2007年01月20日

(AB)^2=A^2B^2⇒AB=BA?(問題編)

高校生が行列をはじめに学ぶときに注意しなければならない点が、掛け算に関して実数のそれと異なる以下のような点です。

・一般に交換可能ではない
・したがって、(A+B)^2の展開公式なども実数のそれとは異なる
・零行列でないもの同士の積で零行列になることもある(零因子の存在)
・したがって、一般に「約分」は出来ない

しかしもし行列AとBが交換可能であるなら、足し算、掛け算に関しては実数のときと同じような規則で計算でき、例えば

(AB)^2=A^2B^2

などは成り立ちます。

さて、先日ふと「その逆は成り立つか?」ということを疑問に思いました。つまり、


『(AB)^2=A^2B^2 が成立するならば、AとBは交換可能か?』


上に書いたように、AとBが交換可能ならば (AB)^2=A^2B^2 は成り立つので、これは自然な疑問だと思います。

簡単に分かるように、もしAとBが逆行列をもつならば、(AB)^2=A^2B^2 の両辺に左からA^{-1}を、右からB^{-1}をかけることによって BA=AB となり、AとBが交換可能だということになります。

したがって問題は、AとBのうち少なくとも一方が逆行列をもたないときにどうか、ということになります。

何かいいアイデアがあればコメントください。


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seven_triton at 12:59│Comments(2) 大学入試問題 

この記事へのコメント

1. Posted by 木村   2018年05月02日 13:07
5 はじめまして。

勉強の参考に拝見させていただいています。




行列AとBが交換可能であるなら、足し算、掛け算に関しては実数のときと同じような規則で計算でき、例えば

(AB)^2=A^2B^2

の証明はどのようにすれば良いかということに疑問を持ちました。

お時間がございましたら教えて頂きければ幸いです。

よろしくお願いします。
木村
2. Posted by triton   2018年07月25日 08:58
木村様

返信が遅れまして申し訳ありません。AB=BAの下で,
(AB)^2=ABAB=A(BA)B=A(AB)B=AABB=A^2B^2
となります(行列の積の結合法則を使っています)。BA=ABの両年に左からA,右からBをかける,と言っても同じですね。

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