2013年06月11日 16:49

今週はユニコーンSと函館スプリントS

JRAで行われる3歳限定のダート重賞は、このユニコーンSと夏の新潟開催に組まれているレパードS(ダート1800m)の2つだが、地方競馬とともにダート交流重賞体系が整備されている。
今年は、5月のJpnII・兵庫チャンピオンシップ(園田・ダート1870m)
6月はユニコーンSと牝馬限定のJpnII・関東オークス(川崎・ダート2100m)
7月のJpnI・ジャパンダートダービー(大井・ダート2000m)
8月のレパードSと、4か月で計5レースが行われる。
2001年から6月の東京・ダート1600mという開催条件で定着しているユニコーンSは、3歳のダート巧者がJRAの重賞タイトルを手に入れる数少ないチャンス。
格付はGIII ながら、例年、世代屈指のダート巧者が集結して高レベルなV争いが繰り広げられている。
今年も豊かな将来性を感じさせる逸材が多数エントリー。
このレースの出走馬から未来のダート王候補が誕生する可能性も十分にあり、見逃せない一戦だ。

出走メンバーの中で、すでに大きな勲章を保持しているのがサマリーズ(牝3・藤岡健一)だ。昨年10月に行われた牝馬限定のメイクデビュー京都(芝1600m)は4着に敗れたが、ダートに矛先を向けて大ブレーク。2戦目の未勝利(京都・ダート1200m)と3戦目の500万下・ポインセチア賞(阪神・ダート1400m)を連勝、勢いに乗って臨んだ地方交流重賞の全日本2歳優駿(川崎・ダート1600m)も制してJpnI のタイトルを獲得した。3歳を迎えた今年は芝を使われてフィリーズレビュー16着、桜花賞18着と大敗続きだが、3戦無敗のダートに戻る今回は、その底力を見直す必要がある。

もう一頭、ダートで3戦全勝と完璧な戦績を誇るのがチャーリーブレイヴ(牡3・尾関知人)。昨年9月に芝のメイクデビュー札幌(1500m)を使われて11着に大敗したが、2戦目の未勝利(東京・ダート1400m)で一変した走りを見せて初勝利。続く500万下、オープン特別のヒヤシンスS(いずれも東京・ダート1600m)と、3連勝を飾った逸材だ。その後に軽度のフレグモーネを発症してひと息入れられた。今回は4か月ぶりの実戦となるが、4月末から順調に追い切りを重ねており、ひと追いごとに動きは力強さを増してきている。4連勝での重賞初制覇なるか、大いに注目したい。

サウンドリアーナ(牝3・佐藤正雄)は、GIII のファンタジーS優勝など2歳時に芝でハイレベルな走りを見せたが、3番人気と高い支持を集めた阪神ジュベナイルフィリーズでは17着に大敗した。3歳を迎えた今年もフィリーズレビュー7着、桜花賞9着と牝馬クラシック戦線でひと息の競馬が続いたものの、初めてダートのレースに出走した前走のオープン特別・端午S(京都・ダート1400m)を4馬身差で圧勝。ダートで新境地を開いた。中6週と少しレース間隔はあいているが、この中間は栗東坂路で入念に乗り込まれており、引き続き気配は良好。ダートではまだ底を見せていないだけに、好勝負の期待が高まる。

ベストウォーリア(牡3・石坂正)は、昨年11月のメイクデビュー京都(ダート1200m)を好位追走から直線で楽々と抜け出して初陣V。4戦目となった前々走の500万下(東京・ダート1600m)を勝ち上がると、約3か月の休養を挟んで出走した前走のJpnII・兵庫チャンピオンシップで2着に食い込み、収得賞金の加算に成功した。休養明け2戦目で体調面の上積みが見込める今回、重賞タイトル奪取のチャンスも十分にあるだろう。

ケイアイレオーネ(牡3・西浦勝一)は、芝でのデビュー3戦は7着→12着→5着と好結果を出すことができなかったが、ダートに替わって未勝利(京都・ダート1400m)→500万下(東京・ダート1400m)→JpnII・兵庫ジュニアグランプリと、破竹の3連勝。一気に重賞ウイナーの仲間入りを果たした。3歳を迎えた今年は、オープン特別のヒヤシンスS(東京・ダート1600m)9着、国際G2・UAEダービー(メイダン・オールウェザー1900m)10着と大敗続きだが、能力的には今回のメンバーでも上位にランクされる存在だけに、軽視は禁物だろう。

エーシンレンジャー(牡3・中尾秀正)は、初めてダートに参戦したデビュー3戦目の未勝利(阪神・ダート1400m)で勝ち上がると、続く500万下(京都・ダート1400m)も連勝。3戦目のオープン特別・ヒヤシンスSは9番人気ながら4着に好走した。約2か月半のレース間隔をあけて臨んだ前走のオープン特別・端午Sでは勝ち馬のサウンドリアーナから0秒7離されたものの、きっちりと2着を確保している。ダートで唯一連対を外したヒヤシンスSも、優勝馬チャーリーブレイヴとのタイム差は僅かに0秒2。東京・ダート1600mも2度目で慣れが見込める今回は、さらに上位も狙えるだろう。

ジェベルムーサ(牡3・大竹正博)は、デビューからの4戦すべてで東京・ダート1600mのレースを使われ、〔2・1・1・0〕の好成績をマーク。敗れた500万下の2戦(3走前が0秒2差2着、前々走が0秒4差3着)でも優勝馬とのタイム差はともに僅かで、まだ底を見せていない印象がある。前走の500万下優勝後はダービートライアルのプリンシパルS(東京・芝2000m)で芝を試す予定になっていたが、体調が整わなかったために自重。短期放牧を挟んで立て直され、臨戦態勢は整っている。良績十分のダートなら、重賞でも好勝負に持ち込めるだろう。

クラージュドール(牡3・池江泰寿)は、初勝利を挙げるまでに3戦を要したが、前々走の未勝利(京都・ダート1800m)を1番人気に応えて勝ち上がると、同じ舞台で行われた前走の500万下も昇級初戦で約3か月半ぶりの実戦ながら、力強い差し脚で連勝。重賞のここに勇躍参戦してきた。母レクレドールは2004年のローズSと2005年のクイーンSの優勝馬で、現在種牡馬として大活躍しているステイゴールドの全妹という良血馬。まだまだ成長が見込めるだけに、一気の相手強化となる今回も上位争いに加わってきそう。

ブロードソード(牡3・松田国英)は、ダートで通算〔2・3・0・0〕と、連対率100%を誇る好素材。母のブロードアピールは、強烈な追い込みで芝・ダートを問わずに重賞6勝と大活躍した名牝だが、この馬は先行してしぶとく粘る脚質で、今のところは父のダイワメジャーにイメージが近い。前走で500万下のわらび賞(新潟・ダート1800m)を勝ち上がったばかりだが、相手なりに走る印象もあり、重賞のメンバーに入っても軽視は禁物だろう。

インカンテーション(牡3・羽月友彦)は、今回がデビュー9戦目でキャリアを積みながら徐々に力をつけてきたタイプ。前々走の500万下・沈丁花賞(中京・ダート1800m)で2着馬に5馬身差のワンサイド勝ちを飾ると、前走のオープン特別・伏竜S(中山・ダート1800m)でも9番人気の低評価を覆して、0秒1差の4着に健闘した。その伏竜Sの1着馬コパノリッキーは、次走のJpnII・兵庫チャンピオンシップを6馬身差で圧勝した世代屈指の大物。この馬も、重賞タイトルを十分に狙える位置にいるはずだ。

サウンドトゥルー(牡3・高木登)は、ダート1400mの500万下(東京、東京、阪神)で3戦連続2着をマークしたあと、初めてダート1600m(東京)を使われた前走の500万下では、2着馬ミヤジマッキーに3馬身差をつけて圧勝。距離が延びたことで、パフォーマンスを格段に上げた感がある。最大の持ち味は強烈な決め手で、現在3戦連続でメンバー中最速の上がり3ハロンタイム(推定)を計時。末脚が活きるレース展開になれば、大きく浮上してくるだろう。

フミノファルコン(牡3・目野哲也)は、デビュー3戦目の未勝利(京都・ダート1800m)を4馬身差で圧勝したあと、6戦続けて勝てなかったが、初めて東京・ダートコースに参戦した前走の500万下(1400m)では、2着馬に6馬身差をつけて楽勝した。脚抜きのいい不良馬場とはいえ、走破タイムの1分23秒8は極めて優秀。コース替わりで、驚くほどの変わり身を見せた。今回は距離が200m延びるが、ダート1800mで1勝3着2回の良績を挙げているだけに、1600mは問題なくこなせるはずだ。
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今年で8年目を迎える『サマースプリントシリーズ』の第1戦目が、函館スプリントS。
2010年にこのレースを制したワンカラットは、同年の『サマースプリントシリーズ』チャンピオンに輝いた。
また、2011年の覇者カレンチャンは、同年秋のスプリンターズSを優勝し、JRA賞最優秀短距離馬に選出された。
そして、昨年の函館スプリントS2着のロードカナロアは、その後にスプリンターズSと国際G1・香港スプリント(シャティン・芝1200m)を連勝し、JRA賞最優秀短距離馬に輝いた。さらに、今年の高松宮記念と安田記念を優勝、春秋スプリントGI 制覇およびマイルGI 制覇の快挙を成し遂げている。
このレースで好走した馬が、2年連続してJRA賞最優秀短距離馬に選ばれたように、毎年ハイレベルなメンバーが集結。今年も絶好の馬場コンディションで開幕する函館ターフから目を離せない。

ドリームバレンチノ(牡6・加用正)は、昨夏の函館スプリントSを快勝。ここは連覇を狙っての登場だ。昨年はスタートで後手に回りながらも直線で早目に抜け出し、ロードカナロア(2着)、パドトロワ(4着)といった実績馬の追撃を退けて、重賞初制覇を達成。本格化をアピールするとともに、洋芝への高い適性を示した。秋以降は、GI・スプリンターズS3着、GIII・シルクロードS優勝、GI・高松宮記念2着と、充実一途の道を歩んでいる。今回は高松宮記念以来で約2か月半ぶりの実戦になるが、この北海道シリーズに照準を合わせて調整を積まれており、再び元気な姿が見られそうだ。重賞2勝に加えて、GI で2着1回3着1回の実績は、このメンバーの中では最上位にランクされる。ここで59キロの斤量を克服して、函館スプリントS連覇を飾れるか、大きな注目が集まる。

パドトロワ(牡6・鮫島一歩)は、昨夏にアイビスサマーダッシュとキーンランドCを連勝し、『サマースプリントシリーズ』のチャンピオンに輝いている。アイビスサマーダッシュでは新潟・芝1000mの直線競馬を好位追走から力強く抜け出し、キーンランドCでは洋芝の札幌・芝1200mを抜群のダッシュから一気に逃げ切り、1分07秒6のコースレコードをマーク。短距離レースなら、コース・展開を問わずに安定した競馬ができる馬だ。気温の上がる夏場に強いタイプで、今年もこの時季に照準を合わせたローテーションが組まれている。前走の京王杯スプリングC(14着)は、約5か月半ぶりの実戦に加えて、距離もベストの1200mより1ハロン長い1400mで展開も厳しかった印象。今回は休養明け2戦目で状態面の上積みが見込めるうえ、6勝を挙げている芝1200mに距離が短縮と、条件が大きく好転する。持ち味のスピード全開で重賞3勝目を目指す。

フォーエバーマーク(牝5・矢野英一)は、昨夏に函館・芝1200mで1000万下のUHB杯を快勝したあと、1600万下のTVh杯も優勝。ともに2番手を楽々と追走して直線で鮮やかに抜け出す強い内容だった。今回の舞台は2戦2勝と、抜群のコース適性を誇る。まだ重賞の勝ち鞍こそないが、3歳の春にはGI の桜花賞にも出走し、身上とするスピードを活かして5着に健闘。早くからスプリント能力が高いところを示していた。前走のオープン特別・福島民友C(福島・芝1200m)では、前半3ハロンが32秒5というハイペースを2番手で追走しながらも、2着に好走。昨年同様のローテーション(福島民友C3着のあと、函館遠征)で函館競馬の開幕に照準を合わせていただけに、今年も活躍が期待できそうだ。

テイエムオオタカ(牡5・石栗龍彦)は、3歳の夏に函館スプリントSで勝ち馬のカレンチャンと同タイムの2着に好走。そして、4歳の昨年は、1600万下の札幌日刊スポーツ杯(札幌・芝1200m)とオープン特別のオパールS(京都・芝1200m)を制したほか、重賞でもキーンランドC3着、スワンS2着の実績を残した。着実に地力アップを果たしており、重賞制覇もすぐ手の届くところまで来た印象だ。今年は3か月半の休養明けで臨んだ前々走のオープン特別・春雷S(中山・芝1200m)で3着と上々の滑り出しを見せており、昨夏以上の成績を挙げることも可能だろう。前走の京王杯スプリングCは9着に敗れたが、勝ち馬のダイワマッジョーレと0秒4差で、悲観する内容ではなかった。一昨年に活躍した舞台に戻って、待望の重賞初制覇を狙う。

クィーンズバーン(牝5・浅見秀一)は、昨年の阪神牝馬Sの優勝馬。半兄のダノンカモン、ワイルドソルジャーなどはダートでの活躍が目立つが、この馬は芝での軽快なスピードが持ち味だ。連覇を狙った前々走の阪神牝馬Sは、逃げて3着に善戦。2年連続の優勝こそ逃したが、勝ち馬のサウンドオブハートとのタイム差は0秒1。1番人気のハナズゴール(4着)には1馬身半先着を果たしており、中身の濃い内容だった。これまでに札幌・芝コースで2戦2連対を記録しており、洋芝への適性も高い馬。前走のオープン特別・ディープインパクトC(京都・芝1400m、2着)から1キロ軽い54キロの斤量はプラスになるはず。条件が好転するここは、逃げ切りのシーンが見られるかもしれない。

スギノエンデバー(牡5・浅見秀一)は、鋭い末脚を武器に芝1200mで全5勝を挙げている短距離の追い込み馬だ。その中には重賞の北九州記念(2012年)が含まれており、今回のメンバーに入っても実績は胸を張れるものがある。昨年の春からコンスタントに使われているが、前走のオープン特別・鞍馬S(京都・芝1200m)では、上がり3ハロン32秒7(推定)をマークして2着を確保。疲れを見せることもなく、好調をキープしている。小倉・芝コースで4勝を挙げているように、追い込み馬ながら小回りコースもマイナス材料にはならないタイプ。今回も快速馬がそろって速い流れが予想されるだけに、直線一気の強襲劇が見られるかもしれない。

シュプリームギフト(牝5・須貝尚介)は、昨夏の北海道シリーズで2勝をマーク。洋芝を得意としている一頭だ。1000万下の道新スポーツ杯(函館・芝1200m)を快勝したあと、札幌・芝1200mを舞台にした1600万下の札幌日刊スポーツ杯2着→オープン特別のUHB賞1着、そして重賞初挑戦のキーンランドCでも0秒3差の4着に健闘。暮れの京阪杯でも3着に好走してみせた。今年3戦目となった前々走の阪神牝馬Sこそ11着と大敗したが、これは良馬場発表ながら、雨の影響で苦手とする緩い馬場コンディションになったのが大きく響いた印象。前走のオープン特別・鞍馬Sでは上がり3ハロン33秒1(推定)の末脚を駆使して、勝ち馬から0秒1差の4着に追い込んできた。今回は体調も上向いてきた状態での北海道シリーズ参戦。得意の舞台で初の重賞Vを目指す。

アウトクラトール(牡8・宮徹)は、前走のオープン特別・福島民友Cで通算7勝目をマーク。それまで挙げた6勝はすべてダートのレースだったが、前走は1回福島開催の芝1200mで最速となる1分08秒2の勝ちタイムで快勝。新境地を切り開いている。今回は約2か月半レース間隔があいたが、『サマースプリントシリーズ』を視野に入れて調整が進められてきただけに、依然として気配は良好だ。函館ターフは初めての参戦となるが、ダートで好成績を収めた馬でパワーは十分。洋芝ならさらに良さが出る可能性も秘めている。8歳にして進化を続けるベテランホースが、重賞初制覇に挑む。

アドマイヤセプター(牝5・橋田満)は、昨秋にスワンSで3着に好走したあと、1番人気の支持を受けた京阪杯ではアタマ差の2着に惜敗。重賞制覇の見通しは立っている素質馬だ。近走はGI レース挑戦(高松宮記念15着、ヴィクトリアマイル15着)が続いて見せ場もなく終わっているが、今回はこの馬にとって戦いやすい条件がそろった印象だ。札幌・芝コースで〔3・0・1・0〕の好成績を残しているように、洋芝に対する適性は抜群。函館・芝コースは初参戦になるが、札幌と同様にぴったりの舞台と思える。母は名牝アドマイヤグルーヴで、叔父に重賞ウイナーのルーラーシップ、フォゲッタブル、叔母にグルヴェイグを持つ良血馬。夏の北海道シリーズを飛躍のステージにしたいところである。

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