「詩人回廊」

日本の短編小説の特殊性について「韻律のある近代詩、日本語の制約にはばまれて、大した発展を見なかったので、小説家は叙情詩を書きたい衝動を、やむなく短編小説に移してしまった。短編の傑作と呼んでいる多くは物語的構成をほのかにもった散文詩である」三島由紀夫「美の襲撃」より。文芸同志会は「詩人回廊」に詩と小説の場をつくりました。連載小説も可能です。(編集人・伊藤昭一&北一郎)(連載を続けて読むにはタイトル上の筆者の庭をクリックします)。

外狩雅巳の庭

健康が宝!ハワイ諸島の旅    外狩雅巳

 高度約一万二千メートル。対地速度時速八百キロで飛ぶ旅客機でゆったり窓外を眺めているとアナウンスが始まる。
 左手に見えるのがオアフ島だと説明している。
 羽田から直行便8時間足らずで早くもハワイ諸島へ着いた。
 私が生まれる直前の、真珠湾攻撃では考えられない航空機の進歩である。
 今回はオアフ島の4倍以上大きいハワイ島への旅である。ビックアイランドと呼ばれる大きさなのに人口は10万、州都ホノルルのあるオアフ島は百万である。
 四国の半分だと言う四角な島の中心にあるキラウエア火山を眺めながらの全島一周のバスの旅を楽しんだ。
 赤黒く不毛の火山流地帯を疾走する観光バスからの眺めは心に残るものがある。肉も魚も旨く満足だった。
 高齢になり海外旅行十回に挑んで今回が9回目。見るべきものは見尽くしておきたい。厳冬の相模原から夏日のハワイへ行き食べ尽し観光三昧は夫婦共に満足している。
 来月はいよいよ満願成就のカナダの旅。健康こそ高齢者の宝である。
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高齢者向けの電話営業に助言も 外狩雅巳

 一時は朝から晩まで来ていた電話営業はだいぶ減ったが、まだしつこく数十社から連日連夜かかって来る。
 この各社の執拗さの裏にはそれなりの成功例や成果があり自信があり徹底的に電話をするのだろう。
 なので、いよいよ一社毎に対応して徹底的にあきらめさせることにした。
 03-6831-0540――まずここから始めた。始めたのは三日前。その日の十本目の電話の表示がこの番号だ。
 数週間前からしつこくかけてくる多数の中でも代表なのでその正体を見届ける事にした。
 その時は女性が話しかけてきた。高齢者の生活の不安を聞くので資産管理の難しさも正直に答えた。
 投信の勧めには生き甲斐の不安で応じた。日々の充実こそ高齢期の目指すものだと答えた。
 生き方の指針を探す当方と資産増加を説明する彼女とはかみ合わずに一時間が過ぎ電話は終わった。
 脈があると見たのかな。その後三度ほどかかってきたので今日は引導を渡すために受話器を取った。
 今度は男だ。具体的な利率を持ち出して今すぐに投信すれば幸せになれるとストレートに話しをきり出した。
 子の無い老夫婦の不安は資産増加ではない。充実した今が欲しいのだ。どうしたらよいかと真剣に聞く。
 前回も話したのだが、増えた資産は死後にはいらないのだ。そこを教えなきゃだめでしょ。
 成年後見人とかの話を前面に出して、相手を引き込んでそのペースの中での資産管理を勧めるのだよ。
 今の時代は資産家の高齢者は多いのだから、彼らの気持ちに合わせて親身になり、頼られるんだよ。
 もう一度、作戦を練り直したらどうかと提案した。わかってくれたようで感謝の言葉で通話が終わった。
 もうここからは電話は来ないだろう。こうしてひとつずつ対応して悪徳電話を撲滅してゆく。
 数日おきに一社ずつに狙いをつけて春までに着実にやってゆこうと思っている。
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電話の向こうの高齢者に危険な人々     外狩雅巳

 連日のように電話がかかって来る。受話器を取ると若い女性の声。「冷え込みますね、お体大丈夫ですか」
 とソフトな第一声。ここで返事をしたらもう相手のペースである。高額な健康食品だとか暖房器具等々。
 会話の状況によっては投資信託や保険勧誘にもなって来る。断ってもしつこくかけてくる。
 こうして私は悪徳勧誘業者の対象リストに記録されてしまった。様々な業者から連日の勧誘がある。
 そこで、私は相手先電話番号を記録して一覧表を作りその番号なら受話器を取らなくなった。
 しかし、彼らは多数である。使いまわしているのだ。不審番号は数十件になりさらに増え続けている。
 大きな紙にびっしりと書き込まれた不審番号表を手にして毎日受話器とにらめっこをしている。
 ここは勝負所だ。まけるものかと力が入る。数か月の真剣勝負の結果は私の勝ちだ。
 二月に入りがくんと不審電話の数が減った。悪徳業者群が根負けしてしまったのだろう。
 費用対利益で考えて時間の無駄なのでもう私にはかけてこなくなったのだと思う。
 暖かくなると今度は訪問販売者が増えるだろう住宅街のローラー作戦を行う彼等の目標になっている。
 二階のカーテンの隙間からチェック。居留守で根負けさせるのだ。去年はそれで勝負したのだ。
 今年は、どんな作戦で来るか、どんな応戦で打ち負かすか。早めに考えている。
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高齢者の日々の存在とパスポート 外狩雅巳

 子の無い老夫婦。有り金使い果たして人生を終わりたい。という事で旅行三昧である。
 海外旅行と国内旅行を交互に毎月楽しむのだ。トルコで迷子になろうと、四国で雨にたたられようと懲りない。
 一月の京都の旅では、妻が食あたりして、帰宅後数日苦しんだ。その点は野生児の私だ。二人分けろりと食った。
 今月末はハワイだ。来月は沖縄。そして三月はカナダに決めた。早速案内書をよみ申し込んだ。
 折り返し払い込み用紙が来た。郵便局で払う事にした。しかし、危なく払えなくなるところだった。
 窓口係がいう事には十万円以上の送金は、写真付きの身分証明書が必要だと受け付けない。
 家から高齢者保険証を持参して再度挑戦する。だがノーと言われる。写真がないのだ。
 勝手に貼るわけにはゆかず。談判した。これは間違いなく自分なのだ絶対だ証明すると力んだ。
 しかし、相手にはマニュアルがあるようだ。オレオレで高齢者が送金するのを防止する為らしい。
 当局のお達しらしく決まりなので写真付きの身分証明書が必要だと譲らない。急に厳しくなった。
 私が私の金を自由に送れない。ハワイに行きたいカナダにも行きたい。困った困った。
 そうだ、私にはパスポートがある。これでどうだ、マニュアル職員よ。と提示した。
 マニュアルには一般的な対象なので、特殊なパスポート所持者などは書いてないのだろう。
 で、実物を見せつけられた彼女。上司と相談してオーケーとなった。
 会社員時代は写真付きの身分証明書があった。ないと入門できない仕事にならない。
 高齢者にはそんなものはない。五年間有効のパスポートは強い味方である。
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高齢者のあおり運転の危険?    外狩雅巳

 自転車に乗っていると、後ろの車があおってくる。極端に接近して来た。少し距離を置くとまた背後に詰め寄ってくる。
 ここまでされたらわかる。私の自転車が遅いからなのだろう。とはいえ路肩に寄って追い越しを認める事は出来ない。
 それでも、後ろの車の運転手の気持ちを考えて、少し歩道寄りを走ると一気に追い越してゆく。
 と、そこで停車した。これには参った。追突しそうになりながらも右手に曲がる。
 車体すれすれに右側を通過していると。突然停車した乗用車の右側のドアが開いた。
 よける事は出来ない。開きかけたドアに左手が接触した。痛い、痛い! が、手袋なので傷はなかった。
 老婦人が急いで降りると、そのまま車体の前方を回り、道路脇の民家に駆けこんだ。
 なんだ、なんだ、これは? きっと、トイレに急いで自宅前に停車して走ったのであろう。
 冷え込んだ今朝の出来事である。自転車で早朝サービスの買い物中に起きたあおり運転被害である。
 路肩に寄れないのにはわけがある。国道を避けて脇道を走れば必ず起きる危険である。
 狭い道路では歩道は白線で仕切られているが、そこには電柱があるし民家の入り口の置き石もある。
 歩行者も自転車も白線の内側だけを通行する事は不可能なのだ。そのうえ二車線ぎりぎりなのだ。
 国道の混雑を避けて、この狭い生活道路を迂回路にする車が多すぎる。ましてや、高齢婦人は自宅があるから停車して小用等に駆けこむのだ。自転車は何処を走ればいいのだ。
 高齢者の私も早朝サービスの卵ワンパック98円を求めての必死の買い出しなのだ。
 年金で上手に暮らすのは食生活の工夫しかない。高齢者が生き抜くのは危険だらけである。
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高齢者が日常で出会う危険(7)架空請求の被害続く 外狩雅巳

防災無線が「老人だましの詐欺犯人の電話が来ている」と街路のマイクから注意喚起の放送を流している。
高齢社会である、資産のある高齢者が痴ほう症気味になり、大金を騙される被害が続出している。
そして、またまた、当家にも魔の手がやってきた。架空請求のハガキが再度届いたのだ。
更にここ数日は不審電話が続いている。知人の電話番号ではない。長いコールを無視している。
前回よりも雑な文面。問い合わせ窓口の電話番号も前回とは違う。告訴最終通知ハガキである。
住所の使いまわしだろう。流出した住所表は高価で売られている。一度流出したら標的になるのだ。
消費料金に関する訴訟最終告知のタイトルだけは前回と同じたが、中身は文面省略が目立つ。
連絡先の電話番号も違う。悪人は多数いるのだろう。サクッと儲けましょうとおもっているのか。
前回は法務省に電話した。「問い合わせ多数だ詐欺電話だから無視しなさい」と言われている。
今回、耐えて様子を見る。数撃ちゃ当たる。やはり騙された老人がいた。
11月10日付の「朝日新聞」朝刊の神奈川版にその記事が掲載されていた。
鎌倉市内の80代の男性がハガキを受け取り記載された番号に電話をしたのだ。
「弁護士を紹介します」と親切な対応のなかで「供託金が必要です」とと言われ一千万円を指定場所に送ったとの記事 である。私は警告も込めて前回告訴状の件を12月発行の文芸誌「相模文芸」に掲載した。
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記憶は失敗の非日常性、忘れる名所旧跡の旅  外狩雅巳

   年に数回の旅を楽しんでいる。海外旅行と国内の旅。
  トルコに行きツアーでは、一行とはぐれてさ迷い歩いた恐怖体験もなんのその、中国ではパスポート紛失。
  その点では国内旅行は安心だ。先月は京都と山陰を回ってきた。来月は知床岬に行く。そのあとは、沖縄行きのツァーへも申し込み代金支払い済みだ。
  名所旧跡も帰ってくればもう忘れた。それでもボケる前にひたすら次々とガイド本での企画に飛びついている。
  78才になった。妻は六歳下だ。あと何年動けるか。
  人間死んだらゴミになるが妻の口癖だ。生きた証に出版したり創作したり、何をやっても満足しない日々。
  それでも旅に出れば、非日常を過ごせる。
  ツアーは全員高齢者。皆さんも同じ思いなのか。
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高齢者が日常で出会う危険(6)修繕の駆け引き 外狩雅巳

 先月はこんな事があった。
 家の前にトラックが止まり、降りて来た男が我が家のチャイムを鳴らす。
 対応すると、彼はーー通りかかったので助言したい、屋根が破損しているーー-と言うのだ。
 名刺を見ると営繕業者である。このままでは危険なので、無料点検しましょうかと言う。で、つい頼んだ。
 助手席の若者の用意した梯子を伸ばして、素早く屋根に上がり全体を丁寧に目視している。
 降りてくるとーー非常に危険だ携帯で撮影したので後日届けましょうーーと言って立ち去った。
 一週間後、助手の若者が写真と説明書、そして見積書を持参した。
 親方が格安で公示すると言っているがどうでしょうーーと営業勧誘を始めた。しかしこっちは、その前に対策を立てておいた。
 築12年目の我が家。建築してくれた業者に問い合わせておいたのだ。知人の紹介で知った業者なので気楽に話せる。当家は10年保証なので保証書を用意して来訪を待った。
 悪徳業者が多いから警戒するように言われ、保証期間は過ぎたが格安で補修するという。
 なので訪問販売的な業者の若者にその旨を話し持参した見積書を受け取った後に断った。
 その後に来訪した施工業者は家屋点検後にこの見積もりを見て格安見積もりを送付すると言って帰った。届いた見積書は悪徳業者よりも少しだけ安い。足元を見られた私は考慮中である。
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高齢者が日常で出会う危険(5)訴訟ハガキ通知   外狩雅巳

  新聞記事で、6月21日の朝刊を見て驚いた。妻等に大量にに来た不審なハガキの被害記事が載っている。
   「架空請求詐欺で1200万円被害」ーー座間市の60代女性が金融庁職員を名乗る犯人に騙された。
  ハガキが来て次に電話が来た。あんたの債務証書があると言われ指示に従い現金を送った。
  二度に渡り千二百二万円を宅配便で送ったという記事である。我が家は電話に出なかったので助かった。
  ハガキの文面はーー消費料金に関する訴訟最終告知ーー-訴訟管理番号《そ》691--ハガキが着いた翌日は何度も何度も固定電話が鳴ったが警戒して居留守で通した。
  親族・知人の番号は控えてある。着信表示板を見て不審電話は一切受け付けなかったのだ。
  当初は受信して会話の中で警告したり、諭したりとスリルを楽しもうかと思ったが、妻は大警戒した。
  犯人を脅したりしたら乗り込んでくるかも知れない、触らぬ神にたたりなしにしていなさいよと言う。
  その後も不審電話は連日のようにある。悪徳業者たちに番号を使いまわされているようだ。
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高齢者が日常で出会う危険(4)営業電話    外狩雅巳

  電話営業のコールを一度でも聞いてしまうと何度でもかけてくる。
 こちらの番号を業者間で使いまわしているので、様々なところからの営業電話が来る。
 着信の番号表示が出るので、一覧表を作りヤバイ電話には出ないようにしている。
 それでも携帯番号だけは仲間内のみしか知らせていない。筈だったがーーー。
 今朝は、油断していたのでガラケーのコールに無造作に通話してしまった。
 昔、保険屋の外交員を自宅に入らせてしまった。その時に携帯番号を知らせてしまった。
 最初は、営業コールと通話したからだ。若い女性だったのでついつい個人的趣味の話をした。
 で、そこから繋いで一度訪問すると切り込まれた。来たのは男だった。
 それでもきっかけは趣味の話だからと、文芸同人会の話しを一方的にまくし立ててみた。
 向こうでは、何年も引き継いで、こちらが記録されている。今日の携帯への受信はそこからである。
 若い女性なので、改めて文芸趣味を宣伝する。詩やエッセイは読んだことありますか。
 貴女の住まいの近辺の読書会を紹介しますよ。どこにお住まいですか、詩集送りましょうか。
 相手の生命保険勧誘など聞き流して、青春の楽しみ方を長々と勧誘する。
 彼女がとうとう音を上げて、ーどうかご自分の趣味を楽しんでくださいーーと切られた。
 今後は、携帯コールも含めて知らない相手には出ない事にする。
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