2014年11月4日 リテラ
「宮台真司がネトウヨを語る-『あれは知性ではなく感情の劣化だ』」より一部抜粋
http://lite-ra.com/2014/11/post-601.html


宮台:
朝日新聞系の識者は、ネトウヨに対し、歴史を知らないとか教養がないとか言うだけ。歴史を知らないのも教養がないのも本当だが、それを「ネトウヨに対して」言っても始まらない。〈感情の劣化〉とはそういう現実を言うわけ。僕がハッキリ気づいたのは2000年のアメリカ大統領選だった。アル・ゴアが知能指数200、ブッシュは100以下の馬鹿、とネットで喧伝されたら、逆に「だったら俺たちはブッシュの味方だ!」という動きか盛り上がったわけだ。同じことが安倍晋三にも言える。安倍が立憲民主主義の何たるかさえ弁えず、先進各国のエスタブリッシュメントから馬鹿にされまくっているのは事実だけど、それを指摘しても安倍支持者は動かない。それがB層狙いの意味です。B層とは「社会的弱者なのに、それを自覚できないIQの低い連中」のこと。2005年小泉総選挙の際、竹中平蔵関連コンサルの戦略メモにこれを標的にせよと書いてあった。ネット動員を軸とする昨今の自民党の基本戦略でもある。この戦略は、民主制を妥当に回すことに反していたにせよ、先の〈疑似包摂社会〉を前提にした動員戦略として極めて妥当です。

宮台:
ネトウヨは年長から見れば恥知らずな輩だけど、恥の感覚は周囲の視線を気にして初めて可能になります。河野太郎と河野洋平も区別できず、お門違いに河野太郎に河野談話問題で文句をつける、劣化した輩を例にとります。ネットが一般化する90年代半ばまでなら「それは親父の方だろ。そんなことも知らねえの?」と周囲に一喝されて終了。なのに「それでも河野太郎は気に食わねえ!」と恥なく返せるのは、それを許容する〈劣化空間〉があるから。ネットは開かれた参加スペースに見えて、サンスティーンいわく「他を遮断して同じ穴のムジナだけで戯れる閉鎖空間」を与える。それが〈劣化空間〉。昔ならあり得ない恥知らずな議論が超伝導回路の電流みたいに永久に流れ続ける。その意味で、〈感情の劣化〉を被った人々が涵養や陶冶の機会に出会わずネグレクト(放置)されるのが、ネット空間の特性です。それが恥ずべき言論や行為が先進各国で蔓延する背景を与える。

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*言葉が難しくて半分くらいは何がなんだかわからないインタビューだったが、上記の部分は今の社会を理解する上で「目からうろこ」だった。つまり、インテリは敬遠され嫌われる時代らしい。