夜のプレイリスト ホウム・ペイジ
 
Ronnie Lane And The Band "Slim Chance" 「Anymore For Anymore」 (1974)
Anymore for Anymore
(※もとはロゴがない、写真だけのジャケットだけのようです)
 
Side One
1. “Careless Love” (Traditional)
2. “Don't You Cry For Me” (Ronnie Lane)
3. “(Bye And Bye) Gonna See The King” (Lane)
4. “Silk Stockings” (Lane, Kevin Westlake)
5. “The Poacher” (Lane)
 
Side Two
1. “Roll On Babe” (Derroll Adams)
2. “Tell Everyone” (Lane)
3. “Amelia Earhart's Last Flight” (Dave McEnery)
4. “Anymore For Anymore” (Lane, Kate Lambert)
5. “Just A Bird In A Gilded Cage” (Harry Von Tilzer)
6. “Chicken Wired” (Lane) 

こんばんは。奈良美智です。夜のプレイリスト、今週はわたしがこれまで聴いてきた色んなアルバムから選んで紹介してるんですけど、今夜紹介するのはRonnie Lane・・・って知ってるかな。

Facesってゆうめっちゃ有名なロック・バンドがあって、そこにいた人なんですけど、その人がFacesってゆうのをなぜかいい状態の時に自ら辞めて、Slim Chanceってゆうバンドを従えて作ったやつで、Ronnie Lane & The Band "Slim Chance"ってゆう題名で「Anymore For Anymore」ってゆうアルバムを出したんですね。

そのRonnie Laneっていうのはロンドンで、割と労働者階級で生まれたんですよね。10代の終わりぐらいにSmall Facesってゆう、さっきFacesっていったけど、有名になってFacesになったんだけど、その前は有名じゃないから、デカい顔してないからSmall Facesってつけたっていうんだけど。

そのSmall Facesってゆうのを結成して、そっからデビューして、シーンでいうとモッズとかそうゆうシーンで有名になったバンドで、そのあとFacesってゆうバンドがスタジアムとかを超満員にするようなバンドになっちゃうんだけど、そうゆう輝かしいところが嫌だったのかな、脱退して、ホントに「なんで辞めるんだろう」ってみんなが思うようなところで脱退して、このアルバムを作った。

だから「これがホントに彼がやりたかったことなんだな」って当時思って、その時自分は若かったから、「なんでロックンロールとかやめて牧歌的なのんびりした音楽作っちゃったんだろう」とか思ったんだけど、やっぱ今聴き直してみるとだんだんわかってくるというか、やっとわかってくるというか、そんな感じなんだよね。

じゃあそっから聴いてもらいましょう。
それでは、Ronnie Lane & The Band "Slim Chance" 「Anymore For Anymore」から、
“Careless Love”、
“Don't You Cry For Me”、
“Bye And Bye”、
“Silk Stockings”、
“The Poacher”。
聴いて下さい。 


Ronnie Laneの「Anymore For Anymore」から聴いてもらいましたけど、このThe Band "Slim Chance"っていう、このSlim Chanceっていう名前がちょっとかっこいいなと思ってて、「Slim」は「細い」、「Chance」は「チャンス」。「わずかなチャンス」っていう意味かなと思って自分はいいなと思ってて。

このSlim Chanceっていうバック・バンドなんだけど、この人たちも結構有名なバンドから出てきてやってる人たちで、ギター弾いてるのがMcGuinness Flintっていう当時流行ってたバンドなんだけど、そこでやってた人たちですね。

McGuinness FlintっていうのもBluesbreakersとかManfred Mannとか、リバプール・サウンズって呼ばれた人たちが自分たちのバンドを辞めて作ったバンドだったんだよね。

そうゆうのとか、ちょっとしたきっかけでどんどんどんどん遡って探していってそっちのレコード聴いてみたりとか、自分はそんな高校時代を実は送ってたわけで、結構音楽が好きで好きで、未だに趣味がやっぱ音楽しかないんだよね。

じゃあB面いってみようかな。B面の3曲目に「Amelia Earhartの最後の飛行」ってゆう歌が入ってて、これはめちゃ有名な、アメリカ人だったら誰でも知ってる歌なんだけど、Amelia Earhart(アメリア・エアハート)って女の人で、最初に大西洋を横断した人なのね。

男の人だったらLindberghが「翼よ、あれがパリの灯(ひ)だ!」って、パリに着いてみんなに迎えられた話が有名だけど、このAmeliaは女の子で最初に横断したっていうんで、アメリカでは今でも大スターっていうか英雄な感じなんあよね。A.E.っていったらみんな「あっ、Ameliaのことだ」ってわかるみたいな感じなんだよね。

そうやって大西洋を横断したあとに「赤道の上を世界一周する」っていう飛行に挑んで、途中で消息を絶ってしまうんだよね。そうゆう歌なんですこの3曲目はね。でも一応全部聴いてみましょう。

Ronnie Lane & The Band "Slim Chance"の「Anymore For Anymore」からお送りします。
“Roll On Babe”、
“Tell Everyone”、
“Amelia Earhart's Last Flight”、
そして最後はタイトル曲の“Anymore For Anymore”。


どうでしたでしょうか。「Anymore For Anymore」、改めて聴くと、聴いてた当時を思い出すっていうよりも、今は今で今の自分に響いてくるものがあって、聴く度に「全く色あせてないな」って感じがするアルバムでした。

A面の最後の曲“Poacher”って「密猟者」ってゆうんだけど、これはRonnieの中で「いちばん最高の出来だった歌だ」っていってて、ぼくも大好きなんだけどね。

それとさっきの「Amelia Earhartの最後のフライト」ってゆう歌、あれは有名な歌なんで色んな人がカバーしてて、もちろん本家のアメリカの人たちもいっぱいカバーしてて、そうゆう人たちのをいろいろ聴き比べてもおもしろいと思うんだけど、ぼくが好きなのはIan Matthewsってゆう、やっぱりイギリスの人なんだけど、その人がカバーしたのも大好きなんだよね。

ひとつの聴きかたとして、同じ歌を色んな人が歌ってるのをいろいろ聴いてみて、そこから得るものがあったりとか、歌のスタイルとかじゃなくて、歌自体がもってるスピリットみたいなのがすごい伝わってくるんで、そうゆう聴きかたもおもしろいなと思います。

“Amelia”はさっきすごい説明したけど愛称があって、Lindberghが男性で最初に大西洋を渡った。女性で最初に渡ったAmeliaのあだなはLindberghにちなんでMiss Lindyって呼ばれてて、Miss Lindyでも多分アメリカの人はみんな知ってるかな。そうゆう英雄が歌になるっていいなと思って。それがまた色んな人が歌ったりとかして。

確か「ナイトミュージアム」っていう映画の2番目のやつかな、博物館の人たちが生き返って動きまわるような映画でアメリカの博物館が舞台なんだけど、Amelia Earhartが飛行機に乗って大活躍してたのを今思い出しました。ひとつの歌から映画まで話が飛んじゃったけど、曲を聴いてると色んなことがつながっておもしろいですね。

メインのRonnie Laneに話が戻って、Ronnie Laneがすごいい状態の時にバンドを辞めて、ホントにやりたかったことっていうのがこうゆうアルバムだったってゆう、それがすごい「勇気があるな」と思いつつ、「やっぱホントにやりたいものっていうのはいいもんだな。悪いわけがない」っていうのがこのアルバムだなと思ってて。

これはモバイル・カーっていうのかな、ちょっとしたちっちゃなバスみたいなとこに録音機材を積んで、彼は旅するんだよね。そのモバイル・カーの中で録音したやつです。そうゆう和気あいあいとした、ミュージシャンどうしの楽器によるコミュニケーションみたいなのも伝わってくるようなアルバムだと思います。

Ronnie Lane & The Band "Slim Chance" 「Anymore For Anymore」聴いてもらいましたけど、ちょっと時間が余ってる感じなんで1曲サービスで聴いて下さい。彼らの違ったアルバムに収録されてる曲で、“How Come”。

“How Come”

今夜はRonnie Lane & The Band "Slim Chane" 「Anymore For Anymore」+1曲“How Come”聴いてもらったんですけど、ホントに優しい歌声で、みんなから好かれてた人だったんですねRonnieは。特にミュージシャン仲間とかから。

そのあと彼は順調に音楽を作り続けていったかといと実はそうでもなくて、運命っていうのはやっぱ皮肉で、多発性硬化症っていう難病ですね、体がどんどんどんどん硬くなっていって動かなくなっていく、そうゆう病気が彼を襲っちゃうんだよね。

そうゆう風に体の自由がきかなくなっても、できる限りは歌で参加したりとかコンサートを開いていく。そこには昔の友達っていうか、Eric Claptonとかそうゆう人も一緒に参加してくれたりとかして活躍していくんですけど、その病気のために亡くなってしまいます。

でもこうやってアルバム聴いてるといちばんやりたかったことはこのアルバムでやってて、そうゆうのはホントに永遠ていうか普遍的でずっと変わらず、「彼がこの世からいなくなってもずっと残るんだな」と思って聴いてました。

ホントにどんな人にも誰か必ずどんな人でも、ある年齢でピタッとくる歌っていうのがあると思うんだよね。ぼくは高校のころ背伸びして聴いてたこうゆう歌が今の自分にすごくピタッときてます。

そうゆう感じでまだまだあしたもあさってもお送りすると思います。番組の感想とかメッセージはこの番組のホームページからお送りいただければ嬉しいと思います。お待ちしています。夜のプレイリスト、奈良美智でした。


(※Iain Matthews & Plainsong - " In Search Of Amelia Earhart"
https://www.youtube.com/watch?v=G1xLpdsIE-M

映画『ナイト ミュージアム2』予告篇
https://www.youtube.com/watch?v=jQfLnecGxkY

わかりやすいように画像を大きく出してます。左から3番目がAmelia。原題は「Night At The Museum: Battle Of The Smithsonian」)

※約3,400文字(※注抜き)