアメリカ合衆国の命運を左右するような極めて重大な決定を行うことは越権行為ではないか、そのようなことをアメリカ国民が許すのであろうかと。(許すも何も、アメリカもしくはイスラエルがイランの原子力施設を攻撃すれば、それこそ自動的に、中東は極度の混乱と流動化にすすんでいくのは確実なのだから、要は、ブッシュがイラン空爆を決断し、実行するかにかかっている)

 どうなるのか、どうするのか、そういう振り子がゆれている。