2015年07月

2015年07月31日

悲劇のヒロイン 其二

しなければいけないことが山ほどあるのに
具合が悪くなってお休みしてしまったコバちゃん。

何か悪いものを食べたようだ。

この方は神様に見放されているのだろうか?
本当だとしたら。

前日からわたくしと二人で作成中の表。
「訂正しましたので目を通してください。」
という、添付ファイル付きのメール。
ビョーキなのに頑張ってますね。

どれ。
と、見てみると
どこを訂正したのかわからない。
よ〜〜〜く見ると、訂正前のバージョンだ!

アホウだろう。

メールでその旨を知らせておいて別の仕事をする。

5時間後。
退社時刻の10分前に携帯に電話。

「今訂正済みを送りました。
 さくっと目を通して下さい。」

さくっ
と?
10分で?
今やりかけの仕事があるのですけど。

それとも、残業ということですか?
「残業してください。」
とは、言っていませんけど。

指示がないのなら、残業はしません。

いつか、だらだらコバちゃんに付き合っていて、結局サービス残業の体になった時
直帰、と言っていたアルチュールが戻ってきて、鳥肌が立ったことが、あった。
「できるところまで、します。」
と、返事。

こんな人に付き合っていると
神様欠乏症が伝染するかもしれない。




悲劇のヒロイン 其一

オフィスの鍵を紛失しながらも、ともかく海外出張に出かけたコバちゃん。

仄聞するところによると、アルチュールからメールで
大分厳しいことを言われたみたいです。
「色々とお調べいただき、ありがとうございます。」
というアルチュール宛てのメールがCCで入って来た。

お調べしたのはわたくしですけどね。

そして
帰ってきた。

反省と困憊の色濃く、うなだれて部屋に入って来る。
気の毒に
と、思ってしまう。

アルチュールのブースに行って深々と頭を下げている。
返事は、聞こえない。
多分、何も言わないのだろうな。
何と言ってよいかも、わからないのだろうな。

やがて元気を回復するコバちゃん。

独り言のように
「もっと気を付けていればよかったんだけど。
 いろんなところに行っても確かに、情報は、なかったのよ。」

そうですか。
いま、忙しいのですけど。

「でも、会った人からは有益なお話が聞けたし。」

何のことか、わからない。

「せっかく行ったんだからね。」

え?

「あら、メールしましたよ。
 その催しはキャンセルになっていたの。
 会場に着いたら。」

半年前にキャンセルになっていた催しの為に海外に行ったのですか!!
コバちゃんよ!

メールは誰にも届いていなかったぞ。

そして、アルチュールから無言でスペアキーを渡されて
幸せそうなコバちゃん。
自分からは言い出せないでいたが
「さりげなく下さった。」
のだそうです。
自分の生殺与奪の権利を握ってもらってハッピーなんですね。

ダヴィンチコンビ
と、呼ぼうかしら。
DV、ですね。






2015年07月29日

Dire Adieu C'est・・・

un peu mourir
と、続く。

ご存じチャンドラーの名作の中で

村上春樹は
「さよならを言うことは少しだけ死ぬことだ。」

清水俊二は
「さよならを言うことは、ちょっとの間死ぬことだ。」

と訳している。

アデュー
は、もう会わないとわかっているときの
さよなら
だ。(そんなことがわかるのだろうか?)

un peu
は、少し、という意味はあるが
セ・アン・プ・コム・サ
と言えば
「そんなところだ。」
ぐらいの感じだ。

だからこの文は
永遠の別れをすることは、言ってみれば、死ぬようなものだ。
ということだと、わたくしは、思っている。

わたくしも、ずいぶん死んだなあ。

心は半分ぐらいあちらに行っている。
あちらの方が、心を寄せるお友達が多いくらいだ。

背中が半分ほど透明になっているような気がする。

そうやって、まだ生きていくのだろう。
不幸だとは、思わない。

いや
時々モノスゴク幸せだと、思う。



2015年07月28日

"No One to Pray For"

どこで聞いたのか、覚えていない。

テレビだっただろうと思う。

時々思い出す。

以前は両親やぴょんきちさんのために、祈って、いた。
いや、本当です。
告白してしまう。

ベッドに入って瞑目する前に必ず。
そして、穏やかに眠りに入っていくことができた。

今や誰かの為に祈るということが、なくなった。

I have no one to pray for anymore.

優しい気持ちで幸せを願う対象があるのは、幸せなことだ。

夫?

う〜〜む。
そんなことをしてもらっては、彼とて落ち着くまい。
狼狽してしまうだろう。
夜中にうなされるかもしれない。
まだ、ちょっと、違うような気がする。

でも、
いなくなってしまった人や動物、知っている人、知らない人。
昔生きていた人。
能やお話の中に出てくる人。
そんなことを祈りを込めて思い起こすことは、ある。

「鵺」

「阿漕」
「善知烏」
のために祈ったら、変ですか?

「アン・ジュール」
のワンちゃんのことを祈りを込めて想うのは
おかしなこと、だろうか?



2015年07月25日

Back to the Past!

文明が進むとともに人間は色々な能力を失ってきたと思う。

お天気一つにしても、昔は天気予報なんぞチェックしてから出かけたりは、しなかった。
わたくしは。
降っていれば傘を持ち、降りそうであれば、傘を持つ。
一度出てから、寒くなりそうだと感じて羽織るものを取りに帰って、それで無事に暮らしていた。

今はどうであろう。
テレビで、ネットで、お天気を確認しないで外出することは、ない。
何という体たらく!


道路を横断する時に、車が来ていないかは見ないとわからない、と
夫は、言う。

え?

わたくしは、わかる。
わかるから、右も左も見ないで横断する。
見なくとも、見えているのだから、そんなに、しょっぴかないで下さいな。

身体を束縛する重い重い能装束や、視野を著しく遮る鬘をつけて、正面のわずかな景色
だけを頼りに舞台をかけずり廻ったときだって怖くなかった。
足許も見えないのだが、舞台の端っこまで行っても落ちない自信は、あった。
いやもう、面白かったのなんのって。
むか〜しむかしに身に付けていた能力が戻ってきた感じがしましたね。
周囲はひやひやものだったらしいが。

だって
猫が高い枝の上を歩くとき足許を気にしますか?
オランウータンが次の枝に飛びつくときに、巻き尺を持って来ますか?
ワンちゃんは放物線の原理を知らないと、ボールをキャッチできませんか?
ね?

自分の中に深く深く降りていくと、面白いことが、起こるものだ。



2015年07月23日

集中治療室?

【第一話】

[はい?」
と、電話の向こうにいるトロそうな女性がかわいい声で、言った。

「はい。
 いつもぺちゃんこ依頼の時にお送りするデータですが、
  今回は同件なので不要かと思ってお尋ねします。」
「あのう、データって・・・。」
「すくったキンギョの数とか、壊したコップの状態とか、ですね。」
「・・・・・・」

どうやらわかっていないみたいだ。
いつもの方に代わってもらおうかと思った矢先
「同件ならいらないんじゃないでしょうか。」
と、あやふやな口調で、仰った。
「あ、でも、やはりお送りしますね。」
わずかの手間を惜しんでは、いけない。
送る方がよさそうだ。

電話を、切る。

と、傍にじたばたしながら立っていたコバちゃんが、待ってましたとばかりに口を開く。
データ、と言うから相手が誤解する。
これとこれをお送りする、と、言わなければいけない。
データ、と言えば別のものを考えるだろう。

そうですか???
人間には文脈でものを考える力がある。
ぺちゃんこ依頼の時には相手もこちらも
「データ」
と言って、双方何を指しているか了解している。
それよりも何よりも、決着は、もうついている。
と、思うが、黙っておハナシを承っている。

やがて、コバちゃんは
「ワタシ何をしにここに来たのかしら?」
と、言いつつ遠ざかって行った。

忘れちまったみたい。


【第二話】

デンデンムシ課に送付しなければいけない書類が、ある。
先々週の金曜日の件。

アルチュールがハンコを押す書類だけが欠けている。
ハンコを押すだけの書類はとっくに渡してある。
それに添える書類は、きっちりと揃えて、ある。

待てども来ない。

いつも多少遅れるのだが、水曜日まで待って、メールをする。
普通に話せば聞こえる距離にいるのだが。

「金曜日の件、書類をよろしくお願いいたします。」
無返事。

待つ。

その週は虚しく過ぎた。
まるまる一週間が、過ぎたということである。

月曜日。
メールを再送。
無返事。

おカネが出なくたって、知りません。
もう、限界だろう。
書類を失くしたのなら、そう言って来い、と、言うのだ。

最初のメールから一週間、次の次の週の水曜日。
ハンコを押すべき時から10日が、経過。
朝。
トレイの上に打ち伏した紙一枚。
ハンコを押した書類。
裏返しに置く意味が、わからん。
(わかるかな?)


【第三話】

今朝から、またまたまた海外出張に出かけるコバちゃんから、メール。

「昨夜、オフィスを出ようとしたら鍵がないことに気がつきました。
 落としてしまったようです。」
アホ、ではなかろうか?

また、余計なシゴトが、増えた。

夫に報告。
「辞めれば?」
という返事。
そうしようかしら。

人間として我慢することは、した、
と、思う。



2015年07月19日

連投暴投 コバちゃん

【第一話】
オケアノス先生が見えた。
お茶をお出ししようと思った。

個別パックのお煎茶を開けたつもりだったのに、ほうじ茶であることに気がついて
あ、
と、言ったら、お人柄のオケアノス先生
「いいですよ。ほうじ茶で。」
と、仰って、下さった。

では、と95℃を表示しているポットから、沸騰中のお湯を出してほうじ茶を製造。
お盆に載せてお持ちしたらカップをいきなりわしづかみにした先生
「おぉ!熱い。」
と、仰った。
「95度あったんです。」
と、言ったところ、休息接近してきたコバちゃん、すれ違いざま
「冷まして!」
と、言い放って、通り過ぎて、行った。

ほうじ茶は、沸騰したお湯で淹れるのですよね?

と、思ったが、何も、言わなかった。

【第二話】
申請するまでになっている書類をコバちゃんのお目に掛ける。

ある箇所を指さして
「これは、金額をちゃんと書くのでしょ。」
と、言う。
「わたくしもそう思って確認しましたが、いつも書いていません。
 書くのは、カメさんのときだけで、この場合は書かずに問題になったことはありません。」
「でも、たまたま通っただけかもしれないし。」
「テントウムシのデータは添付していますから、あちらでも計算はできます。」
「問題にならなかったからと言って、書かなくていいってわけではないんじゃないですか。」

「では、先回も先々回もその前も書いていませんけど、今回は書きますか?」
自分でもドスの効いた声でしたよ。

問題があったら言ってきてくれるので、いつも通りにしておいてその時に修正すれば、よい。

ヒュイッ
と、なったコバちゃん。
「なら、いいですよ。」
と、とっ散らかしっぱなしのご自分のブースにスナネズミのように引っ込んで行った。

ちょっと可哀そうだったかしら?

と、思う間もなくチョロチョロ、とお出まし。
「だったら、テントウムシ一匹につき星5個、とだけ書いとけば?」

「それはいい考えですね。」
と、言って差し上げる。
かくして、余計な仕事が、増える次第です。

わたくしは、人間が、できている。





2015年07月17日

ない!PART III

「ない。
 帰る!」
と、夫にメールして帰宅したわたくし。

本当に、ないのだ。

もう、いいです。
一生今持っているお洋服で、暮らす。
着られなくなったら、お着物で出かける。
あるいは、自分で、作る。

などと言っておきながら、渋谷の半分取り壊されたデパート。
ふと、入ってしまったですよ。

ひらひら、と、透けすけと、化繊の中を歩いていて
何かがひらめいた。

あった!
コットンリネンのニット。
オフホワイトと、ネービーと、グレー。
クルーネック。
全体がケーブル編みになっているが、シンプル。
半袖。
セールに、なっている。
だぶだぶでも、ずるん、でも、ひらひら、でも、ない。

これ、です。
あったのですよ。
苦労した甲斐が、あった。


買った。
オフホワイトを。

ネービーもほしいな。
ヘンなものを買わないで、よかったです!


2015年07月16日

ない! PART II

コットンか、リネン。
あるいは、コットンリネン。
カットソーか、サマーニット。
スクエアネックか、クルーネック。
半袖(これを忘れていた。)
白、淡いベージュ、アイボリー、ネービー。

通販「地の果て」
では、もう買わないことにした。

だが、さして難しくないように思えるこの条件を満たすものが、見つからない。

化繊、だったり
レースがくっついていたり(ポリエステルの)
透けすけだったり
これは、シンプル!
と思えば裾にぱりぱりのフリルがほどこされていたり。
これでは皮膚がちくちくしますよ。

とあるセール真っ最中のお店。
二子多摩川ですね。
シンプルなネービーのサマーセーター。
ポリエステルが35パーセント入っているが、まあ、まあ。
クルーネック。
半袖。しかるに
なぜかこれだけがセールになっていない。

店員に
「これは、セールにならないのですか?」
と、訊ねてみたら
「なりません。」
とけんもほろろのご挨拶。

セールになっているなら、妥協してもよいが、本当に欲しいものとは言えないのに結構なお値段は
出したく、ない。
これは、わたくしの
煩悩、です。

ええ、そうです。



2015年07月13日

ない!

素材:コットン、リネン

サマーセーターか、あまりインナー風でなければ、カットソーでも、よい。

クルーネックか、スクエアーネック。

色は、ネイビー、アイボリー、明るいベージュ

条件は、たったこれだけである。

通販の大手
「地の果て」
で、見つかった、と、思った。

カットソー、ネービーのスクエアネック。
腰まで覆う、というのが売り物らしいので、
長すぎ。
気になる二の腕をカバーする、とかで
だぶだぶ。
返却。

同じ
「地の果て」
の淡いベージュのカットソー。
前身頃と袖が、模様編みふう。
哀しい!
ニコニコ商店街でカーッポーギと一緒にぶる下がっているような気がする。
返却。

渋谷に行って人波を泳ぎ切って、探した。
ない。

二子多摩川
お休みを使って、見て回った。
ない。

あった!
と、思うと袖に薄気味悪いレースが付いている。
しかもポリエステル。

これは!
と、思うと
透け透け。
確かに今流行らしいが。

この項続く