2016年07月26日

脊損記録その6(膀胱障害編)

これまたタイトルからわかるように、やや尾籠な話である。

脊損の症状として膀胱障害がある。<参考文献>
平たく言うと小便を溜めたり、排出する機能が阻害されるのだが、具体的には、まったく尿が出せなくなったり(尿閉)、出したくないのに出ちゃったりという問題が発生し、社会生活を送るうえで問題となる。

以下webから受け売りの一般的情報と、自分の経験を並べながら書いてみようと思う。

一般的に脊損患者は急性期には尿閉状態となるため、カテーテルを尿道にぶち込まれてしまう。私もご多分に漏れずそうなった。そして、約二か月半にわたり、そのままカテーテル留置継続となった。

自分は受傷後一ヶ月経過する前に、医師の指示で一度抜いてみた。しかし残念ながらその時は自力で排尿することができずに、再留置となってしまった。
その後、リハビリ病院に転院したわけだが、そこではカテーテルを外す前に、膀胱機能チェックを行う。そのタイミングは何を基準にしてるのか不明だが、尿閉リスクを考えるとカテーテルが無くても管理上の負荷が発生しない時期、つまり患者が自己導尿実施可能な手指機能を獲得した段階でチェックが行われているような感じがした。(被害妄想かもしんないけど)

ということで、3月中旬に膀胱検査を実施した。この検査では膀胱に造影剤をぶち込んで膀胱周りをX線撮影し、終了後は整理食塩水を注射器で尿道から出し入れして洗浄するのだ。その結果、尿路感染リスクが高いらしい。私も三日ほど38度オーバーの発熱に悩まされ、抗生剤をぶち込まれてしまった。※ここでは副作用の説明が無かった。

検査後の所見として膨張容量が110ccほどしかなく、自力排尿出来るものの、残尿が多すぎる。と、診断された旨説明があり、その結果を踏まえ、膀胱でかくする薬と、尿道緩める薬の処方が提案された。しかし、測定中に聞こえて来た医師間のやり取りなどから推測して若干信頼性に疑問を感じたのと、薬の副作用(ここは説明あり)がキモチ悪いという理由から、薬無しを希望し、医師と合意した。
それに伴い、導尿グッズを一式購入。また、それまでの実績で夜間尿量が異常に多かったので、夜だけカテーテル留置(いわゆるナイトバルーンというやつ)して十分なる睡眠時間を確保しましょう。というやり方を選んだ。

実際運用を開始すると、一番初めは失禁した。前向きに考えれば自力で排尿できる事が確認されたわけで、このような現状把握作業抜きで安易に投薬に走るのは正しくないなぁと感じるとともに、自分の判断は正しかった事を確信した。一方、一回の尿量は最大でも200cc程度だった。こちらは測定結果は残念ながら正しかった。尿意や排尿に関する感覚は徐々に正常化に近づいたように感じるし、尿意無き排尿は無くなった事は非常にありがたい事である。

始めのうちは小便をする際に自力で尿器(プラ製尿瓶である)に出して残尿は導尿という手順だったが、超音波測定により残尿が少ない場合も多いということが確認されてからは導尿は止めて、昼は自尿、夜はナイトバルーン留置というスタイルで排尿管理されていた。
正直言って、導尿に対する拒否感が酷かった。尿道に管を突っ込んで、膀胱との直通経路を作り出す作業が楽しいはずが無いではないか。なので導尿中止はありがたかった。しかも普通の小便器で立って小便が出来るのは非常に嬉しかった。
※webでイロイロ調べてみると男性より女性のほうが、導尿難しいらしい。男は尿道口簡単にわかるからね…

排尿に関する問題点は、尿意が唐突で、おまけに尿量100cc未満で来てしまう。我慢が利かない。夜間尿量が多い。という点があげられる。入院中、小便を極力我慢してため込む訓練を自己責任で勝手にやってたが、ほとんど効果は無かった。
医者に、前記問題点の改善可能性について質問してみると「ひとそれぞれ」との御回答・・・

退院にあたり、管につながれた生活から脱却すべく自己判断でナイトバルーンは捨てた。
看護師さんから、夜便所に行ったタイミングで導尿することで、残尿の無い状態を確実に一日一回作り出すとともに、睡眠品質向上を目指してはどうかと提案いただき、非常に理解できる有難い提案だったので採用させていただいた。
その結果、睡眠継続時間がはじめは1.5Hくらいだったのが、最大5時間小便無しで眠れた日もある。という感じで、実用上ほぼ問題の無いレベルに到達できたと考えている。しかし、夜尿リスクあるので防具(尿とりパッドというやつ)はつけてるし、実際何度か役に立ってしまった実績もある。

現在は尿量を正確に計測していないが、退院後、一回の尿量も多くなったような気がする。さらに、夜間尿量は顕著にへっている。病院ではない普通の場所で生活することで自律神経系に良い刺激が入っているものと信じる。当面この方針で運用継続して、神経系の総合的な回復を期待したいと思っている。

入院中、脊髄損傷歴40年以上という大先輩に「尿カテーテルは、さっさととったほうが良いぞ、オレは自分で言ってはずしてもらったんだ」と言われ、そのころまったく手が利かなかった自分は「そうはいってもどうしようもないじゃん」と思っていたが、そのセンパイの助言通り膀胱機能訓練はASAPで実施すべきだったと後悔している。これは、私が勝手に信じてるわけではなく、そのように主張している現場関係者もいるのである。
長期間休んだ膀胱がそう簡単によみがえるわけがないではないか。

また、カテーテルが無いと昼間の行動が身軽になりリハビリにも都合よいのだ。カテーテルと尿バッグをつけた状態で歩き回ると、尿路系からの流血が日常茶飯事だったが、それが無くなるのもうれしい。尿に血が混じる現象は、一般人はビビるが、看護師さんはまったく動じないところをみると、誰でもそうなるのがアタリマエと言うことだろう。

ということで、尿カテーテルはASAPで外すのがベスト!と思います。

入院中は病院側の管理のしやすさが優先されている。さらに、医師の知識すら完璧と思ってはいけないと思う。そのような前提条件のもと、治療方針に正解は無いものとおもって自分の責任と判断を重視して治療・リハビリに取り組むことが肝要なのではなかろうかと思う。

まだ、問題は残るわが身ではあるが、自分の自然治癒力を信じてリハビリに取り組み、今後の人生を全うするのみである。

続く・・・

shako_a at 18:30│Comments(0)TrackBack(0)脊髄損傷 

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