窓から熱風が吹き込んでくる。あまりの東京砂漠の暑さに耐えかねて、脱出を決断した。かといって別荘を持っているわけではない。盆休みとぶつかった日程で、ペット連れ、しかも温泉希望というのでは、そう簡単に宿が見つかるわけはない。
「ペットと泊まれる宿」というタイトルの旅行本を買い込んで、片っ端から電話した。無論、連泊はダメだが、なんとか日替わりで宿が見つかった。
あまり移動はしたくない。だから蓼科高原の白樺湖周辺でみんな探した。ペット連れでもよい、というのは、旅館はまずダメで、個人営業のペンション。それを前提にすると、かけ流しの温泉はまず不可能で、温泉水を毎日運んできて、入れてもらう方式になる。だから、入浴時間は限定される。けれども温泉には確かに入れる。
東京は、高温の蒸し風呂状態だったというのに、さすが蓼科高原には、もう秋が忍び寄っていた。夜は虫の声が聞かれた。半そででは夜はもう寒いくらいだった。
行くあてもなかったので、移動の途中で、高原のゴンドラの切符売り場の人に聞いてみた。「わんと一緒に乗ってもよいですかね」。すると、「結構です」と、色よい返事。そういうことで、家のわんのセンは、初めてゴンドラに乗って、高原の水が湧き出るところを見学、おいしい水も飲みました。
氷川神社の隣の武蔵野の面影が残っている林で、カナカナ蝉の鳴き声を聞きました。順番に規則正しく「カナカナカナ」と鳴いていました。でも、アブラ蝉に押されてか、今年はカナカナの声が少なかったように思いました。
二階の、越冬したハイビスカスの花の色が、思いっきり赤くさえてきました。