怒るべきか・・・

2021年01月15日

私のことキライですね? 番外編 其の四

スウさんが
「フジ子さん緊急入院したんですって!」
と、教えてくれた。
直接聞いたのではないと言うことだったが。

でも
お二人は長いお付き合いなのでスウさんが
「何かお手伝いしますよ。」
と、言ったら
「大丈夫なの。」
と言われたそうだ。


フジ子さんは独り住まいだった。

華やかなスウさんと、どちらかといえば地味なフジ子さんは、長いお付き合いだが
本当に仲が良いわけではなくて、わたくしは
スウさんからフジ子さんの悪口を結構頻繁に
聞かされて、いた。

わたくしは、フジ子さんとはそんなに親しくはなかったが
何かでご一緒すると、門のところで待っていてくれたり
「これ、美味しいのよ。」
と、お煎餅をいただいたりしていた。それに
どことなく寂しげなフジ子さんが
気にもなって、いた。

だから
「それはお見舞いに伺わないと。」
と、自然に口から出たら、スウさんは
「行かないで。」
と、言った。かなり重病らしいので
「あんな姿を見せるのは可哀想。」
と言うことだった。

とりあえずスウさんの意見に従ったが、少し過ぎたある日
突然に
「今日、お見舞いに行こう。
 行かなくては!」
と、思った。

結論から言うと、フジ子さんは
わたくしが伺った時はすでに昏睡状態で、お話もできなかった。そして
その次の日に、たった一人で
亡くなられた。

スウさんの意見なんか聞かないで
お話のできるうちに伺っていれば、少しは
慰めになったかもしれない
と、今でも思う。

もちろん、そうではない、かもしれないが。

その後しばらくの間
色々な人が、一番仲良しと思われたいたスウさんに
お悔やみめいたことを言っていた。

「お見舞いにも伺えなくて。」
と言った人に対して、スウさんは
「いい時が、なかったものですから。」
と、美しい声で答えて、いた。

他の人たちにも
「お見舞いにはいらしゃらないで。」
と、言っていたのかもしれない。

スウさんはその後も何かにつけて
フジ子さんについて批判めいたことを
口にしていた。

世の中には結構
悲しくて醜いことが、ある
と、思った。今でも
思う。






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2021年01月14日

私のことキライですね? 其の三十九

叱らずに 隣の嫁を 褒めておき

確かこんな川柳が、あった。

柳樽だったかな?

昔、元夫の親戚一同と食事に、
行った。

結婚して最初のクリスマスシーズンだった。

その席で
元夫の叔父が
やたらとわたくしの女きょうだいを
褒めそやした。

キレイ
可愛い
若い
気立てが良さそう

思いつく限りの賞賛の言葉を並べ立てた。

ちなみみに
そのきょうだいはわたくしよりも
年上
既婚

そして
まるで生娘みたいだ〜〜
と、何ともセクハラめいた極めて古風な言葉で
締めくくった。

ふうん・・・
と、思いながらもハイハイと
拝聴していた。

ありがとうございます。

身内が褒められたのですからね。

お食事は滞りなく進み
やがてバーに移って少し飲みましょう
と言うことになった。

みんな立ち上がった。

その時の自分の装いは記憶している。

真っ赤なワンピースに
お揃いの靴
パールのチョーカー
バッグは
何だったかな?


その叔父さんは立ち上がったわたくしを見ながら

カッコいい〜〜〜〜!

と、叫んだ。

褒められたのだっただろうか?
あまり嬉しくはなかったが。

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2021年01月08日

私のことキライですね? 其の三十八

お友達の発表会に行った。

お金を払って行く場合は、まあ、カジュアルな服装でもいい
と、思っているが
この場合は少しは気にする。

知り合いも結構来ているし
ご挨拶もしなければいけない。その場の雰囲気を
こわしても失礼だ。

地味だがお気に入りのセットアップに
以前のクリスマスに夫からプレゼントされたスカーフをつけた。
スモーキイピンクで、
結構シックで、好きなの。

会場にはたくさんの人が来ている。

ロビーで出演者の方が迎えてくれた。
そこにやって来たある方。

あまり親しくはないが会うとお話しするぐらいの方。

ニコニコと近寄って来て、まずは
ご挨拶

そしてその方はわたくしのスカーフに目を留めて
仰ったの。

そのスカーフ、私も持ってる!

そうですか。

すごく古いの!!

そうかしら?

10年以上前のよ!


そうかもしれないですね。

わざわざおっしゃることもない、かもしれないけど。そして
古いのは恥ずかしいことでは、ない、けど。

10年位以上前のお洋服なんて
わたくしには珍しくもないけど。

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2021年01月07日

私のことキライですね? 番外編 其の三

Aさんはチャキチャキの下町っ子
はっきりと物を言う
時々ハッキリ過ぎるほど

Bさんは大阪出身だが
京都に嫁いで、挙措動作も京都ふう
まあ、はんなり
かな?

ある時
Aさん曰く
「ウチなんか、祖母が食べ物に口やかましいから
 子供の時なんか母は大変だったの。
 煮物、焼き物、揚げ物、和え物
 みんな揃えないとばあちゃん機嫌が悪くなったし!」

それに対してBさん
「そうでしょうね〜〜
 下町の人って、贅沢なんでしょ。」

Aさん
「そうよ!
 ゼイタクだよね。
 夜は必ずお吸い物だったしさ!」

Bさん、にこやかに
「そうなのね。
 それで下町って、何でも安いんですってね。」

いささか鼻白んだBさん、だった。

Aさんは素知らぬふり

わたくしには真似ができない技
だったな。

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2021年01月04日

私のことキライですね? 其の三十七

新年早々、嫌われたかもしれない話は
如何なものかとも、思うが
三ヶ日も過ぎたので
よしと、する。
ね?

元夫の母が亡くなって
しばらくしてからお会いしたら
その方はお悔やみと共に
包みを、下さった。

お花券
だそうだ。

そのようなことをして下さる
と、下さらない、のちょうど中間ぐらいに位置する
距離感の間柄だったので
ちょっと驚いたが
ありがたくお礼を申し上げて
拝領した。

帰宅して開けてみた。

お手製らしい和紙の包みが、出て来た。中には
フチが黄ばんだお花券
三枚。
古文書ではないかと思うぐらいに
古びている。
まだ使えるのだろうか?

裏を見た。

その方のお住まいは数十年来、MNT区
お花券を販売したお店の住所は、YKHM市

まあ〜〜〜

お返しは、
した。

他にも個人的なお祝いの際に
ヨレヨレのおリボンのかかった
包装紙にも包まれていない
「和光」の、
曇りに曇った
鏡を
頂いたな。

頂いておいてこんなことを言うのは
何だが
ここだけのお話ですよ。


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2020年12月25日

私のことキライですね? 其の三十六

駅に着いたら雨が降り始めていた。

降らないうちに帰るつもりだったので傘は
持っていなかった。

仕方がない
走ろう!

小走りに商店街を抜け
交差点に着いた。

赤になったばかり
もう、困ったな。

信号よ
早く青になれ!!
ハンカチを頭にのせた。

と、話しかけられた。

ちゃんと傘をさした、男性。

「すみません。
   あなたの幸せのために、ちょっとお話しをさせていただきたいのですが。」


思わず顔を見てしまった。

そしてわたくしの口から出て来たのは
自分でも思いがけない言葉だった。

わたくしの幸せを願ってくださるのなら
 このまま家に帰らせて下さい!
 ご自分だけ傘をさして。


ちょうど信号が青に変わったのをいいことに
わたくしはそのまま走って、家に、帰った。

たまには言い返すことだってあるの。

あなたの幸せ?
ふん、だ。

selber at 09:32|PermalinkComments(0)

2020年12月23日

私のことキライですね? 其の三十五

離れて暮らしていたので
家には時々両親の気散じになるような物を
送ったりして、いた。

まあ母は、気散じのタネはとても多い人だった。
大抵のものは喜んでくれた。

すぐに忘れたけれどもね。

父には、本や、それから
よく
お菓子を
送った。

珍しいもの、お取り寄せのもの、父の好物
など。

ある時わたくしが送った、まあ、大したことのない
でも、父が好きそうだと思われたお菓子を
きょうだいが
植木屋のお三時に出してしまった。

父が自分のおやつにそれを食べようとして
それを知ったらしい。
「なんだ。カッちゃんが折角送ってくれたのに
 植木屋に出してしまったのか・・・。」
戸、父は残念がったという。

そうしたら、きょうだいは父に向かって
「あんなの、近所のスーパーでも売っているよ。」
と、言ったということだ。

きょうだいは
このことをわたくしに
わざわざ知らせてくれた。

何が言いたかったのだろうか?

という疑問が、いまだに残る。

きょうだい仲は
今でも、良い方だと思うの。

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私のことキライですね? 其の三十四

元夫には仲の良い友人が、いた。

仲の良い、というか、まあ
飲み友達だった。

しょっちゅう飲んでは、お互いの家に泊めてあげたり
泊めてもらったりしていた。

お母様達はさぞ迷惑だっただろう。

だって、夜中に酔っ払いが突然やって来て
何の遠慮もなく、寝て、食べて、また会社に行くのだから。

少しは気の毒そうな顔をしていただろうか
と思うが、いや
していなかった、と断言できる。

それはともかく
その友人の家にはわたくしもよく、遊びに行かせていただいた。

ご両親ともよく、お話しをした。

気さくで社交的、かつ
おもてなし上手の、人たちだった。

元夫はそんな関係からか、その友人の結婚に際して
ある役割を果たすことになった。

そのようなことになったある日
その家のお母様が、わたくしに向かって

「ウチに出入りしている人たちの中では、わたくしは
 〇〇君が、一番いいわ!!」


と、おっしゃった。

そうですか。

それは一向に構わないのだが
何もその妻に向かって仰らなくてもいいのではないか?
と、その時思った。

お嬢様育ちの方だったので
本音
且つ
無邪気
だったのだろうと、思う。



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2020年12月18日

私のことキライですね? 其の三十三

親戚の子が母親に連れられて遊びに来た。

男の子が二人!

上の子は5歳

くりくり坊主で
切れ長の目、色はあくまでも黒く
日本男児

下の子は2歳半
なんと髪を伸ばしている。
クルンくるんと髪の毛が渦を巻いている。
目はぱっちり、色は、やはりこんがりと日焼けして、いる。
宗教画に出てくる天使のようだ。

色は、黒いが。

「可愛いわね〜〜」
と、本人に向かって言ってしまった。

チロリ
と、わたくしを見たその子は、真剣な顔で
バカヤロウ
と、一言。



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2020年12月17日

私のことキライですね? 其の三十二

初めて一人暮らしをすることになった時、嬉しくて
仲良くしていたコイちゃんに
「遊びにきてね!」
と、言った。

コイちゃんとは部署は別だったが、年も近くて
お話も、結構合った。
さっぱりとした気性で、綺麗な人だった。

そして
「泊まって行ってよ。
 遅くなったりしたら、いつでも歓迎よ。」
と付け加えたら
コイちゃんは
「嬉しいなあ!
 必ず行くね。泊まるわよ!」
と、言ってくれた。

コイちゃんの家は勤務先から一時間半
ぐらいかかる所だったので。

そしてコイちゃんは
「だったらお家賃私も出すよ。」
とまで申し出てくれた。

そこまでのつもりはなかったので
「いいわよ。気にしないでよ。そんな。」
とだけ答えておいた。

数日してから、コイちゃんがちょっと深刻な顔をして
わたくしのところにやって来て
「こないだの話なんだけど。」
と、言い始めた。

こないだの話って?

「ザルツさんに話したら
 そういうのやめた方が、いいって
 言われたの。」

そういうのって?

「お家賃を分担したりして、うまく行くはずがないって。」

何も一緒に暮らそうと言ったわけでは、なかったの。

遊びに来て
そしてなんなら泊まって行っても構わない
と、言ったつもりだったの。

ザルツさんは、わたくし達のずっと先輩

穏やかで、しっかりとした人だったがわたくしは少し
苦手だった。

誰にも悟られてはいなかったと思うけど。

そこでの勤務初日にご挨拶回りをした時、ザルツさんは
わたくしの方を一度も見ないで
別の人と、ずうっと、別のことを話していた。
「よろしくお願いします。」
とも、言えない雰囲気だった。

お仕事もできる方だったので
部下のコイちゃんは彼女を信頼していた。だから
わたくしとの会話を報告したのだろう
と、思う。

とは、思ったがわたくしは
「そう。」
とだけ答えた。

誤解された上に断られて
とも、思わなかった。

コイちゃんとはその後なんとなく
以前のようではなくなった。


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