「詩人回廊」

日本の短編小説の特殊性について「韻律のある近代詩、日本語の制約にはばまれて、大した発展を見なかったので、小説家は叙情詩を書きたい衝動を、やむなく短編小説に移してしまった。短編の傑作と呼んでいる多くは物語的構成をほのかにもった散文詩である」三島由紀夫「美の襲撃」より。文芸同志会は「詩人回廊」に詩と小説の場をつくりました。連載小説も可能です。(編集人・伊藤昭一&北一郎)(連載を続けて読むにはタイトル上の筆者の庭をクリックします)。

江 素瑛の庭

目黒川沿いにある朝のラジオ体操  江素瑛

KIMG0104 八年前左手の肘転倒脱臼のため 毎朝戸越公園のラジオ体操を行けなくなった 
 あっという間に八年経った今 体重増加する一方に体力減るばっかり三高になりそう そろそろなにかが手打たないと
 朝の散歩に気付いた目黒川沿いのラジオ体操 目覚めるのは五時ごろ 六時半から始まって体操は十分に間に合う 
 その前植こみ水やりの世話  自生の山葡萄が実になってり 種から育てた朝顔に蕾がなろうと
ベビーラッシュのペットのベター グッピーなどのエサやりなど 魚の世話 
KIMG0116 猛暑の日 家から小径を生前の母はいつもベンチに腰掛ける大崎公園を いつも列を長く並ぶ豆漿の店を 
 いつもガラス窓から覗いた不動産屋の老主人 猫五六匹に囲まれ 低いテーブルに足かけては 上半身裸で朝の新聞を広げ眺める
 朝ののびのびとした羨ましい時間を
 大崎光の滝公園からやまもと橋を渡り 小さな公園 橋の下五反田船着場 五反田ふれあい水邊広場船着場 
KIMG0106 (1) 六時になるとパラパラ人影が集まってきた マスクをする人 しない人 しない人もマスクのひもを手に付ける 
 マスクは身の回り品になっている世なのだ こんなに蒸し暑い日にはマスクにも忘れない 
 最初は体がついていけない 八年は筋肉と骨組みを固くし 跳べないし曲げられない 思うようにならない 
 八年間が体をこんなに重くしたと 8キロも増えたら8キロのお米を抱えることだ 
 東京都は4万人以上のコロナ感染あった 四年目なのに 予防接種が進む一方感染の数も進む 
 絶えず株の異変がウイルス戦争に加勢 ゆくえ不明だ 
 目黒川が静かに流れ 犬の散歩に来た人たちは犬の交流会が賑わい 犬は犬同士 三密のコロナ禍にはお構いなし
KIMG0121 餌を持って犬と付き合い人 おやつを狙って興奮状態の犬たち
 ラジオ体操の音楽が流れ 口ずさんで歌う人  
 「ラジオ体操の歌」. 藤浦洸作詞・藤山一郎作曲.
 新しい朝が来た  希望の朝だ 喜びに胸を開け 大あおげ ラジオの声に ….
 青空に頭を上げ 白い雲が悠々と 一瞬にしてそびえるビルが雲について動くように目眩
 三十分足らずの体操とても満足できないが 体は少しなじんでくる 
KIMG0105(1) 昔の雰囲気が蘇る 戸越公園の池 亀が植え込みに上がって土堀産卵 その孵化を見張っているカラス 
 池の鯉 サギ 鷹飼う人 100くらいの人体動く―――
 ねむっている骨格筋 動きによるほぐしていく ただ重いなあ 8キロのお米を抱えながらだよ 
 汗だくだく帰り道 知り合いと思った人から
「私は携帯扇風機があります これ上げまするよ」とスーパーでよく使う小さな保冷剤を渡さされた。
(2022 7 27)

闘魚ベタたちと攻防戦    江素瑛

KIMG2974彼氏ベタが泡巣を作り始め 吹いて一つの夢 吹いてもう一つの夢 これから生まれる子供の部屋になる泡巣
彼女ベタ二匹を左追っかけては右追っかけ 頬を大きく張って怖い顔が威張る 平常心の彼氏ベタはとてもイケメンなのに
僕はこんなに強い 僕のお嫁になってくれ 彼女ベタのお腹のある白い排卵管を突く卵子の成熟を伺う
KIMG2969_01脅迫的な求愛行動に彼女ベタは逃げ回すばかりだが わざっと近付き体をひねりひねる 誘惑するときも 
彼女ベタ普段は小セリあいをしながらも仲良く餌をとったり 小柄で愛嬌ふるまえじゃれ合ったり
彼氏ベタが泡巣を完成した頃 彼女らはお互い小威嚇し我さきに彼氏に近づく
彼氏ベタに心を射った彼女は一段と積極に泡巣の下に入る 泡巣の下で お互いに体を巻き合う 幾たびけいれんし交尾産卵 
KIMG2915_02その都度何秒間のめまい たらんと失神状態の彼女ベタは 卵子の世話は彼氏ベタに任せる 
彼氏ベタは卵を一つ一つ 丁寧に口で拾って酸素の富む泡巣の泡に入れ込む 落ちたら拾いたり 彼女ベタを追い払ったり
 休み暇も食事暇もなく ひたすら父親の愛情を注ぐ 
三日経つ 卵から沢山小さな稚魚が泡にぶら下がり 大きなお目め二つ 可愛かった 泡が消えつつ 水面に水草に水底に身動かず こんな小さくても親譲らず身をじっとする姿勢をとる 
これは三度目の正直 やっと100くらいの子供ベタの繁殖が成功 前の二回挑戦とも稚魚が孵化し動かしたら どうも彼氏ベタは自分の子供であることを忘れてしまう 餌と見て食べてしまったかも 
もっともと十分の一より少ない生存率といわれたが 沢山の命が失われた 悔しかった 今回子供が動き出したら 泡巣を掬い出し がっかりした彼氏ベタだがすぐにももう一個の泡巣を作るか修繕するか ベタは大小や数字の認識があるようだ 彼氏ベタに負けないように 沢山命を救えるようにわたしは頑張る 
(2022 6 9)

隅田川・わが親のロマン  江素瑛

KIMG2775_01 (1)KIMG2567_01KIMG2670 (1) 両国国技館の向かい側 隅田川の遊覧船乗り場がある 昔父と母が毎朝清澄庭園へ散策にいくにはその前を通る 一瞬にして乗船口から乗りたくなる 母はそういっていた 
お相撲さんの姿がちらほらしている国技館前通り 汗と香水の匂いプンプン 集まってきたカメラマン 閃いたシャッターをよけるだけで急ぐ なになにさんが今日来るよと目当てに来る相撲ファンが騒ぐ
親の住んでいるマンション前の広い通路側に小さな散髪屋がある そこに偶々車を駐車したら怒られた記憶があった 機嫌ななめの 父の行きつけの散髪屋・・・・
私の仕事中に両親に預けた娘を 清澄庭園などもよく連れて行く 娘は父の手にあるパンくずを鳩たちと競い食べる微笑ましい写真は消えない一コマ 鳩を追い払うのではなく平等な姿勢を取った娘
普段マンションの一階敷地内にあるブランコは 一番近い遊園地のようだもの 最初気付いたのは雪が降った日で娘がそれを乗り 積もった雪を踏んだりしふりふりし ああ  雪がここもふるのか それを楽しんでいたようだ 
娘以外に私が両親にピアノもあずけてもらった 日本に来てアルバイト貯めたお金で初めて大きな買い物をした 自分のアパートが狭いという口実だが 実は旦那に内緒したかった 当時お金の余裕があるはずない …
親の世代 叔父叔母 次々と亡くなり 父と母が逝った後でも 墨田区と縁が切れない 娘は浅草に勤め先があり 私は関屋に外勤の仕事あり 遠いような近いようなスカイツリーを眺めながら……
あるとき 早朝の散歩で足を浅草へ運んだ 駒形橋を渡ろうと 声を掛けられた びっくりした 娘だった 職場いくには同じ橋を渡るのだ 娘は職場へ 私が隅田川の船乗り場 川の畔にうろうろ 昔突然の雷雨に襲われ雨宿をする狼狽のことを思い出をしながら やっとみつかった東屋 なんと天井のない東屋であった 
すると娘からラインが来た 
さっき下の船乗り場に居たの? 歯科訪問に行く途中で見かけたよ 
関屋に近い隅田川のほとりにある汐入公園 千住大橋にわたるとすぐ 何種類の桜が植えて昔から花見の聖地がある 
KIMG2669_01KIMG2602「隅田川は荒川と呼ばれた江戸時代には荒川地域は江戸の行楽地として知られ….日本の花見は平安にさかのぼる….江戸時代に入ってから一般庶民の間にも広まり….明治になり、汐入公園から北の方角にあった荒川堤にはサトノラの古い品種が多く移植されました」と看板に記してある
 普段は歩いて五分ほどの距離 コロナ禍自粛するため果てのない距離になった もう三年目になったのか 桜はあい変わらず毎年咲き誇り・・いまは橋の一端で遠くピンクと赤で染めるスカイツリーがそびえ立つ空を見る そろそろ千住大橋を再び渡ろうかな・・・・(2022 2 22)

囲碁の効用 江 素瑛

なぜ碁をしたくなるの ? 
相手に勝ちたいから ?
能力がいれば 機運も欠かせない
いくら練習しても進歩を得ない
年のせいだといわれた
体力も衰え 頭も固く 
筋力を強化するには体操がいい
囲碁は頭の体操になるといい
陣を取って軍配を練り
相手の虚実を探り
相手の落し穴 挑発行為をしかと
探りながら踏み出す
年代の頭には
理解力と記憶力が限界ということは
納得するものの
負けても  負けても
もう一局したい
勝った時の楽しみがある
それを想像しなから
白い石に睨めっこ
黒い石をひとつまたひとつを
打っていく 

平和のような     江 素瑛

raw-0005  馥郁とした梅の季節が終わり 春が来た オオスカシバの蛹がまだ冬眠している コロナ禍に冬から平和の世を夢見ているかしら… 
 鉢のなか一生懸命泡を吹いて 来る日も来る日も来ることない雌を待っている雄ベタ 水面の泡巣自慢 卵子と稚魚のための家を泡一つ又は一つ吹いて夢を膨らませ 働き者だ だんだん増幅した泡の巣 雌を誘う姿が愛おしい 雌はどこにいるか 普段は一匹飼うベタ 私のペットになった以上 私が世話をしなくてはならないか そう思うと 一大事だ  
KIMG2707 三十分バスを乗ってホームセンターの島忠へ ビニール袋に一袋一袋にメタカ 赤ひれ アルビカン ネオテトラ 緑ふぐ 金魚 グピ 雄ベタなどなど  子供たちは大人に連れられてきた 子供も大人も手とってみたり わいわいとはなしあったり 人にとられないように気に入って魚の袋をおさえたり 安価で子供たちが買えやすい あ 命の値段はこれだっけ?
 魚の一生が短いけど飼い主の責任が問われる 食料にされる魚は人の胃袋に納まるまで大事にされるか 観賞用魚のペットは命が尽きるまで飼い主の世話になる….
 熱帯魚コーナーにうちの雄ベタの事情を話した 普段は置かない雌ベタを頼んだら
 「雌ベタは生きられない 雄の気性が荒いのよ」と若いスタッフはいう 
 「いきなり入れないで 先ずはお見合いさせたら」と年のスタッフ さすがに人生経験違うので 考えも違う
 三日後 店に取りに行ったら 5センチであれば成熟の雌と思うが約3.5センチどうも可愛い少女のようなものだ しばらくの間ガラス張りお見合いして 早速雄ベタは興奮状態 ひれを張って顔を大きくしてガラス越し追っかけては 雌二匹は逃げ回れている
 その後同じ容器に移し 益々威嚇の求愛行動に頑張る 追っかけては追っかける 隠れ皿をつくっても  どこでも追っかけていく とうとう一匹の雌が尾びれが折れた 一週間くらい経った雌二匹ともに水草の上に息を殺すように死んだぶりして雄を騙し…雄ベタもあきらめないように成熟した卵の抱かない若雌をたらたら追いかけ続けるが あきらめたように泡巣つくるのはやめた平和のような….
 ベタの恋の季節に美しい桜 花の短い命 花の屍は誰も痛まないだろう 「夕陽無限好 只是近黄昏」青空や水面の無数花びらたちの筏 十年前桜の季節に亡くなった詩人井之川さんを思い出し 病床の肺の吸吸引器から吸い取った花びらのような痰・・・・・呼吸器の唸りの詩人の無念さ
KIMG2627KIMG2628 いつも京王線特別快速で通ってよぎっていた代田橋の城のような古い建もの  古代ローマ帝国のような円形劇場か 戦争の遺跡のようなものか  電車が通る都度いろんな想像が浮かべるなかなか降りる機会がなく 二回ほど普通列車でわざと降りたが 改築のフェンスに囲まれていた 中には入れないが 近くに外観を覗くことができた 戦争に備えるか 平和の世に使うものか 和田堀給水所 どうも戦争の遺跡ではない 地震 水災はどうしようもない天災が 戦争は人災  許せない人災だ うずうず いずれにせよ ウイルス戦争に加勢にロシアのウクライナ侵略が起こったのだ なにか起こさせないと 長い平和の世 ぼけてしまうのか 戦争は ひとの欲望を満たし ひとの夢をこわし…. 
 巻き込まれる犠牲者は政治を知らない一般人民である 平和のような世である中の信じられないウクライナ戦争 終戦の気配はないようだ……(2022 03 05)

腰痛対策         江素瑛

寝室から微かな旦那のいびきが 波のように壁に打ちよせてきた
湯気のぼり 湯船にのんびりと浸す私
腰痛を癒す リラクゼーションの時だ
目醒め 横から起き上がると憂鬱な朝がはじまる 
一晩中神経が圧迫され ピリピリしびれて痛みが走る
椎間板ヘルニアと脊椎管狭窄症は双子のように
私の脊椎をじわじわと蝕む
初発症したのはもう昔 大学のほやほやな大学新入生の時
突然腰痛と足のしびれが襲って来た
神経の繋がりが切れたよう 力は抜けたよう 
起き上がろうとしたが動けない
大学病院の先生に往診してもらった
その後下宿に一週間位寝込んでしまった
どれ位友たちに食事など世話をしてもらったか
何故かいまでは記憶に残さない

その後偶々また発作し
おまけに足のこむら返りを伴い
その都度我慢と安静で回復し
ある時 湯船に筋肉をほぐすのは効果あると気付いた
朝起きたら温水に一回ひたる浸る
寝る前にもう一回
一回浸水約三十分前後
一週間で身体が軽くなる
あれこれもう二十年以上経った
また あるとき寝る形の左臥位の癖あるため
左側の腰痛としびれがでると気付いた
それをきっかけに いまは右臥位に励んで 
腰痛としびれは半減した ほぼ無視できる 
我慢できる程度の痛みなら 
普通の生活に差し支えない 感謝だ
信じられないと言っても 確かな奇跡
腰痛その都度に忖度する
椎間板ヘルニアは瘦せる人が起きる
脊椎管狭窄症は太る人を襲う
どうすればいいのか とまとってしまう
( 2019 11 28) 

東京さくらトラムが街を行くー三ノ輪から早稲田   江素瑛

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 ミニストップに 乗客が乗ったり降りたり忙しい 住民の親しまれる路面電車は生活には便利で必要なので ゆえに疫病の時期でも繁盛でひとびとに役立つのだ 
 早めの出勤前にちょいと暇をみつけ 幾度もわざわざ町屋に乗り換えする 沿線の飛鳥山公園 王子駅の観覧車 洋風旧古河庭園は行った楽しい記憶があり 記憶を甦らせる コロナ禍のせいか 体力が衰えていくせいか いろいろ失っていくものがあるところが 思い出は年寄りの重宝である
KIMG2144KIMG2611 三ノ輪橋から早稲田までほぼ三十分 荒川車庫前に運転手交代 降りた運転手は「異常なし」と報告し手を振り登った運転手に託し電車を後にした 
 鬼子母神堂は安産子育の神を祭る 雑司ケ谷霊園は夏目漱石 竹久夢二など 染井霊園には高村光太郎と妻の智恵子など眠っている きっと生前ばかりではなくいまでも人々と東京さくらトラムを乗っているだろう 
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 康申塚には当地大学生の経営する店がある 王子駅には車と並行する場所があり線路に遮断器がなくても 路面電車はのんびりゆっくりなので 事故にならないだろう 早稲田に着く前 地味な面影橋駅は神田川沿い桜並木がつるつるになる冬姿の肢体が見事に桜の花のつぼみが付いてきて 春もう遠くない
 
 

東京さくらトラムが街を行くー王子駅へ向かう   江素瑛

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 循環する山手線ならば約二分間隔で一駅は常識なのに この路面電車は電車に乗っているような感覚はしない
 全線運賃均一170円 都内で唯一残った都電荒川線は三ノ輪橋駅から早稲田駅まで 一分間隔に一駅 賑やかなミニストップ 十人並ぶとホームもういっぱい
 いそがしげな動きは 遊園地の乗物のような感じである 狭い車両のオンリーワン ほぼ一人分の通れる通路
 中ほどへ 奥へ詰めて下さい ひとりでも多くのせたいのです 運伝手が一所懸命に誘導 ソーシャルデスタンスの時期ところ ぎゅうぎゅう缶詰め 学生さん サラリーマン
 地味に単純なひとびと 嫌な顔一つしない 乗車同士の温もり なぜか普通の電車に乗るのは ソーシャルジスデンスのため開けた席に座るのに まるでウイルスのように見られるなど人間関係が薄めていく
 コロナ自粛ムードに都電さくらトラムの空気ではほっとさせる よっしゃ よっしゃ 掛け声のような車輪の音 乗車同士は譲り合い場面がよくみられる 乗車同士の囁くような愚痴も聞こえてきた 
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「親が94歳で入った施設 入居者50人にクラスター30人 ともに三回目の予防接種を済んだという 親は予防接種受けてないのに陰性 とても元気だわ」
「なぜ?」
「休日いつもついつい両手いっぱい買いものする」、
「家族が多いでしょう いいじゃないの」
「いや孫たちはじぶん好き勝手けど ばばの買ったものいつもいらないという」 
「豊かな世ですもの」

東京さくらトラムが街を行くー町屋駅付近     江素瑛

KIMG2122 イチョウの落ち葉が都電さくらトラム沿線に厚く敷いていく初冬
 黄金色のうえに色とりどりのバラのパラートに落葉と見事なコラボ
 雨に打たれ風に吹かれたバラたちに潜めた風情いっそう可憐に揺れる
 白い雪に覆われる真冬に冴えわたる赤 黄 紫のばら 
沿線約15000株が植えてあるという
 競うように春色を漂わす季節
 町屋駅前の小さなばら園に
KIMG2121_01  黄色小ぶりの妖精のような「伊豆の踊り子」
 ほんの桃色をかかった優しい黄色の「ピース 」黄色の「ユリイカ」 赤紫色の「パローレ」 黄色にじむピンク色の「ホーム&ガーデン」
 吊るしてあるうす紫の「レニーブル」「 コッレタ」「 楽園」「 希望」などついつい目が奪われ足がとまる

雪がふる あなたは来ない  江素瑛  

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四年ぶりの大雪 そわそわするもいやな気持
四季如春 快適な気候で過ごすロスの友人に 物珍し気に報告したところ 
淡々と 保重(お大事に) と返事が返されてきた 
四年ぶりの大雪 びっくりしたのは私のほうだった 
今年がなかなか冬にならない 暖冬と思ったところ いきなり大玉の雪に冷たい風も吹いてきた 身体の芯まで震え来た やはり冬だ
私の初雪経験は四十年前医局の教授と学会発表行く途中だった 
初めての学会 決まったスーツ ハイーヒル だが雪道ですべった すべって雪は痛いものだと目が覚めた クリスマスカードに憧れる美しい雪の情景も消えた ふわふわしている軟らかい雪が 凍結すると殺人の氷になり 一晩で周りの景観すべて白く蔽い 消えたり変わったり 屋根の除雪転落事故 車の雪道走行横転事故 溶雪の時 町の汚れと混ざった残雪が至る所を散らかし 憧れは嫌悪感に変わって 
その頃 世話になった教授は ある日突然心筋梗塞で入院 朝 見回ってきた看護婦と元気で挨拶を交わし 看護婦が病室を離れた瞬間 再び梗塞発作 今度は目が醒めること無かった 見舞に行くことさえ許されなかった
KIMG2566_01アタモのーTOMBE LA NEIGE雪は降るーをひさしぶりに思い出す
雪がふる/あなたは来ない/雪がふる/心は黒い服をまとう
静かな葬式の行列/白い涙をたたえ/すべては消えた
枝の上の鳥は消えた景観を嘆いている
ジュリオ イグレシアスの「NATHALIE黒い瞳のナタリー」 も浮かんできた

あなたが僕のもとに/戻って来る希望もないまま/生きることに
あなたは今どうしているのか?/あなたは今どこにいるのだろう?
あなたにとって/僕はどうでもいいのだろうか?/こんなにも苦しいのに
ナタリー 
昭和年代に盛んに謳われたもの 微かに悲しい 微かに甘い そのときフランス語の言葉は分からなくでも 二人の魅力的な声に 長く引きつられ 
平成 令和につれてその歌は薄れて聞こえない
ひさしぶりに東京大雪 なんと二人の歌が復活 終日二人の歌声に浸り
雪の中幾つ車がすべって追突立ち往生 果てない雪に慣れた道しるし どこにあるのか 雪にこもった民家の窓から漏らした灯り すがる気持ちになる 鳥たちは寒さを耐えて 雪宿はどこにあるのか 雪道の行き交う車輪の跡に 私を何処へ連れていかれるのか 
じりじりがたがた喘いでいる雪チエーンの音が解き放さない奴隷の足の重い鉄チエーンに聞こえてくる 白濛々のコロナ憂鬱 自粛ムードの行方はどこにあるのか(2022年1月8日)
 


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