<「詩人碁会」2019春の合宿で優勝した伊藤礼氏と「おくたま路」での手合い風景。4月15日>
「詩人碁会」春の合宿は、4月14日と15日に東京・青梅石神温泉清流の宿「おくたま路」で行われた。参加者は十数名。泊まらずに夕食だけ済まして、帰宅するひともいて、都内にあることの良さであろう。
参加メンバーは、A組、B組に分かれ総当たりで腕を競い合った。(秋山賢司氏を別格)。その結果、伊藤礼氏が優勝となった。
<女性詩人も参加。窓の外は桜が見える。>
秋山賢司著「碁の句」(文治堂書店)によると、春の句の項目に、桜と碁の句の組み合わせが取り上げられている。その解説を抜粋し紹介する。
春初(そめ)り賭け碁のさくらいそいそとーー内藤露沾
この句は「初り」の使い方が大胆かつ新鮮です。普通は「打ち初(そ)む」のように動詞について、その動作がはじまるときに用いられます。名詞につくのはきわめて異例なだけに、強い印象を与える意図があるのです。
<「おくたま路」の外観と風流な石庭>
ところで「賭碁の櫻」とは何か。『源氏物語』の「竹河(たけかわ)」ですね。大君(おおいぎ)と中君(みなかのきみ)の美しき姉妹が桜の木の所有権をめぐってもめた。碁で決着をはかったのがにくい。桜争奪三番勝負。結局、中君が二勝して桜をわがものとしたのです。「いそいそ」は喜んで動作にはずみがついているさま。いそいそと碁を打ったのか、それともいそいそと桜は私のものよと主張したのでしょうか。
春の始まりを詠むのに源氏を持ってきて、王朝絵巻風の華やかさをかもし出すのに成功した内藤露沽1655ー1733)は陸奥磐城の平藩藩主の子に生まれ、世嗣のはずだったものの、父に疎まれて廃嫡。江戸麻布で隠棲生活を送り、俳人として一生を過ごします・芭蕉や其角と交遊があったほか、碁の句も多く残しました。もう一つ、花の句を。
さそはれて碁打(もつち)かけたる花見哉
単純で分かりやすい句です。誘われて碁を打ちかけにして花見に行った。碁より桜ですね。『続戯黒】にある句。作者の内海安重は江戸前期の俳人です。ーー
見ほれては上野の花か仙家の碁悦山
見ほれて時のたつのを忘れるのは上野の桜か仙人の碁。燗桐(らんか)の故事をさらりと持っ
てきたのがしゃれています。悦山は江戸後期の俳人ですが、詳しいことは不明。
■関連情報=平成時代の花見記録(8)青梅市多摩川沿岸2019
「詩人碁会」春の合宿は、4月14日と15日に東京・青梅石神温泉清流の宿「おくたま路」で行われた。参加者は十数名。泊まらずに夕食だけ済まして、帰宅するひともいて、都内にあることの良さであろう。
参加メンバーは、A組、B組に分かれ総当たりで腕を競い合った。(秋山賢司氏を別格)。その結果、伊藤礼氏が優勝となった。
<女性詩人も参加。窓の外は桜が見える。>
秋山賢司著「碁の句」(文治堂書店)によると、春の句の項目に、桜と碁の句の組み合わせが取り上げられている。その解説を抜粋し紹介する。
春初(そめ)り賭け碁のさくらいそいそとーー内藤露沾
この句は「初り」の使い方が大胆かつ新鮮です。普通は「打ち初(そ)む」のように動詞について、その動作がはじまるときに用いられます。名詞につくのはきわめて異例なだけに、強い印象を与える意図があるのです。
<「おくたま路」の外観と風流な石庭>
ところで「賭碁の櫻」とは何か。『源氏物語』の「竹河(たけかわ)」ですね。大君(おおいぎ)と中君(みなかのきみ)の美しき姉妹が桜の木の所有権をめぐってもめた。碁で決着をはかったのがにくい。桜争奪三番勝負。結局、中君が二勝して桜をわがものとしたのです。「いそいそ」は喜んで動作にはずみがついているさま。いそいそと碁を打ったのか、それともいそいそと桜は私のものよと主張したのでしょうか。
春の始まりを詠むのに源氏を持ってきて、王朝絵巻風の華やかさをかもし出すのに成功した内藤露沽1655ー1733)は陸奥磐城の平藩藩主の子に生まれ、世嗣のはずだったものの、父に疎まれて廃嫡。江戸麻布で隠棲生活を送り、俳人として一生を過ごします・芭蕉や其角と交遊があったほか、碁の句も多く残しました。もう一つ、花の句を。
さそはれて碁打(もつち)かけたる花見哉
単純で分かりやすい句です。誘われて碁を打ちかけにして花見に行った。碁より桜ですね。『続戯黒】にある句。作者の内海安重は江戸前期の俳人です。ーー
見ほれては上野の花か仙家の碁悦山
見ほれて時のたつのを忘れるのは上野の桜か仙人の碁。燗桐(らんか)の故事をさらりと持っ
てきたのがしゃれています。悦山は江戸後期の俳人ですが、詳しいことは不明。
■関連情報=平成時代の花見記録(8)青梅市多摩川沿岸2019