2007年11月17日

小型ナマズもチャーミング。

99e67a54.jpg写真は若いデンキナマズです。
ナマズ愛好家は、魚そのものや飼育に対する心構えがしっかりしている、と感じる場面が多い。一般的な熱帯魚と比較して長命であるし、飼育設備へのこだわり、エサへのこだわりが熱く、水質管理などのスタイルが確立しているのだ。エサをくれる人の顔をおぼえてくれるナマズたちは、こうした管理に全身を使って応えてくれるにちがいない。今日は小型ナマズについて考えてみよう。
■熱帯魚の中では一大グループ
ナマズの仲間は全世界に2400種以上が存在している。これは全魚種の1割を占める大所帯である。今日のテーマ「小型ナマズ」であるが、全長およそ10cm前後の大きさのもの、としよう。小型ナマズといっても個々の性質は実に様々で、共通点であるとか、小型ナマズ一般といったことはほとんど見つからない。
ナマズ目の魚は34の科に分類されている。ヒゲをもつこと、体表にウロコがないこと、2番目から4番目までの脊椎骨が一体化してひとつの骨になっていること、背鰭、胸鰭の第一番目の条が太い骨の棘になっていることなどが特徴である。毎年、新種新着魚が紹介されていて、その魅力は尽きることがない。やはり1種ごとに飼育者側で最高最適な環境を用意してあげることが使命であると思われる。ナマズの生態は謎に包まれている部分が多く、試行錯誤やテスト・観察、未知なる部分の解明など、手探りのことも少なくない。種ごとの理解、アプローチが不可欠である。例えば、コリドラス、オトシンクロスなどポピュラーなタンクメイト、骨が透けて見えることで人気のトランスルーセントグラスキャット、魅惑のプレコたち、大型ナマズ、デンキナマズ、サカサナマズ、みんな仲間たちであるが、その取り扱いはことごとく異なり、食性や繁殖方法なども様々である。さらにこうして見ると、ナマズの仲間はほぼすべての大陸に生息しているのがわかる。
キャットフィッシュ、猫魚とはネコのようなヒゲをもち、ネコのように身近な存在であることを意味する。日本では地震予知研究がいちばん身近であろうか。世界を見ると、アマゾンではタイガーシャベルやレッドテールキャットが市場で食用として売られている。タイではクラリアスの仲間が市場に並び、オンポックは燻製にされて吊り下げられている。アメリカではスポーツフィッシングにおいて巨大なチャンネルキャットが釣り上げられていて、人々の生活に深く関わっているのが分かると思う。
■小型ナマズの取り扱いについて
市販されている目の粗いネットですくいあげると、長いヒゲがひっかかったり、鋭い棘がささってしまったりするので注意が必要である。最悪の場合には魚が気絶したり、遊泳が不能になったり、ネットをハサミなどで切らなくてはいけなくなったりする。なるべく細目のネットを使用するか、あるいはネットは水中で追い込むためだけに使用し、生体はボールなどで水ごとすくいあげるようにしよう。すくい出したあとも、飛び跳ねには注意が必要である。アマゾン水系や東南アジアでの採集に用いられる巻き網も、非常に目の細かいもので、3〜4人で上流から追い込む方法がとられている。
ナマズに限らず遊泳性の高い種をビニール袋で運搬する際には、袋を寝かせた状態で運ぶようにしたい。袋を立てた状態だと袋内での衝突やスレが多いため、魚にとってやさしくない。水面が広く酸素に触れるためにも、袋は寝かせよう。ショップで購入する際にはなるべく大きな袋、なるべく多くの水でパックしてもらうようにしよう。
■エサについて
ナマズの仲間は雑食に近くなんでもよく食べる。やはり種ごとに最適なものを用意してあげたい。一概にこれがいい、というものはないが沈下性ナマズ専用フード、冷凍赤虫、小魚、沈降性顆粒フードなどを用意してあげよう。購入時にそれまで何を与えられていたかを確認したうえで、十分な給餌をしてあげたい。繁殖にあたっては、十分な栄養と十分な運動が不可欠と思われ、繁殖報告例、成功例の少ない種についてはまずはしっかりした栄養を与えることを鉄則としたい。エサ不足や、やせた個体では繁殖には至らない。ナマズの仲間は丈夫で飼育しやすく、厳しい環境にも耐えてしまうため、管理者側がカンタンと思っている種でさえ、どのような繁殖形態かが不明な(例えばトランスルーセントグラスキャットなど)ものも多く、これからの課題である。
■病気について
ナマズの仲間は丈夫で、病気にはかかりにくいといえる。水質の悪化から発病に至る場合には、その兆候として体表が荒れたり、ヒゲ先がとけたりする症状がみられる。直ちに半分ほどの水をとりかえ、二次感染を防ぐ目的でエルバージュなどを規定量の半分以下で投薬し、回復を待つ。薬によってはアロワナなどの古代魚やナマズには使用できない旨を明記してあるものもある。それはナマズたちが魚病薬そのものに弱いことを示している。治療よりも予防が肝心で、水かえ作業が遅れないようにしたり、エサのバリエーションを多く保ち病気に対する抵抗力をつけたりすることを心がけよう。
■レイアウトについて
流木や岩など隠れ家となるものを入れたほうが良いカリクティス、水草をいれられるグラスキャット、底砂にもぐり、かき回すトーキングキャット、遊泳空間を広く取ったほうが良いピクタス、同種、他種との混泳ができるもの、低い水温を好むもの、1種ごとに最適な環境作りを心がけよう。ともすると脇役になりやすい種を主役にしてあげるようなレイアウトが生態観察に最適である。
■アメリカ大陸のナマズたち
現在では陸続きになっている南北アメリカ大陸であるが、ふたつの大陸はおよそ1億年前にさかのぼりずっとはなればなれであったため、北アメリカと南アメリカとでは同じ系統の種はほとんど生息していない。北米はアメリカナマズ、ハマギギの仲間が中心である。一方南米はナマズの宝庫であり、ピメロドゥス、ロリカリア、カリクティス、ドラスの仲間が繁栄している。
★ピクタス
長いヒゲをもち活発に泳ぎ回る人気種。10cmほどになる。レイアウトの際は遊泳スペースを多くとってあげて、キズつけないようにしてあげたい。何でもよく食べるが、冷凍赤虫に群がる彼らは見ていて壮観である。小さなネオンテトラなどは食べてしまうため混泳はできない。コロンビア産の個体は美しいスポットが入り、珍重される。
★ドワーフバンブルビーキャット
5〜6cmほどになる。褐色の地肌にダークブラウンのバンドが入る。砂にもぐる性質があるため、なるべく目の細かい砂を敷き、底面積を広く保ってあげよう。底床を清潔にするため週に1度は底床クリーナーを使用し、水かえ作業をしてあげよう。
★カリクティス
カリクティスはCall(美しい)ichthys(魚)。この種はアナバスのように泡巣をつくり、その下で卵を守ることが知られている。近年日本にはあまり流通していないが、丈夫で飼育しやすい種である。産卵数は成熟したメスで100〜150個ほど、ふ化には3〜4日かかる。
★バンジョーキャット
10cmほどになる。沈んだ落ち葉の下などにいることが多いので、飼育下においては、シーアーモンドの葉などを入れてやるとその生態が観察できる。胸ビレをすり合わせてギッギッという音を出す。丈夫で飼育はしやすい種である。
■ユーラシア大陸のナマズたち
ユーラシア大陸にはナマズ科、ギギの仲間が生息している。熱帯だけにとどまらず、日本や中国、ヨーロッパに広く分布している。
★トランスルーセントグラスキャット
骨が透けて見える人気種で大きい個体は8〜9cmである。おとなしい性格で入門種としても最適である。近年水草レイアウトにも多く用いられ、涼しげな演出をしてくれている。群で飼育すると落ち着きやすい。少数だと水草などの陰にかくれ、透明だけにどこにいるのやらわからなくなってしまう。混泳にも向く。
★ブラックランサー
15cmほどになる。尾ビレ以外は黒で、体側には細い白線が1本入る。タイ、インドネシアなどから輸入されてくる。独特のかっこいい体型で人気の種である。
★エレスティステスの仲間
写真はモンタナキャット。4cmほどになる。冷凍赤虫が大好きで、腹がパンパンに膨らむまでたべてしまう。物陰でじっとしていることが多いので、シェルターとなる流木や、アクセサリーを入れてあげよう。
■アフリカ大陸のナマズたち
アフリカのナマズの代表はサカサナマズ科とデンキナマズ科である。ナイル、ニジェール、ザイール、コンゴ川と、大陸の東側に位置する湖が主な分布地域である。
★サカサナマズ
シノドンティスの仲間である。8cmほどになる。腹面を上に向けて泳ぐことで有名である。複数飼育だとよく遊泳する。流木などを斜めに立てかけるとまんまとそれに沿って泳いでくれて、特徴を観察しやすい。頭部が小さくヒゲが長いタイプ、胴が太く体は白みがかっているタイプ、暗褐色の個体などが知られている。
★フェザーフィン・シノドンティス
背ビレがクシ状に伸びるポピュラー種である。光線によっては青みがかったグレーに黒いスポットが美しい。15cmほどになる。頑強で飼育はしやすい。性格も温和である。
★エトロピエラ
群泳性が強く、生きエサを好む。人工飼料に慣らす際、根気がいることがあるが食べてくれるようになる。夏場の水温上昇には注意したい。8〜10cmほどになる。
■オーストラリアのナマズたち
ナマズ少数のオーストラリアではあるが、海起源のものが多く知られている。ゴンズイ科のタンダンキャットは15〜20cmほどになる。近年輸入量は減ってしまっている。昼は物陰に隠れ、夜間活発に行動する。生きエサを好む。

(鉄則1)エサは必要かつ十分に。
     多くの仲間はお腹が膨らむまで食べる。魚と話をしながら、残らないように与えよう。
(鉄則2)水質管理のスタイルを確立しよう。
     (例)「1週目」水かえ→「2週目」水かえ→「3週目」水かえ→「4週目」大掃除。
      水槽の大きさ、魚の数などでかわってくるため、良好なレンジを見つけよう。
(鉄則3)繁殖に挑戦しよう。
     まだまだ謎が多い小型ナマズの世界。みんなでナマズ博士を目指そう。



selvas2 at 00:05コメント(0) 

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