2018年10月26日

「希望が死んだ夜に」「悪い夏」読みました。   (^-^)

天祢涼「希望が死んだ夜に」と染井為人「悪い夏」、2作ともあっという間に読了。
どちらも、いまの日本が抱える問題、貧困、生活保護を扱った小説。どちらも、かなり切ない。

天祢涼「希望が死んだ夜に」14歳のふたりの少女、ネガとのぞみ、が主人公。ネタバレで書いてしまうけれど、どちらの少女の家も片親で貧乏。多感な思春期の時代、それをクラスメイトに知られることがどれだけ苦痛か。生活保護を申請することが、父親ひとりの家庭であるのぞみの家では、プライドが邪魔をしてふんぎりがつかない。女親であるネガの家では、そんなことはどうでもよく、国からのお金が欲しくてたまらない。子供を働かせて、自分はのうのうと生きていたいというダメ親。そして、少女たちは居酒屋で深夜のアルバイトを始める。中学生なのに深夜まで働かないと学校に通えないという現実。つらいよね。
 さらに、彼女たちをコテンパンにうちのめす出来事。ネガにとっては希望の星だった近所のお姉さんにやっと再会するのだが、そのお姉さんは風俗で働いていて、まじめにやってもいいことなんかないと言われてしまう。のぞみとっては、生きる力だったフルートを生活保護申請のためにやめろと父親に無神経に言われる。そんなふたりは絶望感から自殺を考える。という流れ。物語としては、ふたりの同級生の母親で貧困ライターが絡んでくる最後のながれがちょっと不自然な気もするけれど、ラストに向かって物語はどんどん盛り上がる。もう一気に読ませる。ネガを取り調べ、事件を調べる女性警察官、仲田の柔らかい振る舞いだけが救い。 それにしても、中学生時代くらいのんびり過ごさせてあげたいと思うけれど、今の時代ではそれはむずかしいのな、、

「悪い夏」。生活保護をめぐる話。役所のケースワーカーである佐々木を中心に物語りは進められる。生活保護でもらうお金の方が普通に仕事をしてもらうお金より多い、という今の時代の矛盾。そして、その生活保護のお金をホームレスに受給させ、それの上前をはねようと画策するやくざ。まあ、こんなことあるだろうなあ。最後、物語はぐちゃぐちゃにこじれて、そうとうひどいことになる。読後感も最低。でもきっとこれもいまの時代の側面なんでしょうね。

貧困の話は悲しいね。


setagayasounds at 02:31│Comments(0)clip!

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鍵盤弾き、作・編曲家。
原稿も少々。
獅子座のB型。
ネコが好きで犬まあまあ。
エリカ・バドゥが好きでディオンヌ・ワーウィックもっと好き。
イチゴパフェという童謡バンドもやっております


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