前回ふれた日本リスクコントロール社について。平成11年に寺尾と元中国管区警察局長(退官後、全防連専務理事も務めた)保良光彦の2人で設立された。寺尾は元警視総監で法務大臣だった秦野章の秘書も務めたがその傍ら、自分で不動産会社を営んでいたことがある(倒産させた)。いわば企業を闇社会から守るためのプロ集団で、警察OB、国税庁OB、則定などの検察OBによる利権会社の性格が強いものだった。すなわち企業の危機管理コンサルティング会社だ。則定がここに顧問で迎えられたのはスキャンダルのあと辞任してすぐである。

 これも「噂の真相」ですっぱ抜かれているが、寺尾を一躍有名にしたのはイトマン事件発覚のきっかけとなった「雅叙園観光」の内紛だ。雅叙園系列会社の副社長に送り込まれた寺尾は「雅叙園株の買占めを進めていた仕手集団と渡り合い、当時のマスコミにヒーローとして持ち上げられた」(噂の真相)。この仕手集団が元暴力団組長・池田のコスモポリタンであることは言を待たない。コスモポリタンと許永中の関係についてはすでに書いた。

 さて、日本リスク社の最高顧問として則定が名を連ねていることは前回に触れた。当時の名誉顧問にはミスター危機管理で有名な初代内閣安全保障局長の佐々淳行がいた(噂の真相報道前後に辞めている)。このとき、スキャンダルで辞任後、日本リスク社顧問職とべつに則定衛は、千代田区平河町に則定法律事務所を開設して活動を始めている。平河町1丁目9番9号のビル。ここに「螢献ДぁΕ┘后Ε┘后廚箸いΣ饉劼發△辰拭7挌、海外における企業活動に関する安全対策調査・コンサルティング、リスク管理が主の会社で、JALの出資で設立された会社だが、業界にもおなじみである。すなわち過去におけるアルゼとの関係が深い企業だ。とうぜん亀井静香がこの会社設立と運営で深く関わっていた。

 この同じビルに螢献礇僖鵝Ε札ュリティ・サポートという会社もあった。当時、僕の知り合いのマスコミライターがこれを調べていて、そのビルの不動産謄本なども送ってもらったのだが、業務目的と内容はジェイ社と全く同じ。取締役の鶴谷敏明、前田寛、永田岱右なども同じで、ジャパン・セキュリティ社の監査役には、亀井静香夫人が登記され株も所有していたのである。ジャパン・セキュリティ・サービスすなわちイニシャルをとって、これが後のジェイ・エス・エスに登記変更される。

 で、このビル不動産所有者は螢汽鵐僖錙次アルゼの当時の子会社だ。取締役にここでも以前に書いた(中日スタヂアム事件)江口の兄弟であるアルゼの江口敏男と、岡田の愛人の一人とも言われた速水靖子の名前がある。同じ役員の一人である宮島猛も長野時代からの岡田の関係者だ。つまり、この頃まではまだ、岡田は亀井静香の権威と警察への圧力をフル活用していたといえるだろう。とうぜん、先の日本リスク社との関係も亀井ルートで結びついていたと思われる。
 このジャパン・セキュリティ・サポート(設立は平成6年)は平成11年5月20日に登記記録が移記されている。ジェイ・エス・エスへの移記登録だ。登記履歴における「目的」の業務内容がまったく日本リスク社とも類似しているのは、たんなる偶然とは思えない。平成12年に日本道路公団の交通管理業務、関西空港警備受注で、このジェイ社とジャパン・セキュリティ社、亀井の関与が大きく新聞報道されたことがある。しかしながら、ジェイ社−亀井−ジャパン・セ社−岡田、さらに→則定−日本リスク・コントロール社の関係はうやむやのままである。

 花月会、さらに則定の関連でもつれた糸を振りほどいていっていたら、こういう過去の利権の巣窟と当時の事件がいくらでも出てきて、整理できずに混乱する方が多い。だが、そのときは「そういうものか」と気にもとめなかった事柄がすべて連関して結びついてくるのが面白い。僕らの仕事の、ある意味ではゲーム感覚に近い“醍醐味”ともいえる。業界の中だけでこんな書き込みをしていても、この面白さは体感できないだろう。こういう感覚は、業界という規矩に縛られて仕事していると「これから先は俺たちの分野ではない」と切り捨てていたのだろう。裏の裏までは取材していなかったのである。でも実はその裏側のほうが業界のリアリズム、脈絡のアリバイの部分だったのかもしれないと、あらためて痛感せざるをえない。

 さて、ここで泉井石油商会関連の「日本肥料」と熊取谷、花月会の関係についての宿題が残ったままになっているので、書いておかなければならない。これをもって、一応は「花月会の群像」については終了とさせていただくことになるか。(ナミレイ事件は別にまた書き込むが、一部関連してくる)

 泉井事件は旧通産省官僚グループへの贈収賄だが、その中で関西空港の服部経治元社長への贈賄・脱税容疑で逮捕されたもので、これが通産官僚とその政治家への献金としてクローズアップされた。則定以前の花月会関連事件といっていい。関空の清掃業務受注にからむ金品贈賄もその事件の中核で、日本肥料取引先の岸和田リバー産業グループがこれにからむ。

 則定事件で登場したのがコスモイーシーの佐藤章と、もうひとりこの泉井石油商会(大阪府和泉市)の経営者一族のMという人物だ。花月会の主要メンバー。ちなみに日本肥料は住友系肥料・農材特約店老舗。つまり花月会がその住友銀行などの住友グループ企業がバックアップして出来たロビインググループだった。日本肥料がその花月会に参加してきた時期も早い。このMが、花月会に参加していた則定のために新たに東京に「若富士会」という、花月会東京支部ともいうべき集まりを作る。ちなみに、パチンコプリペイドカード導入のさいに、熊取谷はコスモイーシーから5000万円を亀井に政治献金している。この金を亀井に手渡したのが佐藤章だ。

 関空清掃事業では、泉井の下請け業者(6社)のまとめ役として大幸工業(産廃業者)を送り込んだが、清掃費15億円のうちの1億円をこの大幸工業が丸投げで不正取得していた。この大幸工業に勤務していたかのように装い、保険料を不正取得していたとして大幸の社長が逮捕される。勤務していたことを装っていたのが山口組直系暴力団の小車誠会・会長だ。
 下請け6社のなかにマイカル(旧ニチイ)が親会社の「ジャパンメンテナンス」という会社があった。ここの社長が元関空会社専務で元大阪府警本部長の四方修だ。これは当時かなり有名になったので、記憶に残っている。おそらく四方と大幸工業社長との出来レースだった。

 この四方が社長のジャパンメンテナンス社には、右翼の大元といわれた頭山満の大番頭であるNが顧問で在籍していた。Nはその前がナミレイの顧問。これが右翼ともエセ右翼とも言われる所以だが、ナミレイの松浦良右(りょうすけ・現在は改名して朝堂院大覚)とNとは、福岡のフクニチ新聞時代からの関係。Nは「元警察庁長官」という記述もあるが、これはどうかわからない。なにせ佐藤章をダイナムも経営していたという(取引関係はあったが)強引な誤謬を犯している資料にそう記述してあるのだから眉唾かもしれないのだ。ただ、Nと松浦が親しく、ナミレイ顧問→ジャパンメンテナンス顧問を経たということは僕も当該関係者から過去に聞いている。頭山満の番頭だったことも間違いはない。