2013年12月31日

ご挨拶

いらっしゃいませ。
こちらは蝉海 夏人(せみう なつひと)という一介の学生が、
運営するブログです。
当ブログに関して詳しいことは、こちらをご覧ください。

蝉海 夏人は、以下のようなところでも活動しています。

mixi twittertwilog) pixiv  facebook the interviews

近況・雑記ブログ「旅人の戯言」(随時更新)

創作ブログ「旅人の物語」(閉鎖)


表示確認:Internet Explorer ver.8 Google Chrome

※ Internet Explorer ver.8ですと、
  太字・英字の部分のフォントサイズが「1」小さくなって

  表示されるという、不具合が生じています。
  またGoogle Chromeですと、
  全てのフォントサイズが小さくなって表示されてしまいます。
  もし、同様の症状がお使いのブラウザで起こりましたら、
  倍率を調整するなどして、当ブログをご覧下さい。
  お手数おかけして、誠に申し訳ありません。


蝉海 夏人は、ポップ・カルチャーの基底にある、
民主主義と国内経済活動を脅かす、
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に反対します。

stop_tpp_1


筆者が現在視聴中のアニメ
 
(原作既読)


(原作未読)



お知らせ(2/10)

ブログを再度移転しました。新しいブログは、こちらになります。
リンク・ブックマークを貼られている方は、お手数おかけしますがご変更お願いします。

  

最終更新 9/30(日)

リンク編集・追加


 

次回更新予定日 未定



※「旅人の手記」は、以下のサーチエンジン・ランキングに登録しています。


「駄文同盟.com」
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「人気ブログランキング」
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semiu_natsuhito at 23:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)はじめに 

2012年02月19日

インターネットでの活動をしばらく停止致します

お久しぶりです、蝉海夏人です。
先日は突然インターネットでの交流や諸活動を遮断し、
多くの方々にご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
この度は改めて、今回このような判断に至った理由を、
皆様にお伝えしたく存じます。

大学をやめて仮初にも社会人になった私は、
生活に対する態度を、これまでと多少なりとも変えざるを得なくなりました。
するとどうしたことか、
「時間はあるのに、やりたいことができない」
という状態に陥っていくようになったのです。
まず在学していたときよりも、
インターネットのブラウザを立ち上げている時間が多くなりました。
これはオフラインでの環境が大きく変化したことが影響しているのか、
インターネットに対する依存度が高まっていくようになったのです。
けれどもその時間が、
blogやtwitterなどを使っての他の人との交流や活動に勤しむことには向かわず、
むしろこれまで以上に、自分から発言することを避けるようになっていきました。

こうして無為なネットサーフィンを続けていくうちに、
「時間を徒に消費してしまった」という自責の念は募り、
精神が磨耗していくようになりました。
「インターネット上で活動していく意欲の衰え」
を明確に意識するようになったのです。
そして同時に、ネットから離れた時間が欲しいと思うようになりました。

いっそしばらくオンラインの世界から離れて、
哲学やその他学問の修養や本来の趣味に専念するべきか。

自分の現状を鑑みるにそれが最善であると考えたため、
この度は活動停止という判断に至らせて頂きました。
そういう訳でありますので、最低でも半年から一年くらいの間は、
オンラインでの積極的な活動は差し控えることに致します。

連絡等の用途でSNSを使うことはありますが、
これまでのような定期的な執筆は、当分のところするつもりはありません。
ただblogやmixiの方で、また気が向いたときに何かしらの更新はするかもしれません。
ですので、しばらくの間は不定期更新という形を取らせて頂きます。

また生活が安定しない現状では、同人活動の方も縮小せざるを得ません。
先日までは、次の夏のコミックマーケットで新刊を出すと申しましたが、
これは取りやめることに致しました。
この一年は、一般参加や知り合いの方のサークルのお手伝いのみに留めることに致します。

さて。ネットでの活動はしばらくの間凍結しますが、
これまで私が皆様より賜ってきたご厚意を、無下にするつもりは全くございません。
ご期待にお応えするためにも
身の回りが落ち着き次第、必ず復帰する所存であります。
オフラインでの交流の方はこれまで通り続けていきたく存じますので、
またお気軽にお声をかけて頂ければありがたく思います。

不束者でありますが、今後とも蝉海夏人をどうか宜しくお願い申し上げます。


2012年2月19日 蝉海夏人


semiu_natsuhito at 15:43|PermalinkComments(0)TrackBack(0)活動指針・沿革 

2012年01月15日

コミックマーケット81 購入本

2011年12月29~31日に開催されましたコミックマーケット81で、
私が購入した本とサークルの紹介記事です。
ここで掲載されている画像は全て、
各著作者の個人サイト、あるいは作品の特設ページなどのバナーであり、
購入した同人誌から引用したものではありません。
 
 
二日目(12月30日・金)
 
「仙人掌工房」
 
『ORGERONDO』
 歯車の樹から供給されるエネルギーを使い、様々なものを作り出す「笛車」(オルゴール)と呼ばれる職人。これはそんな、「笛車」の見習いである少女の物語。
 ともかく、メルヘンティックな世界観が魅力的な作品。丸みを帯びた描線で描かれる人物造形が、物語の根底に流れる優しさをよく体現している。
 
『Operatopia』
 音を食べ、そして吐き出すことのできる、不思議な少女を主人公にしたオムニバス。
 絵が非常に繊細で、かつとても可愛らしい。時計塔やライトフライヤー号といった近代的なガジェットが出てくる世界観や、そうした舞台で紡がれる幻想的な物語が好きな人は、読んでみてもいいかも。
 
 
「タランテラ」(里桜さん)
hp_bana
 
『pudding』
 フルカラーのオリジナルイラスト集。コピー本。
 全体的に淡い色彩を基調としている。子供の描き方がとても可愛らしく、観ていると和やかな気持ちになる。
 
『白黒少女』
 モノクロコピー本。上述の人を含め、5人のイラストレーターが一枚ずつイラストを提供。中にはURLを載せている人もいるので、気にかかったら覘きに行くといいかもしれない。
 
 
三日目(12月31日・土)
 
「つくよのうた」(加月猫さん)
tsukuyo
 
『冬のうた』(新刊)
 作者が3年間続けてきた、ボーカロイドの二次創作シリーズの総集編。
 作者の絵の変遷が見て取れるとともに、主役であるボーカロイドの魅力も十分に伝わってくる。全体的に切ない話が多めだが、根底にあるエッセンスは「優しさ・思慮」である。
 著者のファンなら、買って損はない。
 
 
「うにぐる」(紺野賢護さん)
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『アメリカ&イギリス(ヘタリア)のラバーストラップ(仮名)』
 『ヘタリア』(日丸屋秀和)のアメリカ及びイギリスを、ケモノ化したストラップ。(参考) やけに可愛いので、買ってしまった。
 
 
「よつは薬局」(薬師寺ヨシハルさん)
PIWEB burner

 
『雪降る日』(新刊)
 雪が降る街の中、買い物に出かける獣の耳をした男の子と女の子のお話。6ページで終わる掌編。
 舞台は寒い雪の日であるが、純朴な子供達のやり取りが、読者をほんのり温かな気分にさせてくれる。
 
『二人の竜医さん』(新刊)
 友人である北神ゆうやさんとの合同本。「竜の医者(竜医)」モティーフに、互いの世界観をクロスオーバーしたような形になっている。
 二者ともに、この本の象徴である竜がよく描けていて好感触。両者、あるいはどちらかのファンの方なら是非。
 
 
「マーマレードスカイ」(フミヨモギさん)
fumiyomogi_banner
 
『ジャンティイの聖母』(新刊)
 『裏庭ゴーレム』の続編。前回はA5版だったのだが、今回はB5版。型はできれば、同じにして欲しいところ。
 ニヒリズムさえ湛えるような、荒い描線で紡がれる独特な世界観は実に魅力的である。ただし、そのドラマツルギーにはやや難が見受けられた。回りくどいネーム・分かりにくいコマ割が、読む気を減衰させてしまい、途中から物語にいま一つのめり込むことができなくなってしまった。またゴーレムを操るものの正体も、余り印象に残りにくい。
 物語としては綺麗に完結しているので、絵が気に入ったのなら読んでみてもいいかもしれない。
 
 
「でぃぷろ・えんじにあ」(mirvさん)
 
『漫画家さんのサイン会に参加してみよう! ~サイン会参加の手引き 2011年版~』(新刊)
 コピー本。マンガ家のサイン会の手引き本であるが、熟練者にも十分に読み応えがある内容になっているように思える。
 そのデータの膨大さには圧巻としか言いようがなく、感服せざるを得ない。著者の経験がものを言っている、渾身の一著と言えよう。
 
 
「よいどれ眼鏡の。」(葵さん、漣さん、他執筆者多数)
rakuen

 
『楽園に花束を Des Fleurettes pour Le Paradis』(新刊)
 白泉社より発刊されているマンガ誌「楽園 Le Paradis」のファンブック。
 雑誌の執筆作家による寄稿イラストやインタビューがたくさん掲載されており、大変豪華な内容となっている。また、編集チームによる文章からは、雑誌及び掲載作品の特色が明晰に伝わってくるだけでなく、誠実な「思い入れ」を強く感じさせてくれる。
 雑誌や掲載作家のファンでなくとも、「楽園 Le Paradis」を読みたくなること請け合いの一冊だ。
 
 
「革命的萌え主義者同盟」
 
『革萌同通信 No.9』『(同左)No.11』
 新左翼をモティーフにした、共産趣味団体の機関紙(?)
 記事の内容から偽広告まで、学生運動・新左翼ネタ満載の一冊。学生運動を夢見る女子高生が、ノンポリの学校で奮闘するという4コマは笑えた。
 政治的主張はともあれ、この手のネタが好きな人なら。
 
 
「文学フリマ」(文学フリマ事務局)
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『これからの「文学フリマ」の話をしよう』
 「文学フリマ」という文章オンリーの同人誌即売会の運営側が、十周年を記念して作成したクロニクル+α本。
 早稲田大学教授である東浩紀氏のインタビューや、運営の指導部による対談・ディスカッションなど、その筋には豪華な顔ぶれが揃っている。文学フリマ未参加でも、その沿革を理解するために、あるいは現代の文芸にまつわる思潮の参考として、本書を読む価値は十分にあるだろう。
 
 
「漫画批評」(漫画批評編集部)
 
『漫画批評 第3号』
 インターネット上で活動するマンガレビュアー・コラミストが集って発刊した、マンガ評論のミニコミ誌の第3弾。
 古屋兎丸氏のインタビューが目玉記事であるが、それ以外にも「マンガ一巻読破」のhappysad氏による寄稿など、読み応えのある文章ばかりが目白押しの一冊。
 マンガ評論にありがちな、薄っぺらいポストモダン思想のひけらかしは一切ない。本当にマンガの面白さ・本質を、どの筆者も分かりやすく論じている。
 マンガのレビューをよく読む人、またそうしたサイトを経営している人は読んだ方が良い。
 
 
※ タイトル脇に(新刊)と書いてあるものは、
  奥付の発行年月日が2011年12月30日あるいは31日と
  刻印されている同人誌です。


semiu_natsuhito at 00:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0)イベントレポート | レビュー

2012年01月14日

読書備忘録 2011年7月下旬~12月

2011年の7月下旬~12月の間に通読・精読した書物の一覧です。
特にオススメなものは、簡単な感想を追記しています。
 
また、横の()は読んだ(マンガの場合は買った・貰った)冊数を表しています。
 
 
小説・詩集・説話(17)
 
『星の王子さま』
 Antoine de Saint-Exupery 訳 石井洋二郎 筑摩書房
『GJ部』 
 新木伸 小学館
『涼宮ハルヒの憂鬱』
 谷川流 角川書店
『涼宮ハルヒの溜息』
 谷川流 角川書店
『涼宮ハルヒの退屈』
 谷川流 角川書店
『涼宮ハルヒの暴走』
 谷川流 角川書店
『涼宮ハルヒの動揺』
 谷川流 角川書店
『涼宮ハルヒの陰謀』
 谷川流 角川書店
『涼宮ハルヒの憤慨』
 谷川流 角川書店
『涼宮ハルヒの分裂』
 谷川流 角川書店
『涼宮ハルヒの驚愕(上)』
 谷川流 角川書店
『涼宮ハルヒの驚愕(下)』
 谷川流 角川書店
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)』
 村上春樹 新潮社
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)』
 村上春樹 新潮社 
『ダンス・ダンス・ダンス(上)』
 村上春樹 新潮社 
『ダンス・ダンス・ダンス(下)』
 村上春樹 新潮社 
『螢・納屋を焼く・その他の短編』
 村上春樹 新潮社
 
 
論説・随想(9)
 
『省察』
 Rene Descartes 訳 山田弘明 筑摩書房
『人はなぜ戦争をするのか』
 Sigmund Freud 訳 中山元 光文社
『実存から実存者へ』
 Emmanuel Levinas 訳 西谷修 講談社
『文化とコミュニケーション』 
 Edmund Reach 訳 青木保 宮坂敬造 紀伊國屋書店
『実践理性批判』
 Immanuel Kant 訳 波多野精一 宮本和吉 岩波書店 
『ハイデガー』
 木田元 岩波書店
『柿の種』
 寺田寅彦 岩波文庫
『寺田寅彦随筆集 第一巻』
 寺田寅彦 岩波文庫
『新理科教育法』
 「新理科教育法」編集委員会 東京書籍
 
 
ドキュメント・ハウツー本・実用書・ブックレット・写真集(6)
 
『岡本太郎 神秘』
 岡本太郎 共編 岡本敏子 内藤正敏 二玄社
『わかる! なるほど理科実験』
 編著 杉山剛英 裳華房
『ペットボトルロケットを飛ばそう』
 日本ペットボトルクラフト協会 KKダイナミックセラーズ出版
『図解雑学 よくわかる相対性理論』
 二間瀬敏史 ナツメ社
『決定版ペットボトル・ロケット』
 監修 別府護郎 KKダイナミックセラーズ出版
『総括せよ! さらば革命的世代』
 産経新聞取材班 産経新聞出版
 
 
マンガ(34)
 
『銀の匙 Silver spoon』2
 荒川弘 小学館
『20世紀少年』全22巻
 浦沢直樹 小学館
『21世紀少年』全2巻
 浦沢直樹 小学館
『少年ノート』2
 鎌谷悠希 講談社
『すみっこの空さん』1
 たなかのか マッグガーデン
『イエスタデイをうたって』6
 冬目景 集英社
『放課後アトリエといろ』1
 華々つぼみ 角川書店
『ハナヤマタ』1
 浜弓場双 芳文社
『はぢがーる』1
 みやびあきの 芳文社
『テルマエ・ロマエ』4
 ヤマザキマリ エンターブレイン
『ばらかもん』5
 ヨシノサツキ スクウェア・エニックス
『ソコツネ・ポルカ』全1巻
 わかつきめぐみ 白泉社
 
 
<オススメ・三行感想>
 
『星の王子さま』
(Antoine de Saint-Exupery 訳 石井洋二郎 筑摩書房)
 児童文学の名作。砂漠の真ん中で遭難したパイロットは、宇宙からやってきた少年(王子)に出逢う。王子が
訪れてきた小惑星に住む偏屈な大人達の描写や、彼が天に昇るラストは、子供が抱く「大人が忘れてしまった〈人間らしさ=人としての生〉」を寓話的に描いている。
 
『涼宮ハルヒシリーズ』
(谷川流 角川書店) 
 平凡な日常を嫌う少女ハルヒに付き合わされる、凡庸な級友キョン。プラス3人の学友。楽しい学園生活と、そ
れを脅かそうとする超常現象とが交錯するプロットからは、「今、仲間と共にいることを望む自分」というテーマがビシビシと伝わってきて、読者に自らが過ごす日常について反省させてくれる。評判通りの傑作。
 
『実存から実存者へ』
(Emmanuel Levinas 訳 西谷修 講談社)
 不条理な世界において人間の〈生〉はいかに意識せねばならないか。第二次世界大戦という惨禍を経たレヴィ
ナスが、世界の不完全性と個人の実存への意志との関係性についてドラスティックに説いた、渾身の一冊。災厄に見舞われ〈生〉の不安が蔓延する現代を生きる我々にとって、本書の文章は痛烈に響くことだろう。
 
『寺田寅彦随筆集 第一巻』
(寺田寅彦 岩波書店)
 戦前を代表する随筆家として知られる寺田寅彦の随筆集。「窓のひび割れ」や「明け方の病室で聞こえてくる
音」など、我々のごく身近な現象に目を光らせ、淡々と思弁を展開していくスタイルを主とする。その言文は論理的であり示唆に富んでいながら、叙情的でさえある。オススメは「科学者と芸術家」



semiu_natsuhito at 20:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0)既読目録 | レビュー

2011年12月18日

〈レビュー〉 So What?



〈作品概要〉
 
タイトル:『So What?』
原作:わかつきめぐみ
 
出版:白泉社
掲載誌:「月刊LaLa」
巻数:6巻
ジャンル: SF+日常コメディ+擬似家族もの
 
 
〈あらすじ〉
 
初夏。女子高生の暮里阿梨(くれさとあり)は、
科学者である祖父秋津島(あきつしま)教授の危篤を知らされ、
故郷へ戻ることになる。
 
祖父の家で彼女を待ち構えていたのは、
既に幽霊となった祖父と、異世界の人間である少女ライムの二人であった。
ライムは、教授の開発していたタイムマシンが原因不明の爆発を引き起こし、
突然こちらの世界に飛ばされてきてしまったのである。
秋津島教授はタイムマシンを完成させてライムを元の世界に戻すため、
研究に没頭することを決意し、
霊体のなってしまった自分に替わって、阿梨にライムの面倒を頼むことにした。
だがそれは、阿梨が現在通う学校を辞めて、
こちらに引っ越すことを意味していたのだ。
同時に家の中は、先の事故のせいで様々な世界とつながってしまい、
不可思議な生物達が出ては現れるという状態となっていたのである。
 
そして、阿梨の祖父が亡くなったことを聞きつけて、
阿梨の中学時代の同級生である桃太郎や、
教授の教え子であった海堂(かいどう)が訪れてくる。
一方、ある組織より秋津島の研究を探る(という名目の左遷)ため派遣されて、
隣家に数年前より滞在している松23号・竹3号・梅1、2、3号らも巻き込み、
少し不思議な日常が繰り広げられることになる。
 
危うい均衡で保たれるアットホームな雰囲気が、
作者の柔らかな筆致によって叙情的に紡がれる、SF・日常コメディの傑作。
 
 
〈感想・評価〉

 古くから、白泉社系の少女マンガ雑誌で活躍するマンガ家、わかつきめぐみさんの代表作といえる本作。連載時期は1986年~1989年と、大変昔のことになりますが、本作は第21回(1990年度)星雲賞を受賞したこともある力作であり、当時のマンガファンの間では、それなりに名前が知られている作品です。
 本作は、従来のポップ・カルチャーの中で定番だった「エブリデイ・マジック」と呼ばれるジャンルにあたるといえるでしょう。現在でもまた、いわゆる「日常もの」であるとか、あるいは「日常」に少しSFあるいはファンタジーの要素が入ってくるという作品は、一定のブームを形成しておりますが、この『So What?』はそうした作品群と同じ系統に入る一作といえるでしょう。
 
 
 本作を手にとってまず目に付くのは、細く柔らかい描線を基調とした、非常に柔和な印象を与える絵柄でしょう。この画風は、作品全体のイメージを規定しており、物語は叙情的かつ柔和な雰囲気に包まれています。元々少女マンガなどでは一定して、こうした系統の作風は散見されるものですが、わかつきさんの場合は、特にゆるやかな雰囲気が前面に押し出されているように思えます。
 この穏やかな筆致が紡ぎだすキャラクター達は、実に優しげな印象を醸し出しており、まずこの点が読者に大きく好感を与えることでしょう。そして、彼らが織り成す賑やかな情景は、読んでいて大変心地良く感じられるものです。
 
 そうした作風を象徴する代表的な存在が、主人公の暮里阿梨と、準主人公であるライムです。作中で織り成される二人のやり取りは実に面白く、その愛らしいキャラクターデザイン(後述)も相俟って、まさに上述のような「優しげな雰囲気を湛えた賑やかな情景」という、本作全体にかかるイメージを形成しているといえるでしょう。
 しかし、阿梨とライムの科白や独白の応酬は、そうした和やかなムードを作り上げるだけに留まらず、揺れ動く心の深層をえぐるような、かなりドラスティックな描かれ方がされることも度々あるのです。そして、このような両者の心の機敏が実に鮮やかに描かれていく過程、これはかなり見応えのあるものを感じました。

 この二人は出会った当初、互いにいがみ合う関係として描かれます。
 早く自分の世界に帰りたく思い、阿梨や秋津島を責めるライムは、阿梨から強い反感を買ってしまいます。これは無理もありません。阿梨の立場からしてみれば、折角努力して志望校に入ったというのに、半ば押し付けられる形でライムの面倒をみなければならないですから。この、二人が出逢ってから間もなく引き起こるこの対立は、本作最序盤の山場といえるでしょう。
 けれども、当初は衝突していた二人ですが、後に桃太郎や海堂といった居候が加わり、さらには隣人である松23号達との交流も交えることによって、その関係は少しずつ改善されていくことになるのです。日常生活を共同で営むために、阿梨とライムはほんの少しずつでもお互いを理解しようと、歩み寄っていくのです。
 昼行灯だけれど思慮深く、強固な意志を抱いている阿梨。そして、利発的かつ活動的な女の子で、口はきついけれど本当は優しい心を持っているライム。対称的なこの二人が、衝突と和解を繰り返して、少しずつ距離を縮めていくその様相は実に微笑ましく、彼女達の行く末を見守っていきたいような気分にさせられてきます。
 
 また、複雑な想いを抱えながら日常を営んでいるのは、この主人公格の二人だけではありません。阿梨とライムを取り囲んで見守る、秋津島・海堂・桃太郎・松23号・竹3号・梅1、2、3号らも、それぞれ並々ならぬ事情を抱え込んで、日々を暮らしているのです。

 そもそもの事の発端である、タイムマシンを開発していた秋津島教授からしてそうですね。彼は単なる科学的追求心のみから、この装置の開発をしていたのではなかったのです。もちろんそれも大きくはありますが、別のある目的のために作り上げようとしていたのです。その動機というものは実に人間味のあるものであり、それが明かされる5巻のエピソードは、〈人のつながり〉という本作のモティーフを一層掘り下げて描いてくれました。
 
 この秋津島教授のエピソードも、大変読み応えがあるものですが、本作において、最も複雑な事情を抱えているのは、秋津島邸の隣家に住む松23号・竹3号・梅1、2、3号達でしょう。普段は、自宅栽培に勤しむ自給自足の農耕集団という体を見せている彼らですが、その正体はある諜報機関に勤める職員でして、秋津島教授の研究を探るために派遣されてきた存在なのです。
 つまり、彼らはいわば産業スパイであり、社会的立場からいえば、阿梨達の敵に等しい存在です。そんな彼らと秋津島邸の住人とで、朗らかな家族ぐるみの付き合いが描かれるその様相は、大変危うい均衡によって保たれた関係から成り立っているといえます。(後述)
 
 この6人の内、特に深刻な想いを胸に秘めているのは、彼らのリーダーを務める松23号(本名、春永睦月 はるなが むつき)でしょう。
 彼は、かつては敏腕エージェントとして、社内でもトップクラスの実績を誇る存在でした。ですが、とある任務の失敗から一人の少女の心を深く傷つけてしまったことにより、彼は自分の仕事に嫌気を差すようになってしまったのです。
 この失敗を引きずった彼は、以後機関の中での評価も下がり、「地方在住のマッドサイエンティストの見張り」という、大した成果が上がらないであろう仕事に派遣されるなど、事実上の左遷という扱いを受けてしまうのでした。そして現在は、「かつてのような過ちを、二度と引き起こしたくない」という想いから、阿梨達を陰ながら見守ることを決意し、そのことを竹3号ら部下にも申し渡すのです。
 この、「所属する組織のイデオロギーを優先するか、倫理的要請からくる自己の意志を優先するか」という松23号の葛藤は、作中で何度もフィーチャーされ、阿梨とライムの心の交錯と並ぶ、作中の最大の見所といっても差し支えないでしょう。まさに彼は、機関サイドの主人公と呼べる存在です。
 
 それと、松23号の側近として精力的に活動する竹3号(本名、茅薙 かやなぎ)も見逃せない存在です。彼は謹厳実直な性格であり任務に忠実なことから、その腕を組織に買われてきました。ですが、余りに急進的な思想を持ち、かつ融通が利かずに独走してしまいがちな彼は、そのことを本部に咎められてしまい、睦月と共に左遷されることになってしまうのです。
 基本的に誠実な性格の彼は、任務とはいえ非情に徹することができません。物語の序盤で彼は、情報を探るため阿梨に虚偽の好意を打ち明けるのですが、その告白を余りにもすんなりと有梨が受け入れてくれたために、良心の呵責を覚えさえしてしまいました。このエピソードは、彼の優しく正直な人柄が伺えるもので、このことを切欠にしてつくられた秋津島家との関係は、彼のその後の行動規範だけでなく、ストーリー全体に大きく関わってくるものとなります。
 梅1~3号は、仕事が全くできないためにここへ飛ばされてきた存在で、作中ではもっぱらギャグ要員としての役目を担っております。ですが、ユニークな彼らの存在は物語の中で、阿梨やその他の人々の心の支えとして機能しており、彼らもまた『So What?』の中では必要不可欠なキャラクターとして立ち回ってくれます。
 
 また、そんな彼らの下に、桜46号(本名、柴崎美桜乃 しばさき みおの)という新たな女性の刺客が、桃太郎の学校の臨時教員として送り込まれてきます。彼女と松23号ら左遷組とやり取りも、本作の見所の一つであり、特に彼女のかつての教育係であった松23号とのかけ合いは、その後のストーリーの広がりを期待させてくれるものとして、描かれていますね。
 
 そして、秋津島邸に居候する桃太郎や海堂も、実にユニークかつ強い信念を持った存在として描かれています。彼らは阿梨やライム、秋津島教授を支える役割を、作中で大いに果たしてくれるのです。
 特に海堂などは、大人らしい落ち着いた雰囲気を湛えた男性であり、阿梨がくじけそうになったとき傍に寄り添い、何度も彼女を励ます役割を果たします。その様は、読者に大きな安心感を与えるものです。このような、芯の通った大人の登場人物が複数いる物語であるからこそ、本作は独特の穏やかな空気を物語の中に形成できているのではないかと、私は思いますね。
 
 
 このように、情感豊かなキャラクターが紡ぎ上げるこの物語ですが、彼らの魅力を湛えているのは、何といってもわかつきさんのキャラクターデザイン、及び確かな実力を感じさせる表現技法の賜物といえるでしょう。
 
 まず女性キャラクターの造形ですが、繊細かつ柔らかな曲線で紡がれたデザインにより、全体的にかなり穏やかな、かつ可愛らしい印象を湛えております。
 主人公の阿梨などは、猫っ毛のショートカットに、やや垂れ気味の目という、何ともまったりとした印象を催す顔かたちをしておりますね。性格も外観に違わぬのんびり屋であり、ぼーっとしているとすぐ午睡に入ってしまうほどです(笑) その様は、観ていて実に和やかなに感じ受けまして、まるで本作に流れる穏やかな空気を象徴しているかのようです。
 ただ、そのようなほのぼのとした容貌とは裏腹に、その内には強固な信念を秘めている彼女は、納得いかないことは頑として受け入れません。このギャップがある描写が、阿梨というキャラクターを印象付けるのに一役買っていて、かつそのキャラクターの主体性を確立させる要因になっているように思えます。
 
 そんな阿梨の相方であるライムも、また魅力的なキャラクターとして描かれていますね。 箒のように先が広がったショート・ボブに、頭頂部には二つに分かれた髪の房のメッシュ。そして、異世界人であることを表徴する長く伸びた耳。阿梨と比べると、シャープな印象を湛える相貌をした彼女は、その見た目通りの活発な性格をしております。時に、かなりきつい印象を与えるような厳しい口調で話しますが、それが誠実かつ面倒見の良い性格の裏返しであることは、先に説明した通りです。今で言えば、「ツン」属性を持ったキャラクターといえるのでしょうか。
 そんな彼女は、外出時に長い耳を隠すためにマシュマロ帽を被るのですが、その姿は普段のシャープなイメージ(これはこれで、勿論良いのですが)とは異なる、可愛らしさが強調された外観をしております。第3巻の11話で見せた、ノースリーブのツーピースとのコーディネートなどは、その前後のエピソードも相俟って、大変魅力的に映り得るものがありました。
 
 わかつきさんはこのように、ティーンエイジャーの少女キャラをデザインする能力が大変長けているのですが、一方で大人の女性や男性キャラクターの造形も、相当にしっかりしております。
 
 まず阿梨やライムに次いで出番の多い女性キャラクターである、桜46号。一本結びを、左肩を跨いで前にたらすという髪型をしている彼女は、その立ち振る舞いもあり、阿梨やライムとは違った大人の女性の魅力を醸し出しております。
 
 次に男性キャラクターですが、桃太郎、海堂、秋津島、松23号、竹3号、梅1、2、3号と、女性キャラクターと同様の穏やかなイメージのデザインをしたキャラが殆どですね。皆、優しい印象を湛えていて、彼らが女性キャラクター達と織り成すやり取りも、純粋に和やかなものとして描かれております。
 
 このように、基本的には穏やかな雰囲気を湛えて表現されるキャラクター達でありますが、そんな彼らが突如真剣な表情をするシーンが、物語を追っていくと散見されます。
 繰り返しになりますが、そもそも秋津島家の住人達と機関の職員達は、そもそも社会的には対立するコミュニティに所属する成員同士なのです。そのような刹那的でシビアな前提に置かれながらも、それぞれの思惑を秘めながら仲むつまじく同じ卓を囲むなどというのは、言うまでもなくあり得がたいことなのです。
 こうした、極めて不安定な登場人物の関係性が、特に前面に描写されたエピソードとして、3巻15話が上げられます。大晦日の日に秋津島邸に集って、みんなで鍋を囲むというプロットであるのですが、その中で海堂が睦月に対し、真剣な表情をして次のような科白を口にするのです。
 
「奇妙な図ですね 探る方と探られる方が
 仲良くナベを囲んでるなんてね」
 
『So What』第3巻 p.177
 
 このような描写は、まるで「この穏やかで心地良い日常は、近いうちに必ず終わりを迎える」ということを暗示しているように感じ取れるものがありますね。
 こうした、めりはりの利いたキャラクターの描き方は、各々のキャラの存在感が一層引き立てるとともに、かつ物語へ読者を吸引する原動力になっているように思えました。
 
 また、本作の独特な雰囲気を形成しているのは、人間キャラクターだけでなく、作中の随所に登場する、別の空間から現れてきた不思議な生き物たちによるものも大きいでしょう。

・ クィネックと呼ばれる、ヤギのような動物
・ 無限に増殖する笑うキノコ
・ 大きすぎて、1階部分にはまり込んでしまった巨大ネコ
・ 鍋料理を好む、獣のような耳を付けた小人

 ……などなどは、どれもわかつきさんのユーモアセンスを感じ取ることができる、優秀なガジェットとして、作品の完成度に貢献しているといえますね。

 
 また、わかつきさんが巧みなのは、キャラクターの描写だけでなく、彼らを動かしていくドラマツルギーにも、その卓越性を感じうけることができます。
 
 このような「日常もの」というのは、とかく「雰囲気」重視の作風になりがちであり、ともすれば延々と同じような情景を繰り返して描いてしまうことさえあり得ます。「それでもいいから、まったりとした雰囲気をいつまでも味わっていたい」という感想を抱く読者も多くいるので、それはそれでマンガ・アニメ界に確立した一つのメソッドではあると思うのですが、ストーリーの展開を期待する読者からすると、やはり段々と物足りなく思えてしまうものではないでしょうか。 しかし、この『So What?』という作品は、見事に両者の要望に答えてくれているといっても、過言ではないでしょう。
 
 繰り返しになりますが、本作の醍醐味はやはり「優しげで心地良い空気感」にあります。けれども、プロット構成・ストーリー展開という観点でも、しっかり引き付けてくれる作品に、本作は仕上がっております。
 本作は伏線の張り方がかなり巧みであり、正直に申し上げますと第1巻で、全ての伏線を提示しているといっても過言ではありません。これが、先に述べたようなキャラクターの機敏でドラスティックな心情の変化を交えながら、少しずつ紐解かれていくことで、「終わりある日常であるが故に、愛おしく感じられる」という心情を、読者に抱かせることに成功しているのです。
 
 
 さて。こうした「穏やかな世界観(キャラクターと彼らを取り囲む環境)」と「先が気になるストーリー展開」という、大きな二つの娯楽要素が、物語の中において上手く結合されている本作には、その根底に、ある一つの深遠なテーマが込められているのです。
 それは、「ゲマインシャフト的なコミュニティズム」とでも呼べばいいのでしょうか。秋津島家という「擬似家族」的なモティーフは、まさしく家庭・地縁などを主とした社会共同体的概念(ゲマインシャフト)の表れであります。この概念は利己的かつ個人主義的なイデオロギーが蔓延する現代社会に生きる人にとっては、大変甘美に映り得ることでしょう。
 そして、そうした心地よいコミュニティの時間制限性・流動性を、本作では実に巧みに描いていること。故に、このようなテーマ・思想性が一層引き立たせられるのです。
 
 以上のように本作は、コミュニティズムという示唆深い主題が込められていると共に、それをわかつきさんの魅力的な作画・及びキャラクター達が織り成すドラマによって昇華された、傑作であるといえるでしょう。
 「人と人の関わりのなさ」(デタッチメント)から、「人と人との関わり」(コミットメント)へという、現代的なテーマをゆるやかな世界観を持って画き切った本作は、コミュニティズムの復権を象徴する「日常もの」が隆盛する今だからこそ、再評価されるべきであるように考えてなりません。


〈個人的なエピソード・思い入れ〉

 私がわかつきめぐみさんの本と出合ったのは、2008年の晩秋のことでしたね。
 近所のショッピングモールの一角にある古本屋で、わかつきさんの別の著作である『そらのひかり』(白泉社)という作品を手に取ったことが、きっかけです。このとき私は、わかつきさんの名前も知らない状態だったのですが、本を開いてその柔和な画風が織り成す穏やかな作風に強く惹かれてしまいました。これは私の数少ない衝動買いであり、このことをきっかけにして、彼女の作品にどっぷり嵌っていくことになりました。
 まず、『きんぎんすなご ―金銀砂子―』『夏目家の妙な人々』『夏藤さん家は今日もお天気』(全て講談社)などの短編・中編を、別の古本屋で一気に買い集めるようになります。その後『So What?』を6巻全部購入したのでした。2008年も終わりに差し掛かっていた頃でしたね。
 そうして、すっかりわかつきさんのファンになってしまった私は、大学に入っても、BOOK OFFで毎週のように彼女の著作を買い漁っていましたね。『月は東に日は西に』(同名のノベルゲームとは、全く関係ありません)『黄昏時鼎談』『ご近所の博物誌』『言の葉遊び学』『ローズ・ガーデン』(全て白泉社)、これらの作品は全て、大学1年の初夏に購入したものです。
 
 けれども、私の周囲にいるマンガ・アニメ好きの人で、わかつきさんの名とわかつきさんの作品を知っている人は、誰もいませんでした。これには少々寂しい思いをしましたね。
 確かに、わかつきさんは『So What?』で星雲賞を受賞し、かつ30年近い執筆活動を続けているという経歴を持つ大ベテランとはいえ、突出して人気が出るようなケレン味のあるタイプの作風の持ち主ではなありません。それ故、マンガ・アニメに精通している人でさえ、わかつきさんの名を知っている人は少ないのです。
 ですがわかつきさんの実力は、第一線で活躍するマンガ家さんたちと決して引けをとるものではありません。加えて、彼女の作品は一貫して「人同士や人と自然との関係性」という、コミュニティズム的なテーマが前面に描かれており、この面においても昨今の潮流と、けして相容れないものではないはずです。
 また、キャラクターの可愛さ・格好良さ、及びストーリー展開といった、マンガ・アニメファンを引き付けるエンターテイメント要素も、十分であるように思うのですが……。
 
 私の願望を言うと『So What?』などは、こんな時代だからこそもっと再注目される価値のある作品であるように思います。どなたか、本作のアニメ化をオファーするような、肝の据わったプロデューサーはいないものでしょうか。 


semiu_natsuhito at 23:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)レビュー | マンガ