2013年08月18日

同僚に「日本人はなぜこんなに英語ができないのか」と聞かれた

この前、同じ会社の海外オフィスで働いている同僚(女性)が1週間ほど東京オフィスに来ていた。

呆れられる英語力

仕事上の絡みもあったので、僕が時折お世話をしてあげていたのだが、その際に言われたのがタイトルの言葉である。仕事で関係のある人は、英語が堪能な人も少なくないのであるが、問題は街中だという。その人曰く、「東京に1週間いて、英語が堪能だったのは某高級ブティックにいた店員一人だけ」とのことである。

ちなみに、その同僚はドイツ人である。

そう言われると、確かにドイツ人は英語がメチャクチャできる。僕がMBA前に旅行に行った時も、街行く人々の英語は完璧だった記憶がある。道端でホットドッグを売っている人でさえ、僕より流暢な英語を操っているのを目にしたときは、海外生活ウン年になる自身の英語力を顧みて、思わず人生に絶望しかけたほどである。

日本人が英語で苦戦する理由

何はともあれ、外国人、特に欧州人にとっては日本人がなぜそこまで英語ができないのか、というのが不思議で仕方ないようである。

英語でそれなりに苦労してきた自分としては、とりあえず一言言っておかないと済まない気がしたので、以下のことを言っておいた。

・「多くの日本人にとって、英語は日常生活で必要ない」
外資系企業で働いている今でこそ、働いている時間の大半は英語を使っているものの、前職では勤務時間の99%は日本語で仕事をしていた。所属していた部署は、会社でも比較的英語が必要とされる部署であったにも関わらずである。

日本の雇用者数の大半を占める第三次産業においては、ビジネスの主戦場は依然は日本国内なのであって、業務上英語を必要とされるシーンはまだまだ限定的なのである。なので、英語の必要性を痛感させられる機会は比較的少ない。また給与面を比較しても、中国のような新興国と違い、英語が必要とされる外資系企業に勤めたとしても、国内系企業と比較してそこまで劇的な給与差が生じないと考えられる。「英語使える→即年収アップ」というような単純な関係でないために、金銭的なインセンティブが働きにくい、という点を大きいと考えている。

・「日本人が英語を学ぶのは、ヨーロッパ人が英語を学ぶのに比べて、だいぶ難しい」
日本語と英語を比較した場合、文法的な構造はだいぶ違うので、日本人が英語を学ぶハードルはかなり高い。実際、僕のもとにはたまにスペイン語のメールが入ってくることがあるのだが、その場合はGoogle翻訳を使えばほぼ100%意味を理解することができる。しかし一方で、日本語をGoogle翻訳に入れたところで、ほぼ確実に意味不明な文章が出てくるのである。この違いは、やはり文法構造の違いが大きい。このことを考えると、ヨーロッパ人にとっては英語を習得することのハードルはだいぶ低いと推測される。

逆に、日本人にとっては、中国語や韓国語を習得することの方がよっぽどハードルが低いように思われる。僕のCEIBSでの経験を振り返ってみても、日本人や韓国人は凄いスピードで中国語を習得していくのに対して、欧米人のそれはもどかしいほど遅い。留学終了時になっても、ろくに漢字が書けない人間はゴロゴロいるのである。


以上のようなことを丁寧に説明してあげたのであるが、同僚「ふーん。」という感じで興味なさそうだった。。

まあ、日本がドイツ並の英語先進国になることは一生なさそうだ、と思ったのも確かである。仮に財政破綻→IMF占領、というような終末的イベントが起こったりしたら、韓国並くらいにはなるかもしれないけど。



shanghaifukei at 23:59|PermalinkComments(4)TrackBack(0)英語 
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2013年08月11日

ジム選びも意外と簡単ではない

MBA時代はあまりできていなかったのだが、仕事を始めて多少は落ち着きだした頃なので、ジム通いを再開することにした。運動不足が遠因となって早死したくない、というのがモチベーションである。

チェックポイント

ジム入会にあたっては、約2週間の検討期間を置いた。貴重な仕事後の時間を使うにあたっては、できる限り効果的な判断をしたいと考えた結果、以下のチェックポイントを設けて検討することにした。

・会社、もしくは自宅最寄り駅からの近さ
過去の経験に照らして考えると、アクセスの悪いジムに入会しても長続きしない。これは経験に基づく絶対的な真実である。ということで、移動にかかる時間をストップウォッチで計り、総移動時間を割り出すことにした。

・通う時間帯の混雑度
僕は会社帰りに通うことがメインシナリオなので、その時間帯の混雑度はチェックポイントである。通常ランニングマシンが一番混んでいるので、台数が十分あるかをちゃんと確かめる必要がある。また、意外と盲点なのがシャワーの数である。運動後、全裸状態でシャワー待ちさせられるのは、思いのほかストレスなので、しっかりとブース数を確認することが重要となる。

・使用可能時間帯と価格
使える時間帯と料金プランを吟味する必要がある。僕のメイン空き時間帯である平日夜と土日をカバーする料金プランだと、フルタイム会員かナイト会員かの二択になる。ナイト会員だと会費が安い反面、土日に使える時間帯が大幅に制限がされるので、このトレードオフをどう判断するかがポイントである。
あと見落としがちなのが、オプション料である。これは大きく分けて個人ロッカー、タオル、ウェアに分けられる。以前僕はタオル・ウェアのフルレンタルだったので個人ロッカーは使っていなかった。しかしながら、以前紹介したこちらの本にも書いてあるように、貸与されるウェアはデザイン的に微妙であり、運動を続けるモチベーションに悪影響を与える可能性がある。従って今回からはウェア持参、個人ロッカーを契約してシューズは保管することにした。タオルレンタルするかは料金次第。

・施設の充実度
ぶっちゃけて言うと、マシン自体にはどこ行っても差はないと考えている。マシンが最新だろうが旧型だろうが、運動効果にはあまり差がない。気になるのはそれ以外である。僕が個人的に欲しいと思っているが、サウナ・湯船、無料ホットヨガスタジオ、ゴルフ練習場である。



上記のチェックポイントを念頭に会社および自宅近くにあるジム計5件を見学したのであるが、どこも一長一短が・・・。正直言って、決め手にかける

やはり、交通の便が良くて・混雑してなくて・安くて・施設が充実している、というジムは存在しないようである。同じ商圏で互いに見込み客を取り合っているんだから、当然といえば当然か。

ここで僕のアタマに浮かんできたのは、"No Free Lunch"という資本主義経済の絶対的真理であった。競争的市場というものを垣間見た瞬間である。

最終的な決断

なかなか腹立たしいものの、理想というものは得てして存在し得ないものである。現実を突きつけられた結果、最終的には

  • 近さ・・・ちょっと遠い
  • 混雑度・・・結構混んでる
  • 安さ・・・最安
  • 施設の充実度・・・とても充実

という評価のジムに入会することにした。
せっかく毎月固定費を払う決心をしたので、週2回の目標をクリアするよう自分を律していきたいものである。



shanghaifukei at 23:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)東京生活 
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2013年08月04日

なぜ日本の経済格差は小さく、中国のは大きいのか

最近読んだ中国関連の本で面白かったのは、川島博之著の『データで読み解く中国経済』『農民国家 中国の限界』である。



著者の専門はシステム分析とのことであり、要するに物事を全体的(システム的)を捉えることを専門としているらしい。実際、他の著作である農業やエネルギー問題に関するものも読んでみたのだが、いずれもものすごく説得力があった。今後ともフォローしていきたい研究者である。

中国と日本を発展経路をわけた決定的要因

戦後、日本社会は比較的平等な社会を築くことができた一方、中国においては凄まじいまでの格差社会が出現してしまった。この違いは一体どこから生まれてきたのか。

その問いに対する上記二冊の答えはシンプルである。
それは、日本における農地解放である。

日本では戦後、GHQの旗振りにより農地解放がなされた。それまでは、地主から土地を借りて農作を行う小作人であった人々が、一夜にして平均約1ヘクタールの自己所有地を持つ地主になったのである。この、戦後のドサクサに紛れて実施された農地解放こそが、日本を高度に平等な社会へと導いたのだ、というのが著者のメッセージである。

人口移動に伴って必然的に生まれる地価上昇

農業技術の工場にともなって、土地面積あたりの農産物収穫量は上がると同時に、必要となる労働力も少なくなる。かくして農業の人材需要が少なくなったところで、地方から都市への人口移動が起こる。これが一次産業から二次産業へのシフトであり、歴史の必然である。

都市への人口移動に伴い、最初に発生するのが住宅需要の上昇である。まず、人は住む場所を確保しなくてはならない。この結果として、今まで都市の周辺に存在していた農地が、住宅用地に転換されることになる。住宅用地(もしくは工業用地)から発生するキャッシュフロー(賃料)は、農地から発生するそれと比べると桁違いである。こうして、今まで無価値だった土地が黄金に化けるのである。

日本の場合、幸運だったのが転用された土地の所有者が個人、特に農民だったことである。通常であれば、経済発展に応じて農民は相対的に貧しくなるが(通常、農業部門の生産性上昇ペースは工業部門と比較して遅いため)、日本では必ずしもそうならなかった理由がここにある。

要するに、土地価格上昇の恩恵をフルに享受したのが農家の方々だったのだ。

中国における地価上昇に伴う富の流入先

一方で、中国の場合においては事情はまったく異なる。中国はある意味、正真正銘の資本主義国家に見えるものの、土地制度に関してだけ言えば、まぎれもない共産主義国家である。中国の土地制度、それはすなわち公有制である。

中国の土地は政府が所有しており、個人はその使用権を売買している形となっている。個人は所有していない分、その土地はいとも簡単に政府に取り上げられてしまう。こうしたシステムの中においては、地価上昇の恩恵は、ほぼ全て政府部門が享受することになるのである。(政府部門の中の具体的に誰が最も恩恵を受けているかは謎に包まれているが、著者は地方政府参加の開発公団に富が集積していると分析している。)

このような構造であると、たとえ都市部の地価が上昇しても、その恩恵はまったく農業部門に還元されることがない。まさに、経済成長から取り残される層が大量に発生するのである。地価上昇の恩恵を享受した政府部門が、なりふり構わず設備投資をしまくって経済成長の底上げしている、というのが中国経済の今日の姿だと思うが、底辺層に対する波及効果が限定的、というのはちょっと田舎に行けばわかることである。



日本経済と中国経済の差、という点に関してここまで明快に解説した書籍には出会ったことがなかったので、本書を手にする機会があったことは非常によかった。今後の著者の新作を楽しみにしたいところである。


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2013年07月28日

シェールガス革命は太平洋を超えていく

7月27日(土)の日経朝刊に載っていた英BP、米中で石化工場 北米シェールガス活用という記事は興味深い内容だった。内容を要約すると以下のとおり。

  • 英石油メジャーBPはシェールガスを活用した石油化学プラントを米中で建設
  • 北米ではシェールガスからメタノールを生産
  • 中国では政府系機関と共同で樹脂に近い材料を作り、国内の自動車や家電向けに供給
  • 総投資額は5000億円規模

これはまさに米国のシェールガス革命が世界に波及しつつあることを示す一つの事例である。

国際天然ガス市場のおさらい

すでに紹介しているが、米国における天然ガスの価格は他地域対比で圧倒的に安い。

Global-Natural-Gas-Prices-EIA

この要因の一つとしては、天然ガスは依然としてコモディティ化されておらず、地域によって市場が分断されているからである。

タンカーで運べる原油とは違い、天然ガスを運ぶには①パイプラインを敷設する、もしくは②LNG化して輸送するしかない。アメリカで産出されたシェールガスを他地域に運ぶには②の方法しかないが、これがとてつもなくコストが高いのである。送り出し側・受け入れ側双方にLNGプラントが必要だし(数千億円規模)、LNG船を利用しての海上輸送コストも格段に高い。

しかも米国の場合、天然ガスは戦略物資と捉えているので、LNGの国外輸出はFTA締結国以外とは原則認められていない(日本に対しては最近ようやく許可が降りたが)。だからこそ、国際価格の収斂が起こりにくいのである。これが米国の天然ガス価格が低位で推移している理由の一つである。

解説

そして、この市場の歪みを利用したのがBPの今回の動きである。

BPは米国で低価格の天然ガスを調達し、メタノールを生産する。その生産したメタノールを、製造業が集積する中国・大連に海上輸送し、オレフィンを生産する(オレフィンはプラスティックをはじめとした数々の工業製品を作るための中間材料である)。

わざわざ米国でメタノールを生産する理由は、前述の通り天然ガスの安さからだけではない。メタノールであれば、戦略物資である天然ガスと違って輸出に制限がないことに加え、常温で液体であるためLNGタンカーのような特別仕様の船で輸送する必要がない。従って、海上輸送コストが大幅に安いのである。

世界の工場である中国においては、従来より中間材料・オレフィンの需要は高まっていた。オレフィンは天然ガス(→メタノール)からも作ることができるが、石油(→ナフサ)や石炭(→メタノール)からも作ることができる。しかしながら、石油価格は高止まりしている状況が続いている。国内生産できる石炭にしても、石炭の産出地は内モンゴルなどの内陸部であるのに対して、需要地は工業地帯が集積する沿岸部にある。中国における内陸輸送のインフラは非常に脆弱であり、輸送コストは非常に高いというのが現状である。

こうした状況の中、出てきたのが今回の太平洋をまたいだメタノール供給網構築プロジェクトなのである。



僕は石化業界に関してはまったくの門外漢なので、公開情報を見ているだけではこのプロジェクトの採算性などを判断することはできない。ただマクロ的に見ると、ビジネスチャンスの匂いがする、というのは確かである。

北米発のシェールガス革命は、静かに、だが確かに世界の産業構造を変化させている。そう感じることのできるニュースであった。



shanghaifukei at 23:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)エネルギー業界 
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2013年07月21日

ヒロシマ半日滞在記

先日も述べた通り、日本に帰国して以降は「旅行に行こう」という気持ちが大幅に後退した状態にある。30代の身体にムチを打って、週末に遠出するモチベーションを湧かせるのは容易ではない。

偶然チャンス生まれる

しかしながら、偶然にもこの度広島に行く用事ができた。
自由に行動できる時間は半日ほどしかなかったので、今までちゃんと見て回ったことがないあの施設に行ってみた。

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僕が足を運んだのは広島平和記念公園である。ここの原爆ドーム、そして平和記念資料館は、以前来た時は通り過ぎるだけだったので、今回はちゃんと時間を取って見て回ることにしたのである。数多くの日本人観光客に加えて、欧米を中心とした外国からの旅行客も目立つ、特別な場所である。

人類史上初めての原爆投下地点をとなったヒロシマ。太平洋戦争に至るまでの歴史の流れとか、原爆投下に至るまでのアメリカの政治家・軍人の動向などを再度確認することができた。また、施設の展示物は原爆の恐ろしいまでの破壊力を視覚的に訴えてくる。数多く展示されている被爆者たちの証言や、彼らの記憶を描きとめた絵画も、胸に深い印象を刻んでくる。

雑感

ここに来て思ったことは、原爆投下という事件は、大多数の日本人の心の奥深くに強烈な記憶として刻まれているということである。

この痛ましい記憶があったからこそ、戦後の日本が、平和な社会を目指す方向性が力強く形作られてきたのだと思う。そしてその一方で、この記憶が強烈であるからこそ、日本人が原子力発電に対して複雑な感情を持つことも理解できるのだ。

原発と原爆では、爆発時の破壊力という点では圧倒的に違うという事実にもかかわらず、両者を混合して考えて原発廃絶を唱える人も多い(参考文献)。こういった誤解・思い込みの背景にあるのは、やはり世界で唯一の原爆被害、という記憶にあるのだろうと考えている。

約半日この施設で過ごしたわけであるが、結論としてはここに来ることができて非常によかった。日本人として、忘れてはならない記憶を呼び戻してくれる場所だと思う。ぜひ、一人でも多くの人に足を運んでもらいたいと思う。(日本人に限らず外国人も。特にアメリカ人。)

せっかくこういう気分になったので、今度時間を見つけて「はだしのゲン」でも読むかな。



shanghaifukei at 23:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)旅行記 
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