2007年11月01日

日本産淡水魚を飼育しよう。

e4019544.jpgコイやタナゴに代表される淡水魚の仲間たちは、私たちに身近で、水槽で楽しめる種が多い。川魚、日本産淡水魚などと呼ばれるジャンルが確立されている。ユーモラスで愛嬌たっぷりのハゼの仲間や、キビキビした泳ぎと輝くウロコが魅力のタナゴ類、奥深いドジョウの仲間、人気のメダカたち‥‥。今日は日本産淡水魚について考えてみよう。

■彼らの生活環境
河川改修工事が完了してしまったコンクリートの河岸が増えれば増えるほど、魚と魚のエサとなる生き物の生活場所、及び産卵スペースが少なくなってしまう。ダムや堰が彼らに与える影響も計り知れない。あなたが手に入れた魚は、たいへん貴重な命である、大切に飼育してあげたいものだ。うちの水槽にいるほうが、自然界にいるより幸せだ、といえる環境を提供してあげよう。本来中性から弱アルカリ性を好む日本産淡水魚であるが、Ph7.0・中性での管理をおすすめする。アルカリの水質はアンモニアがイオンにかわりにくい(毒性が強いです。)という面がある。一方、酸性に傾き過ぎると活発に遊泳しなくなり、エサ食いが鈍り衰弱したり、病気に罹りやすくなる。
上流、中流、下流、汽水域と生活環境は様々であるが、ろ過のよく効いたきれいな水を用意することに全力を傾けてほしい。

■外来種と法令
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律、いわゆる外来生物法については現在様々な意見が交わされている最中である。環境省のホームページをご覧いただきたい。現在、日本国内では、人為的に持ち込まれたり、他の魚に混ざって輸入された生体が帰化している。もともとの自然には存在しなかった生物が住み着き、在来種と競合し、生態系のバランスを崩す要因となっているのだ。環境省は、特定外来生物の候補を発表した。この中にオオクチバス、コクチバス、ブルーギル、チャンネルキャットが含まれている。魚類だけでなく、哺乳類、昆虫、植物、水草なども選定された。この法令はすでに施行されており、指定された種は、運搬、輸入、野外への放出、許可のない譲渡などが禁止されている。導入した個体は最期まで責任をもって飼育することが第一前提で、むやみな放流や、無計画な購入はあってはならない。在来種が絶滅の危機にさらされ、レッドデータにのってしまうことや、昔はいっぱいいたんだけどねぇ、というベテランたちの意見はさみしいかぎりだ。

■水槽セッティング・設備
水槽について

良いコンディションの魚と長く付き合うために、水槽はなるべく大きいものを用意してあげたい。近年、人気の小型水槽は、
/緡未両なさに起因する安定した水質管理の難しさ、
⊃總紊里擦泙気傍因する生体の衝突、スレ、キズ、ストレス
F本の暑い夏に対処する冷却設備のしにくさなど、難点が多い。

ろ過器について
フィルターは2系統あると良好な環境を維持しやすい。例えば上部式と外部式のコンビ、あるいは2台の外部式などで、定期的に交互に清掃する。ろ過器1とろ過器2を1ヶ月ごとに順番に清掃することがバクテリアの減少や、環境の急変を防ぐ。清掃の間隔はそれぞれ良好なレンジを探ってほしい。

エアレーションについて
魚のため、微生物のため、基本的にエアレーションは24時間行なう。サラサラの底砂に、空気の気泡、美しい照明で輝く水面、キラキラ輝く銀鱗が川魚の王道である。
ただし水草育成のためCO2を添加している水槽に関しては、夜間のみエアレーションしよう。

冷却設備について
魚たちにとって、日本の夏の暑さはとても厳しい。水槽用の冷却ファンやクーラーは必須アイテムである。毎年夏には、各メーカーがリリースするモデルチェンジした新製品がショップの棚に並ぶことと思われ、設備選びもたのしんでいただきたい。魚の体温は水温と同じなので一定の水温を維持してあげよう。

殺菌灯の使用もおすすめする。病気になりにくくなるだけでなく、コケの発生も抑制しやすい。照明設備は、個人的には蛍光灯よりもメタルハライドランプの照明が川魚の美しさや、水の透明感を演出するのに適していると思う。

■エサ・管理
エサについて

川魚たちは大食漢であり、なんでもよく食べる。イトミミズなどの活きエサに加え、冷凍の赤虫やミジンコ、フレークやペレットなどの人工飼料と、なるべくいろいろなものを与えることを心がけてほしい。自然からの採集魚、釣りあげてきた個体は導入直後が大切で、環境の変化に伴うストレスや、スレ、キズなどから、なるべく早く回復させてあげたい。嗜好性の高い赤虫やイトミミズからスタートして、人工飼料にも慣らしていこう。人工飼料は栄養バランスが良く、コンディションを崩しにくくなるうえ、色彩も鮮やかに仕上がるので、数種を用意しメニューに加えよう。ショップで購入するときは、入荷日、何を与えていたか、食欲はどうか、などを確認しよう。

水かえについて
1回の水かえの量は少なくてよい、三分の一程度をおすすめする。水かえの回数は多いほうが良い。なるべく新しい水で飼い込もう。週に1〜2回の作業をおすすめする。古くなってしまった水は、硝酸塩の蓄積、Phの低下、水質悪化にともなう病気の発症など、いいことがない。底砂を敷いているケースではクリーナーを使って積極的に汚れを除去する。水をかえるときには、必ず底砂クリーナーを使用し、上ずみだけの水かえは避ける。

■おすすめのスターたち

★タナゴ類

日本の水辺にはなくてはならないグループである。繁殖期のオスの美しさは格別で、卵を二枚貝に託す繁殖方法もたいへん興味深い。一種類での飼育を基本とする。縄張り争いによる闘争を避けるだけでなく、地域変異個体の混泳、交雑を避けるのが目的だ。レッドデータに記載され、国の天然記念物に指定されているイタセンパラ、ミヤコタナゴの採集、飼育は禁止されている。

タイリクバラタナゴ

バラタナゴの大陸産基亜種。1940年代に、レンギョやソウギョ、ハクレンに混じって移入された。川魚のエースに上り詰めた種である。飼い込むことでレインボーフィッシュに勝るとも劣らない輝きをみせてくれる。

ヤリタナゴ

比較的大きくなる種で、本州から九州にかけて広く分布する。オスの婚姻色は背びれの前上縁と尻ビレの外縁が赤くなり、体側前半部が淡紅色に染まる。分布域が広く、産地による個体差が見られる。

カゼトゲタナゴ

九州北部、筑後川水系に多い。体側後半の深青色の渋さがなんとも魅力的だ。オスの婚姻色は吻端が口紅をさしたように赤くなる。5〜6月、マツカサガイに産卵する。筆者おすすめのタナゴだ。二枚貝を長く生かすことは水槽では難しく、皆さんの水槽で長生きしている例があれば、設備や環境、水質データをお寄せいただきたい。

アブラボテ

地味だが油色の婚姻色を出したオスは、淡水魚屈指の美しさである。一対の口ひげがなんとも偉そうで、吻端に鼻ひげ状の追星が出る。

カネヒラ

全長12センチ、タナゴ類の中で最も大きい人気種である。産卵期は9〜11月。秋産卵型のタナゴは、カネヒラ、ゼニタナゴ、イタセンパラのみ。漢字で書くと金平。

ゼニタナゴ

日本産のタナゴの中で最も細かい鱗を持つ。メタリックのボディが美しい。9〜11月、カラスガイやドブガイに産卵する。ふ化した仔魚は貝の中で越冬し、翌年4〜6月に貝から出てくる。

★オイカワ

属名Zaccoは日本語の雑魚からつけられた。釣りを楽しむ人も多いと思われる。
成熟したオスの美しさは、極美というほかない。

★スジシマドジョウ

小型種にはバリエーションが多く、山陰型、山陽型、淀川型、東海型などが知られている。どれも愛すべき愛嬌のあるキャラクターたちだ。プレコやコリドラス用のタブレットフードを食べるしぐさがなんとも可愛らしい。

★トミヨ

北海道、青森、日本海側は福井、石川県以北に分布する。水槽飼育下においては、オスが水草や流木のかけらなどを利用して巣をつくり、卵や稚魚を守る。その生態はたいへん興味深い。漢字での表記は止水魚。

★オヤニラミ
海では圧倒的な種類の多さが知られるスズキ類であるが、オヤニラミは唯一在来の純淡水魚である。親睨の名前の通り、えらぶた後端に目のような青い斑紋があり、目が二対あるように見える。ヨツメと呼ぶ地域もあるようだ。水槽飼育下においては、冷凍赤虫や、生きたメダカを好む。ハングオンした流木などに卵を産みつけ、守る様子を観察しよう。その姿は、まるで四つの目で監視しているようだ。

★ヨシノボリ・ハゼの仲間。

種類が多く、ショップで取り扱われる人気種は、コリドラスコレクションに通ずる世界がある、と思うのは筆者だけであろうか。ゴクラクハゼ、シマヨシノボリ、チチブ、ジュズカケハゼ、ナンヨウボウズハゼ。これからも発見されるかも知れない新種も楽しみである。

★メダカ

野生個体は年々減少し、1998年、環境庁(現・環境省)のレッドデータブックに掲載された。地域変異のバリエーションも多く知られている。ショップではヒメダカをはじめ、クロメダカ、改良シロメダカ、改良ヒカリメダカなども流通している。小学校の教材で、息子さんが飼育しはじめたメダカを取り上げ、どっぷりはまる大人たちも少なくない。大人を真剣にさせる魅力は、再考に値する。





鉄則1。きれいな水で飼育しよう。アンモニア、亜硝酸、硝酸塩、Phなど水質チェックをし、エサやり、水かえを基本的な管理とする。

鉄則2。冷却設備をしてあげよう。日本の暑い夏をのりきるにはクーラーや冷却ファンが不可欠である。エアレーションも重要だ。

鉄則3。1種類での飼育を基本としよう。貴重な日本の財産を大切にする気持ちで、過度の混泳はなるべく避けよう。



selvas2 at 07:09コメント(0) 

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