安井曽太郎

2010年01月05日

絵で聞く声

ブリジストン美術館で開催中の「安井曽太郎の肖像画」展を見てきた。
好きな画家であるということ以外に「人の顔」というものがいつも気になるわたくしとしては、行かなければいけない展覧会でしたね。

鳩山君のお母様のことは考えないことにする。
でも、いいですね。九億円のお小遣い。
ご本人の責任は不問に付されるのは納得いきませんよ。

さて。
安井曽太郎くんの描く肖像画。
面白かったです。

描かれている人物全てが
「興味深い人物」
としてこちらに訴えてくる。
注文制作されたものが多かった、ということは社会的にもひとかどの人物がモデルであり、個性が強くてそれなりにはっきりとした輪郭を備えている人が描かれていると言える。
でも、これらの肖像画の面白さはそのせいだけではない。
みんなナニか言いたそう、なのである。
お父さんを描いた作品からは歯切れの良いタンカが聞こえて来そう、と思ったらお父さんは京都の木綿商人なのですって、
少し違いました。
ともかく、何か言いたいが、言うことができない。
当然です。絵なのですから。
口はきけない。
しかし、今にも言葉を発しそうな顔をしている。
いろんなことを考えていたのだろうな、と思う。
なかでも、
「この絵、欲しい!」
と、思ったのは安倍能成の肖像。
三点あったが、正面から描かれた大きめの作品。
もうもう、声が聞こえる。
その、声、を画布に描き出したのは安井の技術である。そして、全身全霊で真摯にモデルと対峙した結果であると思う。
顔かたちだけではなく、一瞬の深い表情をキャッチし、その人物の悩みや喜び、人柄や人格までも表現する技術がすばらしい。
どんな動き方をする人なのかまで想像できてしまう。
魅力的である。
安井に描かれた人たちは、その後自己に対する認識が深まったのではないだろうか?
「アフター安井」


安倍能成。
勿論漱石先生の門下のあの安倍能成である。

嬉しかったですね。
「オオ、ここにいたのか!」
という感じです。
はじめまして。

他に
「長輿叉郎博士像」
というのもあった。
医者だというが、描かれた年代から言ってあの
「長与院長」
ではないだろうが、お子さんかお孫さんではないだろうか?
こちらも毅然とした姿だった。

漱石先生とご一緒したかったです。






selber at 23:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)