1(写真:藤田大和)

 弟・健児とのそろって東京五輪出場を目指していた藤田大和は、3月いっぱいで自衛隊体育学校を退官。新たな舞台をMMA(総合格闘技)に決め、かつてプロボクシング戦の集中した先週にその初陣に臨んだ。
  20日、21日はプロボクシングの世界戦が目白押しだったことは、おそらくご存知の通りだが、この2日は他の格闘技の大会も集中した日だった。
 その中で「多分一番注目されない挑戦者」と自虐的に話していたのが藤田。老舗MMA団体のアマチュア大会に出場し、パンチではなく、腕ひしぎ十字での一本勝ちを収めた。
 55歳の定年退職までに平均2億円が保証されるという自衛隊をやめ、五輪の夢もあきらめたことについて藤田はこう言う。
「もともと実家のジムでもMMA教室があったので、ずっと興味はありました。それと会社の社長さんと話すうちに、安定より自分の才能を求めてみようと思ったんです」
 藤田は拓殖大学1年生の頃、ロンドン五輪の直前に行われた全日本選手権で、同五輪の銅メダリストとなる清水聡を破る番狂わせを起こしたことがある。直後に行われた予選代表選考会で清水に敗れたが、同郷でもある清水のことは尊敬する存在。MMA戦後には、偶然にも横浜で試合会場に向かう清水とバッタリ遭遇したという。
「頑張ってくださいと伝えました。お互い新しい道で前に進めているのが誇りです」
 なお藤田の弟、健児は、現在も東京五輪を目指して、自衛隊体育学校でトレーニングに励んでいる。