2005年04月29日

ラブレター

近況報告 27歳 なな かつての片思いの相手へ

拝啓
そちらでは皆さんお元気ですか。
私は元気です。
ここ数年は貴方を思い出す事もなく、忙しい日々を送っていました。

4年前、私は結婚しました。
2年前には息子が生まれ、今また新しい命がお腹の中に宿っています。
故郷を離れ、東京に住んでいます。
私はとても幸せです。

貴方に恋をしていた6年間、想いを伝えるなんて一度も考えた事がありませんでした。
貴方がそれを警戒していたような節があったのも事実ですね、「嫌われるくらいなら」友人として傍にいたいと思ったのです。
私達は高校卒業の最後の日まで良い友人として過ごしました。
卒業して数ヶ月、ゴールデンウィークには皆で集まる予定でした、覚えていますか?
楽しみにしていた連休の数日前に私は貴方の訃報を聞きました。
悲しいとか寂しいとか、そんな想いより、ただただ呆然と貴方の死の理由を聞きました。
18歳、若すぎましたね。
まだまだやりたい事があったのでしょう。
取ったばかりの免許で、買ったばかりの中古車で、貴方は本当に天国まで昇っていってしまいました。
死んでしまった貴方も辛い思いをしたのでしょうか。
残された貴方の家族や私達友人は長いこと眠れぬ日々を過ごしました。
貴方の話をしては皆で泣きました。
生きているのだから、前に進まなくてはと思うのに、思えば思うほど私達はその底なしの沼にハマっていたように思います。
死が本当に近くにありすぎて、その誘惑に負けてしまいそうになる私がいました。

底なし沼にもう肩まで埋まってしまっていた頃、私は今の夫と出会いました。
貴方とは正反対の人でした。
私を愛してくれました。
夫は私を救ってくれました。
時間がかかりましたが私は少しずつ、貴方の死から前へ進みはじめました。
そして今、自分でも驚くほど幸せに過ごしているのです。

貴方はもうこの世にいない人なので、私は死ぬまで貴方の事が好きでしょう。
伝えられなかった言葉は私が死んだら笑って伝える事にします。
でも貴方以上に夫や子供を愛しています。
だからもう私は簡単には死ねないのです。
次に会う時、きっと私は皺々のおばあちゃんになっていると思います。
貴方は笑うでしょう、でもね、その皺の数は私の幸せの数だと思ってください。

またしばらく、貴方を忘れる多忙な日々が続くと思います。
どうか許してくださいね。
それではまたお元気で
                 敬具
追伸
あぁ、何だか貴方の声が聞こえたような気がします。
あの頃の口癖でしたね。

「いいんじゃないの?」







Posted by sevriqu2ca3 at 21:51│Comments(0)TrackBack(0)

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