夜のプレイリスト ホウム・ペイジ
 
Diana Ross 「Baby It's Me」 (1977)
ベイビー・イッツ・ミー
 
Side One
1. Gettin' Ready For Love
2. You Got It
3. Baby It's Me
4. Too Shy To Say
5. Your Love Is So Good For Me
 
Side Two
1. Top Of The World
2. All Night Lover
3. Confide In Me
4. The Same Love That Made Me Laugh
5. Come In From The Rain
 
日本国内盤タイトル
01. 燃える想い
02. 愛のほほえみ
03. ベイビー・イッツ・ミー
04. トゥー・シャイ
05. ソー・グッド
06. トップ・オブ・ザ・ワールド
07. オール・ナイト・ラヴァー
08. コンファイド・イン・ミー
09. 哀しみという名の愛
10. 雨に想いを

こんばんは。クリス松村です。今夜わたしくしがセレクトしたアルバムはDiana Rossの『ベイビー・イッツ・ミー』です。

このアルバムの存在自体どのくらいのかたがご存知なのかはわかりませんが、ちょうど1位を連発していた前のアルバム、"マホガニーのテーマ"、そして"ラヴ・ハングオーヴァー"、両方とも1位になってますけど、この曲を受けての、そのあとのアルバムなんですね。

しかもDiana Rossのミュージカルとして、Diana版として生まれた〈オズの魔法使い〉、『ザ・ウィズ』、こちら撮影とも重なっております。

ですからDianaとしてはとても充実して、ワンマン・ショーなんかも大成功して大変忙しい時期でもありましたが、実はこのアルバムっていうのはDianaの中で目立たないアルバムですけども、トータル的にすばらしい味を持っている、とても洗練された女性をこのアルバム1枚で聴くことができるとおもいます。

プロデューサーのRichard Perry、彼はCarly SimonやBarbra Streisand、Ringo Starrもそうですけども、こうゆうかたたちをプロデュースしていて、のちのちはPointer Sistersもブレイクさせるわけですが、彼みずからが「Diana Rossをプロデュースしたい」とゆう願いのもとにこのアルバムってゆうのは生まれたわけですけども。

Barbra Streisandをプロデュースしたってゆうところがまた縁を感じます。なぜかといえばDiana RossがSupremesから独立するときにモータウン・レコードのBerry Gordy Jr.はDiana Rossを「アフリカン・アメリカン版のBarbra Streisandにしたい」、そうおもっていたわけですね。

ですからDiana Rossってゆうのは最初はそうゆうところから始まって、いろんなものに挑戦しながら、ジャズもあいだにありました、ディスコ・ヒットもありましたが、このディスコ・ヒットとかジャズとかいろんな要素もふくめてこのアルバムができたとゆう感じがしますが、先ほども言いましたが、Dianaにとっては非常に変わり目のときでした。

でもそうゆういろいろ詳しい話ってゆうのはあとからお話しようとおもうんですね。なぜかというと、そうゆうことをおもいながら聴いてほしいってゆうわけではないので。

それではこのアルバムから前半をお聴きいただきたいとおもいます。
"燃える想い"、
"愛のほほえみ"、
"ベイビー・イッツ・ミー"、
"トゥー・シャイ"、
そして"ソー・グッド"です。

この時間はわたくしクリス松村がDiana Rossの『ベイビー・イッツ・ミー』からお届けしています。いかがでしたでしょうか。

"燃える想い"から始まったナンバーですけど、"燃える想い"、"ソー・グッド"、いろいろシングル・ヒットなんかもありますが、このアルバム自体そんなにヒットにはいたらなかったし、シングル曲なんかはトップ10に入ることはできませんでした。

ただし、注目するのはアダルト・コンテンポラリーのほうでは、みなさまがよく知っているDiana Rossの歌、たとえば"アップサイド・ダウン"、それから日本では大ヒットした"イフ・ウィ・ホールド・オン・トゥゲザー"、こんなような歌よりもはるかにヒットして、アダルト・コンテンポラリーではベスト10に入ってるんですね。

そうゆうことで「洗練されたDiana」と申し上げましたけども、実はこの77年から78年にかけてというのはDiana Rossは非常に大きなことがありました。

いわゆる初めて離婚ということを経験するんですね。もとの旦那さまと離婚して、子どもを引きとって、デトロイトやロサンゼルス、いろいろ住んでたところを離れて、初めてニュー・ヨークに来るんです。

そして77年、78年にかけてニュー・ヨークで初めてBerry Gordy Jr.との決別もこのあたりから考えていたんではないかと。なぜならばBerryの考えと、家庭を守る旦那さまとの関係と、そして自分のアーティストとの葛藤というもの、ここらへんがものすごくあって。

最終的にはまず旦那さまとまず別れられて、そしてBerry Gordy Jr.ともこれから2~3年で別れてしまうんですね。モータウンを飛び出るということになるわけです。それはDiana自身「自立したいってゆう気持ちがとても強かった」とゆうふうにご本人がおっしゃってます。

いままではBerry Gordy Jr.を頼り、そして70年から結婚生活を送ってきた旦那さまを頼り、そして子どもにも恵まれたんだけども、やはり「ひとりの女性として自分がやっていかなきゃいけない」という強い決心というものがあったんです。

ですからこのアルバムのジャケットをみなさまにお見せしたいぐらいですが、いままでSupremesとしても数々のヒットを飛ばしてきたあのDianaでもなければ、そして『ビリー・ホリデイ物語』のDianaでもなければ、ディスコ・ヒットを飛ばしたDianaでもない姿、女性とゆうものが非常に強く前面に出ているというふうにおもいます。

Diana Rossはこのほかに『ベイビー・イッツ・ミー』なみにコンセプトのあるアルバムってゆうのも出してるんですけど、そうゆうときに限ってヒットしないんですね。

シングル曲ってゆうのは80年代に入ってからどんどん出てくるんですけども、こうゆうすばらしいシングル・ヒットが生まれるときに限って、アルバムはよくないわけじゃなくて、全部すばらしいんですけども、わたしが今日紹介してるような、アルバムらしいというか、トータル的に「うわっ、これはやられた」っておもうアルバムとはちょっと違う流れになる。

これはヒット曲があるDianaとしてはこれはいたしかたないことかもしれませんが、Supremes時代もふくめれば、このDiana Rossの1位の数ってゆうのはすごい数あるわけで、そしてちょうど2年前ですか、日本武道館で2日間公演をしましたけども、全く変わらないDiana Ross。

衣装替えのときこそまさに武道館のステージの横にわざわざ衣装着替えのブースを設けたりして対応してましたけど、1曲1曲に近いぐらい衣装を替えて観客を楽しませるDianaがいました。スタイルも全く変わりません。非常にこうゆうアーティストは珍しいとおもいます。

BeatlesとかBeach Boys、いろんなバンド系もいます。Barbra Streisand、いろいろ世に語り継がれる人がいますけど、Diana Rossは確実にその一角を担うDiana Rossというものがあるというふうにおもいます。

後半も最後に雨の名曲までお聴きいただきたいとおもいます。Diana Rossの『ベイビー・イッツ・ミー』から後半、
"トップ・オブ・ザ・ワールド"、
"オール・ナイト・ラヴァー"、
"コンファイド・イン・ミー"、
"哀しみという名の愛"、
そして"雨に想いを"です。


この時間はわたくしクリス松村がDiana Rossの『ベイビー・イッツ・ミー』からお届けしてきました。

Richard Bailey、そしてDiana Ross、このふたりが融合してるかどうかは別として、やはり結果的にすばらしい組み合わせになったんじゃないかとおもいます。

アルバムの結果というよりも、このアルバムを聴いてみなさんがどうおもわれるか。つまり順位じゃないってことですね。アルバムってゆうのは順位じゃございません。

ということで、このアルバム『ベイビー・イッツ・ミー』も音楽ライブラリの仲間に入れていただければとおもいます。それとこの番組はパソコンやスマートフォンのアプリ〈らじる らじる〉でもとてもクリアに聴くことができます。ぜひお試しください。

今日はちょっと特別です。日本ではディスコ用の12インチ・シングルってゆうのは1979年に発売され始めましたけども、アメリカってゆうのははるかもっと前から12インチ・シングルってゆうのは存在しました。

実はこのアルバムからもディスコ・シングル、12インチ・シングルってゆうのが発売されとります。前半におかけしました"ソー・グッド"、ぜひこのディスコ・シングルをお聴きいただきながら時間までお楽しみいただきたいとおもいます。

〈夜のプレイリスト〉、お相手はクリス松村でした。

"Your Love Is So Good For Me"




※以下は放送中に流れたBGMをふくめた公式のプレイリストです。
「<BGM> Theme from Mahogany (Do You Know Where You're Going To)」
Diana Ross

「Gettin' Ready For Love」
Diana Ross

「You Got It」
Diana Ross

「Baby It′s Me」
Diana Ross

「Too Shy To Say」
Diana Ross

「Your Love Is So Good For Me」
Diana Ross

「<BGM> Love Hangover」
Diana Ross

「Top Of The World」
Diana Ross

「All Night Lover」
Diana Ross

「Confide In Me」
Diana Ross

「The Same Love That Made Me Laugh」
Diana Ross

「Come In From The Rain」
Diana Ross

「<BGM> What You Gave Me」
Diana Ross

「Your Love Is So Good for Me (12 Inch Version)」
Diana Ross