B0055BCPAW127時間 (ダニー・ボイル、サイモン・ビューフォイ 監督) [DVD]
2010年度・米/英合作 94分 127HOURS
■監督:ダニー・ボイル
■出演:ジェームズ・フランコ、アンバー・タンブリン、ケイト・マーラ、リジー・キャプラン

凄い映画を観た。

峡谷に青年が一人。
岩に腕を挟まれ、身動きが取れなくなってしまった彼が、5日と7時間かけて脱出するまでの様子を描いている。たった一人の主人公が、長時間同じ場所にとどまっている状態を映画にするということは、相当難しかったのではないだろうか。

カメラは都会の喧騒から始まり、次第にユタ州の、まるで“焼酎”のCMにでも出てきそうな峡谷へと移動する。
アーロンが動けなくなると、家族や恋人との回想シーン、水の入ったボトルの底に取り付けられたカメラの映像、一人芝居、差し込む日の光や頭上を飛ぶ鳥、そして彼が見る幻覚などが現れ、最後まで観客を飽きさせることはなかった。
127時間

冒険が楽しくて仕方がないアーロンを、活き活きと演じたジェームズ・フランコの演技力もこの作品に大きな力を与えていた。
まるで自分の家の庭のように岩肌を走りまわり、登り、そして泉へ飛び込む。
彼の屈託のない笑顔が印象的だ。

あの状況から脱出するとなれば、方法はただひとつ。
結末は予測がつく。

慌ただしく家を出て行った際の伏線の張り方が、素晴らしかった。

事故は起こるべくしておきた。あの岩はずっと僕を待っていたんだ、とアーロンが思い至る場面が胸を打つ。

それにしても、切れ味の悪い安物のナイフのシーンは・・・。
地獄のような状況を伝えたかったのだろうけれど、あそこまで長時間具体的に描写する必要があったのかどうかは、疑問だ。直視することができなかった。
演技力が素晴らしかったジェームズの顔のアップだけに頼ってもよかったのでは、と感じた。

躍動感溢れる音楽もよかったし、起承転結がメリハリよく描かれており、非常に優れた作品。
エグい場面さえなければ満点だ。