こんにちは。
東京事務所で東ティモール事業を担当して3年目になる吉森悠、33歳です。
突然ですが、小学校の頃、どんな「委員会活動」をしていましたか?
給食委員や放送委員、飼育委員など、一生懸命取り組んだ方もいるでしょう。
私は飼育委員で、上級生と一緒に動物の世話をするのがとても楽しかった思い出があります。
アジアで一番新しい国、東ティモールの学校にも「保健委員会」があります。東ティモールは、12年前の2002年に独立を果たすまで、16世紀からずっと他国の支配下にありました。長い闘いの末、ようやく自由を手に入れた今、かつての日本のようにベビーブームです。人口110万人のなんと半分が15歳以下という若いいのちに溢れています。
今回の出張で私が訪れたのは、1500人が学ぶ、首都ディリ県にあるマンレウアナ小中学校です。実は1年ぶりにもこの学校を訪ねました。2013年1月から新しく学校保健活動の対象となった学校です。
高く昇った太陽が校舎を照りつけ、じんわりと汗が滲むようなお昼時です。なにやら教室の前に子どもたちが集まっています。教室の前には、水が入ったバケツと石鹸、タオルがあります。誰に言われるともなく、子どもたちはバケツの水をひしゃくで掛け合い、次々に手を洗っていました。手を洗うと、給食をもらいに、いちもくさんに駆けていきました。
この日の給食のメニューは、ご飯にテンペ(大豆を発酵させた豆腐のような食べ物)の煮物でした。
また別の日には、校庭を埋め尽くすほど大勢の子どもたちが列を作り、石鹸で手を洗っていました。この日は国連が制定し、毎年10月15日に行われている「世界手洗いの日」のイベントでした。
低学年の子どもたちが、少し年上のお姉さんやお兄さんたちに、石鹸で手首や指の間も洗うように教えられながら、一生懸命手を洗っている様子が印象的です。手洗いを教えている子どもたちが、この学校の保健委員会のメンバーでした。先生ではなく、保健委員会の子どもたちが中心となって、石けんで手を洗うことが病気を防ぐことを説明しています。年下の子どもたちに、手洗いの大切さを伝え、こうしたイベントを盛り上げている様子が、とても頼もしく感じました。
この学校にシェアが関わり始めたのは1年前からです。その時には、このような光景を目にすることはありませんでした。1500人もの生徒が通っているこの学校に、手洗い場がたったの2ヵ所。なにより給食前に手洗いをする大切さを伝える人がいなかったのです。
東ティモールの学校では、下痢で休む子どもが少なくありません。トイレの後や食事の前に石鹸で手を洗うことが病気を防ぐことを子どもたちが学校で学び、実践する。それも、大人が教えるのではなく、子ども同士で教え合う。それが学校保健委員会の活動です。
今回、学校保健活動を初めてまだ1年足らずのこの学校で、子どもたちに手洗いの習慣がつき始めていることを目にして、保健委員会の活動の手ごたえを実感しました。下痢で休む子どもの数も減ってきているようです。子どもから子どもへと伝え行くこの活動が、今後どのように発展していくのか、とても楽しみです。
この学校には5年から中学2年生まで12人の保健委員のメンバーがいます。その1人である12歳のバキタちゃんに、活動について聞いてみました。バキタちゃんは「下級生や友達に正しい手洗いの方法を教えたり、学校にごみ処理場を作ったりすることが楽しいの。これからも、学校をきれいにする活動をもっとやっていきたい」と、活動の計画表を私に見せながら、誇らしげに話してくれました。
シェアが東ティモールの各地で、こうした保健委員会の活動を始めたのは、2011年1月からです。
国の学校保健ガイドラインには、保健委員会の設置が明記されていますが、実際に活動が行われている学校はありませんでした。そこでシェアは、9人の東ティモール人スタッフと2人の日本人スタッフで、学校で子どもたちを巻き込んだ保健活動が行われるように、国や県と協力して校長や現場の先生たちを対象に研修を行うなどの支援をしています。
東ティモールでの保健委員会の活動は、今はまだ全国でも10数校でしか行われていません。若いいのちに溢れた国だからこそ、子どもが主役の健康づくりを全国の学校に広げていくのが私たちの願いです。
今年8月には、9年ぶりに東ティモールへのスタディーツアーを予定しています。ぜひバキタちゃんたち、保健員会の子どもたちに会いに来てください。
東ティモール事業担当 吉森悠
**応援よろしくお願いいたします**
東京事務所で東ティモール事業を担当して3年目になる吉森悠、33歳です。
突然ですが、小学校の頃、どんな「委員会活動」をしていましたか?
給食委員や放送委員、飼育委員など、一生懸命取り組んだ方もいるでしょう。
私は飼育委員で、上級生と一緒に動物の世話をするのがとても楽しかった思い出があります。
アジアで一番新しい国、東ティモールの学校にも「保健委員会」があります。東ティモールは、12年前の2002年に独立を果たすまで、16世紀からずっと他国の支配下にありました。長い闘いの末、ようやく自由を手に入れた今、かつての日本のようにベビーブームです。人口110万人のなんと半分が15歳以下という若いいのちに溢れています。
今回の出張で私が訪れたのは、1500人が学ぶ、首都ディリ県にあるマンレウアナ小中学校です。実は1年ぶりにもこの学校を訪ねました。2013年1月から新しく学校保健活動の対象となった学校です。
高く昇った太陽が校舎を照りつけ、じんわりと汗が滲むようなお昼時です。なにやら教室の前に子どもたちが集まっています。教室の前には、水が入ったバケツと石鹸、タオルがあります。誰に言われるともなく、子どもたちはバケツの水をひしゃくで掛け合い、次々に手を洗っていました。手を洗うと、給食をもらいに、いちもくさんに駆けていきました。
この日の給食のメニューは、ご飯にテンペ(大豆を発酵させた豆腐のような食べ物)の煮物でした。
また別の日には、校庭を埋め尽くすほど大勢の子どもたちが列を作り、石鹸で手を洗っていました。この日は国連が制定し、毎年10月15日に行われている「世界手洗いの日」のイベントでした。
低学年の子どもたちが、少し年上のお姉さんやお兄さんたちに、石鹸で手首や指の間も洗うように教えられながら、一生懸命手を洗っている様子が印象的です。手洗いを教えている子どもたちが、この学校の保健委員会のメンバーでした。先生ではなく、保健委員会の子どもたちが中心となって、石けんで手を洗うことが病気を防ぐことを説明しています。年下の子どもたちに、手洗いの大切さを伝え、こうしたイベントを盛り上げている様子が、とても頼もしく感じました。
この学校にシェアが関わり始めたのは1年前からです。その時には、このような光景を目にすることはありませんでした。1500人もの生徒が通っているこの学校に、手洗い場がたったの2ヵ所。なにより給食前に手洗いをする大切さを伝える人がいなかったのです。
東ティモールの学校では、下痢で休む子どもが少なくありません。トイレの後や食事の前に石鹸で手を洗うことが病気を防ぐことを子どもたちが学校で学び、実践する。それも、大人が教えるのではなく、子ども同士で教え合う。それが学校保健委員会の活動です。
今回、学校保健活動を初めてまだ1年足らずのこの学校で、子どもたちに手洗いの習慣がつき始めていることを目にして、保健委員会の活動の手ごたえを実感しました。下痢で休む子どもの数も減ってきているようです。子どもから子どもへと伝え行くこの活動が、今後どのように発展していくのか、とても楽しみです。
この学校には5年から中学2年生まで12人の保健委員のメンバーがいます。その1人である12歳のバキタちゃんに、活動について聞いてみました。バキタちゃんは「下級生や友達に正しい手洗いの方法を教えたり、学校にごみ処理場を作ったりすることが楽しいの。これからも、学校をきれいにする活動をもっとやっていきたい」と、活動の計画表を私に見せながら、誇らしげに話してくれました。
シェアが東ティモールの各地で、こうした保健委員会の活動を始めたのは、2011年1月からです。
国の学校保健ガイドラインには、保健委員会の設置が明記されていますが、実際に活動が行われている学校はありませんでした。そこでシェアは、9人の東ティモール人スタッフと2人の日本人スタッフで、学校で子どもたちを巻き込んだ保健活動が行われるように、国や県と協力して校長や現場の先生たちを対象に研修を行うなどの支援をしています。
東ティモールでの保健委員会の活動は、今はまだ全国でも10数校でしか行われていません。若いいのちに溢れた国だからこそ、子どもが主役の健康づくりを全国の学校に広げていくのが私たちの願いです。
今年8月には、9年ぶりに東ティモールへのスタディーツアーを予定しています。ぜひバキタちゃんたち、保健員会の子どもたちに会いに来てください。
東ティモール事業担当 吉森悠
**応援よろしくお願いいたします**