昨日の続き。
昭和8年の競技規則と共に、コメント欄にいただきました1988年の競技規則がこちらです。
そして、この中の3(a)において、「ただ単にオフサイドポジションにいるとき」は反則でなく、「プレーか相手競技者に干渉している」時に反則が成立すると明言されています。
ポイントは昭和8年版で「演技に関与」とされていたのが「プレーに干渉」に変わっていること。
この50年のどのタイミングで変更されたのか分かりませんが、「ただ関わる」だけではなく、「自ら主体的に影響を与えていく」という概念が取り入れられています。
ただし、「オフサイドポジションにいることを利用しようとしている」などと、主観が入る余地も記されており、現在のものよりオフサイドを取られやすいと言えるでしょう。
もう一つ、ターミネーターさんのブログに、90年イタリアW杯における感想として面白い記述がありました。
「サッカーと音楽」シリーズ 第一回 ~ 世界は動いている!(後半) - ターミネーター3級審判員の反省部屋
「競技者が後方から 2 人目の相手競技者と同じレベルにいる。または、競技者が最後方にいる 2 人の相手競技者と同じレベルにいる」
場合はオフサイドポジションではないという一文があるのですが、この頃はその記載が無かったため、オフサイドポジションの判定がよりシビア(攻撃側に厳しい)だったようですね。
また、追記でこういうコメントもいただきました。
この言葉は私知りませんでした。
で、ぐぐってみるとこういう記事が出てきます。
No.147 死んだ「アクティブエリア」:大住良之 サッカーの話をしよう
そして、それは「大会前に示された基準ではオフサイドになるはずのものだった」と。
しかし、このゴールを認めたこともあり、それ以後判断の難しい「エリア」という概念は取り外され、「プレーへの干渉」をその「意図」で判断するようになったということです。
はい。
おそらくこれが今一番浸透している考え方じゃないかと思います。
オフサイドポジションの選手にパスが出る。
その選手のそばにボールが来た時、ボールに触ろうという意図を見せ動く……
この瞬間に「オフサイドだ!」と考える人が非常に多いかと。
確かに、アメリカW杯以後、10年ほどはこの解釈が使われていたわけです。
しかし、その「意図」を判断する基準として、2005年に「ボールに触れる」という文言が登場します。
オフサイドの適用について(連絡)
しかし、この通達以後、「ボールに触れる」までは旗を待つことが明言されています。
この通達。
この周知が甘かったために、アップデートできないまま現在に至ってる人が多いんですよ。。。
かくいう私もその一人だったわけで。
どうか、今一度「ボールに触れる」という判断基準を上書き保存してください。
と言ったところで次回まとめ。
昭和8年の競技規則と共に、コメント欄にいただきました1988年の競技規則がこちらです。
1988年版の競技規則から抜粋してみます。まず1でオフサイドポジション、2で反則に該当する要件、3で反則にならない条件を説明していますので、現在と構成としては一緒ですね。
1.ボールより相手側ゴールラインに近い位置にいる競技者は、次の場合を除いてオフサイドポジションにいることになる。
(a)その競技者が競技場の味方側半分内にいるとき、
または
(b)その競技者より相手側ゴールライン近くに相手側競技者が2人以上いるとき。
2.ボールが味方競技者に触れるかプレーされた瞬間に、オフサイドポジションにいる競技者が
(a)プレーか相手競技者に干渉している、または
(b)オフサイドポジションにいることを利用しようとしている、
と主審が判断した場合にのみ、オフサイドが宣告され、オフサイドの罰則が適用される。
3.次の場合には、競技者はオフサイドを宣告されない。
(a)ただ単にオフサイドポジションにいるとき。
(b)ゴールキック、コーナーキック、スローインからのボール、または主審がドロップしたボールを直接受けようとするとき。
4.は再開方法の話なので略します。
ということで、88年の競技規則ではオフサイドポジションにいるだけでは罰せられない、というのが正しそうです。
ただし、2(b)のように「受けようとしている」と主審が判断した場合にもオフサイドとなるので、現行より厳しいと言えるでしょうね。
そして、この中の3(a)において、「ただ単にオフサイドポジションにいるとき」は反則でなく、「プレーか相手競技者に干渉している」時に反則が成立すると明言されています。
ポイントは昭和8年版で「演技に関与」とされていたのが「プレーに干渉」に変わっていること。
この50年のどのタイミングで変更されたのか分かりませんが、「ただ関わる」だけではなく、「自ら主体的に影響を与えていく」という概念が取り入れられています。
ただし、「オフサイドポジションにいることを利用しようとしている」などと、主観が入る余地も記されており、現在のものよりオフサイドを取られやすいと言えるでしょう。
もう一つ、ターミネーターさんのブログに、90年イタリアW杯における感想として面白い記述がありました。
「サッカーと音楽」シリーズ 第一回 ~ 世界は動いている!(後半) - ターミネーター3級審判員の反省部屋
現在では、①GKへのバックパスを手で扱っても反則ではない。
②GKが一度リリースしたボールを再び保持してもこちらも反則でない。
③オフサイドポジションの定義が今とは異なる。
④審判のシグナルやポジションが今と異なる??
⑤イエロ―カードの基準が異なる(もしくは当然出すべきプレーに出ない)
(中略)
③これは前半イングランド代表の選手がどうみても最終ラインより前に出ているとは見えないのにオフサイドの反則となっています。これは1990年の改正によって「後方から2人目の競技者もしく最後方にいる2人の相手競技者と同じレベルにいる」ことはオンサイドとなったわけですけど、ワールドカップの時はまだ同レベルはオフサイドポジションであるという旧競技規則が適用されていたからでしょうか?
「競技者が後方から 2 人目の相手競技者と同じレベルにいる。または、競技者が最後方にいる 2 人の相手競技者と同じレベルにいる」
場合はオフサイドポジションではないという一文があるのですが、この頃はその記載が無かったため、オフサイドポジションの判定がよりシビア(攻撃側に厳しい)だったようですね。
また、追記でこういうコメントもいただきました。
ちなみに、1994年の頃はアクティブプレーエリアなる言葉があって、ブラジル-オランダの場合ロマーリオのプレー範囲にボールが無かったということで、オフサイドではない、という解釈だったよーな。「アクティブプレーエリア」
つまり一歩でも寄っていればオフサイドになったという解釈のはず。
※「はずはハズれる」こともあるんですが(笑)
この言葉は私知りませんでした。
で、ぐぐってみるとこういう記事が出てきます。
No.147 死んだ「アクティブエリア」:大住良之 サッカーの話をしよう
話は1994年ワールドカップの準々決勝、ブラジル×オランダ戦から始まる。例のベベトのゴールについて書かれていますね。
後半、1点 をリードされたオランダが反撃に出る。だがブラジルが自陣中央でボールをカット、一気に最前線にロングパスを送る。ボールの飛ぶ先には、完全なオフサイド ポジションにブラジルFWロマリオがいる。誰もが、ラインズマンの旗が上がり、レフェリーの笛が鳴ると思った。
だ が、どちらも起こらない。ロマリオはややうつむいて自陣に向かって歩き、プレーをしようという素振りさえ見せない。そして右手を上げてアピールするオラン ダDFの脇をブラジルFWベベットが駆け上がっていく。フリーでボールに追いついたベベットは、GKをかわして楽々と2点目を決めたのだ。
大きな議論となるゴールだった。判定が、国際サッカー連盟(FIFA)が大会前に示したオフサイドルール適用のガイドラインと食い違っていたからだ。
オフサイドポジションにいても、それだけでは反則にはならない。その選手が「積極的にプレーに関与」したときに初めて反則になる。そしてその判定は、その 選手が仮想の「アクティブプレーのエリア」にいたかどうかで決するというのが、大会前のFIFAの説明だった。ロマリオはこのエリア内にいたのだ。
だが、FIFAはこの判定についてはっきりとした解説をしなかった。そのため日本では、大会後も「アクティブプレーのエリア」がこうしたケースの判定の基準となった。
ところが最近、FIFAはルールに関するVTRを発売し、そのなかで、「エリア」に関係なく積極的にプレーに関与した行為(アクティブプレー)だけをオフ サイドとするという考えを示した。ロマリオのようにプレーする意図がなければ、オフサイドにはならないというのだ。日本でも、今季からこの基準でレフェリ ングを行っている。
この判断は、当然のことながら、まずラインズマンが行わなければならない。ラインズマンは「確実にオフサイド」と判断したとき以外は旗を上げてはならないのだ。
オフサイドは本来ボールがけられた瞬間に決まるものだが、新しい解釈では状況によってはボールが渡った選手だけが問題になる。当然、旗を上げるタイミングは遅くなる場合もある。
これは実際には、非常に大きな「ルール改正」である。混乱を避けるため、Jリーグではシーズン前に各チームにこの変更がはっきりと通知されている。
あるチームでは、新しい解釈を「利用」する作戦まで練習したという。
ところが最近、いくつものテレビ放送でこの新解釈を知らないと思えるコメントがなされた。そして「相変わらず審判のレベルが低い」という印象をファンに与えてしまった。
今季前にJリーグが各チームに「ルールテスト」を実施したのは、こうした不必要な混乱を避けることが目的だった。それは、選手やチーム関係者だけでなく報道関係者をも含めての呼びかけであったはずだ。
これまでのいわゆる「審判問題」には、今回のように報道側の無知や理解不足が原因となったことも少なくない。ルールやその解釈は毎年変わる。そのフォローを怠ってはならない。
そして、それは「大会前に示された基準ではオフサイドになるはずのものだった」と。
しかし、このゴールを認めたこともあり、それ以後判断の難しい「エリア」という概念は取り外され、「プレーへの干渉」をその「意図」で判断するようになったということです。
はい。
おそらくこれが今一番浸透している考え方じゃないかと思います。
オフサイドポジションの選手にパスが出る。
その選手のそばにボールが来た時、ボールに触ろうという意図を見せ動く……
この瞬間に「オフサイドだ!」と考える人が非常に多いかと。
確かに、アメリカW杯以後、10年ほどはこの解釈が使われていたわけです。
しかし、その「意図」を判断する基準として、2005年に「ボールに触れる」という文言が登場します。
オフサイドの適用について(連絡)
オフサイドポジションの競技者が次のような行動で積極的にプレーに関わったと主審が判断したときオフサイドの反則とする。これまでだったら、「ボールに触れよう」という意図が明確な場合、副審の判断で旗が上がっていました。
①プレーに干渉した・・・実際にボールをプレーするかまたはボールに触れる。
・相手競技者への干渉が考えられないケースでは副審はプレーへの干渉のみを考えて競技者がボールをプレーするか、触れるまで旗を揚げることを待つ。
・これまでは、その競技者のプレーへの干渉が明らかであると副審が考えたときに旗は揚がっていた。
しかし、この通達以後、「ボールに触れる」までは旗を待つことが明言されています。
この通達。
この周知が甘かったために、アップデートできないまま現在に至ってる人が多いんですよ。。。
かくいう私もその一人だったわけで。
どうか、今一度「ボールに触れる」という判断基準を上書き保存してください。
と言ったところで次回まとめ。