社会科は暗記教科ではありません。しかし、暗記することすべてを排除することはできないと思います。なぜなら、国名、都道府県名、地方区分などは、暗記してしまえば、その後の学習の「引き出し」になるからです。

要は、暗記することがゴールではなく、それを活用して課題を解決することがゴールになるようにすればいいのだと思います。

中学校は教えるべき内容が多く、教科書を開くと、ゴシック文字の用語がたくさん出てきます。しかも高校受験があるため、問題解決、問題解決と言われても…という気持ちは理解できます。

しかし、「教えれば覚える」というロジックは、本当に正しいのでしょうか。

覚えるというのは、主体的な営みです。自分で獲得するためには、何らかの課題がないといけない。そういう授業のしかけが必要ではないだろうかということです。

例えば、中学校に入ると、日本や中国などは「東アジア」、タイやベトナムなどは「東南アジア」…のように、アジアはいくつかに区分できることを学びます。そのことを踏まえ、次の一文を提示します。

スライド1

これは、一見、単純な穴埋め問題に見えるかもしれませんが、そうではありません。

まずは、分布図を基に予想させます。
「サウジアラビアかな」「北半球かな」…
スライド2

その上で、グラフを提示し、丁寧に読み取らせます。すると、サウジアラビア、イラン、イラク、クウェート、アラブ首長国連合で約50%、つまり「世界のおよそ半分」を占めることが分かります。その上で、以前暗記したアジア区分の知識を活用し、それらの国々を「西アジア」と言い換えることができれば、明確な答えにたどり着きます。

未来に生きる子どもたちは、私たちを超えていくものです。だからこそ、暗記をただの暗記で終わらせず、それを使って子どもが考える授業を入れていく必要があります。「暗記しておいてよかったなあ」と感じられるように。