二日酔いだ・・・

別に仕事があるわけでも無いから関係ないか・・・

このまま昼まで寝てても、何の問題も無い生活をしている自分は

どんどん人間として最低な部類へと落ちていっているのがわかる。

山岸はもう一度寝ることにした。

起きているのが嫌だった・・・

起きている間、情けない自分を直視しなければならないからだ・・・

横に裸で寝ている女は流川のスタンドで知り合ったホステスだ。

ユリという名前以外、何も知らない女だ。

 

離婚が成立し、家を飛び出た。

倒産により解雇されたが最後の月の給料はきちんと全額出た。

失業保険も会社理由のため、すぐに支給され、食うのには困らない。

 

このユリというホステスは、離婚してすぐに出会った。

OLだけでは食べていけないので夜のアルバイトでホステスをしているという。

ある日、山岸は飛び込みで、このユリの勤める飲み屋に客として入った。

山岸は始終、無言で飲み、その店で泥酔した・・・

 

朝、起きるとユリのアパートに裸で寝ていた。

 

山岸は何が起きたのか分からなかったが、別にどうでもいいと思った。

 

気が合うというわけではないが、そのまま山岸はユリのアパートに転がりこんでしまった。

 

山岸が居候していても、ユリは何も言わず、山岸が何をしている人間なのかも聞いてこなかった。

 

逆に山岸もユリの素性を何も聞かず・・・・

 

二人は相手が何者かもわからないまま同居していくのだった。

 

 

ユリはお店での雰囲気と違い地味な女だった。

贅沢な身に付ける物など部屋には無く、お店や仕事に来て行くスーツを3着持っているだけで

普段、アパートではジャージの上下を着ていた。

 

昼間の仕事から帰ると山岸の夕食を準備して、お店にでる準備を始める。

山岸も無口なほうだったが、ユリもあまり口数の多い女ではなかったので

二人でいる時も、話が弾むということもなく、1時間、何もしゃべらないときもあった。

 

ユリは毎日、お店に出勤する前に山岸の布団を敷いて出て行くのだった。

 

ユリのいなくなった部屋できちんと敷かれた布団をみていると、山岸は子供たちと布団の上ではしゃいで遊んでいた頃を思い出す。

 

布団の上にジャンプする息子に抱きつく山岸・・・

満面の笑みで「父さん!父さん!」と呼ぶ息子・・・

 

会いたい・・・

 

離婚調停で月に1回、子供に会わせてもらえる。

 

その日が近づくと、山岸の酒の量は増えていく・・・

 

明日、日曜日、子供と会える・・・

 

いま自分のやることと言えばこの、月に1回、子供に会う・・・

それだけであった。

 

しかし、こんなクズみたいな男になってしまった男をまだ「父さん」と呼んでくれるだろうか・・・

 

片親にして申し訳ない・・・

 

自分はダメな父親だ・・・

 

山岸は酒に溺れ・・・

 

眠りにつく・・・

 

翌日、山岸は昼の目を覚ます。

「・・・・・・・・・・・」

 

頭が痛い、吐き気がする・・・・

また飲み過ぎて二日酔いだ・・・

 

はっ・・・

 

子供を迎えにいく時間を何時間もオーバーしている・・・

 

息がまだ酒臭い・・・

 

鏡を見ると・・・そこには精気の無いクズが映っていた・・・

 

子供には会えないな・・・

 

そう思うと涙が溢れてきた・・・

 

つまらん男よ、わしは・・・

 

涙が止まらなかった・・・

 

洗面台の前で泣く山岸をユリは何も言わず後ろから抱きしめるのだった・・・・

 

続く・・・

 

この物語はフィクションである。

特定した個人、団体とは一切関係ありません。

作者