「詩人回廊」

日本の短編小説の特殊性について「韻律のある近代詩、日本語の制約にはばまれて、大した発展を見なかったので、小説家は叙情詩を書きたい衝動を、やむなく短編小説に移してしまった。短編の傑作と呼んでいる多くは物語的構成をほのかにもった散文詩である」三島由紀夫「美の襲撃」より。文芸同志会は「詩人回廊」に詩と小説の場をつくりました。連載小説も可能です。(編集人・伊藤昭一&北一郎)(連載を続けて読むにはタイトル上の筆者の庭をクリックします)。

詩流プロムナード

詩誌「国鉄詩人」2017年・「春」「夏」号にまつわる話題

 IMG_20170717_0001_1<「国鉄詩人」第271号(2017年・春)では、矢野俊彦の中村不二夫・著「辻井喬論」が、第272号では、笹沼一雄2016年度国鉄詩人賞作品・「今もインパールの土の中ですか」 を掲載。>
  詩誌「国鉄詩人」第271号(2017年・春)と第272号(2017年・夏)である。第271号には、書評として矢野俊彦氏氏の「辻井喬論(中村不二夫・著)をーユートピアを夢見て時代を駆け抜けた、才能へのオマージューーとした論評が掲載されている。
hmv_7279915<中村不二夫・著「辻井喬論」(土曜美術社出版販売)>
 矢野氏は、詩人「辻井喬」について、彼の詩は、親しいものではなく、暗喩を多用したものは、私の読解力を超え、近づきがたいものであったという。無意識のうちに、雲上人であり無縁な人に思えたと述べる。おそらく、多くの庶民詩人にとって、そうであったろう。そいう伊藤にとっても同じであった。
 それが、辻井氏の話を聴く機会が、2008年にあった。《参照:辻井喬氏「詩論」を語る=東京詩話会にて(追悼・再掲載) 
 その時に、左翼系が好む詩人たちへの関心は強く、良い解説があると良いのにーーーという意味のことを言っていた。また、マルクス主義思想とは言わず、社会の発展を歴史的な段階論で考える思想というような表現を用いていたのが印象的であった。
 マルクス主義主義思想では、唯物史観(史的唯物論)においては〈人々が生の社会的生産において入り込む一定の,必然的な,彼らの意思から独立な諸関係〉すなわち〈物質的な生産諸力の一定の発展段階に照応する生産諸関係〉の一総体,この〈社会の経済的構造〉を下部構造と呼ぶ。そして,この土台の上に〈法制的,政治的な上部構造が立ち,また,当の土台に一定の社会的意識諸形態が照応する〉という構図で社会を構造的にとらえるーーというものがあるが、堤清二としての立場で、それを意識し、企業体を考えて、セゾン的企業を生みだしたようにも思える。 「無印良品」は現在も優良企業として存在している。
「辻井喬論」のなかで、中村不二夫氏はこう記す、―― 辻井にとっての父堤康次郎は、苦学した後実業家、政治家となり世俗的に成功はしていても、手当たり次第、身近な女性と関係してしまう所詮品性下劣な成り上がり者でしかなかった。
 それに反し、辻井からみて、母は生きるためには父への服従を拒めなかった弱者であった。父は半ばカずくで母の肉体を奪った卑劣な無頼漢にすぎない。辻井にとってそんな父への反発は、まず大学に入って、共産主義運動への党員参加という形で現われる。デパート経営も、保守的な父に反抗し、破壊と創造を繰り返すアヴアンギャルドな手法を用いて世間をあっといわせる。デパート経営を時代の最先端に置き換えた辻井の手腕は見事だが、その元を辿れば父への反発ということになろうか。そして、辻井には、その内部に破壊と創造を思想信条とする闘士がいれば、もう一方に、歌人の母に似た静譲な詩人の顔が生まれた。辻井はかつてないスケールで、動と静という二律背反を内側に潜ませて、外部(デパート経営)にも内部(詩人・作家)にも前人未到の領地を開拓していくのである。ーー
  社会の発展理論の大きな物語があっても、人間の内面の精神構造を解明できないことを、明らかにしてるように思える。

詩誌「花筏」31号(いなべ市)伊藤桂一追悼号

IMG_20170713_0001_1_1<「花筏」31号(2017年6月)。題字・伊藤桂一氏>
  詩誌「花筏」31号(2017年6月)は、会員の独自作品が多いなかで、先に亡くなった伊藤桂一氏の追悼の言葉と、学んだことの意義を伝えるエピソードの貴重な集大成ともいえる充実した内容である。
 表2には、ーー「詩の勉強」 ^貌7飽譟,箸いΔ發里あり、次のような思想が記されている。
ーー複雑な世相をどう歌えばよいのかに迷うと、仕方なく、身辺の事象を、説明的に書いてゆく、ということになるのかもしれません。しかし、現代詩は、表現と発想の自在性をもつだけに、現代及び未来を救い得る可能性をもっていると考えられます。現代詩及び現代詩人に課せられている民族的責任もあるのではないかと私は思います。ーー
                                         (「花筏」12号ーー《私の詩的体験》より)
  現代詩人において、「仕方なく、身辺の事象人を、説明的に書く」ということに、慣れてしまったような、詩の多さに出会うときに、そのようなことは書かないと、決意することは、できる。詩に生活の糧を得ている人がいれば別だが。現代において、沈黙の詩人の存在が、少なくないのでは、なかろうか。
 本誌には、夫人の住吉千代美「伊藤桂一という人」があり、蚊、ゴキブリ、などへの伊藤桂一氏の時代離れした不殺生へ実践を行った人柄が、活き活きと語られている。(北 一郎)
■関連情報=伊藤桂一さんを偲ぶ会に「グループ桂」同人も出席=東京
 「伊藤桂一さんを偲ぶ会」の様子を東京新聞で報道
作家・詩人の伊藤桂一氏「詩人回廊2010」を評する

原満三寿・句集「いちまいの皮膚のいろはに」の情念

IMG_20170709_0001_1_1<原満三寿(Hara Masaji)句集「いちまいの皮膚のいろはに」(深夜叢書社)。装丁:高林昭太>
 詩人・原満三寿氏は、金子光晴の書誌資料を整備し、「評伝 金子光晴」(北溟社)で第2回山本健吉文学賞を受賞。蒐集した「金子光晴コレクション」は、神奈川近代美術館に寄贈。新潮文学アルバム「金子光晴」では、「評伝・金子光晴」と略年譜を担当。金子光晴研究の第1人者とされている。
 1940年、北海道夕張生まれ。俳句関係、「海程」「炎帝」「ゴリラ」「DA句会」を経て、無所属に。詩関係、第二次「あいなめ」「騒」を経て、現在無所属。詩集「白骨を生きる」を刊行、その後も俳句に力を入れているという。>
  この句集では二つの区切りがあり、ひとつは「「いちまいの皮膚のいろはに」で「いろはにおえどー散りぬるを〜〜あさき夢みしー酔いもせずーん」と、いろは歌の節ごとに俳句が詠まれている。もうひとつは「頭陀袋のなか」で「竹の村」−「風の道」などのサブタイトルのなかに句が詠まれている。
P4160038 P4160034<原満三寿氏は、「詩人囲碁会」では五段の棋力で、活躍している。2017年4月16日、湯河原「杉の宿」にて>
多くの詩人は、詩因を含ませた散文の方に行くのだが、原氏は短詩としての俳句の方向にに進んでいる。
  「あとがき」に孤独がもたらす寂しさの情感の独自な色合いを<いちまいの皮膚>と暗喩したというようなことが述べらている。
 じぶんなどは、もっぱら散文派で、寂しさも倦怠も、萩原朔太郎の世界の片隅住むような、勝手読みをする程度である。萩原朔太郎にも「無用の人」としての竹の生命欲を性的に結び付けたようなものがある。
  この原満三寿・句集のなかから「竹の村」から、いくつか抜き出しみよう。(北 一郎)

「竹の村」

竹くさい女の家に宿顔す

母や娘や竹に埋もれ性を継ぐ

竹の女そのくらがりに皮を脱ぐ

青竹の素っ裸をなでて切る

若竹の多情を多恨で編みあげる

欄笑の一夜二夜の竹落葉

竹林の髪飾りかな天の川

枯れ竹は白骨である彼岸花

<原満三寿・句集「いちまいの皮膚のいろはに」より>

「漂流の舵」  清水正吾  読み人・北一郎

「漂流の舵」  清水正吾

流され/流れに乗る
流され/するり回転する動画の流砂に載る
手に手に/液晶ディスプレーに/うるみ迷妄し/目当てを失い流されている
指先が/リアルなまぼろし  映像を追い弾く/液晶はとろり溶け/大脳にあふれ
日々の視野に/体感するバーチャルリアリティ/なぜか世界に/殺戮の/重圧が漂っている
乱気流に/ひとは守りを固める/改革イノベーションに/期待のない望み
液状化する時代/エアポケットを喰う/党首の/肉声のドグマを浴びる
漂流にひとり流されて舵を切る
(詩誌「「幻竜」第25号(幻竜社・2017年3月20日発行より。部数700部)
清水正吾>P4160049IMG_20170622_0001_1<「幻竜」第25号(幻竜社)と発行人・清水正吾氏(詩人囲碁の会2017年「杉の宿」春の合宿での優勝者となった)>
           ☆
 現代人の幻像に対する信頼は、コミニュケーション技術の発展に依存している。しかし、そのシステムメカニズムは、人々にはブラックボックス化している。そのためか、その映像技術の幻影は、現実としてリアルに受け止める。まるで自然の風景のようにである。したがって、政治構造の動きも、まるでそこに存在するのが当然のように受け止める。清水正吾氏は「幻竜」が実在するかのような、想像力をもつ人間性を、素直に認め宇宙的の海原を漂流することを自認するのであろう。
■関連情報=清水正吾氏が詩人囲碁の会「杉の宿」合宿で優勝

「着ぐるみ」  山崎夏代  読み人・北一郎

「着ぐるみ」  山崎夏代

クウキがヨメナイから/ソンタクなんぞできないから/ドウチョウなんかは意味さえワカラナイから
わたしは  着ぐるみのなかに/身を潜める  吐く息すら漏れないように潜む
大頭の二頭身/無様な手足  ぎこちない動き/あどけなさ/優しい笑顔/罪のなさと無害さを旗印にすれば/だれが気づくだろう/表情の虚ろに  動きのうそに
けれど/ご覧/どこもかしこも/着ぐるみにあふれていて/人はわずかだ
着ぐるみたちは人に擦り寄って/うなづくばかり  奉仕するだけ/人の言いなり放題だ
わたしは着ぐるみのなかで/自我を拡張させていく/だれにもきづかれぬようひそやかに/隙間なく  みっしりと/私を満たす/表皮を除く空間すべてに
虚ろの笑顔の奥で/反抗する心を育んでいるのだ/表皮をかなぐり捨てる時を待っているのだ
わたしという個を/個として輝かしめよ  と
野獣のように雄叫びを上げる日を
(詩誌「コールサック」90号・2017年6月発行・掲載作品)
○読む言葉
 言葉を紙の上にインクで載せる。そして言葉を並べ置く。そのことで、文字は意味をもった物質となる。詩における行替えは、日本庭園の石庭に置かれた石よりも、明確な意味性をもつ。言葉を石庭に置かれた石のように解釈することは、意味の不特定性を読者が読み取ることである。山崎夏代さんは、空中に放たれた俗世の意味性を読み取ることを拒否するのである。
 そのために、みんな仲良くしましょうという、社会の空気を読まない。そのため無理解と異端視とされるので、着ぐるみのなかに身をひそめる。だが、人はその着ぐるみをそれぞれ自分勝手な姿にイメージし、決めつける。着ぐるみは、ただ黙するしかない。しかし、その心には、自分自身であることをどうのようにして、表現させようか、と決心しているのだ。野獣のような雄たけびがどのようなものか、想像する余地がある。
 「コールサック」90号は、詩、詩批評、俳句、短歌のほか、小説、社会評論、エッセイと、幅広い。市の多くが、叙事であり、行替えの多い散文という形式をとっている。とくに、本作品のようにメッセージ性があるものは、散文に近くなる。ただカタカナや比喩に散文には少ない手法がある。「詩人回廊」」サイトの趣旨にふさわしいものとして、取り上げてみた。(北 一郎)

詩の紹介「おぼろな時」 なべくらますみ  読み人・江素瑛

おぼろな時      なべくらますみ 

私の下に まだ妹も弟もいなかった頃/何年前だったかなんて 思い出せない/総てのことが おぼろに霞んでしまった随分昔のこと
幼い私はお寺の大広間でお斎をとっていた/誰がか法事が終わったばっかりだったのだろう/一人おぼつかない手で/箸を操ることに熱中していた/音も声もしない中/動き回るいくつの影が揺れていた/彼らには顔すらがあったかどうか
突然 鈍い音がして/暗い影が倒れ崩れた/隣の円い大きな卓台からだった/箸が落ち 料理に載せた皿が落ち/悲鳴が上がって/現れたのは母と 叔母の姿だった
その日 祖父が亡くなったそうだ/お経を聞き終えてから/何て幸せな大往生という人もいて/同席していた 医者だった叔父の手にも負えない短い時間だった/ということを後に誰かから聞いた
私はその情景をしっかりと覚えている/この時 父や兄 姉たちきょうだいがいたかどうかは分からない/ただ私の後ろの祭壇には/何体もの仏様が立ち/広縁の向こうには 緑色の葉が茂って/眩しく光っているのを/見ていたのだから
 
詩誌「欅」第4号より(狛江市2017年4月菊)ケヤキ自由詩の会。

 読み人・江素瑛
 およそ誰でも、子供の時に、初めて出遭った身内の死の情景は、意味が分からなくても、一生記憶から消えないだろう、作者は祖父の死について、子供の視点でありながら、大人にもよく視えるように、見事に鮮明な風景と描いた。純粋な子供であるが故に、感じ取ったものを隈なく観察していた。そうしてそれは一生の宝ものになるだろう。

詩誌「いのちの籠」第35号における社会批判散文の色濃く

  詩誌「いのちの籠」2017年2月・第35号(戦争と平和を考える詩の会発行)には、詩的リズム性よりも、散文詩リズムを優先するか、リズム性をもたないものが多い。
 「戦争と平和を考える詩の会」での思想をもつということを考えれば当然のことかも知れない。
 そのなかで、巻頭詩の山崎夏代「夏は」は、3つのパートからなる季節になぞらえた人間性への暗喩となっている。強く熱い陽光と乾燥する存在。夏に翻弄される存在。その肌触りをもって、意思的に生きようとする心理を表現している。ーー自分などは日本の夏は、湿潤さの世界に耐えるイメージがあるが、夏に人間性を重ねた「夏代」視線が際立つ。 その他、社会性の強い作品が多い。葵生川玲「チェルノヴイリドーム」は、原発事故を招いた権力の横暴を記す。
 谷口典子「広野のさくら」と望月逸子「湾に架かる橋」では、津波と原発事故による死の町と罪なき民衆の現状をかたる。多喜百合子「水戸の確信犯」は、高速増殖実験炉「常陽」を抱える地元の危機感をしめす。
 小野田まき「やっぱりさようなら原発でしょ」では、国内にある原発の名称をすべて羅列知ることで、現実浮き彫りにする。これらは、印字された言葉をモノとして置き並べて、主張におけるアート的な効果をあげている。
  また、社会評論も多く、まさに詩因を素にした散文集にもなっている。
 表紙に置かれた言葉の並びは下記のようになっている。(北 一郎)
【詩】
山崎夏代、石川逸子、葵生川玲、谷口典子、望月逸子、多喜百合子、小野田まき、麦朝夫、草野信子、芝憲子、坂田トヨ子、堀場清子、柴田三吉、若松丈太郎、崔龍源、大河原巌、森田進、瀬野とし、鈴木文子、酒木裕次郎、池下和彦、河野昌子、白根厚子、八木清道、馬場晴世、内田武司、日高のぼる、島崎文緒、山野なつみ、おだじろう、青山晴江、梅津弘子、伊藤眞司、ゆきなかすみお、築山多門、うめだけんさく、坂本梧朗、佐川亜紀、渡辺みえこ、中村純、佐相憲一、李美子、柳生じゅん子、奥津さちよ、井元霧彦、河野俊一、石村柳三、甲田四郎。
【エツセイ】
中村高春、原子修、葵生川玲、三井庄二
発行所=「戦争と平和を考える会」〒143−0016東京都大田区大森北1−23−11、甲田方。
■関連情報=大田平和のための戦争資料展

詩の紹介 「2月」 大田康成  読み人・江素瑛

    2月    大田康成

冬枯れの並木を
一人さまよう
足下にはふみしめる 
落ち葉もなく
 
動いてゆく わたしの
小さな 影が
明日へのかすかな
予感にふるえる・・・・
すると 突然
梢に 風
春をふくんだ?

いやいや 深く 深く
冬は なお 深く
わたしの胸 深く

(大田康成詩集「蛍」より 2016年12月 群馬県)
読み人・江素瑛
  落ち葉はすでにきれいに掃かれ色彩のない真冬、わたしとわたしの影と枯れ草の上を抜ける木枯らしの中にいる。春の夢を抱いても厳冬の現実と、その心を受け止めなくては・・・・詩は体験と、こころの矛盾から生まれたのです。

詩の紹介 「風に棲む」砂東 英美子     読み人 江素瑛

風に棲む    砂東英美子

季節がたわむ/風が風に洗われ/雨が雨に飛ばされて/みんな居なくなった
そこから私のアマダンが始まる/すべての欲を絶つ/けれどよく見ると/それはすでに始まっていた/意識の届かない処で さらに生すらも
ふと ひとつの扉に手を掛ける/その時ぴたりとその背にあて/銃口が向けられる 知っていましたか/いつでも起きることを
風はいつも光を連れてくる/瞬くと翳が見える/ 光が翳を産むのか/翳が光りを編むのか/アマダンという葛藤の中で悶える
風の手が海馬の底をまさぐる/クリクリと木の葉を舞わせながら/風景に彩を施そうかと思案中だ/銃口が火を吹く前に/寝床を創らねばなるまえ と
風は私の中で遊ぶ/私はいつも撫でながら座している/昨日という草叢の片隅でー

「仙台文学」VoL,89より(H29年1月10日。仙台文学の会)
  読み人 江素瑛
  無駄な言葉はない詩情が溢れる作者の感性。風、雨、光、翳。大自然の風景が絶えずに作者の昔今の心の流れとして行き交い
  「ふと ひとつの扉に手を掛ける/その時ぴたりとその背にあて/銃口が向けられる 知っていましたか/いつでも起きることを」なにかが始めようとすると、なにかに抑制される。こころの赴きが行ったり去ったり、風の流れような感覚の作者の修業である。

詩の紹介 「つもり積り」マエキクリコ     読み人・江素瑛

つもり積り     マエキクリコ

本を読んで/知識を得ても/知ってるつもり、/は捨てる
文を書いて/表現しても/示したつもり、/は捨てる
話しを聞いて/理解はしても/分かったつもり、/は捨てる
人と話して/説明しても/伝えたつもり、/は捨てる
つもりで、騙し/騙されて
現実とずれたつもり、は積り/つもり積りは私を埋める/だから/つもり積り
、を量るべく、/身の丈分だけ/読み書きし/つもり積り、を減らすべく、/
身の丈分だけ/聞き語ろう
詩誌・「トンボ」第三号より( 2017/01/15)杉並区・文治堂書店
読み人・江素瑛
  確かに「つもり」と言うことは人の欲望をふくらませ、希望をもたらしめる。しかしそのつもりは最後まで続けないか能力不足か放棄になることもある。何かが積もっていくのが人生。わたしたちはその繰り返しでこの世に生きてはいけないと作者は指摘します。
  碁の喩えをすると、囲むつもりで囲まれる、取る積りで取られる、なんか嘆きところです。
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「詩人回廊」は文芸同志会員がつくる自己専用庭でできています。連絡所=〒146−0093大田区矢口3−28−8ー729号、文芸同志会・北一郎。★郵便振替口座=00190−5-14856★