「詩人回廊」

日本の短編小説の特殊性について「韻律のある近代詩、日本語の制約にはばまれて、大した発展を見なかったので、小説家は叙情詩を書きたい衝動を、やむなく短編小説に移してしまった。短編の傑作と呼んでいる多くは物語的構成をほのかにもった散文詩である」三島由紀夫「美の襲撃」より。文芸同志会は「詩人回廊」に詩と小説の場をつくりました。連載小説も可能です。(編集人・伊藤昭一&北一郎)(連載を続けて読むにはタイトル上の筆者の庭をクリックします)。

外狩雅巳の庭

相模原の芥川賞作家としての古山高麗雄=外狩雅巳

 地域文芸同人誌「相模文芸」で活動して17年になる。創刊号から作品掲載を続けているが相模原市については書いていない。
 市民文芸を売りにして来たが文芸同人誌の体裁を整えることに重点を置いてきたようだ。
 全国の同人雑誌に伍して競う事等に奔走して来た。それなりの成果もあり全国に名が知れ渡ったと思う。
 今回は相模原市を眺め市民文芸として何をすればよいかいろいろ考えている。
 相模原市からは芥川賞作家が輩出されている事はあまり知られていないのでそこから始めたい。
 第63回芥川賞を小説「プレオー8の夜明け」で受賞した古山高麗雄(1920年- 2002年)について書こう。
 雑誌「文学界」2000年9月号に掲載されている「東林間のブタ小屋」という作品を読んだ。
 そこには氏の住所なども記されている。相模原市上鶴間となっている。ここで生涯を終えている。
 作品や人生を知るにつけ思わぬ共通点もあり引き寄せられて評論同人誌「群系」に寸評を書いた事もある。
 旧陸軍の仙台第2師団の兵士として激戦場に晒されている。私も仙台出身であり作品にも書いている。
 千台の少年時代。父の子育て方針は自身の軍隊経験で軍歌や軍人勅諭等の暗唱を強いられる日々だった。
 戦争小説に興味を持ったのも自然な成り行きである。出会った作品が辻正信氏の作品である。
 太平洋戦争でビルマまで侵略した戦記である。やがて劣勢となる北ビルマの守備兵たちの苦戦記である。
 「15対1」という題名に引き寄せられて元大本営参謀・辻正信作品を読み継いでいった15歳の日々。
 北ビルマの敗北戦争は戦史にもあまり載らず忘れられた戦場の一つである。
 圧倒的多数の蒋介石の中国軍に押しまくられ玉砕する各地の駐留兵士の物語である。
 生き残った者として冷静に体験を作品にした古山高麗雄氏。
 少年期の脳裏に刻み付けられた強烈な読書記憶が、半世紀後によみがえってきた。
《参照:外狩雅巳のひろば

ニュージーランド・ツアー記   外狩雅巳

  六度目の海外ツアーは南半球に行きたいと言う妻の希望でニュージーランド五日間の旅となった。
  テルミクラブ事件の後なので格安ツアーへの申し込みも心配したがJТB社なら大丈夫だろう。
  成田から12時間でクライストチャーチに到着。地球の半分を飛んで南極から三千キロの場所である。
  太陽は北から上るのかと妻がガイドに質問した。答えは地球のどこでも太陽は東から昇るである。
  バスの長旅。果てしなく広い牧場のみ。乳牛・羊を見て食べて日本食と日本の風物が恋しくなる日々。
  数少ない幹線道路にあふれる車。超高速で飛ばす。歩行者などほとんどいなかった。
  大気は澄んでいる。牧草の緑のみ。こちらは冬だ。もうすぐ雪になる。氷河も見た。
  日本の七割の国土に五百万足らずの人口。緑の過剰な異郷。必死にツアー集団内へしがみつくのみだ。
  高齢夫婦が多く旅慣れしている。英語達者な商社マン氏に寄り添っての五日間。
  物価は高い。スーパーマーケットでも見物しただけ。自由時間に飲んだ五百円のコーラだけ。
  義兄への土産のチーズ。両替した五千円も大半は使わない。異国の風土を満喫しただけ。
  大柄で肥満体の男女。スッチーさんも大女。大量の食事。妻は半分食べ残す。
  硬い肉。オージービーフ。
  狭い機内で長時間。エコノミー症候群になりホテルの夜にふくらはぎが攣ってひと騒動。
  帰国後はまる一日寝て過ごしたがまだまだつかればとれない。それでも妻は懲りない。
  次はアメリカだと張り切る妻。荷物持ちに連行される予感。老人には静かな書斎が一番だ。
《参照:外狩雅巳のひろば

北朝鮮ミサイル発射報道への疑問?    外刈雅巳

 ニュースの洪水に流され、ついつい大問題なのだと、Jアラートを聞いたら地下鉄か建物の中に避難したくなる。
 しかし待てよ? 一方的な同じような各社のニュースが重なる中でいくつかの素朴な疑問が沸いてきた。
 ーー疑問?
 自国領内での実験であるのに、アメリカや日本が騒ぐのか。国土防衛目的なのに、空母等で厳重警戒するのか。
 攻撃されたらアメリカ本土等に打ち込むぞと言っている。攻撃されたら日本の米軍基地へ打ち込むと言う。
 日本等も攻撃されたら反撃する権利はあるのに、なぜ北朝鮮が反撃権を振りかざすと警戒するのだろう。
 ーー疑問?
 拉致問題等で悪評高い国なので、何をやっても悪者扱いにしているのではないだろうか。
 金正恩が太っている。酒池肉林のワンマン。どう見ても立派な指導者に見えないからなのか。
 昔の日韓併合や慰安婦等の仕打ちに対して、韓国同様に謝罪賠償したのだろうか。
 ーー疑問?
 在日北朝鮮籍の人たちの言い分が聞こえてこない。少年時代に同級生に何人か居た。
 日本名なのでわからなかった。しかし噂は広がった。特定の日本名なので判別したらしい。
 森本君とは仲良しだったがクラス仲間に誘われていじめる側に回ってしまった卑怯な私。
 高齢者になり小説仕立てにして同人雑誌に掲載したことで少し自分に正直になれた。
 ーー疑問?
 ミサイルと核の開発について技術向上を評価し危険視しているがそんなに高い技術なのだろうか。
 ライト兄弟が飛行機を発明してからわずか三四十年でドイツの研究者は宇宙ロケット技術を持っていた。
 第二次世界大戦前からフォン・ブラウン博士達は米本土攻撃のミサイル開発を行っていた。核も開発中だった。
 戦争にセルとV一号・二号でロンドンを攻撃した。三号・四号は米本土向けの長距離ミサイルである。
 完成前に米軍に爆撃され破壊されてヒットラーの野望も潰えた。技術はソ連、アメリカなどに拡散した。
 それから七十年も過ぎている。今頃やっとソ連経由で北朝鮮が核とミサイル技術を向上させたのだ。
 ーー疑問?
 北朝鮮のミサイルで日本の米軍基地が攻撃されると心配している。基地撤去の流れにならない。
 沖縄なら良い、土人の島なら基地が在っても良い。という気持ちが少しでもあるのではないか。
 職場に組合を結成し安保反対のデモ行進に参加した過去を小説にした。基地反対でもある。
 私も反日売国奴なのか。日本はこれからどうなるのか心配だ。
《参照:外狩雅巳のひろば

木内是壽氏の出版ついて「相模文芸クラブ」の日々=外狩雅巳

   「相模文芸クラブ」の同人仲間の木内氏から出版の相談があった。同人誌掲載作品の出版の件である。
   氏は雑誌「文芸思潮」の五十嵐編集長と昔からの作家集団仲間で同誌にも多くの掲載を行っている。
   今回は文芸同人雑誌の「相模文芸」に連載した『梅屋庄吉の辛亥革命』の単独出版である。
   清朝中国を倒した辛亥革命の首謀者である孫文を援助した日本人の事を調べた作品である。
   四回にわたり「相模文芸」誌上に連載した長編である。十万字超で単行本にすれば、二百ページ程度になる。
   氏は日本興業銀行に勤務した経歴から相続関係の専門書の著書も多い。老後の文芸趣味も本格的である。
   アジア文化社から「ユダヤ難民を救った男 樋口季一郎・伝」(木内是壽・著/五十嵐勉・編集)なども出版している。雑誌「文芸思潮」の立ち上げにも加わっている。
  「相模文芸クラブ」へも早期から参加して毎号長編掲載で仲間を励ましている。
  今回の作品も同人雑誌への掲載だけでは満足せず一冊に纏め図書館などに納本するつもりだと言う。
  全力で生き抜いた証を残したい気持ちも大いに理解できるので相談に乗り私の本の出版業者へつないだ。
  零細印刷社としては力の入る仕事と感じたらしく業者も乗り気で見積もりを承諾してくれた。
  『外狩雅巳の世界』を三年間にわたって出版してくれた城南印刷工芸(株)なので仕事は丁寧で安心できる。
  木内氏は「相模文芸クラブ」や同人誌『相模文芸』の出版業者へも承諾を取りデータも受け取っている。
  『相模文芸』を印刷製本する(有)青史堂印刷にも見積依頼し合い見積もりで検討することにしている。
  私もこの作品には注目して『文芸同志会通信』で作品紹介を行っている。良い本になればと期待している。
《参照:外狩雅巳のひろば

私はだれ? ここはどこ?   外狩雅巳

 高齢者の楽しみは有り余る余暇の過ごし方だろう。旅行も楽しみの一つである。
 海外旅行も手軽になった。年金生活になり世界中を回っている。地球の歩き方を実践中だ。
 今年で後期高齢者になった。健康保険証は後期高齢者用になり、定期入れに入るサイズではない。
 これまでのように身分証明書として持参するには不便である。だが不所持では身元不明者となる。
 私はだれなのか証明できない。国内なら身内に連絡して証明してもらえるが海外ではどうしょうか?
 運転免許証も取得していない。マイナンバーカードでも持とうか。自分が誰なのか証明出来ない不便さ。
 外国語もダメだ、妻も御茶ノ水女子大卒を自慢したのに日常英語すら不完全である。万事休す。
 一昨年のトルコツァーでは、道に迷い危うく野垂れ死にするところであった。ここはどこ? と尋ねる言葉も無い。
 万一にも不穏な外国で一人ぼっちになったら生きては行けない。それでも海外ツアーにはゆきたい。
 懲りない老夫婦は高額な海外ツアーあれこれ物色している。今度はニュージーランドへ行くのだ。
 使い切ったパスポートを更新した。旅行保険も検討中だ。早くも事前に多大な出費が目白押しである。
 世界を見ずして死ねるか! とばかり飛び回るがツアーでは名所めぐりばかりで、上辺しか知り得ない。
 丁稚奉公から始まった辛い仕事も無事定年になり、年金老人の文芸趣味も堪能した。
 年金生活者の平均年齢も上がりまだまだ元気である。資産を残せば国家に没収されてしまう身の上だ。
 無宗教の妻の口癖は、人は死ねばゴミになるである。今の充実に焦るが付け焼刃しか思いつかない。
 子の無い夫婦の最終章は旅行三昧に明け暮れている。
《参照:外狩雅巳のひろば

追記・「星灯」第4号で、新しい文学よおこれ!宣言

 3月に『星灯』の感想などを書きましたが、小林多喜二への誹謗中傷を払拭するブログ記事を見つけました。
 民主文学のブログからのリンクで『古本屋通信』(結婚外性愛に就いて)というサイトがあります。ここに良い解説がありました。
 平野兼などの戦後文学論争で取り上げられた、小林多喜二への批判をわかり易く論破しています。
 戦前の共産党活動家が女性を利用していた、との指摘の恣意的な悪意と無知を突いています。
 彼は、岡山の古書店経営者で共産主義者です。手続き上の手違いで日本共産党から籍を外された人です。
 純粋共産主義者なので、現在の共産党の日和見的な逸脱へも批判の声を曲げず孤立する事も多々あります。
 2チャンネルでは嘲笑の対象になりましたが、すべて論破し誰からもチョッカイをかけられていません。
 痛快なほどの論客振りです。純粋すぎて北朝鮮の態度にも理解を示すだけの論拠を持っています。
 国際共産主義理論が通用しない、現代の社会情勢を切りまくっています。悲壮感も漂う論調です。
 『星灯』誌の皆さんには是非とも一読していただきたくここに紹介します。
 戦前の共産党にハウスキーパ制度など存在せず、平野謙たちの悪意の創造だと切っています。
 ブルジョワメディアの北朝鮮報道に振り回される今日こそ、このような論も併読する必要があると思います。
《参照:外狩雅巳のひろば

後期高齢者の年金・健保とカールビンソン=外狩雅巳

 市役所から納付証が届いた。後期高齢者になったので保険料支払いの請求書である。
 国会では高齢化社会への配慮で負担減が採決され、とりあえず千円が還付された。
 まずは返金。そして新規納付金額の請求書である。飴と鞭がつながっていて翻弄される高齢者。
 2月22日に75歳になった。後期高齢者である。で、二月分と三月分の後期高齢者保健費の五千円なのだ。
 市役所に納付に行き説明も聞いた。四月から新年度なので先ずは前年度分の請求だと説明された。
 で、国会で決まったので、七月からは新規則で施行するという。その間は暫定支払い請求が来るということだ。
 七月よりは、以前の年金からの支払いを実行するので、直接請求は行わない、との事でその間の暫定支払い方法だ。
 で、私の健康保険証は返還。後期高齢者保険証を使用することとなった。でも、妻はずっと私の家族である。
 サラリーマンの妻として私に請求が来ていた。それは継続するので私宛に妻の健康保険料請求書は来る。
 でも、私個人は後期高齢者なので別途来る後期高齢者保険料を払う必要が゛あると言われた。
 七月になるまでは年金引き落としもできないとの事。毎回現金持参で市役所に納めに行く必要がある。
 国会では北朝鮮情勢以外にも、生活関連法案が議員立法などでどんどん成立している事を実感する。
 航空母艦・カールビンソンが圧倒的戦力で迫り、北朝鮮と一発触発。でも、庶民は年金保険料支払いに振り回されている。
《参照:外狩雅巳のひろば

続々・「星灯」第4号で、新しい文学よおこれ!宣言

IMG_20170215_0001_1<雑誌「星灯」第4号(2017年2月20日発行。>
 本稿で紹介と感想を掲載したところ、編集委員会の北村隆志さんから、対応するコメントを頂きました。
 文芸同人雑誌と言うよりは本格的文芸誌に近いこの雑誌は美装・編集力ともに洗練されている。
 「巻頭の辞」で小林多喜二と太宰治の統一を目指し、新しい文学よおこれ!と格調高く宣言している。
 今号では特集としてプロレタリア文学選集の英訳序文が掲載されている。志向の高さと純粋さを感じた。
 訳文中の「労働と文学」では、レーニン全集の抜粋や目的意識的な社会変革・労働運動の作品化を言っている。
 さらにメンバーの島村輝氏は「文学としての小林多喜二」の中で「党生活者」を文壇が批判した事へ反論している。
 悪意ある浅読みが戦後文学への大きな後遺症だと私も何回か指摘している。掘り下る展開論を期待したのだ。
 生産点闘争とリアルな労働者群像。そして変革推進を担う共産党を描く事は大きな課題だろうと指摘したのだ。
 論ずるならお前が書け、の雰囲気の同人誌内で私は「工場と時計と細胞」を掲載したが物語性の薄い作品となった。
 雑誌「星灯」が多喜二に習い現代政治の課題と生活の中の共産党員や労働者の意識向上の作品化を期待している。
 【星灯誌と小林多喜二・余談】
 雑誌「星灯」四号の紹介と感想を連続掲載したついでに余談をひとつ書いておく。
 2004年に小樽文学館長に就任した玉川薫氏の同館学芸員時代の多喜二虐殺への意見を紹介したい。
  2002年に多喜二の写真展示を行っていた頃である。紀宮様の訪問時に虐殺写真を外した事を賛成している。
 西南戦争での残酷記事や写真を隠す事と同列であって宮様が観覧しないように外したのだ、といっている。
インターネットにアップされている。《小林多喜二に関する少し長くて熱い引用テキスト》 ーーというタイトルで閲覧できる。
 皇族に知らしめるべからずとの立場で一般の歴史や戦争の残酷写真と同列にして展示閉鎖を正当化している。
 天皇制擁護を下敷きにした意見であり、このような人物が館長になる事が良く判る。
■関連情報:「星灯」第4号に米国「日本本プロレタリア文学選集」の序文訳
《参照:外狩雅巳のひろば

続・佐藤三郎「一場の春夢」に期待!雑誌「星灯」4号より

平野謙達の行った多喜二作品を巡る戦前の左翼文学の欠点指摘は大きな後遺症を引きずっている。
  現在も共産党や雑誌「民主文学」への理解度は少ない。同人誌活動の中でもそれを感じている。
  評論同人誌「群系」会員の荻野央氏は文芸交流会に何度か出席してくれた人である。
  「群系」の会合で交流会現状を尋ねられたことがある。興味ありと判断し新規参加も増えているからと誘った。
  民主主義文学支部の参加を伝えると『日共か』と言って出席を断った。荻野氏の読みの深さに期待してのことだ。
  なぜかと聞くと、プロパガンダ作品だろと返答した。心底から共産党嫌悪が感じられて会話は途切れてしまった。
   今日、「群系」掲示板に彼の意見が掲載されている。インターナショナルの歌詞への思い出話である。
   ヘルメットでのスクラムの中で歌った連帯感を述べている。彼は全共闘活動の過去があったのだ。
   日共粉砕!を叫び民青系学生とゲバルトを行った全共闘新左翼の中で培った考えを引きずっているのだ。
   現在の文学にこんな影響を残している原点は平野謙達の小林多喜二作品評時代からの共産党感があるのだ。
  「星灯」の小林多喜二評価と解説が広まる事を期待して代表者の北村隆志氏に送付感謝の返礼を投函した。
  今後もこの問題への深い切込みを期待している。現在、野党共闘を掲げている共産党の問題も考えたい。
  田中角栄元首相の懐刀だった小沢一郎氏などと組んで政権獲得を狙う野党共闘の真意を探りたい。
  市民活動に期待する今は労働運動の中に党組織細胞を広げる活動はどこに行ってしまったのだろうか。
  べ平連活動を行った頃、反共団体と言われた過去がよ蘇って来た。
■関連情報:「星灯」第4号に米国「日本本プロレタリア文学選集」の序文訳
《参照:外狩雅巳のひろば

評論・佐藤三郎「一場の春夢」に期待!雑誌「星灯」4号より

IMG_20170215_0001_1<雑誌「星灯」第4号(2017年2月20日発行。>《参照:佐藤三郎ブログ
  雑誌「星灯」4号にはー伊藤ふじ子と(党生活者)ーとサブタイトルがある小林多喜二作品と女性達の論考を興味深く読んだ。
  多喜二が作品内で当時の活動家の女性問題を表裏から切り込んだ詳細を高く評価する内容である。
  共産党活動家周辺の女性で革命運動に消極的な人物描写の意義と意図を読み取っている。
  笠原問題として平野謙等が取り上げた事に対しての反論を書いている。この雑誌の姿勢を見たようだ。
  小林多喜二の視点を掲げる創刊の辞を毎号再録している事と重ねて読むとよくわかる。
  しかし、笠原問題から半世紀以上も過ぎて現在はその内容はほとんど探しても判らなくなっている。
  著者・佐藤三郎氏は平野謙の文言真意を狭く扱っているのではないだろうかも考えてみた。
  戦後文学論争の大きな内容なので当時の多喜二作品評価を巡る情勢を詳細に示す必要があると思う。
  平野謙は偏見や悪意のみで浅読みしたのだろうか。奥の深い多喜二作品評価論争だと思いたい。
  過去に置き忘れられたような大切な論点を取り上げる事が出来るこの雑誌に期待している。
  なお、この号に執筆している島村輝氏は「国文学解釈と感傷」の別冊―『文学』としての小林多喜二ーに詳しく解題している。これは作者多喜二の仕組んだ手法であり多様な人間描写だとしている。
  雑誌「星灯」の次号以降で再度掘り下げて貰いたい。現在の読者が関心を寄せる大きな課題だと思える。
■関連情報:「星灯」第4号に米国「日本本プロレタリア文学選集」の序文訳
《参照:外狩雅巳のひろば

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「詩人回廊」は文芸同志会員がつくる自己専用庭でできています。連絡所=〒146−0093大田区矢口3−28−8ー729号、文芸同志会・北一郎。★郵便振替口座=00190−5-14856★