ビン太さん

2010年12月28日

香水

ビン太は今日も機嫌が悪い。

新人のアルバイトがもぞもぞと挨拶をして席に着いたら、ふわっといい香りがした。

思わず
「あなた、香水つけているの?」
と、鋭く訊ねてしまった。
「いいえ。」
と、新人は言葉少なに答えた。
「ここは狭いんだから、香水はみんな嫌がるのよ。」
と、更にビン太は言葉を継いだ。

「前につけたのが残っているかもしれませんが。」
と、新人は言った。
「でも、今は着けていません。」

落ち着き払ったその様子は、ますますビン太のカンにさわる。

ぷりぷりしながら席を立った。
どうしてよいのかわからない。
ただ、機嫌が悪い。

selber at 14:06|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年12月20日

不機嫌な朝

ビン太の由来はこうだ。
泉ピン子に似ているが、もっとくどくて、厚化粧。
「ピン」
よりも
「ビン」
が、似つかわしく且つ
充分に女っぽいのに、言葉遣いや動作が男のようだから
「子」ではなく
「太」
なのだ。

ビン太は、つまらない。

今日入ってきたばかりのアルバイトを誰も自分に紹介してくれないのだ。

みんながその新入りを知っているらしく、話をしているのに、である。
もしかしたらそうではないのかもしれないが、ビン太にはもう、そうとしか見えない。

オフィスに入ったらその女性が立っていた。
「ワカちゃん」
に仕事を教えてもらっているらしい。

ふりむいたワカちゃんが
「あ、この人新しい・・・」
と、言いかけた。
「うん。」
と、さえぎってビン太は席に着いた。

ビン太は今日は機嫌が悪い。

selber at 09:49|PermalinkComments(0)TrackBack(0)