とりあえず

サッカーのレフェリング雑感ブログ。
当ブログ内での解説は、執筆時点での競技規則・解釈に基づくものです。
必ず掲載日時をご確認いただき、古いものは解釈が変わっている可能性にもご留意下さい。

カテゴリ: ルール

2014国際Aマッチ日本対ザンビア - とりあえず 

2点ほど。

「岡崎とGKの接触で、復帰方法はそれでいいのか」
と書いてた部分、3級審判員さんも同じ疑問を呈しておられました。
ザンビア戦(2014/06/07)の公式記録ほか

通常、選手の怪我の処置は、ピッチの外で行われますが、怪我をしたのがGKの場合、GKとフィールドプレーヤー(以下、FPと表記)が衝突し、即座な対応が必要な場合や、同じチームの競技者が衝突した場合については適用されません。(過去記事 「フィールド内で治療を受けられるのは「原則GK」だけ」 参照。)

 

相手GKが負傷して、ピッチ内で処置を受けていて、どうせ試合が停止する状況だったため、岡崎選手もそのままピッチ内で処置を受けることができました。(通常なら、チームドクターによる状況確認と、簡単な止血処置だけが行われ、本格的な処置はピッチの外で行われます。)

 

出血した選手は主審による止血の確認がなければピッチ内に復帰できないので、通常、岡崎選手は、プレー再開後のアウトオブプレーのタイミング(最近 は、できるだけ素早く選手をピッチに復帰させることを目的に、主審から権限を委譲された第四の審判員による止血の確認を受ければ、インプレー中でも復帰す ることができるようなのですが。)でしか復帰できないのですが、相手GKの処置が長引いていたことなどもあり、再開時にそのままピッチ内にいました ねぇ・・・。

 

競技規則的には、第5条のガイドラインで、主審が遵守すべき手続きとして、「負傷した競技者は、試合が再開されたのちにのみフィールドに復帰できる。」と規定されているので、岡崎選手は一旦ピッチの外に出て、試合再開後にしかピッチに戻れないはずなんですけどねぇ・・・。

 

もちろん、負傷者がGKの場合は、試合再開時にピッチ内にGKがいない状況となってしまい、競技規則の第3条の競技者の数(各チームの競技者のうちの1人はゴールキーパーである。)を満たさなくなってしまうので、必然的に「ピッチ外からの復帰は免除」されるのですが。 

そうなのです。
怪我人が出た場合、特に出血があった場合、選手は一度外に出させられます。
そして「プレー再開後」、主審の許可を得て復帰するわけです。
ガイドライン 第5条 主審 負傷した競技者
負傷した競技者は、試合が再開されたのち、フィールドに復帰することができる。
しかし岡崎は、「プレー再開前」にすでにピッチに復帰していまして、「あれ?これええんかな?」と思ったのです。

で、その点を2級審判の方に聞いてみたところ、
「GKとFPが衝突という例外の状況なので、第5条『負傷した競技者』の項目全体に例外が適用され、FPが試合再開前に復帰することを妨げない」
というお話。
ガイドライン 第5条 主審 負傷した競技者
この規定の例外は、次の場合にのみ適用される。
・ゴールキーパーが負傷したとき。
・ゴールキーパーとフィールドプレーヤーが衝突し、即座の対応が必要なとき。
・同じチームの競技者が衝突し、即座の対応が必要なとき。
・重篤な負傷が発生したとき(例えば、舌が気道を塞ぐ、脳や心臓の震盪、脚の骨折)。
なるほどねー。
GKは例外的に「再開前に復帰」が認められるわけですから、それと接触したFPの方も認めてやらんと不公平になりますわな。
当然と言えば当然の話でした。

これは、例外の適用を受ける他のパターンが「同じチームの競技者が衝突」ということからも考えられますね。
「相手競技者との衝突」であれば、両チームとも1人ずつが欠けている状態ですから、その状態で再開して、その後で復帰させることに不公平はない。
しかし、同じチームの選手が2人欠けた状態で再開させると、欠けた方が非常に不利となるので、その場合も治療が終わった選手を復帰させてから再開で良いですよと。
そういう考え方なんでしょう。

と言うことで、この時の主審の判断に問題は無かったということです。

追記。
3級審判員さんもコメント欄での指摘を受けて記事を修正されていました。
負傷した選手がピッチの外で処置を受けなければならないのは、「円滑な運営」のためであり、今回のようにゴールキーパーの処置のほうが時間がかかっていて、他の競技者の処置のほうが先に終了した場合は、あえてピッチの外に出る必要はないそうです。(上級審判員の方に教えていただきました。2014.06.08 追記。) 



続いて。
ハンドの件なんですが、やっぱハンドだったなとw
zanbia
このシーン、キャプチャ作るのに必死でこの瞬間ばかりフォーカスしてましたが、流れを通して見直したら、クロスの瞬間手を後方に引いて、そこに当たっていることが分かりました。
これが、「クロスが来る!避けなきゃ!」で、背中側に避けたところに当たったのか、それとも「背中を通される!」と故意にそちらに出したのかまでは判断できませんが。
いずれにせよ「ボール方向への移動」があったわけですから、未必の故意と取られてハンド認定されるのも致し方ないかなと。
そしてその場合、「意図的にボールを手または腕で扱って、相手競技者がボールを受け取るのを阻止する」に該当するので、警告が出て然るべきだったんじゃないかというのが今の考えです。

と言うことで2点ほど修正いたします。
しかしうーん。
リアルタイムで書こうとすると、後から間違いや書き直したいことが多数発見されるなあw
これは記事公開のタイミングをもうちょい考えねば。。。 
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ここまで過去の競技規則を元に、オフサイドの変遷を辿って参りました。
オフサイドの謎 - とりあえず
オフサイドの謎(その2) 昭和8年の競技規則 - とりあえず
オフサイドの謎(その3) 1988年~2005年の変遷 - とりあえず

最後に、現在の競技規則におけるオフサイドの文面を確認してみましょう。
オフサイドポジション

オフサイドポジションにいること自体は、反則ではない。
競技者は、次の場合オフサイドポジションにいることになる。
 競技者がボールおよび後方から 2 人目の相手競技者より相手競技者のゴールラインに近い。

競技者は、次の場合オフサイドポジションにいないことになる。
 競技者がフィールドの自分のハーフ内にいる。または、
 競技者が後方から 2 人目の相手競技者と同じレベルにいる。または、
 競技者が最後方にいる 2 人の相手競技者と同じレベルにいる。

反則

ボールが味方競技者によって触れられるかプレーされた瞬間にオフサイドポジションにいる競技者は、次のいずれかによってそのときのプレーにかかわっていると主審が判断した場合にのみ罰せられる。
 プレーに干渉する。または、
 相手競技者に干渉する。または、
 その位置にいることによって利益を得る。

反則ではない

競技者が次のことからボールを直接受けたときはオフサイドの反則ではない。
 ゴールキック
 スローイン
 コーナーキック
最初に「オフサイドポジション」の定義が来ており、「そこにいるだけでは反則でない」ということが明言されています。
その上で、「反則になる条件」「反則にならない条件」がそれぞれ書かれていますね。



過去と比較しますと、こういう変遷を辿っております。

昭和初期~:現在のオフサイドと基本はほぼ一緒。ただし「演技に関与」という文言が使われていた。

~1988年:「演技に関与」が「プレーに干渉する」とされ、より主体的に影響を与えた場合に反則とされた。

1990年W杯後:「競技者が後方から 2 人目の相手競技者と同じレベルにいる。または、競技者が最後方にいる 2 人の相手競技者と同じレベルにいる」場合はオフサイドでないと明記される。

1994年W杯前:「プレーに干渉する」の判断基準に「アクティブプレーエリア」という概念を設定。
「プレー出来そうな位置にいて、そこにパスが出るなどしたら反則」とされた。

1994年W杯後:「アクティブプレーエリア」の概念を破棄。
「積極的にプレーに干渉する意図」を以て判断するように。

2005年:「プレーに干渉」の判断基準として、「ボールに触れる」という客観的事実が必要とされる。

2013年:「新解釈」設定。相手の意図的なプレーの結果であれば、オフサイドポジションで利益を得ることが認められた。




結局これらのルール変遷って、全て「ゴールが生まれやすくするため」=「オフサイドが取られにくくするため」の改正なんですよね。
そう考えると、現状よりもさらにオフサイドの判断を厳しくするのは難しいかと。
ということで、現在のものをきちんと把握しておけば、今後はそんなに悩むことはなくなるかと思いますので、ここで覚えておきましょう。



あと、余談。
オフサイドの問題の一つとして、「オフサイド」という語句が、
・オフサイドポジション
・オフサイドの反則
この2つを兼ねちゃってることがあるかと思うんですよねえ。

つまり、
「あの選手はオフサイド(ポジションにいるん)だけど、(ボールに触ってないから)オフサイドじゃない」
という表現が混乱を生むことになるかと。。。

「オフサイドポジション」の対義語は「オンサイド」となりますし、「オフサイドの反則」の反対は「ノットオフサイド」。
その選手がノットオフサイドだった時、オンサイドにいたからノットなのか、オフサイドポジションだったけどプレーに干渉してないからノットなのか、その辺りの表現をきちんと使い分けたいものです。

とりあえず、「オフサイドの反則」を一言で表すために、「オフサイディング」なんて用語を使うべきだと思うんですけど。
どうでしょう。
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昨日の続き。

昭和8年の競技規則と共に、コメント欄にいただきました1988年の競技規則がこちらです。
1988年版の競技規則から抜粋してみます。

1.ボールより相手側ゴールラインに近い位置にいる競技者は、次の場合を除いてオフサイドポジションにいることになる。
(a)その競技者が競技場の味方側半分内にいるとき、
または
(b)その競技者より相手側ゴールライン近くに相手側競技者が2人以上いるとき。

2.ボールが味方競技者に触れるかプレーされた瞬間に、オフサイドポジションにいる競技者が
(a)プレーか相手競技者に干渉している、または
(b)オフサイドポジションにいることを利用しようとしている、
と主審が判断した場合にのみ、オフサイドが宣告され、オフサイドの罰則が適用される。

3.次の場合には、競技者はオフサイドを宣告されない。
(a)ただ単にオフサイドポジションにいるとき。
(b)ゴールキック、コーナーキック、スローインからのボール、または主審がドロップしたボールを直接受けようとするとき。

4.は再開方法の話なので略します。

ということで、88年の競技規則ではオフサイドポジションにいるだけでは罰せられない、というのが正しそうです。
ただし、2(b)のように「受けようとしている」と主審が判断した場合にもオフサイドとなるので、現行より厳しいと言えるでしょうね。
まず1でオフサイドポジション、2で反則に該当する要件、3で反則にならない条件を説明していますので、現在と構成としては一緒ですね。
そして、この中の3(a)において、「ただ単にオフサイドポジションにいるとき」は反則でなく、「プレーか相手競技者に干渉している」時に反則が成立すると明言されています。

ポイントは昭和8年版で「演技に関与」とされていたのが「プレーに干渉」に変わっていること。
この50年のどのタイミングで変更されたのか分かりませんが、「ただ関わる」だけではなく、「自ら主体的に影響を与えていく」という概念が取り入れられています。

ただし、「オフサイドポジションにいることを利用しようとしている」などと、主観が入る余地も記されており、現在のものよりオフサイドを取られやすいと言えるでしょう。



もう一つ、ターミネーターさんのブログに、90年イタリアW杯における感想として面白い記述がありました。
「サッカーと音楽」シリーズ 第一回 ~ 世界は動いている!(後半) - ターミネーター3級審判員の反省部屋

①GKへのバックパスを手で扱っても反則ではない。

②GKが一度リリースしたボールを再び保持してもこちらも反則でない。

オフサイドポジションの定義が今とは異なる。

④審判のシグナルやポジションが今と異なる??

⑤イエロ―カードの基準が異なる(もしくは当然出すべきプレーに出ない)


 (中略)

 

③これは前半イングランド代表の選手がどうみても最終ラインより前に出ているとは見えないのにオフサイドの反則となっています。これは1990年の改正によって「後方から2人目の競技者もしく最後方にいる2人の相手競技者と同じレベルにいる」ことはオンサイドとなったわけですけど、ワールドカップの時はまだ同レベルはオフサイドポジションであるという旧競技規則が適用されていたからでしょうか?

現在では、
「競技者が後方から 2 人目の相手競技者と同じレベルにいる。または、競技者が最後方にいる 2 人の相手競技者と同じレベルにいる」
場合はオフサイドポジションではないという一文があるのですが、この頃はその記載が無かったため、オフサイドポジションの判定がよりシビア(攻撃側に厳しい)だったようですね。



また、追記でこういうコメントもいただきました。
ちなみに、1994年の頃はアクティブプレーエリアなる言葉があって、ブラジル-オランダの場合ロマーリオのプレー範囲にボールが無かったということで、オフサイドではない、という解釈だったよーな。

つまり一歩でも寄っていればオフサイドになったという解釈のはず。
※「はずはハズれる」こともあるんですが(笑)
「アクティブプレーエリア」
この言葉は私知りませんでした。
で、ぐぐってみるとこういう記事が出てきます。

No.147 死んだ「アクティブエリア」:大住良之 サッカーの話をしよう
 話は1994年ワールドカップの準々決勝、ブラジル×オランダ戦から始まる。
 後半、1点 をリードされたオランダが反撃に出る。だがブラジルが自陣中央でボールをカット、一気に最前線にロングパスを送る。ボールの飛ぶ先には、完全なオフサイド ポジションにブラジルFWロマリオがいる。誰もが、ラインズマンの旗が上がり、レフェリーの笛が鳴ると思った。
 だ が、どちらも起こらない。ロマリオはややうつむいて自陣に向かって歩き、プレーをしようという素振りさえ見せない。そして右手を上げてアピールするオラン ダDFの脇をブラジルFWベベットが駆け上がっていく。フリーでボールに追いついたベベットは、GKをかわして楽々と2点目を決めたのだ。

 大きな議論となるゴールだった。判定が、国際サッカー連盟(FIFA)が大会前に示したオフサイドルール適用のガイドラインと食い違っていたからだ。
  オフサイドポジションにいても、それだけでは反則にはならない。その選手が「積極的にプレーに関与」したときに初めて反則になる。そしてその判定は、その 選手が仮想の「アクティブプレーのエリア」にいたかどうかで決するというのが、大会前のFIFAの説明だった。ロマリオはこのエリア内にいたのだ。

 だが、FIFAはこの判定についてはっきりとした解説をしなかった。そのため日本では、大会後も「アクティブプレーのエリア」がこうしたケースの判定の基準となった。
  ところが最近、FIFAはルールに関するVTRを発売し、そのなかで、「エリア」に関係なく積極的にプレーに関与した行為(アクティブプレー)だけをオフ サイドとするという考えを示した。ロマリオのようにプレーする意図がなければ、オフサイドにはならないというのだ。日本でも、今季からこの基準でレフェリ ングを行っている。

 この判断は、当然のことながら、まずラインズマンが行わなければならない。ラインズマンは「確実にオフサイド」と判断したとき以外は旗を上げてはならないのだ。
 オフサイドは本来ボールがけられた瞬間に決まるものだが、新しい解釈では状況によってはボールが渡った選手だけが問題になる。当然、旗を上げるタイミングは遅くなる場合もある。
 これは実際には、非常に大きな「ルール改正」である。混乱を避けるため、Jリーグではシーズン前に各チームにこの変更がはっきりと通知されている。

 あるチームでは、新しい解釈を「利用」する作戦まで練習したという。
 ところが最近、いくつものテレビ放送でこの新解釈を知らないと思えるコメントがなされた。そして「相変わらず審判のレベルが低い」という印象をファンに与えてしまった。
 今季前にJリーグが各チームに「ルールテスト」を実施したのは、こうした不必要な混乱を避けることが目的だった。それは、選手やチーム関係者だけでなく報道関係者をも含めての呼びかけであったはずだ。
 これまでのいわゆる「審判問題」には、今回のように報道側の無知や理解不足が原因となったことも少なくない。ルールやその解釈は毎年変わる。そのフォローを怠ってはならない。
例のベベトのゴールについて書かれていますね。

そして、それは「大会前に示された基準ではオフサイドになるはずのものだった」と。
しかし、このゴールを認めたこともあり、それ以後判断の難しい「エリア」という概念は取り外され、「プレーへの干渉」をその「意図」で判断するようになったということです。

はい。
おそらくこれが今一番浸透している考え方じゃないかと思います。

オフサイドポジションの選手にパスが出る。
その選手のそばにボールが来た時、ボールに触ろうという意図を見せ動く……

この瞬間に「オフサイドだ!」と考える人が非常に多いかと。
確かに、アメリカW杯以後、10年ほどはこの解釈が使われていたわけです。




しかし、その「意図」を判断する基準として、2005年に「ボールに触れる」という文言が登場します。
オフサイドの適用について(連絡)
オフサイドポジションの競技者が次のような行動で積極的にプレーに関わったと主審が判断したときオフサイドの反則とする。
①プレーに干渉した・・・実際にボールをプレーするかまたはボールに触れる。
・相手競技者への干渉が考えられないケースでは副審はプレーへの干渉のみを考えて競技者がボールをプレーするか、触れるまで旗を揚げることを待つ。
・これまでは、その競技者のプレーへの干渉が明らかであると副審が考えたときに旗は揚がっていた。
これまでだったら、「ボールに触れよう」という意図が明確な場合、副審の判断で旗が上がっていました。
しかし、この通達以後、「ボールに触れる」までは旗を待つことが明言されています。

この通達。
この周知が甘かったために、アップデートできないまま現在に至ってる人が多いんですよ。。。
かくいう私もその一人だったわけで。
どうか、今一度「ボールに触れる」という判断基準を上書き保存してください。

と言ったところで次回まとめ。
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中断入ったことだし、かねてよりの企画をぼちぼちと。
先日のエントリにて「昔の競技規則を教えてください」と書いていましたら、コメント欄とツイッターを通じて想像以上の情報を提供していただきました!
それを元に、何回かに分けてオフサイドの歴史を紐解いていきたいと思います。

それよりなにより、まずは純粋にこの歴史的資料にハアハアしてください。
今から80年前、昭和8年の競技規則です。
うひょー。
凄いでしょ凄いでしょ。
坂本竜馬の書簡と同等の興奮を覚えましたよ私。

ちなみに、昭和8年がどんな年かと言うと、1933年ですから日本が国際連盟を脱退した年ですね。
国連は抜けてもFIFAには所属したままであったと(加盟は1929年)。
改めてサッカーのグローバルさを感じますな。

日本のスポーツでは、プロと呼べるのは大相撲のみでしょうか。
読売ジャイアンツが誕生するのがこの翌年です。
サッカーも当然アマチュアしか存在しませんが、天皇杯の前身となる大会は既に開催されており、この年が第13回大会
いやー、天皇杯って凄い歴史のある大会だなあ。
ま、その辺の歴史について詳しく知りたい方は、ご自分で調べてください。



さて。
競技規則の話に戻って、目次を現代表記に書き起こすとこのようになります。
第一条
一、競技者
二、競技場
三、ゴール
四、ゴールエリア
五、ペナルティエリア
六、ボール
第二条
一、試合時間
二、エンドの選択
三、キックオフ
第三条
一、エンドの交代、休憩時間及び試合の再開
第四条
一、得点
二、勝敗
三、ボールがゴールの柱等より弾き返りたる場合
四、ゴールライン或いはタッチラインを越えたるボールはアウトオブプレイなる事。
第五条
一、スローイン
第六条
一、オフサイド
第七条
一、ゴールキック及びコーナーキック
第八条
一、ゴールキーパーは手を用いうる事
二、ゴールキーパーに対するチャージ
三、ゴールキーパーの交代
第九条
一、トリッピング、キッキング等
二、ハンドリング
三、ホールディング、プッシング
四、チャージング
五、背後よりのチャージング
第十条
一、フリーキック
第十一条
一、直接得点しうるフリーキック
第十二条
一、靴及びすね当て
第十三条
一、レフェリーの権限及び任務
第十四条
一、ラインズマンの権限及び任務
第十五条
一、レフェリーの判定あるまでボールはインプレーなる事
第十六条
一、一時的中止の後における試合の再開
第十七条
一、フリーキック
二、ペナルティキック
↓が現在の目次ですが、同じ17条構成にはなっているものの、全然項目が違いますね。
第 1 条 競技のフィールド
第 2 条 ボール
第 3 条 競技者の数
第 4 条 競技者の用具
第 5 条 主審
第 6 条 副審
第 7 条 試合時間
第 8 条 プレーの開始および再開
第 9 条 ボールインプレーおよびボールアウトオブプレー
第10条 得点の方法
第11条 オフサイド
第12条 ファウルと不正行為
第13条 フリーキック
第14条 ペナルティーキック
第15条 スローイン
第16条 ゴールキック
第17条 コーナーキック
そしてまた、オフサイドについてはこう書かれています。
第六条
一、オフサイド
競技者がボールを離したる瞬間、その競技者よりも相手方のゴールラインに近き位置に在る味方の競技者は、相手方の競技者が二人以上彼よりも相手方のゴールラインに近き位置にあらざればオフサイドの位置に在るものとし、ボールが他の競技者に触れる迄はボールに触れ、あるいは相手方の競技者を妨害し、または演技に関与することを得ざるものとす。
ゴールキック、コーナーキック、及びスローインの場合はオフサイドとなることなし。
相手方が最後に球に触れたるとき、ハーフウェイラインより味方に在りたるときまた同じ。
(備考)
オフサイドの位置に在ることは本条に対する違反にあらず。
オフサイドの位置に在りて相手方を妨害し、あるいは演技に関与することが違反となるなり。
オフサイドの位置に在る競技者が相手方の競技者あるいはボールに向かって行動を起こし、その結果競技になんらかの影響を与えたるときは罰すべき……
興味深い記述としては、
・「オフサイドの位置に在ることは本条に対する違反にあらず」と、この時点で明言されている。
・「演技に関与」と、「干渉」ではなく「関与」が使われている。
・「相手方の競技者あるいはボールに向かって行動を起こし、その結果競技になんらかの影響を与えたるときは罰すべき」と、解釈が広い。

こういった点でしょうか。
書き方はともかく、この時点で一般的にイメージされる「オフサイドの反則」が完成していると言えますね。
とくにここでは、「関与」という文言が使われておりまして、どこかのタイミングで「干渉」に替えられたことが分かります。
そしてまた、このイメージが根強いがために、現在でも勘違いが発生するのだと言えそうです。



と言うことで、この昭和8年版の競技規則を原点としまして、次回は一気に時代を飛ばします。
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さて。
GWで試合がつまっており、今節の試合も色々ネタが豊富なようですが。
今後の話に必要なので、ここで一つ重要な語句の説明を。

オフサイドの反則があった時、大半の方が「プレーに関与」したからと言いますが、実は「関与」という単語は競技規則にもガイドラインにも一切出てきません。
全て「プレーに干渉」あるいは「相手競技者に干渉」となっています。
私も以前は特に意識せず「関与」と言っていたのですが、この点に気付いて以後「干渉」と書くように徹底しています。(抜けてたらごめん)

気になる方はこちらで検索かけてお確かめください。
2013/2014サッカー競技規則
競技規則の解釈と審判員のためのガイドライン



念のため、広辞苑でこの2つの単語を比較してみますと、
関与:ある物事に関係すること。かかわること。

干渉:他人の物事に強いて立ち入り、自己の意志に従わせようとすること。
となっております。
「関与」が受動的に関わることも含めた広義の概念なのに対して、「干渉」は自分の意図が伴う能動的行為と定義づけられるでしょう。

競技規則が「干渉」とわざわざ使っているのは、プレーに対して選手が「意図的に」かかわることを強調したいんだろうと想像できますね。

で。
その「干渉」をさらに具体的に判断する要素が「ボールに触れる」という客観的事実。
「ボールの近くにいる」だけでは、まだ「干渉」していないわけですね。
(まあ、こうなってくると言葉遊びのようになってしまいますが)

ということで、今後は「プレーに干渉」という文言の使用と、それは「ボールに触れる」という言葉と同義であるという点を改めてご理解いただければと思います。



そんなことを踏まえて今日の試合からワンシーン。
C大阪@神戸
主審:松尾一
副審:平間亮、竹田和雄
四審:田中利幸

神戸左サイドからの攻撃で中央へクロス。
増川が落としたボールが染谷の手に当たってハンドを取られます。
しかしA1の平間さんがフラッグアップしており、「オフサイドじゃないのか」とセレッソは抗議。
松尾主審と平間さんが協議し、改めてPKとなりました。

増川が落とした瞬間はこちら。
koube
えーっと。。。
これ、平間さんがそもそもオフサイドラインを間違えてた可能性が…
中央のセレッソDFがラインだとすると、小川は確かにオフサイドポジションでしょうが、後ろから2番めの選手は遠いサイドの新井場?ですよね。
そこに引くと、小川セーフな感。。。

ともあれ。
小川はオフサイドポジションにいたという前提で話を続行します。
何度も何度も言うように、「オフサイドはボールに触って成立」が原則です。
この場面、オフサイドポジションの小川はまだボールに触っていません。
ですから、なんら「プレーに干渉」していないのです。
また、相手競技者に対する干渉もありません。
よって、この時点では旗を上げられる理由がありません。

しかし。
同時に小川以外に神戸側でプレーに干渉しそうな選手がいません。
(マルキーニョスがプレーできそうな気もするんですが、それも見なかったことに)
そんな状況で、小川がこのままボールに対してプレーしようとすると、GKとの接触が考えられます。
その可能性を考慮して、「早めに止めた方がいいんじゃないっすか」という意味で、平間さんはフラッグアップしたのではないかと推察いたします。

んが。
これはまだ可能性の段階。
実際にはそんな接触が起きることもなく、それ以前のタイミングで染谷のハンドが起きてしまいます。
ですから、先日のダヴィと同じく、神戸側は誰もオフサイドの反則要件を満たしていないということに。
よって、松尾さんが最終的にこのフラッグアップを採用しないという判断は、当然のことなのであります。
一方でハンドはオフサイド関係なく起きていますので、そちらをPKとするのも妥当なことなのです。

ということで。
このシーン、確認からPKまでやたらと時間がかかってしまい、新井場にも異議で警告が出てしまったようですが、特に難しいことが起きていたわけでもないんですよね。
平間さんのフラッグアップがちょっと早かったとは思いますが、それに惑わされた選手がいるわけでもないですし…
こういう事態をすんなり受け入れられるように、選手も観客も理解を深めていきたいなあというところです。
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