3e373623.jpg 旧ソ連諸国を中心としたジュニア国際大会で金メダルを獲得したのは高校3年の頃。それからの上林巨人(日大4年)は、北京五輪を目指す道が、敷かれ続けているようだった。
 全日本選手権を制したのは大学2年のときだった。しかし、決勝戦を勝利した上林が、リング上で見せた涙は、悔しさからだったという。
「絶対に負けていたから、何も言えなかった…」
 決勝戦では、大学のOBでもある大西寿幸とかみ合わず、痛烈なダウンまで奪われていた。

 この頃から上林には黒星が増えた。翌年のリーグ戦で2敗、世界選手権で1回戦負け、連覇をかけた昨年の全日本選手権でも、伏兵の小國以載(芦屋大)に敗れた。
 それ以上に低迷を如実に表しているのが、過去3戦3勝だった萬田竜也(東農大)に2連敗を喫したことだろう。北京五輪アジア予選で、バンタム級の代表になったのも、萬田のほうだった。
「そうならないようにって頑張ったけど、実際にそうなってしまうと悔しさはなかった。ああ、俺は負けたのかって潔く受け止められていました」
 上林は終わってしまったのか。そうも思われる中で始まったのが今季のリーグ戦だが、上林は再び好調である。他校のレギュラーに一方的な内容で全勝。特に、拓大戦で牛山智博を失神させたKO勝ちは、会場の空気が凍るほどスリリングだった。
 好調の理由について、上林は「キャプテンとしての責任感」だと即答した。
「自分が負けたら部もついて来ないっていうプレッシャーがあるんで」
 明日のリーグ戦・東農大戦では、いよいよ萬田と対決。バンタム級の全勝対決は、足運びに秀でた萬田がさばききるか、上林が的確に右を当てられるかの展開になりそうだ。
「気負わないようにしたいです。いつも通り、練習通りができるように頑張ります」

上林巨人(うえばやし・なおと)Profile
1987年1月2日広島県江田島市生まれ。兄の影響で中学2年からボクシングを始め、広島・広陵高校から日本大学へ進む。高校3年次に高校3冠を制覇。大学1年次に国体優勝。2年次に全日本選手権優勝(階級はすべてバンタム)