総括することもなくアジア杯が終わり、Jリーグ開幕も間近。
JFAから今年のスタンダード映像が公表されました。


注目は「ハンドリング」
アジア杯でも大きなアヤとなりましたが、VAR込みでくだされたその判定は議論を呼びました。

日本絡みでは4つ大きな判定があり、
・オマーン戦の長友のブロック(ノー判定)
・ベトナム戦のマヤのゴール(ノー判定→VARでハンドリング判定)
・イラン戦の南野のクロス(ハンドリング判定→VARも支持)
・カタール戦のマヤのジャンプ(ノー判定→VARでハンドリング判定)
でした。

このうち、VARがなかった長友のは明確な誤審として皆さん一致してますが、その後の3つについては、日本で審判活動をされてる方、当ブログの読者さんなどには違和感があったのでは。
どれも、
・自然な位置の手
・予期の難しい距離
でボールに触れており、欧州の識者からも判定には疑問の声が。
仮説的に、「AFCはhandlingではなくhandballを重視した基準を設定してる」と考えるしかない状況でした。



そしてそれを受け、今年のJFAがどういう基準を示してくるか、注目されたわけですが……
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うん。
これまで通り。

これなんか、まんまイラン戦の南野クロスのパターンですけど、
「アジア杯では笛が吹かれたかもしれんが、JFAはノーとしますよ」
という宣言になっております。

で、その辺の違いについて、ブリーフィングで言及があったのか、記者さんに質問しましたところ。
「JFAとAFCに基準の違いがあるわけではなく、『現場の適用』で齟齬が生じた」
という見解が一般的な模様。
だろうなーという印象です。



この「現場の適用」ってのがなにかっつーと、やはりVARの存在ですね。
ビデオを見れば、手に当たってるのは明白。
その情報を数万の観客、数百万の視聴者と共有している。
そして彼らの99%は「手に当たればハンド」と思っている。
そんな中で、「いや、当たってるけど意図はない」として「ノー」と下せるか。
それには相当なガッツが必要だと思うのです。
主観的な判断よりも、客観的な事実に頼ることを責めるのは難しゅうございます。

これは、何もAFCの審判だからガッツが足りないという話でもございません。
ロシアW杯でも同様のシーンは多数ありました。
接触の明白な事実、スローにすることで強調される意図……
それらを覆して、「正しい」判定をくだせたのはカイペルスさんくらいだったでしょうか。

ということで、今後基準について気をつけるべきは
「JFA主催かAFC主催か」
ではなく、
「VARありかなしか」
という点ですね。

ACLがアジア杯同様、厳しい基準となるのではという予測もありますが、今年はまだVAR導入されてませんし、意外とそうでもないんじゃないかなというのが個人的な予想です。
(まあ、いずれにせよ手の位置などは気をつけておかねばなりませんが)



では、今年一部試合でVARが導入されるJリーグではどうか。
これについて、以前書いたこちらのエントリを思い出しました。
『オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く』読了 - とりあえず 
この中でも紹介した、NFLレフェリーのマイク・キャリーの弁、
「下しにくい判定やウケの悪い判定を下すとき、審判のガッツが試されるんだ。それができたら、本物の審判だって証拠だよ。引っ込んでたほうが、審判としてのキャリアは長く続けられるかもしれない。でもそれじゃ、正しいキャリアは歩めないんだよ」
こちらを改めて思います。

そして、この時にも書きましたが、日本人審判というのは、こういう場面で「ウケの悪い判定」を下しやすい傾向があると思います。
「空気を読む」よりも「競技規則を読む」ことを大事にしている人たちです。
ですから、VARが導入されたとしても、ハンドリングの基準はきっちり守ろうとするんじゃないかなーと、現時点では思っているのです。

ただ、それは観客や視聴者にすれば、自分の感覚とは異なる結論である可能性が高いものです。
そうした時、レフェリーを守れる環境を作ってほしいものですね。



なお。
こんなこと書いてますが、そもそも来月のIFAB総会にて、ハンドリングの基準が大幅に変わる可能性もございます。
JリーグでのVAR導入は下半期からですので、導入前に競技規則そのものが変わることも。
その辺の動向にもご注意ください。