最近は、ネパール人の方々とお話をする機会が多くなり、「ナマステ」とネパール語での挨拶にだんだんと慣れつつある、在日外国人支援事業部の横川です。


第1回医療通訳者会議に触発されて

 2016年8月に第1回医療通訳者セミナー(「医療通訳者セミナー」実行委員会主催)が東京で開催されました。このセミナーは医療通訳者自らが現場の視点を大切にプログラムされたもので、テーマに分かれて意見交換などを行われました。医療通訳者の地位が社会的にもっと向上するべきだと強く感じたと同時に、医療通訳者の意識や技術のさらなる向上の必要性を感じました。そして、シェアとしてできることは、現在、東京都外国人結核患者に対する治療・服薬支援員(以下、結核支援員)として活躍している結核支援員の「医療通訳者」としての意識や技術を高めていくことではないかと考えました。


医療通訳(支援員)の背景から考える、フォローアップ研修のテーマ

 東京都の結核支援員として登録している方の中には、コツコツと自分で勉強して難しい日本語試験をパスしている方や登録言語の国に留学や仕事で滞在し語学を習得した方もいます。そのため、通訳学校を卒業していない方もいますし、また、通訳をした経験はあるけれど、医療通訳が初めての方もいます。ですので、「医療通訳とは何か」ということを学ぶ機会がほとんどなかった方がいます。そこで、通訳者としての意識と技術の向上につなげたいと思い、2017年1月のフォローアップ研修で「医療通訳とは何か」というテーマを取りあげました(シェアでは結核支援員に対して、毎年2回、フォローアップ研修を開催しています)。


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講師の森田さんが講義をしている様子


医療通訳者としての専門職意識を考える>

 講師には、結核支援員の英語通訳者であり、第1回医療通訳者セミナーの実行委員会のメンバーでもある、森田直美さんにお願いをしました。研修の内容は「医療通訳とは」「行動規範とは」「専門職とは」といった幅広い内容をわかりやすく、また、情熱的に説明してくださいました。研修終了後のアンケートからは、

「通訳としてのプロ意識の重要性を学んだ。」
「通訳の技術面での疑問点などを明らかにすることができた。」
「医療通訳としての意識を改めることができ、良い時間になった。」

などの声が聴かれ、改めて結核支援員(医療通訳)は医療通訳の意味を考える時間となったようです。
さらに、

「友人などの付き添いで通訳するのとは異なる。患者の気持ちに寄り添うことは大事だが中立の姿勢を保つことが大事。」
「受けた仕事を完遂することはプロとしての第一歩。わかりません、できません、を言わない。しかし、自分の能力を明らかに上回る仕事や内容については明確な理由を告げて断わる。」
「自分の意見をはさまない。勉強・予習をして、医療用語をきちんと把握する。」

など、専門職として活躍している方々の意識の高さを聴く機会となり、私自身も医療者としての専門職意識を考えさせられました。


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結核支援員がグループワークをしている様子


本当に必要なのは医療関係者側の意識の変容?

 医療関係者の中には医療通訳の必要性を認識し、診療において医療通訳を同席できるように努力して下さっている方々が多くいます。一方、同じ医療関係者の方から以下のような言葉が聞かれます。

「通訳にお金は払えない。」
「日本語がわかる家族や友人で通訳は大丈夫。」
「通訳が何を話しているのか理解できないから、信用できない。」

実際には医療通訳が入らなかったことによって、薬の飲み間違い、検査の受け間違い、病名すら正確に伝わっていないケースについてシェアに相談がよせられています。医療通訳が診療場面に同行し、在日外国人患者自身が自分の病気を理解し、治療の選択肢を与えられることは基本的人権の一つであると思います。医療通訳の方々が意識や技術を高めると同時に、医療者側の意識も変わることを願い、私自身も在日外国人に対する医療の質が向上できるように今後も努力していきたいと思います。




在日外国人支援事業部
横川 峰子