2005年12月08日

「殴者」

ただ、武器を使わず己の肉体と相手の肉体とが殴り合い、ぶつかり合う事で成立する闘い「殴合」。
これを行う戦士を「殴者」と呼ぶ。

その「殴合」を取り仕切って行っているのが、街のヤクザ「ピストル愛次郎」。愛次郎に影法師のように付き添っている、主人公の暗雷。彼は愛次郎に目の前で実の父親を殺された過去を持つ。
ある時、イギリスの商人が持ち込んだ薬の販売権をめぐって、愛次郎達と蟷螂一家が争いとなる。
そこで、それにケリをつけるべく「殴合」の試合で解決しようとするが…。

これが2作目の長編映画の監督作となる須永秀明は、音楽のプロモーションビデオなどで活躍を続けて来たので、それらの作品を見ればピンと来る人も多いのではないだろうか。
この人の特徴に「男をかっこ良く撮る」という凄い「宝物」がある。
男を「美しく」とか、「エロティック」ではなく、「かっこよく」撮る。
実際に過去のPV等を見た事があるのだが、映された男達は、汗くさい感じや男くさい感じまで漂ってきそうな程にリアルな「オトコ」であり、理由もなく「強そう」なのだ。
女優を「きれいに撮る」才能に長けた監督は多々存在するが、ホモが感じる「男らしさ」ではない、一般の人が見ても「かっこいい」と感じられる「男のかっこよさ」を撮れる監督は、今の日本ではそれだけで価値があるのではないだろうか。

ストーリー的には「ななな、なんじゃこれ?」という部分も多いのだが、「男を強そうに、かっこよく撮る」という点からしたら、「殴者」の役に現役のPRIDEファイター達を投入したのは大正解。

あ、忘れていましたが、そんな男達の争いを一人静かに見つめる、水川あさみ演じる月音。
その存在が結構ワケわからずなのですが、重要な役どころには間違いないので注目しておきましょう。

強くかっこいい男達を大スクリーンで迫力たっぷりに観られたという事で星4つ。
監督独特の、画面の色合いにもご注目あれ。
  
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2005年09月25日

「チャーリーとチョコレート工場」

はい。初日に観ておいてここに書くのが遅れてしまいました。
原作はロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」です。子供の時に目一杯この本は読んでいたので、これをティム・バートンが映画化するんなら!と公開初日に観に行きました。
何しろSFも手がける作家のシュールとも言える世界をどうやって再現するのか?と公開前から話題になってましたが、心配は無用だったようです。
ストーリーは紹介しなくてもいいかな…?
とりあえず。
チャーリーというとても貧乏な家で暮らす少年がいました。近くにはウィリー・ワンカのチョコレート工場があって、天才的な見事な味のお菓子をいっぱい作っているのですが、貧乏なチャーリー少年は滅多にワンカ社のお菓子を食べられません。そしてその工場も固く扉を閉ざし、中でどうやってお菓子が作られているのかも誰にも分かりません。
そんなある日、「ワンカ社のチョコレートに5枚の金のチケットを入れます。このチケットが当たった子供は特別にチョコレート工場を見学できます」というお知らせが全世界に飛んで、次々と見つかって行く金のチケットと、一癖ある子供たち…いよいよ最後の1枚、チャーリーはあこがれの工場を見学出来るのか?


とまあ、こんな感じで始まるんですが、なかなか見事な出来です。本当に食べられるお菓子で出来たセットも秀逸だし、チョコレートの川も本当に食べられるので、寧ろ撮影中は衛生管理に神経を使ったとか。
そんな中で更にシュールな笑いを提供してくれるのがウンパ・ルンパ。彼らの謎はスクリーンで観てもらう事として、おすすめです!
ただ、難を言えば、ワンカさんの「過去」というシークエンスを入れる必要はなかったのでは、とも。
「謎の多い、不思議な天才パティシエ」なんてそれだけで子供たちが憧れる、ワンダフルじゃないか!と思うので、何も無理くりして人間的なエピソードを挿入しなくても良かったのではないかな?と思います。
本当はこの作品、原作にはもっとブッ飛んだ続編があるんですが、この映画の終わり方からしたら続編はない可能性の方が高い???そうだとしたら残念だなあ。  
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2005年08月12日

「みなさん、さようなら」

この作品は2003年のカンヌ映画祭やアカデミー賞外国語部門賞など、あちこちで話題になった作品です。
以前この試写室でも扱った「ビッグ・フィッシュ」も「死期の迫った父親」の話でしたが、こちらはどちらかと言うと大人向けのテイスト。
大学教授だった末期ガンの父親・レミの最期を「楽しいものにしてあげたい」という母親の言葉を受けた息子・セバスチャンがあらゆるものを駆使してその願いを叶えようと奔走するという話。
「贅沢な病院は自分の意思に反する」と狭い公立病院に入院し続ける偏屈な社会学者の父親と、ロンドンでお金に不自由しない身分になった息子があらゆる手を使って、その病院に特別な部屋を作らせたり、友達を呼び寄せれば変わり者だらけ、おまけに痛み止めという事でヤク中の女の子・ナタリーがヘロインをレミの為に買って来るようになって…。
もうホントめちゃくちゃ。なんだけどどこかに哀愁のようなものが全体に漂う作品。
友達に囲まれ、毒舌を吐きながらも残された日々を楽しく暮らすレミ。友人の別荘で、楽しく過ごし、やがて最期の時を迎える前に届いた、太平洋上からの娘からのビデオレター…。
「こんな死に方なんて普通は出来ないよ」と言う向きもありましょうが、レミの最期を皆が受け入れ、特に家族が温かく包み込む。それだけでこの男、レミは幸せだったに違いない。
ユーモア溢れる中にほろりとさせられ、そしてヤク中のナタリーにも訪れる、死ではない形の救い…。
「ちょっと最近すさんでるなー」という人にはオススメの作品です。


  
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2005年08月01日

「スターウォーズ・エピソード3 シスの復讐」

はい、公開初日に観てきて評価は随分後になってしまいましたが「北米産最新宇宙神話・第三話」のレビューです。
今回の注目点は「なぜ善良なアナキンが『ダース・ベイダー』となったのか?」というところですが、その前に全体2時間21分の中の4割以上を占める各種バトルシーンの面白いこと。冒頭からいきなりバーンのガガーンのシュイーンチュンチュンですよ!観客が興奮することこの上なし。
結局、スタッフの凝りまくって作り上げた世界観の中で、アナキンの心の動きを描く、という話なのですが、理由がもっと壮大なものだと思っていたので、理由を知って一瞬拍子抜け。
…いや、でも本当はこれでいいのかもしれない。
「選ばれし者」アナキンも、本当は愛する人を守りたい、その為なら…という、人間味のあるストーリーにしたかったのだと思うし。
この作品は、エピソード4(最初の「スターウォーズ」ね)につながる部分も多いし、エンディングの音楽も旧シリーズ3作の音楽をちりばめてあって、スターウォーズのファンにはたまらないつくりとなっています。あの音楽を聴いて思わずワクワクしてしまうのは私だけでしょうか?
話的にはシリーズ6作の中で一番重たいストーリーとなるのですが、28年の集大成という事で、スタッフみんなが凝りまくっているというのがビンビン伝わってくる作品でありました。

なんでも、アメリカの映画業界では「スターウォーズ」に参加出来るスタッフというのは、もはや一種の名誉なのだそうで。あの長い長いエンドロールに名前の挙がったキャスト・スタッフの皆さん、お疲れ様でした。

しかしヨーダ強いし。オビ=ワンも何気に強いし。ライトセーバーでのチャンバラシーンにも注目あれ。
ちなみにご存知の方も多いかもしれませんが、「ジェダイ」というのは何と!日本語の「時代劇」から取られており「ジダイ(劇)の武士」→「ジェダイの騎士」となるのだそうですよ。


  
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2005年06月08日

「流れる」

「流れる」とは幸田文原作・成瀬巳喜男監督で1956年に映画化されている。
何しろ成瀬監督、カットとカットのつなぎ目の要らないフィルムを除けばほぼ100%ムダなくフィルムを使い切ってしまうという伝説の持ち主だ。
実は原作を読んだのが相当昔だったので私は内容を忘れてしまっていたが、山田五十鈴が生き方が少し不器用な芸者のおかみを演じていて、高峰秀子や岡田茉莉子、杉村春子などがいる置屋「つたの屋」にお目見得女中として田中絹代演じる梨花がやって来て…という話。
話に関しては幸田文自身の実体験が確か元になっているとかで、非常に映画の中でも描写がうまい。画面全体でさり気なく語りかけるようだ。
そして何より関心したのが、「大川端の芸者置屋」が舞台となっているだけあって、洋装だろうが和装だろうが、女たちはみんな粋なのだ。着物は明らかにどう見ても粋な柄をそれっぽく着こなしており、無理がない。洋服のワンピースなども、決して高級品(今で言うなら明らかなブランド物とか、という意味での)ではないだろうに、ぱりっとしている。だらしなくないのだ。
「これぞ下町女の粋なのだ」ということだろうか。
ストーリーそのものは本当に、落ちぶれていく芸者置屋をさらさらと描いた感じなのだけれど、映像的にはこれは文化財もんだ。
監督の演出と手腕が冴え、豪華女優陣の演技が光る、ゴージャスな映画なので時間があれば是非見てほしい。
  
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