2009年01月11日
【中3】2直線の平行条件,垂直条件
たまには普通の中高生が気軽に読める記事を。
鉄緑会の中3では,後期には「図形と式」,「ベクトル」を扱っています。「図形と式」でいくつかの公式が出てきますが,その中に「2直線の平行条件,垂直条件」というものがあります。

生徒が初めて「図形と式」を学習するときには,まず,今まで直線を y=ax+b または x=a と表していたところをまとめて ax+by+c=0 と表すことに少し抵抗があります。この形で表すと傾きや y 切片がすぐには分からなくなるので,一見してどんな直線かが分からないというのが一つの理由でしょう。
そして,平行条件,垂直条件についても,傾きで簡単に表せていたことが, ax+by+c=0 の形で表すと上のように複雑になり,覚えるのが大変です。実際私も,中学生のときに上の公式を覚えるのに苦労しました。以下のように図にして覚えようとしましたが,平行条件のときには図の線分がクロスし,垂直条件のときには線分は平行だというのが見た目的に逆ですし(私は変な覚え方をする傾向にありました),また符号がプラスなのかマイナスなのかがこんがらがったのです。

複雑な公式でも,その導出方法が分かりやすかったり,または(点と直線の距離の公式や正射影ベクトルの公式のように)公式の「理解の仕方」があったりすれば覚えやすいのですが,この公式は,一応「傾き」を求めて導出しても,y 軸に平行な場合を考えられていませんし,その方法では本質的ではないので,微妙です。
従って,「図形と式」の回でこの公式が出てきたとき,教える側としては少しだけ困ります。厳密な証明をするよりも,2直線が y 軸に平行でない場合に証明して,y 軸に平行な場合も同じことが成り立つ,と言っておしまいにするのが,生徒のためを思っても現実的です。
しかし,「図形と式」が終了し,そのあとの「ベクトル」に入れば,この状況が打開されます。まず,内積を学んですぐに,以下の「ベクトルの平行条件,垂直条件」を学びます。

(ここではゼロベクトルのことは考えないことにします。ゼロベクトルは全てのベクトルと平行かつ垂直,ということにすれば問題ありませんが。)
そのときに,「『図形と式』のときにやった『2直線の平行条件,垂直条件』に似てますね」と言って復習するのですが,そのときと大きく違うのは,証明がとても簡単で本質的だということです。

※の部分では,一般にベクトル (a, b) に対して (b, -a) が垂直であることを使います。
あとは,直線 ax+by+c=0 に対して,ベクトル (a, b) がその法線ベクトル,つまりその直線に垂直なベクトルであるということを示せば,「ベクトルの平行条件,垂直条件」とあわせて,「2直線の平行条件,垂直条件」が自然に導かれます。「2直線の平行条件,垂直条件」を「2直線の法線ベクトルの平行条件,垂直条件」と考えるわけです。そうすれば,公式の覚え間違いもあり得ません。
平行条件については,2つの平面ベクトル (a, b), (c, d) で張られる三角形の面積公式 S=1/2|ad-bc| や,2次正方行列の行列式,さらにその一次変換としての意味などを学習すると,さらに理解が深まります。
よろしければクリックお願いします。
人気blogランキングへ
鉄緑会の中3では,後期には「図形と式」,「ベクトル」を扱っています。「図形と式」でいくつかの公式が出てきますが,その中に「2直線の平行条件,垂直条件」というものがあります。

生徒が初めて「図形と式」を学習するときには,まず,今まで直線を y=ax+b または x=a と表していたところをまとめて ax+by+c=0 と表すことに少し抵抗があります。この形で表すと傾きや y 切片がすぐには分からなくなるので,一見してどんな直線かが分からないというのが一つの理由でしょう。
そして,平行条件,垂直条件についても,傾きで簡単に表せていたことが, ax+by+c=0 の形で表すと上のように複雑になり,覚えるのが大変です。実際私も,中学生のときに上の公式を覚えるのに苦労しました。以下のように図にして覚えようとしましたが,平行条件のときには図の線分がクロスし,垂直条件のときには線分は平行だというのが見た目的に逆ですし(私は変な覚え方をする傾向にありました),また符号がプラスなのかマイナスなのかがこんがらがったのです。

複雑な公式でも,その導出方法が分かりやすかったり,または(点と直線の距離の公式や正射影ベクトルの公式のように)公式の「理解の仕方」があったりすれば覚えやすいのですが,この公式は,一応「傾き」を求めて導出しても,y 軸に平行な場合を考えられていませんし,その方法では本質的ではないので,微妙です。
従って,「図形と式」の回でこの公式が出てきたとき,教える側としては少しだけ困ります。厳密な証明をするよりも,2直線が y 軸に平行でない場合に証明して,y 軸に平行な場合も同じことが成り立つ,と言っておしまいにするのが,生徒のためを思っても現実的です。
しかし,「図形と式」が終了し,そのあとの「ベクトル」に入れば,この状況が打開されます。まず,内積を学んですぐに,以下の「ベクトルの平行条件,垂直条件」を学びます。

(ここではゼロベクトルのことは考えないことにします。ゼロベクトルは全てのベクトルと平行かつ垂直,ということにすれば問題ありませんが。)
そのときに,「『図形と式』のときにやった『2直線の平行条件,垂直条件』に似てますね」と言って復習するのですが,そのときと大きく違うのは,証明がとても簡単で本質的だということです。

※の部分では,一般にベクトル (a, b) に対して (b, -a) が垂直であることを使います。
あとは,直線 ax+by+c=0 に対して,ベクトル (a, b) がその法線ベクトル,つまりその直線に垂直なベクトルであるということを示せば,「ベクトルの平行条件,垂直条件」とあわせて,「2直線の平行条件,垂直条件」が自然に導かれます。「2直線の平行条件,垂直条件」を「2直線の法線ベクトルの平行条件,垂直条件」と考えるわけです。そうすれば,公式の覚え間違いもあり得ません。
平行条件については,2つの平面ベクトル (a, b), (c, d) で張られる三角形の面積公式 S=1/2|ad-bc| や,2次正方行列の行列式,さらにその一次変換としての意味などを学習すると,さらに理解が深まります。
よろしければクリックお願いします。
人気blogランキングへ
トラックバックURL
この記事へのコメント
1. Posted by 鉄緑ファン 2009年01月23日 17:58
更新頑張って下さい。
いつも楽しみにしています。
いつも楽しみにしています。
2. Posted by triton 2009年01月26日 01:16
>鉄緑ファン さん
応援ありがとうございます。
頑張ります。
応援ありがとうございます。
頑張ります。
3. Posted by える 2010年04月30日 00:21
はじめまして.1数学教師です.
平行条件と垂直条件に関して(とくに垂直条件),生徒に良い教え方がないものかと思案しておりました.
やはり,他の方もここでの指導に関しては簡単にいかないものなのかと思い,少し安心しました.
私も本質的な指導に関してはベクトルに譲ることにして,さらりと進もうかと思いました.
平行条件と垂直条件に関して(とくに垂直条件),生徒に良い教え方がないものかと思案しておりました.
やはり,他の方もここでの指導に関しては簡単にいかないものなのかと思い,少し安心しました.
私も本質的な指導に関してはベクトルに譲ることにして,さらりと進もうかと思いました.
4. Posted by triton 2010年04月30日 01:17
> える さん
コメントありがとうございます。
そう,困るんですよね。公式や定理は,授業できちんと証明することも大事ですが,それを「うまく」飛ばすのも大事で,このあたりが教える側の腕の見せ所でもあると思います。
コメントありがとうございます。
そう,困るんですよね。公式や定理は,授業できちんと証明することも大事ですが,それを「うまく」飛ばすのも大事で,このあたりが教える側の腕の見せ所でもあると思います。
5. Posted by ぬぅ 2011年12月06日 16:31
定期考査の勉強に役立ちました。
ありがとうございます( ´ ▽ ` )!
ありがとうございます( ´ ▽ ` )!