2016年02月

2016年02月27日

タイムキーパー コバちゃん

三人でお仕事の後、お茶をしましょう
ということに、なった。

なって、しまった。

サリーちゃん、コバちゃん、わたくし。

所用でで外出するコバちゃんとは
天空駅で会いましょう
ということに、なった。

オフィスのある駅の一つ先だ。

いいでしょう。
ま、たまには。

何時にどこで待ち合わせますか?
と、訊ねるわたくし。

皆さんの終業時刻には着いている気、満々です。

と、コバちゃん。

答えになっていない。

なっていないが
では、着いたらお電話しますね。
と、答えておく。
深追いは、しないのだ。

夕方にメール。

「甘皮駅を出ました。」
というタイトルで
「17時17分着です。」

何が、言いたいのだ?

終業時刻は17時15分だ。

2分で
地上に降りて
駅まで行って
デンシャに乗って
天空駅まで行って
エキナカでコバちゃんを探せ!
ということなのだろうか?

それとも、早退してもよろしい
ということなのだろうか?

ワカリマセン

サリーちゃんに
どうしましょ?
と、言ったが、
そうですね、と
顔を曇らせるだけのサリーちゃん。

考えた末
「なるべく急いで行きますね。」
と返事。

答えは
「ごゆっくり。」

無駄なことはやめましょうよ!

さっぱり、わからない。
コバちゃん。




2016年02月26日

ターフェル・アナトミア  コバちゃん

お昼過ぎに約束があり
「早めにお昼頂きますね。」
と言って先にお弁当を食べたコバちゃん。

トイレから
「寒い、寒い!」
と言いながら戻ってきた。

そして
「男の人って、おシッコをしたあとは必ず
ブルブルってするみたい。」
と、言い出した。

定刻にお昼休みに入り、ランチを食べ始めてばかりのわたくしは、
フォークを止めて彼女を見上げる。

何のことだ?

と、
解剖学的所見を述べ始めるコバちゃん。

ええと
排泄行為を行う時に男性は身体のごく一部を露出するだけで、良い。

そうなのですか?知らなかった。

そこに、その部分と他の部分との間で温度差ができるので
ブルブルっとなる
という意味のことを、具体的かつ、わかりやすい言葉で述べて下さる。

そうですか。

女性はね、結構脱ぐじゃないですか。
だから、そういう温度差はできない。
ということなのよ。

そうかもしれないが。
で?


いま、男性の気持ちが、わかった気がしたの。
寒いし!


今わたくしはお食事中なのですけど。

と、思う。

そしてコバちゃんは
そそくさとオフィスを後にした。

コバちゃんはわたくしのことがキライなのかもしれないな。



2016年02月25日

大好き! コバちゃん

コバちゃんはよく、ダレソレさん
「大好きなんです!」
と、おっしゃる。

そうですか。

まあ、悪いことでは、ない。

大好き!
な人がそんなに沢山いるということは
わたくしには、にわかには信じられないが。

たとえば
石ころ部の、猩々さん。
大好きらしい。

コバちゃんの度重なるチョンボに実に親切に対応して下さった。
感服するほど我慢強く。

しかし、あまりの頻度の多さと、失敗から何物も学ばないその姿勢に業を煮やしてか、
「担当部署と相談する内容については いちいち自分に報告して頂かなくとも
 結構です。
 業務に直接かかわりのないメール等はご遠慮ください。」
という冷ややかなメールを送ってこられた。

コバちゃんは、それからぴたりと
「猩々さん、大好き。」
とは言わなくなった。

そうだろうな
と、思う。

そして、これまた頻繁に、ダレソレさんは
「イケメンなの。」
とも、おっしゃる。

ちょっと賛成しかねるような、ただ
眼がデカくて、鼻の高い男性なんかのことを。

好き
キライ
という判断を抜きにして他人と関われない人なのだろうか
と、思う。

不思議です。 




2016年02月24日

郵便配達 コバちゃん

ポストに入っている郵便物を取り、
いつも通りに定刻10分前にオフィスに到着。

空気を入れかえ
電気ポットをお湯で満たし
その辺をざっと片づけてから
手を洗いに行った。

オフィスに戻ったらコバちゃんが入っていく姿が見えた。

しまったドアを開けながら
「おはようございます。」
と言ってわたくしも入る。

と、
ブースに入ったばかりのコバちゃんが
勢い込んで飛び出してきて
「郵便、入っていましたよ!」
と、わたくし宛ての封筒を二枚、差し出す。
送ってあった返信用の封筒が使われている。

なぜか、わたくしのトレイに入れてくれなかったみたいだ。

ありがとうございます。
さっきは、なかったんですよね。
と言った瞬間
コバちゃんのミニフランクのような指がわたくしを指して
「階段で来た?」
はい
と答えるのに畳みかけて
「さっきって、いつ?」

ははぁ〜〜

そうですね。
15分ほど前ですかしら。

一瞬の沈黙の後
「わかった!!」
と、叫ぶコバちゃん。

勢いを取り戻し
「住所のスタンプがこれだからだめなのよ。
 だから、郵便屋さんが間違えて別のポストに入れてしまうの。
 気がついた人がウチのポストに入れておいてくれたのよ。」
と、凱歌を上げる。

そして
「返信用の封筒にスタンプを押すときは
 とうきょうと、織田区、豊臣参之参之参
 徳川ビル参之壱
 だけでいいの。
 組織の名前も、部署名も、要りませんから!」

わたくしよりも先にポストを覗き、
先に郵便物を持ってきた!
と、思ったことが裏切られたので
振り上げたこぶしを躍起になって、下げまいとしているのね。
下げるどころか、振り回し始めるのね。

はい
はい
と、聞くわたくし。

でもね。
「おはようございます」
と言ってオフィスに入ったからといって
わたくしの姿を見れば、今出勤したかどうかぐらいはわかりそうなのに。
あなたより遅くに出勤したことなんか、特別の場合を除いて、ないのに。

一気に、ヤル気をなくしたわたくし。

そして遅まきながら気がついた。
あなただって今まで
いつもそのスタンプを使っていたのでは???





2016年02月19日

教育熱心 コバちゃん

一日勤勉に働いて、疲れてしまった。

ぼんやりしてる暇なんか、一瞬も、なかった。

でも、終業時刻まであと、二十分ある。

仕方がないので、新たな課題に取り組む。

まずは、メールを読む。

頭に入らない。

アタマが
もう英語はイヤだ!
と、言っている。

日本語だってもう、耳に入らないで、つるつると、ただ、通過していく状態なのだから。

コバちゃんがカップ片手に後ろに立っていた。

魔が差す
と言うのは、こういうことを言うのだろう。つい、
「ここは、こういう意味ですよね?」

言っちまったい!

色めきたったコバちゃん。

コピー機のところに走って行って、A4の紙を数枚ワシ掴みにすると
オフィスの真ん中のテーブルに着く。

あぁ〜〜〜
「こちらでお話しをしましょ。」
と、いざなう。

まずい!

「withoutはナニナニしないで、の、意味ですよね。」

知っているぞ。

「だから、ミミズは、ダンスしないで
ですよね。」

わかっているぞ!

「それから
タコアゲも、しないで、ですよね。」

イライラ

「わかっているのは知ってますけど、
少し付き合って下さい。」

イヤだ!

終業時刻間際にこの方にモノを尋ねたなんて
わたくしもヤキが、回ったものだ。



弁証法? コバちゃん

ある宗教学者が
「人間は食べるものによって自己を作り上げる」
と考える
という傾向を示唆していた。

これは
ブリア・サバラン君の
「何を食べているか言ってごらんなさい。
 そうしたらわたくしはあなたが誰であるかを言ってあげよう。」
という言葉に、似ている。

具体的に
「何、を食べるか。」
というよりも
「何を食べ、何を食べない自分」
というものが自己認識に繋がる。

ということをつい、口にしてしまった。

それは、違いますね。
と、言下に、コバちゃん。

あ〜〜〜。
来ましたよ!
言わなければよかった。
つい、気がゆるんでいたの。

仕方がないので
「そうですか。
 それは興味がありますね。
 どんなふうに、違うのですか?」
と、続けた。

考え込むコバちゃん。

じ〜〜〜〜っと下を見て、思索を深めている様子。
わたくしはタマゴヤキを口に運びながら、お待ち申し上げる。

やがて顔を上げると、
「わからない。」
え?

なんか違うんだけど、どう言っていいかわからない。
のだそうだ。

この件に関して説明するには長い論文でも書かないと不可能だそうだ。

そうですか。

発表なさった暁には、お知らせくださいませね。

まず
反対してみる。

そのクセが、あなたの日常を難しくしているのではありませんか?



2016年02月17日

暴食 コバちゃん

お客さまからお土産を、いただいた。

「ブラック・メイト」
チョコレートでコーテイングしたクッキー。
個別包装。
箱入り。

「お持たせだけど、頂きましょ!」
コバちゃんがいそいそと持ってきた。
自分はお客様とのミーティングのテーブルにつく。

コーヒーを淹れてお客様に運ぶ。
お菓子は五個お皿に入れてテーブルに持って行った。

しかるのち
サリーちゃんを手招きして
「頂き物だけど。
どうぞ。」
と言って二つほど取ってもらう。

箱は湯沸かしポットの傍に置いておく。

ミーティングのさなか、コバちゃんがいきなり
「頂きますね。」
と言って,お皿に手を伸ばした。

一番先に食べるつもりだ。

まあ、いいでしょう。

次の朝、出勤途中に、箱に入ったままの
「ブラック・メイト」
のことを思い出した。

あれを共有スペースに出しておこう。

オフィスに到着。
湯沸かしポットの傍には、箱は、ない。

ピン、と来て
コバちゃんのブースをのぞいたら、
あった!

空き箱がそのまま。

み〜〜んな召しあがったらしい。

10個入りかそれ以上。

サリーちゃんの二個以外は
コバちゃんのおなかに入ったようだ。

いや
テーブルのお皿には二個残っていた。
よくぞガマンした!

えらい!



2016年02月13日

Sudden Death

寒いのは好きだ。
外に出るとほっぺたがピリッと締まって、気持ちが良い。

ただし、ちゃんと寒さ対策をしていれば。

カットソーの下に一枚肌着を重ねて、その上に、セーター。
パンツの下には、暖かタイツ。
スカートの時は、厚手のパンスト。
時にはソックスを重ねる。

肌着はヒートテックが、いい、と、聞いた。
身体から出る湿気を、暖かさに変える。
らしい。

みんなに勧められた。

そうですか。
と、試したみた。

着た瞬間に暖かさを感じた。
少し圧迫感があるが、まあ、いいだろう。
と、一年使った。
二枚ぐらいをとっかえひっかえ。

次の冬が来たので、出して着用。

なんだか、ヘンだ。

だらん
と、している。
首元も、肩のあたりも、伸びた感じがする。
暖かさもあまり感じない。
肘の当たるところも、肘の形のまま平気で、いる。

こら。

安かったから、仕方がないだろう。
ワンシーズンで着倒したら、それで、良しとすれば。

ううむ。

そうだろうか。

十年以上前に買った厚手シルクの肌着は、健在だ。
肘が出ても、お洗濯すると元に戻る。
ヒートテックが安いといっても、シルクはその十倍のお値段では、なかった。

ともかく
何の挨拶もなしに、いきなり使えなくなるのは
合点が、行かない。
何か、言ってほしい。
知らない仲では、ないのだから。



2016年02月09日

むちゃくちゃ コバちゃん

催しの受付では、参加費を支払済の人に
前もって用意した領収書を差し上げる。

「はい」
と、コバちゃんに渡された名簿には
代金が
「振込済み」
か、否かが記載されている。
ほかに色分けしている箇所があるが
「受付には関係ないから、気にしないで下さい。」
だそうだ。

「領収書を下さい、と仰っていますが、この方のは
ないのですけど。」
と、スタッフに言われて、応対する。

振り込んだのだ
と、仰るその方。
でも、名簿によると、まだ、である。

催しには参加していただいて、領収書は確認後に差し上げることにして
まずは、会場に入って頂く。

終了後、コバちゃんにかくかくしかじかと、説明する。

そう・・・
と顔を曇らせるコバちゃん。
満月に薄雲がかかったみたいではなはだ風情が、ある。

そして
「記帳できなかったので、名簿に反映していない。」
と、意味不明のことを仰る。

え?

なんと。
振込指定銀行のマイページの
「IDとパスワードを忘れてしまったので」
毎日通帳記入をして、支払済か否かを確認していたの
と言う。

直前には通帳記入をしなかったらしい。

「では、その方には後で領収書をお送りしますね。」
で、対話を終了させるわたくし。
寛大だ!

そそっと遠ざかったコバちゃん。

ややすると再び歩み寄って来て
申し訳ありません、と書いてね!

もう
ウルサイ!



2016年02月07日

またお目に掛ります

宝生閑さんが亡くなられた。

こう言ってしまうと
ああ、本当だったのだ、と、胸に迫るものを感じる。


ワキ方は観ている人の代表だ
と、時々言われる。

そうなのかもしれない。

でも
わたくしにとって閑さんは
「見る人」
だった。そして
見せてくれる人、だった。

あの、炯炯たる眼差しで舞台の上にドラマを映し出してくれる人
だった。

閑さんが夢から醒めると
わたくし達も夢から、醒める
本当にそんな方だった。

惜しんでも惜しんでも、惜しみ足りない。


たった一度だが、閑さんの眼差しの中に映じたことがある。
それは、わたくしの生涯における宝物だ。


ナマイキを承知で、敢えて言う。

閑さんと舞台で共演したプロ、特にシテ方の人達。

閑さんはこうだった
こうしてくれた
こんなふうだった

と、舞台を通して後進に伝えてほしい。

お願いします。



selber at 13:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0) | 思うこと