2007年11月03日

サンゴを飼育しよう。

9e3f3c6d.jpgリーフアクアリウムはそれ自体が小さな生態系であり、この環境の中で多くの要素が作用しあっている。サンゴの仲間を長期にわたって育てること、増やすことが可能になった現在では、自宅に海を再現するマリンアクアリストが増えている。今日は、ムセキツイ動物の水槽を理想的にキープするためのいくつかの点について考えてみよう。

海は地球上で最も安定した生態系である。海に生活する生き物たちは大昔から現在に至るまで自然界の環境に適応してきた。自然界において、この環境条件が大きく変動することはまれで、多くの海水生物は「環境変化への適応力」が、淡水生物に比べてはるかに低い。水槽飼育において海水魚が不幸にも死んでしまい、「海水は難しい」といわれる最大の理由はこのあたりにあると思われる。水槽環境は変化しやすい、ということをしっかり認識し、生体には良好な環境を提供してあげたい。難しいことにチャレンジしてクリアしていく過程で、設備が淡水よりもおおがかりで高価なものになったりすることもあるだろう。自分なりのノウハウを習得していく過程を楽しんだりするマリンアクアリストさんが多い。海水魚の養殖もずいぶん盛んになって流通しているが、まだまだ天然採集魚も多い。海で生活していたものをビニール袋に入れ、飛行機に乗せ、水槽に放つことを考えると、水槽や養殖場でうまれた個体を飼育するのとはやはり勝手が異なる。基本ステップを淡水で習得し、海水、ムセキツイ、サンゴは新しいチャレンジや次のステップになるアクアリストが多いのはこのあたりにありそうだ。映画ファインディング・ニモの人気のさなか、小型水槽でイソギンチャクとカクレクマノミをスタートし、現在に至っている方はやはり多くのチャレンジと失敗に基づいた環境の改善を実施し多くのことを習得したのだ。多くの成功例は、スタートしたときよりも大きな水槽になっている。水量が少ないことは環境が変化しやすいことと隣り合わせであるのだ。

まずは理想的な環境づくりから見ていこう。

近年の海水飼育設備の充実はめざましく、これらを導入すればウチの水槽もいけるのではないか?と思えるほど魅力的なアイテムのソソル殺し文句に思わず目がいってしまうが、自分の水槽環境を把握することや、なにが起きているのかを知るには水質測定を身につけるのが良いと思う。数値は目に見えるし、データ、経験となるからである。ショップで話をきいたり、本を読んだりすることももちろん大切である。抽象的であいまいなニュアンスのこと、特定の環境、設備での話も多く万人向きではないため、当欄では具体的な数値を水質管理の目安としたい。

■水質管理・チェックしたい項目の目安は表のとおりである。
pH→8.0〜8.5(東京では7.0の水道水に適量の人工海水を溶かすと8.2〜8.4の水が得られる。)
KH(炭酸塩硬度)→8〜14
Ca(カルシウム濃度)→400〜450mg/l
比重→水温25℃のとき1.022から1.024
NH4/NH3(アンモニア・アンモニウムイオン)→0が理想
No2(亜硝酸塩)→0が理想
No3(硝酸塩)→20mg/l以下
Mg→約1300mg/l
PO4(リン酸)→0.1mg/l以下
Cu(銅)→0(水道水や銅を含む薬を通して水槽に入る)
O2(溶存酸素)→6mg/l以上(エアレーションが良く効いている)
GH(総硬度)→11前後

魚やムセキツイ動物たちは、骨格形成のために海水中からカルシウムを摂取している。天然の海水中には400〜450mg/lのカルシウムが含まれている。市販の添加剤のカルシウムには、毎日添加してくださいという表示が多いが、飼育している生体の数、コンディションにもよるので、毎日規則的に添加すればいいというものではない。飼育水のカルシウム濃度を測定し、400mg/lを下回ったらカルシウムを添加して濃度をキープしよう。

天然海水中のマグネシウム量は約1300mg/lである。カルシウム同様、消費された分はその都度補給しよう。

マンガンなどの微量元素は魚やムセキツイ動物にとって必要不可欠な成分である。微量元素は時間の経過とともに消費され、またプロテインスキマーの稼動によって失われていく。

カルシウムとともに欠かせないのがストロンチウムである。海水中には8mg/l含まれている。やはり添加液を定期的に使用し、補給・観察することで管理したい。

★ライブロックについて
天然の岩場から採集されている。多孔質(細かい穴がたくさんあいていること)の内部には数多くのバクテリアが高密度で付着している。甲殻類や環形動物、カニ、シャコ、ゴカイ、エビ、ウニ、ヒトデ、海藻類などが付着しているものも多く流通し、思いがけない生き物との出会いも楽しい。バクテリアが水槽に定着するまでの時間を短縮し、海水水槽を良好な状態で「立ち上げる」ことに役立つ。ムセキツイ動物を美しくレイアウトする岩組のベースロックとして、自然の海の雰囲気を再現するのでたいへん重宝する。多孔質であるため、適度に軽いものがよしとされる。同じ形のものは二つとないので、形や据わりの良さは吟味してほしい。
さて、中でも人気なのが岩の表面に赤紫色の石灰藻と呼ばれる藻類が付着しているライブロックである。石灰藻はそれ自体水質に影響を与えるものではないが、その岩をとりまく環境が良好であることの目安になるのだ。上手に立ち上がっている水槽では、石灰藻が繁茂して、設備のパイプや水槽面などに広がるように付着していく。このカッコイイ環境を求めるために赤い岩は人気があるのだ。

石灰藻とは、石灰を体に含んだ海藻の総称である。紅藻であるサンゴモ類、ガラガラ類、緑藻であるサボテングサ類、褐藻であるウミウチワなどである。愛好家に好まれるのは赤紫色のサンゴモ類である。赤紫色が岩にべったりと、かたく付着しているものは特に人気がある。これを良好にキープすることが水槽管理のカギともいえる。彼らの最適環境は水温25℃、pH8.2、比重1.022〜1.024、リン酸塩濃度はきわめて低く、という条件である。ライブロック専用水槽でキュアリング(トリートメントして水槽に適したものにすること)の済んだもの、カッコイイ形のものを選んでほしい。

★サンゴに適する照明
蛍光灯は水深50cmまでの水槽で使用できる。青色のランプは、海水魚やムセキツイ動物の生息域の光を再現し、成長を促進させるのに最適な380〜450nm(ナノメーター)の光線が得られる。4〜6ヶ月ごとに新しい蛍光管と交換する。複数のランプを使用している場合は、一気に全てを交換するのではなく、1本ずつ交換することが光条件を安定させることにつながる。

照明の色温度をあらわすK(ケルビン)は、10000〜20000K、ワット数は水深45cmの水槽で150Wが目安となる。

サンゴたちを美しく魅せるための照明は現在も進化中である。メタルハライドランプは、吊り下げ式で水面のキラメキを楽しんだり、専用ハンガーでレイアウトに合わせて自由にライトを取り付け自分だけの照明設備を作ったり、青系スポットライトとしてLEDランプを合わせてコーディネートしたりと、照明設備の成功なしにサンゴ水槽の成功はないと思えるほどの勢いで進化している。

サンゴの世界には独特の専門用語が多い。育成に光が必要な好日性コーラル、あまり強い光は必要のない陰日性コーラル、骨格をもつハードコーラル、骨格のないソフトコーラル。これらを組み合わせてミドリイシに代表される好日性ハードコーラル、イボヤギに代表される陰日性ハードコーラル、チヂミトサカに代表される好日性ソフトコーラル、ベニウミトサカなどの陰日性ソフトコーラルという4つの括りが一般的である。

好日性のサンゴは、自分の体内組織に褐虫藻(ズーキサンテラ)と呼ばれる藻類を共生させている。これらの光合成によって得られる栄養分によって生活するため、給餌はあまり必要ないかわりに、光は欠かすことができない。添加剤の使用状況もしっかり管理したい。

★サンゴに適するエサ
ズーキサンテラを介して栄養を摂らないサンゴは給餌が必要である。微細な生物などをポリプによって捕食して暮らしているのだ。

サンゴのエサ

・タブレット状の人工配合飼料
栄養バランスが取りやすいので、意外にもオススメである。冷凍のオキアミやアサリの浸出液にしばらく浸けておいたものを与えるとエサに慣れやすくなる。

・冷凍飼料
貝、イカ、エビ、オキアミなどの冷凍飼料である。飼育水をグラスなどの小さい容器に取り、その中でとかしてから与える。

・乾燥飼料
オキアミを乾燥させたクリルなどである。飼育水をしみこませ、中の空気を抜いたものを与える。

・活餌・生餌
アサリは殻をむき、適当な大きさに刻んで容器にとった飼育水で洗ってから与えると良い。イサザアミは貴重な活餌である。

・リキッドフード
プランクトンを濃縮したもの、必要な栄養分を含んだ添加剤は、水流を止め、ピペットで口の近くに運び込んで与えよう。

(鉄則1)自分が見た海、感じた海を再現しよう。

自分だけのこだわりのレイアウトを作ろう。海を切り取ってきて自宅に再現しよう。

(鉄則2)ろ過設備、照明設備を充実させよう。

自分だけのこだわりのシステムを構築しよう。サンゴたちはポリプを力いっぱい開いて応えてくれるにちがいない。

(鉄則3)水槽管理を徹底しよう。

水質、照明時間、エサの量、微量元素の添加量などは、きちんと管理して理想的な環境作りを目指そう。「だいたい」、「〜くらい」、「適当に」はダメである。



selvas2 at 00:14コメント(0) 

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