こんにちは!シェア東京事務所インターンの乗上です。
肌寒い毎日が続いていますが、皆さんいかがお過ごしですか。

シェアではインターン制度を導入していて、毎年インターンによる企画が開催されています。
今年は、12月21日に「もっと知りたい国際協力!NGO/青年海外協力隊の現場から」と題し、
シェアの若手スタッフで青年海外協力隊経験者によるキャリアトークイベントを開催しました!

私たちインターンも、シェアと関わるまでそれぞれ色々な場面で国際協力との関わり方に関して経験を聞き、そして自らのキャリアパスを形成していきました。そのような場面を私たちも提供したい!という思いが出発点となりました。

イベントでは、これから国際協力に関わりたいと考えている多くの方々からの参加がありました。
冒頭では、NGO・シェアの紹介をインターンの吉岡から行いました。なかなか外から見えにくいNGOの活動を、シェアの活動紹介を通じて参加者に知っていただきました。

また、青年海外協力協会の粉川さんにお越しいただき、青年海外協力隊並びにJICAのボランティア事業をご紹介いただきました。

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青年海外協力隊協会 粉川さんから事業紹介の様子


パネルトーク
登壇者のシェアスタッフから過去の国際協力の経験や、協力隊とNGO二つの活動の比較した話をお伝えしました。4名とも様々なバックグラウンドを持ち、シェアで異なるポジションについているため、また異なった視点から話される多様性の溢れる内容でした。

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パネルトークの様子


メイン企画のアイランドトーク
登壇者を「島」に見たて、それぞれの島で参加者がキャリアに関して気になっていたこと、聞きたかったことを中心に個別トークが展開されました。

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インターン山影のアイランドトークの様子

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シェアスタッフ末永のアイランドトークの様子

シェアのベテランスタッフと青年海外協力協会の粉川さんによる個別相談ブースも設けられ、
より濃く、そして密なキャリアに関する交流が行われました。

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個別相談ブースの様子

シェアとして、そしてインターンとして初めての試みでしたが、アンケートからも多くの参加者にとって非常に学びの多い場になったようでした。改めてご参加くださった皆さん、誠にありがとうございました。
シェアは今後もイベントを開催していきます。

今後ともどうぞよろしくお願いします!

シェア インターン
乗上 美沙



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保健関係者会議(District Health Technical Advisory Team: DHTAT)

スバイアントー郡の郡保健関係者会議(District Health Technical Advisory Team: DHTAT)
に参加しました。DHTAT会議は、スバイアントー郡の保健行政関係者が集まる会議です。

参加者の中にはシェアのカウンターパートである郡保健行政局長や母子保健担当官、
スバイアントー郡病院の他に、地域の薬局や保健系のNGO(シェアも含む)も参加します。

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会議の様子


Quality Assurance

この日の会議では、保健センターの「Quality Assurance」について話し合われていました。

これは保健センターがきちんと施設を運営しているかをチェックしてスコアをつけ、
よく運営されているところを表彰をするというプロジェクトです。
(上位の保健センターには賞金もでます!)

年に2回、カンボジアの保健省と郡保健局によって実施されています。

チェック項目の中には、保健センターの清潔さ、スタッフの勤務態度、会議の開催頻度等の他にも、
ユニフォームはあるか、保健センターにフェンスはついているか!など、たくさんの項目があります。

カンボジアの保健状況をさらに良くするために、カンボジアも独自の取り組みをしているようです。


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郡保健局の人たちと話す、シェアスタッフのフン(写真右から2番目、メガネをかけている男性)


私たちシェアも、カンボジアの子どもたちが健康に暮らせるよう、
彼らと一緒に頑張って活動をしていきます!


海外事業アシスタント
末永 明日香


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こんにちは。在日外国人支援事業部の横川です。皆さんのところにはサンタさんがきましたか。我が家には、今年も本物らしきサンタさんが来てくれました(サンタにご興味のある方は、チャリティーサンタで検索してみて下さい)。


東京都の外国人結核患者に対する医療通訳とは
日本に住んでいる外国人の方が結核にかかると、保健師から結核の治療を継続・完了するために、日本の保健システムに関してや服薬指導など様々な説明が入ります。その際に、言葉の問題から通訳が必要だと保健師が判断した場合に、保健所の依頼を受けて東京都から通訳(支援員)の派遣依頼がシェアにきます。現在、通訳は16言語、46名の登録があり、2015年の派遣件数は241件で、今年(2016年)は230件前後になりそうです。今年、派遣が多かった言語は、1番目が中国語、2番目はベトナム語、3番目はネパール語となっています。


医療通訳としてのルール
通訳は、医療通訳者としてのルールに従って、派遣された現場で最大限の力を発揮して通訳に従事しています。そのルールのいくつかを下記にご紹介します。
派遣現場で翻訳のお願いをされても請け負わない(翻訳者として派遣されていないので)
通常の通訳時間は原則2時間以内とする。
自分の思いや価値観など、私情を通訳時に挟まない。
上記は、数多くあるルールの中のわずか3つです。通訳者は現場に出た時に、このようなルールに従って通訳をするのですが、「ルールに沿って仕事を遂行しなくてはならない」と言う思いと、「目の前で困っている在日外国人の患者さんに対して、ルールを超えてもっと助けてあげたい」という気持ちとの狭間で、時々、揺れ動く時があります。しかし、通訳は訓練を受けた言葉のプロとして派遣されており、通訳者としてのルールに従い立場を超えた支援をしてはいけないのです。通訳が自分の立場を超えて発した言葉や行動が、どのような影響を与えるのか、思慮深く考えなくてはならない立場にあるからです。


揺れ動く気持ち
通訳は、在日外国人の患者さんが言葉の面で困っていて派遣されるので、言葉を支援することが仕事です。ところが、現場に行くと、患者さんは言葉だけではなく、生活上の面や行政の手続きの問題で困っていたり、孤独感や不安感に苛まれているのを目の前で見聞きすることがあります。
「書類の翻訳を少し手伝ってあげれば、早く行政の手続きができて、患者さんが楽になるかもしれない」
「時間を少し延長して、もう少し気持ちに寄り添って通訳をしてあげれば、患者さんが元気になるかもしれない」
「自分が知っている情報を少し伝えてあげれば、患者さんの生活が少し楽になるかもしれない」
上記のような気持ちが、通訳をしている最中に浮かんでは消え、浮かんでは消える時があるようです。


「確認」と「報告」
通訳という立場を少しだけ超えてしまいたい時があるのは、目の前に困っている人がいるのですから致し方ないことです。その時は、必ずと言ってよいほど、通訳の方から私たちに報告をしてくれます。
「今日、こんなことがありました。余計なことかもしれませんが、少し手伝いました。」
「通訳の時間を延長してすみません。次回からは気を付けます。」
「情報を少し教えてあげた方が良いと思い、保健師さんに相談して伝えました。良かったですか。」
自分たちが良いと思ってした行動が患者さんにとって迷惑をかけていないのか、確認と共に報告してくれます。通訳が、目の前で困っている人を助けたいという気持ちが伝わってくる報告書を読むと私も心が動かされます。ですので、私達(調整員)はその気持ちを真摯に受け取り、通訳の「切なる思い」をどこにどういった形でつなげていくかを真剣に考えなくてはいけないと思っています。

2016-12-26ブログ用都TB

通訳(支援員)へのフォローアップ研修で議論をしている様子


「切なる思い」を形にする努力
通訳の「切なる思い」をどこにつなげたら、患者さんにとっても通訳にとっても良い状況を作れるのか、私自身の中で自問自答が続きます。保健所の保健師につなげるのか、東京都の結核担当につなげるのか、通訳の研修で話し合いの場を持つのか。その時にシェアに伝えてくれた「切なる思い」を、関係している保健医療関係者につなぎ、対話を続けることで、在日外国人の患者さんが、少しでも良い環境で保健医療サービスを受けることができると考えています。これからも通訳(支援員)と共に頑張っていきたいと思います。






在日外国人支援事業アシスタント
横川 峰子



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日本の皆さん、お元気ですか?シェア東ティモールのロジーニャです。東ティモールの学校保健プロジェクトの最新情報をお伝えします。2016年12月14日と15日に、保健省と教育省がディリ県学校保健委員会と共に、「学校保健国レベルワークショップ」を実施しました。

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12県の県教育局、保健局関係者が集合

国レベルワークショップの目的
私たちのプロジェクトではディリ県の学校保健のシステムを確立することを目指し、この一年間は教員研修や学校長ワークショップ、学校モニタリングなどの仕組みづくりに、実践を通して取り組んできました。東ティモールではまだ学校保健のシステムが整っていないため、将来的には全国でも導入可能な分かりやすいプログラムをつくろうと、試行錯誤しています。

このワークショップには各県の教育局と保健局から学校保健担当官参加し、ディリ県の学校保健委員会の経験を伝えると同時に、それぞれの県での取り組みや困難を共有しました。同時に、全国の教育局長と保健局長も招待し、各県で学校保健への取り組を強化してもらえるように呼びかけました。

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全国の県の教育局長と保健局長、保健省、教育省担当者が、それぞれの県での学校保健委員会立ち上げを承認する文書に署名

シェア主体から、省庁・県担当者主体へ大きく前進
この様なワークショップはこれまでも毎年実施していましたが、今回のワークショップは従来のそれとは大きな違いがあります。それは、保健省と教育省のオーナーシップの高まりです。
前年まではシェアが事前準備から当日の発表まで取りまとめていましたが、今回は保健省と教育省の二省が主体となって開催しました。開催費も初めて保健省が半分以上負担したのです。これまで学校保健への政府予算がほとんど無かったことを考えると、これは大きな変化です。
内容や事前調整に関しては反省点が多く残り、私たちが取りまとめていた時の方がしっかり準備ができていた・・・と感じてしまう場面はありました。それでも、政府のコミットメントが高まったのは大きな前進です。

オーナーシップの高まりはディリ県の学校保健委員会からも感じられました。
ディリ県での実施経験から、他県の担当者へ提案する場面が多くありました。例えば、教育省側は依然として学校保健への予算が無いため、「予算無しに委員会活動を進めるのは難しい」という声が他県担当者から出ました。それに対し、ディリ県の学校保健委員会委員長のジュリオさんは、「学校保健に特化した予算がなくても、学校モニタリングなど、実行できる活動はある。実績を残せば予算も取りやすくなる」とアドバイスしていました。

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ディリ県学校保健委員会の活動成果を発表する委員長のジュリオさん

また、普段から学校を巡回することが仕事である学校インスペクターのセザリーナさんは、教育セクターと保健セクターの連携の重要性を強調しました。これは、ディリ県でも保健局スタッフが教育局と事前調整をせずに学校に行き、寄生虫薬を児童に飲ませようとしてとしてうまくいかないなどというケースが多々あったためです。この様な自らの経験に基づいたアドバイスは説得力に溢れていました。

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各学校の保健教育や活動の実施状況に関して発表する、学校インスペクターのセザリーナさん

秘訣も困難も共有して、全国に学校保健を広めたい
また、このワークショップではすでに自主的に学校保健活動を進めている学校の校長先生も大きな役割を果たしました。それぞれの学校ではどの様な問題があって、それをどう工夫して対処したのか、上手くいった秘訣は何なのかということを発表してもらいました。
どちらの校長先生も、保護者との連携、校長のリーダーシップ、地域で手に入る資源の活用、児童保健委員会の重要性などを強調していました。他県の担当者達も強い関心をもったようで、具体的な質問をたくさんしていました。

この様に、今回のワークショップでは、国、県、学校の全レベルの関係者から、学校保健への意欲が強く感じられるワークショップとなりました。まだディリほど活発に活動していない他県の担当者も意欲は決して負けていません。
印象的だったのは、ビケケ県の担当者からの、「ディリ県の担当者からは、達成できたことだけではなく、困難だったことももっと共有して欲しい」という一言。

ディリ県の学校保健委員会だって、まだ始動してたった半年。上手くいくことより、上手く行かないことの方が多いのです。大切なのは、改善策を練り、試行錯誤しながら困難を乗り越えるまでのプロセスを全国の関係者と共有することではないでしょうか。分かりやすい学校保健の運用システムを確立するため、ディリ県だけでなく全国の担当者とも連携を強め、お互いの取り組みを共有していきたいと思います。

ロジーニャ
スタッフロジーニャ

※2017年1月15日(日)東ティモールやシェア東ティモールの活動がテーマとなったミュージカルが上演されます。スタッフのロジーニャの幼少期の話も登場するかもしれません!?ぜひお越しください。

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こんにちは。シェーちゃん、アーちゃんです。インターン紹介第5弾です!
今回は、在日外国人支援事業部インターンの若尾彰子(わかお しょうこ)さんです。

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右端が若尾さんです。


Q.インターンをしようと思ったきっかけはなんですか?
 
私は看護師として病院に勤務していました。もともと国際協力に興味がありましたが、就職してからは特に行動を起こすこともなく過ぎていました。今年に入り関東に引越すことになり、仕事をどうしようかと悩んでいた時に、たまたまシェアでインターンを募集する知り、早速応募しました。


Q.インターンのお仕事はどんなことをされているんですか?

私がお世話になっているのは在日外国人支援事業です。この部署は外国人に医療現場での通訳派遣のコーディネイトをしたり、外国人への結核予防などの活動をしています。内外に向けていろいろなイベントがあり、そのイベントの準備や日常の事務などをしています。


Q.やりがいは?

大学の卒業論文で医療現場での通訳について研究しました。その時に調べたことが目の前で起きていたり、研究していたときには考えもしていなかったことがあったりと、新しい発見ができました。事務所でランチをしているときも、普段ではあまり関わり合うことがないような職歴の人とお話ができてとてもおもしろいです。


Q.シェアの今後の予定を教えてください!

12/21に青年海外協力隊経験者によるトークショーを開催します!協力隊に興味のある方、国際協力に関心のある方、お時間のある方。ぜひいらしてください!


若尾さん、ありがとうございました!★シェーちゃんとアーちゃんでした〜


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Pun moo of HSF
HSRのマスコット、水牛の親子「パン・モー」



1.水牛の親子(パン・モー)に託すHSFの願いと行動
 
2012年にシェア・タイから独立しタイの財団となったHealth and SHARE Foundation (HSF)は、ちょうどシェアが「うさぎ」のシェーちゃんアーちゃんをマスコットとしているように、水牛の親子、あだなは「パン・モー」をマスコットにしています。この親子がまた、シェーちゃん、アーちゃんに負けないくらいかわいいのです。なぜバッファローをマスコットにしたかというと、代表のチェリーさん(看護師)の説明によるとこうです。「パン・モー(Pun Moo)は東北タイ(イサーン)の言葉で、パンが分かち合うこと、モーは友だちという意味です。パン・モーはだから「シェア・ウイズ・フレンズ」ということになります。水牛は、働き者で、正直であり、あくまで平和の志をもって歩み続ける、素晴らしいスピリットの持主です。ちょうどHSFが目指している理想と価値観を、パン・モー親子は体現してくれているのです。」

この11月に私は1週間ほど、東北タイとバンコックを旅しました。HSFのスタッフにぴったり同行して活動現場を見学し、ロイ・クラトーン祭り(精霊流し)の、68年ぶりという名月をモン河の川岸で眺め、HSFの理事さんたちと意見交換を行い、確かに彼らは地に足の着いた、すばらしい「パン・モー」として働いているな、と改めて深い感銘を受けました。


シェアタイ活動 小学生のサマーキャンプ
シェア・タイのエイズ教育 子供たちのサマーキャンプ2002年



2.20年以上にわたる地域でのHIV活動を通して培った参加型教育(PRA)

HSFの中核を担っている、チェリーさん、ノイさん、トムさんらは、皆、工藤芙美子さんが、1994年に東北タイのウボン県とアムナッチャラン県でHIV・エイズの予防・啓発活動を開始してから以降、シェア・タイのスタッフになった人たちです。一方、彼らの活動対象・パートナーだった方がたは、普通の村人であり、HIV陽性者であり、患者さんであり、障害をもった子どもであり、ラオスから移住してきたセックスワークを生業とする女性とその家族であり、MSM(=Men who have Sex with Menの略。男性を性の対象としている男性のこと。)であり、また地域のさまざまな機関(病院、保健所、行政)の職員であったりしました。これらのカラフルな人たちとともに、差別のない暮らしを創り、共存していき、困っている人や仲間を助けるために、HSFのスタッフは、コミュニケーションやファシリテーションの技を磨くことを、工藤さんをはじめいろいろな専門家(タイ人、日本人)から学んできました。その有力なツールが、PRA(参加型農村調査法:Participatory Rural Appraisal)という手法でした。

理論としては、英国サセックス大学のロバート・チェンバースという先生たちのグループが、長年の途上国での実践を通して創り出してきたものと言われていますが、工藤さんは必ずしも初めから、PRAを意識して使ったというよりも、村で保健ボランティアと対話したり、デビッド・ワーナーの「医者のいないところで」(Where There Is No Doctor)といった本を参照・活用する中で、自然にPRAを身につけていったようです。チェリーさんらHSFの活動者は、工藤さんやシェアの日本人たちと働いた20年にわたる修練と経験の中で、少しずつ、自らの技と心を磨き、東北タイ式のPRAを創りあげ、いまそれがよく花開いてきたのだということを、ワークショップなどの見学を通して私は感じ取ることができました。


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バディ(VHVと子どものペア)で楽しいゲームに興じる:ケマラート市内郡保健所で



3.高齢社会へのタイの取り組みとFCT(ファミリー・ケア・チーム)そしてバディ・ホームケア(Buddy Homecare)

タイでは、いま、日本に迫るようなスピードで高齢社会への歩みが始まっています。これは、第二次大戦後アジアでもっとも早くから家族計画に成功した国であったという、タイ国の輝かしいコインの裏面という性格を持っています。いずれにしても、高齢とともに、さまざまな慢性疾患や認知症を発症した方がたを、地域で支え、人としての尊厳をもった暮らしを、最後まで続けていただく、という取り組みがとても重要になってきています。

そこで生かされているのが、タイ独自に発達してきた、プライマリ・ヘルス・ケア(PHC)の仕組みです。とくに郡病院から、タンボン(Sub-district)にあるヘルス・センター(現在は、Community Supporting Hospitalという呼称に変わってきているようですが)、村の保健ボランティア(VHVs)に至る、地域のリソース(資源)を十全に活用するという考え方と政策です。2015年から本格的に全国で始まったFCT(Family Care Team)では、保健ボランティアのうち選ばれた人たちを、村のケアギバー(介護者)として養成し、ヘルス・センターの看護師らとチームで地域の高齢者宅を回り、必要なケアを在宅で提供していくという体制を組むようになっています。こうしたFCTがタイ全土で1万5000組以上、すでに活躍していると聞きます。また去年くらいから、Primary Health Clusterという、FCTなどの活動を支える診療拠点が都市部を中心に展開するようになり、ウボン市でもそうしたクラスターの一つを見学することができました。

私が今回の滞在中とくに瞠目したのは、ケマラートの市部でHSFが保健所と協力して始めた、バディ・ホームケアのトレーニングでした。これはVHVと10−15歳の子どもが2人一組のペアを組んで、高齢者宅や支援を必要とする障害者宅などを回り、ケアを提供するという試みで、まだ始まったばかりとは言え、非常に独創性の高い、有望な取り組みという印象を受けました。この子どもたち自身、経済的に困窮していたり、ラオスからの移民の家庭など、恵まれない環境で育った子が多く、自尊心や将来への目的意識を培っていくことがむずかしくなっている場合も多いと言います。そうした子が、保健ボランティアのおじさん、おばさんと一緒に家庭を訪問する中で、生きがいや勉学への意欲を取り戻してくれるようになり、またVHVにとってもモチベーションを高めるきっかけになることが期待されます。高齢者自身にとっても、子どもが家に来て話し相手になってくれることは、とても嬉しいことでしょう。

こうしたFCTやBuddy Homecareのタイならではの独自性は、日本のように、高齢者ケア、障害者ケア、小児ケアなど、地域の端々まで、縦割りが貫かれ、「水平の連携」を欠いたシステムに対して、大きな示唆を与えてくれるものと思われます。

最近、慶應義塾大学・看護医療学部/大学院健康マネジメント研究科教授の小池智子さんから教えていただいた言葉に、’Reverse Innovation’という概念があります。つまり、途上国「発」で、先進国にとっても大きな学びとなるような技術・考え方で、普通は先進国から途上国の向きにしか起こらないと私たちが思い込んでいるイノベーションが、「逆向き」に起きることが大いにあり得ることを教えてくれています。バディ・ホームケアは、ある意味で、長年、HIV孤児や村の障害児や保健ボランティアと接し、協働してきたHSFのスタッフだからこそ、考えついたり、取り組もうと思ったスキームで、これもリバース・イノベーションの一つとして、日本の私たちが、謙虚に学んでいかねばならないことなのでしょう。


Buddy home care training
バディ・ホームケア・トレーニングで見事なファシリテーションをするHSFのPoo Payさん
(シェアのT-shirtと着た人)11月17日



4.マヒドン大学訪問とHSFの今後 − デビッド・ワーナーをイサーンに招きたい(Buddy Homecare)

旅の締めくくりに11月17日、私はチェリーさん、ノイさんと一緒に、バンコック市内のマヒドン大学公衆衛生学部(Faculty of Public Health, Mahidol University)を訪問しました。HSF理事長で、長年の友人でもあり、今年ウボン県保健局長の要職に就いたDr. Jinn Choopanyaが、HSFスタッフとの同行訪問を強く勧めてくださったこともあり、私たち二人が異なる時期にAIHDで勉強したときお世話になり、今はFacultyの先生をされているDr. Nawarat Suwannapongの親切な仲介もあり、この訪問が実現しました。

当日は、副学部長のKwanjai Amnatsatsue先生はじめ、様々な先生方、日本人やパキスタン人の留学生も参加され、2時間以上に及ぶ、有意義で楽しい意見交換となりました。HSFにとっても、ケマラートという国境の町での多文化共生を目指す、東北タイのユニークな財団の活動をアピールする良い機会となったことでしょう。

この席で、デビッド・ワーナーさんを、HSFとシェアの有志で、来年5月ころ、ケマラート病院に日本大使館の資金援助で建設されるHIV陽性者やLGBTの人たちのためのセンターの落成式の機会にお招きし、現地で講演やワークショップを開く計画のあることをお話しました。Kwanjai先生たち大学側は、強い関心をもたれ、ぜひFacultyでそのころ開かれるInternational Forumでもデビッドさんに講演していただきたいという要請をされました。高齢で病気回復後のデビッドさんにあまり負担はかけたくないですが、今後慎重に準備を進め、計画を実現したいと願っています。

空港に向かう前に、私たちは、元シェアタイ代表で、今もHSFの素晴らしいアドバイザーとして、様々な支援をしてくださっている岩城岳央(たけひろ)さんとタイ人の奥様にも再会し、旧交を温めました。
 
今後につながるさまざまな出会いと学びをさせていただいた、今回の旅行でした。
以下、HSFのホームページのご案内です。まだまだ財政的には厳しい状況が続く、生まれて間もない若いNPOですので、日本の皆さんからの支援をぜひよろしくお願いしたいと思います。

下記、HSFのホームページを訪ねてみてください。
http://healthandshare.org/en/

Faculty of Public Health Mahidol にて Nov 18,2016
Kwanjai先生、Facultyのスタッフ、留学生、Cherry、Noiらとの集合写真



2016年12月2日
シェア代表 本田 徹
honda




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在日外国人のテーマでは、なかなか目標達成は厳しいと思うよ

この挑戦を始めるための戦略会議で、クラウドファンディングについてアドバイスしてくださった方から、そしてシェアスタッフからも出た言葉でした。

“在日外国人”を対象とした活動は、決して風当たりがよいとはいえません。シェアが活動を開始して25年以上経過していますが、その間ヘイトスピーチがひどくなったり、奴隷労働とも呼ばれる技能実習生の活用は縮小どころか対象国・人を変えながらどんどん拡大されています。ちょっとしたことで「じゃあ帰国してしまえばいい」「外国人の支援なんて必要ない」などと、未だに心無い言葉が飛び交う世の中なのです。


でも、多くの方に知ってもらい、共感を得る機会にはできる!

一方で、“在日外国人”の医療の場面でおきている現状についての情報に興味を持っている方は多く、グローバルフェスタでは、毎年質問に訪れる人が結構います。そして最近は、在日外国人の医療現場での現状を伝えるブログは、シェアブログの中で一番といっていいほど多くの人が見てくれている、という状況があります。

“クラウドファンディング”の良さは、今までつながったことのない日本中、世界中の人たちにメッセージを伝えることができることです。そして、共感してもらえたら、理解者を増やすことができ、シェアとのつながりも増やすことができる、という可能性のあるツールです。

このテーマだからこそ、クラウドファンディングでチャレンジする意義があるのではないか”。私達は、数カ月打合せを重ね準備しました。


2016年11月ブログ クラウド切り取り写真


クラウドファンディングのシェアのページ(ジャパンギビング)


のべ160名を超す皆さんからの応援メッセージに毎日感動

医療通訳を利用しない日はないと言ってよいほど、日々の診療に欠かせません。
医療通訳は、「あった方が良い」というレベルのものではなく、日本語の不自由な人に医療を提供するのに、必要不可欠な仕組みだと思います。

このアメリカで働いている医師からの応援メッセージのように、国内外から、様々な国籍や背景を持つ方々から、ご寄付とともに温かくて励まされるメッセージが届きました。クラウドファンディングとしてのインターネット経由での寄付ではなく、直接シェアに寄付を届けてくださる方もいました。

正直、160名を超すみなさんに応援していただけるとは、思っていませんでした。
そして、毎日のように、シェアのFacebookをチェックして、情報を拡散してくれるサポーターもたくさんいました。全てのみなさんに、感謝の気持ちでいっぱいです!

今回の挑戦を通して、諦めずに「積極的に現状や想い、活動を発信すること」で共感の輪を広げられれば、応援してくださるみなさんと共に、様々な課題に対して取り組んでいけるのではないか、と明るい未来を思い描くことができました。

そのためには、「分かりやすい、伝わるメッセージ」に心がけて発信することがとても大事であることも、今回改めて学ぶことができました。私が今回の挑戦のために書いた最初のメッセージは、「漢字ばかりで、文章が長い!」と指摘を受け、ハッとさせられたことを思い出します。


活動は少しずつ動き始めました

今回、ギフトとして、当会の副代表沢田貴志を派遣するミニセミナーを用意していました。このギフト付きでご寄付くださった方のうち1人と打合せが済み、今月、医療通訳関係者を対象としたミニセミナー開催の準備が進んでいます。目標達成後に行う予定でいる医療従事者向けセミナーについても、これから詳細な内容を詰めていくところです。

定期的に、ブログやFacebook、クラウドファンディングでご寄付くださったみなさんに届く活動報告を通して、活動の進捗をご報告してまいります。


代表理事 本田徹よりメッセージ

在日外国人健康支援のためのクラウドファンディングにご協力いただいた方々、お一人おひとりに心より御礼申し上げます。お蔭さまで、目標の200万円を超えるご支援をいただき、スタッフ一同、改めて感謝の念を深くしています。
 
 いま私はタイ東北部のウボン県に来ていますが、メコン河をはさんで東にラオスを望み、南はカンボジアと国境を接しているこの地域は、以前から合法、非合法を問わず、移住外国人の課題に向き合ってきた歴史があります。とりあえず、彼らのいのちに脅威が迫っているときは、医療機関もNGOも率先・協力して、患者を救う行動を取っています。Border Health Sharing と言う考え方も今回学んだことでした。
 
 皆さまからの温かいお志をいただいたことを機に、タイなどの経験からも学びながら、在日外国人の健康増進のために、一層の努力を市民社会の中で続けていきたいと存じます。重ねて有難うございました。

本田さん写真1




在日外国人支援事業担当
山本 裕子




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