yaegashi01

 12日と13日に盛岡市内で行われた第66回岩手県民体育大会・ボクシング競技には、94年広島アジア大会・ライト級金メダリスト、八重樫剛(一関市)も出場した。
「せっかくものになってきた教え子が、ボクシングを辞めたいというので、じゃあ一緒に出ようと誘いました」
 出場の動機についてそう語る八重樫は40歳。できれば、こっそりやりたかったと言いたそうにはにかんだ。とはいえ、秋に韓国・仁川で第17回アジア大会が行われる今年、この出場は見逃せない。何より八重樫は、日本ボクシング界にとって、最後のアジア大会・金メダリストなのだ。
 今回、エントリーしたトーナメントは、決してラクなものではなかった。初戦で対戦したのは、昨年の選抜準優勝者である吉田海斗(盛岡市)。2日目の決勝では、昨年の国体で成年の部3位の伊藤翔太(花巻市)と戦った。
 公式の試合ながら、ローカル大会とあってヘッドギア付き。八重樫は「審判経験でルールを昔より学んだ。仮に相手が若さに任せて立ち向かってきても、技巧でさばききれるはず」と自信を伺わせた。
 大学の後輩だった仁多見史隆氏が「絶対に芯を外す」と語ったディフェンス能力は健在だった。ただ、攻めの途中にふと苦笑いを浮かべる場面が何度かあった。これは本人曰く「昔なら行けるはずだったタイミングで身体が付いて来なかった」とのこと。
 無事に優勝をはたした八重樫。試合後、かっこよかった」と真っ先に駆け寄ってきたのは次女の沙也ちゃんだった。数年ぶりに戦った価値は、文頭のモチベーション以外にもあったようだ。
 ボクシングでは定年の上限が昨年、34歳から40歳に引き上げられている。北海道では昨年、同い年の安川浩樹が国体に出場し、初戦突破も収めた。
 一方で「時代は流れていますから」と語る八重樫の顔は、今度こそ、「昔の選手」に戻ったようだ。

yaegashi02