2010年11月05日

紀州犬のタロウ

● タロウは長浜の友人K君が飼っていた紀州犬である。普段は吠えることなど全くないタロウだったが、散歩の途中、踏切で列車が走ってくるのを見ると猛然と吠え、向かっていこうとした。紀州犬はクマやイノシシにも1頭で立ち向かうほどの勇猛な猟犬と言われる。タロウもそんな血を引いていたのだろう。全くのペット&番犬として飼われていたタロウだったが、列車を見るとその血が騒いだんだろうとK君は回想する。
 ある日、学校から帰るとタロウの姿がなく、タロウのロープが引きちぎられていた。恐らくタロウはロープを噛みちぎり、脱走したと思われた。K君は、はっとして、散歩でしばしば通る北陸本線の踏切へ向かった。踏切には、無残な姿となったタロウがあった。「たぶん、いつか列車と勝負したるぞ、とタロウは考えてたんやろうなあ…」とK君。

● K君から紀州犬タロウの話を聞いてしばらくしてから、僕の兄が1頭の白い犬を保護した。純血かどうかは分からないが、恐らく紀州犬で、自動車事故で足の骨を折っていた。兄は病院へ運び、退院後、その犬を飼い始めた。当時、兄の子は3才ぐらいだったか。その子の命令にも服従するかしこい犬だった。
 当初は室外で飼っていたが、その犬もタロウと同様、ロープを食いちぎって脱走した。近所で2度目の自動車事故に遭っていた。たぶん、タロウが列車を勝負相手と考えたように、兄の犬は自動車を勝負相手と考えていたようだ。退院後、兄はその紀州犬を室内で飼うようになった。


#twitterに投稿したものを再編集しました。

shanghai_ii
posted at 13:00
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